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農林水産省

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第2節 再生可能エネルギーの推進


太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス(*1)等のエネルギー資源は、永続的な利用が可能であるとともに、発電時や熱利用時に地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)をほとんど排出しないという優れた特徴を有しており、これらの資源を変換して作られるエネルギーは「再生可能エネルギー」と呼ばれています。

これらのエネルギー資源を積極的に有効活用することにより、農山漁村の活性化と農林漁業の振興を一体的に推進することが重要です。

以下では、農山漁村における農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギーの導入、バイオマスの活用による地域活性化について記述します。

*1 [用語の解説]を参照。

(農山漁村における再生可能エネルギーの活用)

我が国の総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は10%程度ですが、その大部分は大規模水力発電によるもので、その他の太陽光や風力、バイオマス等の再生可能エネルギー電気の割合は1.6%にとどまっています(図3-2-1)。

このような中、再生可能エネルギー源を活用して発電された電気を、国が定める一定期間・一定価格で電気事業者が買い取ることを義務付ける、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が平成24(2012)年7月に開始されたことから、全国で再生可能エネルギーへの取組の気運が高まっています。

我が国の国土の広い面積を占める農山漁村には、再生可能エネルギー発電に活用可能な土地、水、バイオマスといった資源が豊富に存在しています。このような資源を活用した再生可能エネルギーの導入により、農山漁村に新たな所得が生まれ、地域の活性化につながることが期待されます。

一方、固定価格買取制度の開始後、各地域で再生可能エネルギー発電を行うための土地需要が増加し、農林地の利用を求める動きも増えています。仮に再生可能エネルギー発電設備が無計画に整備された場合、農山漁村に存在する農林地や漁港、その周辺水域が果たしている食料生産や国土保全等の重要な役割に支障を来すおそれがあるのみならず、周辺環境に悪影響を与える可能性もあります。

このため、平成25(2013)年11月に農山漁村再生可能エネルギー法(*1)が公布され、農山漁村における再生可能エネルギー発電について、農林地等の利用調整を適切に行いつつ、市町村や農林漁業者等の地域の関係者の密接な連携の下、再生可能エネルギーの導入と併せて地域の農林漁業の健全な発展に資する取組を促進していくこととしています(図3-2-2)。

*1 正式名称は「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律」

図3-2-2 農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する計画制度の概要

既に、再生可能エネルギー発電により得られた電気を固定価格買取制度を活用して売電し、その利益を地域の農林漁業の活性化のために活用するといった、農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電の取組事例が各地でみられるようになっています。農山漁村再生可能エネルギー法も活用しながら、このような取組が広がることが期待されます(表3-2-1)。


表3-2-1 農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー発電の取組事例

(農業用水を活用した小水力発電の推進)

図3-2-3 農業水利施設を活用した小水力発電の導入状況(平成26(2014)年1月現在)

水力発電は、太陽光発電や風力発電と比較すると天候による発電量の変動が少ないという利点があります。また、農業用ダムや農業用水路等は用水を安全に通水するため、水流のエネルギーを減ずる落差工や減圧バルブ等の施設を有していることから、これら施設の新設や改修に併せて発電施設を整備し、そのエネルギーを有効に活用することが可能です。

平成26(2014)年1月現在、農業農村整備事業により31地区で小水力発電(*1)施設が整備され、年間約1億1,600万kWhの電力(約3万3千世帯の年間消費電力に相当)が発電可能となっており、土地改良区等が管理する農業水利施設(*2)の維持管理費の軽減に寄与しています(図3-2-3)。

小水力発電の導入を推進するため、水利権許可手続等の簡素化・迅速化が図られており、今後も全国の農業水利施設において導入可能性の検討を行うとともに、土地改良区等の発電施設の設置・運営に係る技術力向上のための支援を強化することとしています。

*1 数十kW から数千kW 程度の比較的小規模な水力発電の総称。
*2 [用語の解説]を参照。

事例:県が主体となった小水力発電の積極的な導入の取組
富山県
山田新田用水発電所
山田新田用水発電所

富山県は北アルプス連峰から富山湾に至る比較的急峻(きゅうしゅん)な地形と豊富な水資源を活用した小水力発電を積極的に導入することにより、農業水利施設の維持管理費の軽減や地球温暖化対策に取り組んでいます。

同県では、現在稼働中の23か所の小水力発電所のうち、14か所が農業用水を利用した小水力発電所となっており、このうち6か所は土地改良区が管理を行っています。

平成25(2013)年3月に供用を開始した「山田新田用水発電所」は、土地改良区が管理を行う小水力発電所の一つですが、非かんがい期に農業用水路の空き容量を利用して発電するための新たな発電用水利権を取得し、最大出力520kW、年間257万kWhの発電量は、一般家庭600余世帯分に相当します。

この発電所により、農業用水という再生可能エネルギー源を最大限に活用し、農業水利施設等の維持管理費の軽減と土地改良区の運営基盤の強化を図ることが期待できます。

同県では、県が主体となって河川の流量や生態系の調査を実施し、今後も小水力発電の導入を目指す土地改良区を支援していくこととしています。

 

(農村地域における太陽光発電の取組)

太陽光発電については、農業用施設の屋根に太陽光パネルを設置し、当該施設の電力として利用するほか、貯水タンクの敷地内や調整池の斜面に太陽光パネルを設置し、揚水ポンプの稼働電力に活用するといった取組が各地で進められています。

また、農業水利施設等の操作に必要な電力の供給や維持管理費の軽減のため、平成26(2014)年1月現在、農業農村整備事業により49地区で太陽光発電施設が整備されています。

一方、近年では、農地に支柱を立てて営農を継続しながら上部空間に設置する太陽光発電設備等の技術開発が進み、実用段階となっていますが、下部の農地で農業生産が継続されるとともに、周辺農地の効率的な利用や農業水利施設の機能等に支障を及ぼさないことが重要です。

このため、農地転用許可制度上の取扱いとして、支柱の基礎部分を一時転用許可の対象に位置付け、3年間の一時転用期間の間、下部の農地での営農の適切な継続が確保されるなど問題がない場合は再許可が可能となっています。


事例:太陽光発電の導入による農業水利施設の維持管理費の軽減
南城市
ファームポンドに設置した太陽光発電施設
ファームポンドに設置した太陽光発電施設

沖縄県南城市(なんじょうし)の稲嶺(いなみね)地区は、県都近郊に位置している特性を活かし、さとうきびやさやいんげんを中心とした野菜・果樹・花き等の畑作営農が盛んな地域です。同地区では、さとうきび等の栽培のため、ファームポンドに設置された揚水ポンプにより農地にかんがい用水を供給しています。

南城市は、揚水ポンプの電気料金の負担軽減を図るため、ファームポンドの整備と併せて、敷地内に最大出力15kWの太陽光発電施設を設置し、平成22(2010)年に運転を開始しました。

この結果、同発電施設の売電収入を揚水ポンプの運転に要する電気料金(年間30万円程度)に充てることにより、維持管理費が軽減されるなど、地域資源を活かした太陽光発電の導入を行いつつ、農業水利施設の適切な維持管理に取り組んでいます。

 


(バイオマスの活用による地域の産業創出と活性化)

バイオマスとは、木質、食品廃棄物、家畜排せつ物、下水汚泥等の動植物に由来する有機性資源であり、発電、熱、燃料、素材等幅広い用途に活用できる、地域に密着した身近な資源です。

また、大気中のCO2を増加させないカーボンニュートラル(*1)と呼ばれる特性により、その活用は地球温暖化対策に有効であるとともに、天候に左右される太陽光、風力に比べて安定的なエネルギー源です。

バイオマスは広域に存在するため、収集・運搬体制や販路の確保等の課題がありますが、これらの課題を解決し、生産から利用まで効率的な一貫システムが構築できれば、未利用資源の活用による地域の産業・雇用創出、エネルギー供給の強化、循環型社会の形成に貢献できます。

こうした状況を踏まえ、平成24(2012)年9月に関係7府省(内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)が共同で取りまとめた「バイオマス事業化戦略」において、地域の特色を活かしたバイオマス産業を軸とする、環境にやさしく災害に強いまち・むらづくりを目指すバイオマス産業都市の構築を推進することとされました(図3-2-4)。

このバイオマス産業都市については、平成30(2018)年までに全国で約100地区の構築を目指しており、平成25(2013)年度は16地域が選定され、原料生産から収集・運搬、製造・利用までの経済性が確保された一貫システムを構築し、地域のバイオマスを活用した産業創出と地域循環型エネルギーの強化を推進しています(図3-2-5)。

*1 バイオマスは生物が光合成によって生成した有機物であり、バイオマスを燃焼すること等により放出されるCO2 は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したCO2であることから、バイオマスはライフサイクルの中では大気中の二酸化炭素を増加させない。

図3-2-4 バイオマス産業都市の構築

図3-2-5 バイオマス産業都市の選定地域(平成25(2013)年度)



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