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農林水産省

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(4)地域の結びつきを強化する取組


農村では、人口減少や高齢化により、住民の相互扶助的な活動が難しくなっている集落が増加しているほか、多くの市町村において、事務事業の見直しや組織の合理化等により職員数が減少し、地域のニーズへのきめ細かな対応に支障が生じることが懸念されています。

このような中、住みやすい生活環境を実現するため、地域の営農組織による6次産業化や住民の生活支援サービスへの取組、地域住民の出資会社による商店経営や商品開発等への取組等、地域の結びつきを強化して住民の暮らしを支え、地域の持続的な発展を目指す活動が展開されています。


農業生産と高齢者支援事業による地域の維持・活性化の取組
~有限会社グリーンワーク(島根県出雲市)~

島根県出雲市(いずもし)佐田町(さだちょう)は、同市中心地から南西30kmにある、山間地の稲作農業地域です。当初、地域には2つの営農組合がありましたが、オペレーターの高齢化や増え続ける委託希望者に対応できなくなったため、平成14(2002)年に2つの営農組合が合併し、さらに、平成15(2003)年、地域で必要とされる農外事業にも取り組むため、農事組合法人(*1)ではなく有限会社グリーンワークとして法人化しました。現在、同社は出資者が32人で、水稲を中心とした農業経営とともに、高齢者の外出支援等の農外事業に取り組んでいます。

農業部門としては、水稲約20haを直営しているほか、刈取り等の作業を受託しています。環境保全に配慮した米生産を行い、食味の評価が高く、大部分を相対で販売しています。また、平成17(2005)年から羊の放牧事業を開始し、畦畔(けいはん)斜面の除草に役立てています。羊1頭で1反(10a)の除草が可能で、取組当初は3頭でしたが、42頭まで繁殖し、地域の子供たちの教育にも活用されています。

羊の放牧事業
羊の放牧事業

高齢者の外出支援事業
高齢者の外出支援事業

農外部門としては、地域の高齢者等が住み慣れた地元で安心して暮らせるよう高齢者外出支援事業に取り組んでいます。これは、出雲市内への通院や買物等のための送迎サービスで、車を所有していない65歳以上の高齢者を対象としています。サービスの利用は月1回までですが、1回当たり1千円程度の料金となっており、地域で喜ばれる事業となっています。

また、高齢者配食サービス事業では、出雲市からの委託を受けて、自身で食事を作れず要介護認定を受けている高齢者向けに専門業者が作った弁当を、年間を通して毎日2回配達しています。併せて安否確認も行っており、地域の高齢者に必要不可欠な事業となっています。

農閑期の冬期には、町内にある農協の給油所が忙しくなることから、灯油の配達業務を受託しています。さらに、除草のために羊を導入したことから、羊毛の有効利用を目的として「メリーさんの会」を立ち上げ、社員家族の女性約10人が独立採算で毛を刈って洗い、ベスト、マフラー、靴下、手袋等の手編み製品の製造・販売を行っています。

このような経営の多角化により年間を通して安定した収益を確保し、農業部門と農外部門合わせて、Iターン者2人を含む6人の年間雇用を実現しています。

今後も引き続き、農業経営とともに農外事業についても、「地域のために、地域とともに」をモットーに、次世代を育成しながら、地域で求められる取組を継続していきたいとしています。


*1 [用語の解説]を参照

住民主体の「住民の会社」による地域の維持・活性化の取組
~株式会社大宮産業(高知県四万十市)~

高知県四万十市(しまんとし)の大宮(おおみや)地区は、同市の中心街から約50kmにある山間地域です。同地区では、平成17(2005)年に地域で唯一日用品やガソリン等を販売していた農協の出張所が廃止されることとなりました。最寄りの給油所でさえ県境を越えて16kmも離れている状況であり、高齢化が進む同地区住民の生活を守るため、周辺地域の住民108人が株主となり、平成18(2006)年5月、「住民の会社」として株式会社大宮産業を設立し、出張所の建物及びガソリン等の購買事業を引き継ぎました。

同社では、地域住民の要望をできるだけ品揃えに反映するとともに、高齢者世帯への週2回の宅配サービスや感謝祭等のイベントの実施による地域のにぎわいづくり等、地域の実情に応じた経営を行っており、設立以降黒字経営を継続しています。また、地域で採れる減農薬栽培米を「大宮米」としてブランド化する取組を行っており、四万十市内の病院や近隣のデイサービス施設へ販売するほか、地区外への販路拡大にも力を入れています。

また、平成25(2013)年、高知県が推進する地域活動の拠点の一つとして、大宮集落活動センター「みやの里」を開設しました。

同センターでは、世帯主、高齢者、女性、若者等の意見を集約するとともに、農林部会や生活福祉部会等の6つの部会を設け、住民からの意見を基に活動を進め、特産品の開発、里山環境保全に取り組むほか、田植体験等の交流事業や、各地の大学の教員や学生による地域研究のための宿泊研修の受入れ等も行っています。

同社代表取締役の竹葉傳(たけば つたえ)さんは、今後も「いつまでも誰もが安心して暮らせる大宮」を目指し、地域一体となった取組を進めていきたいとしています。

竹葉傳さん
竹葉傳さん
店舗の様子(左:売店及び事務所、右:給油所)
店舗の様子(左:売店及び事務所、右:給油所)
 

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