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農林水産省

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第4節 都市農業の振興


都市とその周辺の農地やそこで営まれる農業は、多様な役割を発揮しています。

以下では、都市農業が有する多様な役割や都市農地の状況、都市住民の中での「農」のある暮らしの広がりについて記述します。


(都市農業が有する多様な役割)

都市農業(一般に市街化区域(*1)内農地とその周辺で営まれる農業をいう。)は、消費地に近いという利点を活かし、個人への直売や直売所等を通じて新鮮な農産物を供給しているほか、農業体験・交流活動の場の提供、災害時の防災空間の確保、都市住民の農業への理解の醸成等、多様な役割を果たしています(図3-4-1)。


図3-4-1 都市農業の多様な役割

都市部の農地の状況についてみると、市街化区域内の農地は、宅地等への転用需要が大きく、面積が減少している一方、全国の市街化区域内の農地面積のうち17%については、都市計画で生産緑地地区(*2)に指定され、おおむね保全が図られています(図3-4-2)。

また、建築物が密集する都市において、都市農地は災害発生時の避難場所や火災の延焼防止等の防災機能を発揮する貴重な空間にもなっています。このことを踏まえ、農家や農協、地方公共団体の間で都市農地を防災協力農地として位置付ける協定の締結が進められており、平成25(2013)年3月現在、三大都市圏特定市(*3)の7都府県53自治体において、農地を緊急時に避難場所として利用すること、復旧用の資材の置き場等として利用すること等を内容とした協定が結ばれています(図3-4-3)。

*1 都市計画法に基づき、「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10 年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」として指定されている区域。
*2 都市計画に定める地域地区の一つ。市街化区域内にある農地等で、良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているものが指定され、開発行為等が規制される。
*3 三大都市圏(首都圏、中部圏、近畿圏)にある政令指定都市及び既成市街地、近郊整備地帯等にある市(東京都の特別区を含む。)。


(「農」のある暮らしの広がり)

都市住民がレクリエーション等を目的として農作業を行う市民農園の開設数は、都市的地域(*1)を中心に増加しており、今後、更なる開設に向けた取組を推進していくことが重要です(図3-4-4)。

市民農園の形態としては、利用者が農園の開設者から小面積に区分けされた農地を借り受けて農作業を行うもののほか、農地を借り受けずに植付けから収穫までの一連の農作業を体験するものがあり、初心者から経験者まで様々な人が利用しています。

近年では、農園主による丁寧な指導の下で本格的な農業を体験できるほか、収穫祭等により利用者間での交流を深めることができる農園も増加しており、市民農園が都市住民や消費者の農業理解を広げるための貴重な場となっています。

このように、農業体験を通じて、健康増進や生きがいづくり、相互のふれあいを求めるなど、都市にあって、「農」のある暮らしを楽しみたいとのニーズが増加しており、これを受け、農産物直売所の整備、子供や高齢者のための学童農園・福祉農園の開設等、様々な取組が展開しています。

*1 [用語の解説]を参照。


事例:「農」のある暮らしづくりに向けた取組
(1)高齢者を対象とした農業体験農園の取組
日野市
こんにゃく作りで三世代交流
こんにゃく作りで三世代交流

東京都日野市(ひのし)の石坂ファームハウスでは、農業経営の一環として農業体験や食育体験を取り入れ、都市住民に農業の持つ恵みや豊かさを共有してもらう活動を行ってきました。

園主が開催する「自然の恵みを楽しむ会」では、味噌や団子、こんにゃく作り等多彩なイベントにより、身近に「農」とふれあう機会を提供しています。

平成23(2011)年には、高齢者の心身の健康増進を目的として、おおむね60歳以上の方を対象とした農業体験農園を開設し、園主による講習会「畑の体験講座」や収穫祭を開催しています。

また、同講習会に参加する高齢者や「自然の恵みを楽しむ会」の参加者によるコミュニティが形成され、三世代で農業を体験する交流もみられます。

(2)障害者の周年雇用を目指す福祉農園の取組
所沢市
導入した3連棟ハウス
導入した3連棟ハウス

埼玉県所沢市(ところざわし)の農業生産法人(株)風では、障害者と農業をつなげようと、平成23(2011)年に農業生産法人を設立し、その翌年から就労継続支援A型事業所(*)として障害者を雇用しています。

同法人では、公共交通機関が整備された都市部の有利性を活かし、障害者が電車で通勤し、ほ場での農作業や生産した野菜の販売に従事しています。

また、露地栽培では天候に大きく左右され、障害者の就労時間に影響が及んでしまうことから、ハウス栽培も導入しています。これにより雇用を安定、拡大するとともに、促成栽培や抑制栽培による付加価値の向上や生産量の拡大による収益の増加を目指しています。

* 一般企業等での就労が困難な人に、雇用契約に基づき、働く場を提供するとともに、知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う事業所。


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