このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

(3)地域資源を活かした農村の活性化


農村の活性化とその持続的な発展のためには、多様な地域資源の有効活用により地域の潜在力を最大限に発揮し、産業の育成や雇用の確保、所得の増大を図ることが重要です。

このため、女性や外部人材等の視点や能力を活かし、地域資源を活用した新たな観光資源や商品の開発、情報の発信等により、新たな地域づくりや地域間交流に取り組む事例が展開されています。


地域に根ざした資源を活用した農村活性化の取組
~株式会社四万十ドラマ(高知県四万十町)~

株式会社四万十ドラマは、最後の清流と言われる四万十川中流域に広がる高知県四万十町(しまんとちょう)西部に位置する旧十和村(とおわそん)にあります。地域産品の販路開拓を目的とした商社である同社は、平成6(1994)年に第3セクターとして設立されましたが、地元のヒノキの端材、茶、紅茶、米を使ったオリジナル商品の開発・販売により売上げが増加したため、平成17(2005)年、市から自社の株を買い取り、地域住民に購入してもらうことで、住民の会社となりました。平成19(2007)年からは、道の駅「四万十とおわ」の運営を行っています。

畦地履正さん
畦地履正さん

同社社長の畦地履正(あぜち りしょう)さんは、「四万十川に負担をかけないものづくり」を目指し、「ローカル・ローテク・ローインパクト」をコンセプトに、地域資源の生産現場でもある四万十川を保全しつつ活用し、そこから生み出された商品の販売や情報発信を通じて地域の交流人口等の増加を促すことで、環境・産業・ネットワークを循環させるソーシャルビジネス(*1)を展開しています。

コンセプトを具体化するための商品開発に当たっては、地域のデザイナーと連携し、デザインの力を積極的に活用しています。デザイナーが、パッケージデザインだけでなく商品の企画から販売手法の提案まで携わることにより、商品コンセプトの明確化を図っています。

具体的には、地域に根ざした資源を再発掘し、かつて特産であった栗を使用して全工程が手作業の加工品を製造するとともに、環境、素材、地域の考え方を情報発信する販売戦略により高付加価値化しています。このほか、茶や米等についても同様の考え方で商品化しています。また、近所に住む主婦が考案した古新聞を利用した新聞バッグを商品化するとともに、バッグそのものだけではなく、作成方法も商品として販売しており、環境に優しいバッグとして海外でも好評を得ています。

これらの商品は、同社が管理する道の駅で販売するほか、通信販売で全国各地へ販売しています。道の駅へは、「ここにしかない」魅力を目当てに、平成19(2007)年の開設以来110万人を超える人々が訪れています。さらに、同社の活動や、四万十町の豊かな自然に魅力を感じ、県外から移住してきた若者も多く、近年、結婚や出産が増加しています。

このような取組により四万十町の魅力発信が進む一方、1次産業の現場は高齢化が進んでおり、2次、3次産業への素材供給が追いついていない状況にあります。

道の駅「四万十とおわ」
道の駅「四万十とおわ」

このため、同社では、1次産業がしっかりしなければ6次産業化(*2)は成り立たないとの認識から、1次産業の本格再生を促し、地域特産物の生産現場の強化と、それらの加工、販売による高付加価値化を図るため、1次産業が価値の中心になる「とおわモデル」を打ち出しました。まずは栗で成功モデルをつくり、茶、米、ゆず、しいたけ等の他の品目への拡大を図ることとしています。栗の生産拡大に当たっては、他県産地の先端栽培技術の導入により1粒当たりの大きさ拡大を図るほか、新植による生産量増加に取り組んでいます。

このほか、同モデルでは、これらの四万十町十和地域の事業者と同社が、人やモノ、資金を共有して事業を行う新会社の設立を進めています。繁忙期が短いなどの理由により、通年雇用が困難な複数の事業者の仕事を掛け持ちしてもらい、安定的な雇用につなげることにより、高齢化や後継者不足等の中山間地域の厳しさが克服され、産業の担い手確保につながることが期待されます。


*1 地域の課題解決に向けて、住民やNPO法人(特定非営利活動法人)、企業等がビジネスの手法を用いて取り組む事業
*2 [用語の解説]を参照

【道の駅「四万十とおわ」に商品を出荷する生産者のお話】

清流「栗庵」の池田照子(いけだ てるこ)さんは、30年ほど前から、近所の女性7人で栗の加工品の製造・販売を行っています。現在は、販売を道の駅へ委託しており、栗ようかんや栗きんとんを製造し、出荷しています。地元で採れた栗を使用し、一つひとつ手作業で作られた栗きんとんは、年間約2万個製造されており、リピーターが多く、清流「栗庵」の主力商品となっています。

同じく町内で、農薬・化学肥料を使わずに「ちゃんと種が取れる野菜をつくること」にこだわって露地野菜70種類を栽培する桐島畑の桐島正一(きりしま しょういち)さんは、生産したしょうがを、ジンジャーシロップ等に加工し、道の駅へ出荷しています。また、田舎でのビジネス展開に向けた人材育成事業等を行う一般社団法人いなかパイプと連携し、インターンシップ等を受け入れているほか、地元に若者を呼び込むために栽培指導等も行っています。

桐島正一さん
桐島正一さん
池田照子さん
池田照子さん
 

地域資源を活用した女性農家による地域活性化の取組
~森智子さん(愛媛県今治市)~

愛媛県今治市(いまばりし)の山間地域、玉川町(たまがわちょう)で生まれ育った森智子(もり ともこ)さんは、平成14(2002)年に地元で就農し、ブルーベリーやマコモタケ等の栽培を開始しました。平成17(2005)年に株式会社森のともだち農園を立ち上げ、地元農家・食品会社等と連携しながら、ブルーベリーの商品開発や自ら作成したマコモタケのキャラクターを使った販売促進に取り組みました。販売に当たっては、地域でその時々にできた季節のものをセットにしてインターネット販売するなど地域全体の活性化に寄与するよう工夫を続けています。

森智子さんとマコモタケ
森智子さんとマコモタケ

地元農産物を使用した子供向け料理教室
地元農産物を使用した子供向け料理教室

また、今治市で年間約100万人の来客があるJAおちいまばりの直売所「さいさいきて屋」に併設されている調理施設において、子供向け・大人向けの料理教室を企画し、農家に伝わる料理等の地元農産物のおいしい食べ方を広めることで、地産地消(*3)の普及及び地域農業の活性化を目指しています。

さらに、子供たちの地域を大切にする気持ちを育むため、農園近くに流れる沢やれんがのかまどを利用した自然体験を長年企画しており、実際に、参加した子供たちが成長して、地域の夏祭りのボランティアに参加するなどの成果もみられます。

森さんは、町を良くすることは、結局自分たちが良くなることであると考え、また、自分の生まれたこの町が大好きで、ここでずっと暮らしていきたいという思いから、このような取組を行っています。そして、ブルーベリーやマコモタケを通じて地域の自然の豊かさ、地域の人の魅力を伝えていくことにやりがいを感じています。今後も、地域への愛情を育みつつ、地域活性化に取り組み続けていきたいとしています。


*3 [用語の解説]を参照


ご意見・ご感想について

農林水産省では、皆さまにとってより一層わかりやすい白書の作成を目指しています。

白書をお読みいただいた皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。

送信フォームはこちら


お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室
代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883
FAX:03-6744-1526