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農林水産省

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(2)動植物防疫の取組


輸入時の動植物検疫は、家畜の伝染性疾病や植物の病害虫が我が国に侵入することを防ぎ、食料の安定供給や農畜産業の振興を図るために実施しています。また、外国に家畜の伝染性疾病や植物の病害虫を広げることのないよう、輸出先国が求める輸出検疫等を実施しています。

農林水産省の動物検疫所及び植物防疫所は、家畜の伝染性疾病や植物の病害虫の国内への侵入防止を図り、厚生労働省の検疫所は、食品としての安全性の確保を図っています。


(家畜伝染病への対応)

近年、近隣諸国で家畜伝染病である口蹄疫(*1)や鳥インフルエンザが発生しています。鳥インフルエンザについては、韓国、中国、台湾、東南アジア諸国等の国・地域で継続的に発生しており、輸入畜産物や野鳥等による、国内への侵入のリスクが高まっています(図1-4-7)。


*1 [用語の解説]を参照

図1-4-7 高病原性鳥インフルエンザ(H5N8亜型)の発生状況(平成26(2014)年以降)

このような中、家畜の伝染性疾病の国内における発生予防及びまん延防止のため、水際対策として空海港において、海外からの入国者に対する靴底消毒や検疫探知犬等を活用した携帯品検査を行うとともに、海外での農場への立入りの有無等に関する質問等を実施し、該当者に対しては、携帯品の消毒や衛生指導等を行っています。

平成26(2014)年4月、熊本県において、また、同年12月から平成27(2015)年1月にかけて、宮崎県、山口県、岡山県及び佐賀県において、家畜伝染病である高病原性鳥インフルエンザ(*2)が発生しました。

農林水産省は、発生県、関係府省庁等と連携し、飼養家きんの殺処分(5県8農場:約46万羽)及び焼埋却、制限区域の設定、発生農場周辺の消毒、主要道路での消毒ポイントの設置等の防疫措置を迅速に実施しました。また、農林水産省は、現地に疫学調査チームを派遣し、疫学調査を実施しました。

平成26(2014)年10月には、熊本県での発生に関して、「平成26年に発生した高病原性鳥インフルエンザに係る疫学調査報告書」が公表され、同報告書で家きんの健康観察及び早期通報、防疫対策等の再徹底等が提言されたことを受け、都道府県の家畜衛生の担当者等を招集し、開催した「平成26年度高病原性鳥インフルエンザ防疫対策強化推進会議」において、本病対策に係る防疫体制の強化等を確認しました。

また、平成25(2013)年10月、我が国では7年ぶりに発生が確認された豚流行性下痢(PED)は、平成26(2014)年8月末までに1道37県817農場において発生が確認(死亡頭数約41万頭(*3))されました。PEDは、豚といのししが感染する疾病であり、成豚では一過性の下痢を引き起こした後、回復しますが、生後間もない子豚が感染すると高い確率で死亡します。

このため、農林水産省では都道府県等と連携して、農場の出入口や畜産関連施設での消毒の実施等の飼養衛生管理を徹底するよう呼びかけるなど、PEDの発生の防止に取り組みました。このような中、平成26(2014)年10月、農林水産省は、本病の発生及び感染拡大を効果的に防止し、被害を最小化することを目的として、飼養衛生管理の徹底、子豚の損耗を減少させるワクチンの適切な使用等の防疫対策を具体的に示した「豚流行性下痢(PED)防疫マニュアル」を策定するとともに、発生原因の究明と再発防止を目的とした疫学調査に係る中間取りまとめを公表しました。


*2 [用語の解説]を参照
*3 平成26(2014)年8月末までに発生した農家での9月1日以降に死亡した頭数を含む。

(植物の病害虫への対応)

植物の病害虫においては、近年、輸入植物の種類、輸出国の増加や国際流通の迅速化等に伴い、国内に発生していない新たな病害虫が侵入するリスクが増大しています。

このような中、農林水産省は、植物の病害虫が海外から輸入される植物に付着して我が国に侵入することを防止するため、量や商用・個人用を問わず、貨物、携帯品、郵便物で輸入される植物について検査を実施するとともに、全国の主要な空海港等において、新たな病害虫の侵入を早期に発見できるよう誘引剤を入れた捕獲装置を設置する侵入警戒調査を行うなど、国内での病害虫のまん延を防止する国内検疫に取り組んでいます。

平成26(2014)年5月、愛媛県において国内で初めてのキウイフルーツかいよう病の新系統(Psa3系統)の発生が確認され、その後、8都県で発生が確認(平成27(2015)年3月末時点)されました。

キウイフルーツかいよう病は、細菌が枝や葉等に感染して発生するキウイフルーツの病気です。本病は、細菌が風雨や作業器具、接ぎ木等により伝染するとされ、葉の褐色斑点、新梢(しんしょう)の萎(しお)れ、枝幹部の細菌液の漏出等の被害を生じます(図1-4-8)。

このため、農林水産省では、平成26(2014)年7月、国及び都道府県が実施する当面の発生調査や防除措置等の基本的な内容を定めた通知を発出し、早期発見・早期防除を指導しています。

また、輸入された穂木(苗)・花粉に対する検疫を強化するなど、清浄な穂木(苗)・花粉の安定確保に取り組みました。


図1-4-8 キウイフルーツかいよう病の新系統(Psa3系統)の病徴

また、平成21(2009)年に我が国で初めて確認されたウメ輪紋ウイルスについては、「植物防疫法」に基づく緊急防除が実施されています。平成26(2014)年度に実施した発生状況調査の結果、東京都八王子市(はちおうじし)の一部地域で本ウイルスの根絶が確認される一方で、新たに愛知県犬山市(いぬやまし)等で感染植物が確認されました。

このため、平成26(2014)年12月に計4都府県14市町の防除区域が見直されるとともに、平成27(2015)年3月までとしていた防除期間が平成33(2021)年3月までに延長されました。本ウイルスの根絶のためには、感染植物を早期に発見し、本ウイルスを媒介するアブラムシの防除や感染植物の伐採を適切に行うことが重要なことから、引き続き、都道府県等と連携して、対策を進めていくこととしています。

なお、キウイフルーツかいよう病やウメ輪紋ウイルスについては、植物の病気であり、感染が確認された樹から収穫した果実を食べても人への影響はありません。


(植物の輸出入検疫の取組)

我が国へ農産物を輸入する場合は、海外からの病害虫の侵入を防止するため、輸入時に我が国が設定する輸入植物検疫を受ける必要があります。具体的には、海外から輸入される植物について、その種類、部位及び用途に応じて、輸入の禁止、輸出国の栽培地での検査、輸出国における輸出前の熱処理、遺伝子診断技術による検査、我が国での輸入検査等を実施しています。

我が国への病害虫の侵入を効果的・効率的に防止する上では、その病害虫のリスクに応じた適切な検疫措置を講じることが重要です。このため、科学的根拠に基づき検疫の候補とする病害虫を特定した後、検疫対象とすべきか否かを決定し、検疫が必要と判断された場合には、輸入の禁止、輸入農産物等の検査、検査結果に基づく消毒・廃棄等の措置、相手国内の栽培地での栽培地検査等のリスクに応じて適切な措置を選択して検疫を実施するとともに、その内容について随時見直しを行っています(図1-4-9)。


図1-4-9 輸入植物検疫措置について

一方、我が国から農産物を輸出する場合は、輸出先国が必要とする検疫措置を受ける必要があります。

輸出が円滑に行われるよう、長野県川上村(かわかみむら)における台湾向けレタスの産地での輸出検査、大阪市中央卸売市場における台湾向けうんしゅうみかんの輸出検査等、産地や卸売市場における輸出検査の実施により利便性の向上を図るとともに、輸出を目指す事業者等に対して諸外国の検疫条件に関する情報提供を行っています。また、検疫上の理由により輸出できない国や品目については、農林水産省が平成25(2013)年8月に策定した「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」に基づき、重点国や重点品目を中心に輸出解禁を要請し、戦略的に検疫協議を実施しています。このような中、平成26(2014)年11月、米国向けうんしゅうみかんの輸出検疫条件が緩和されるとともに、同年12月、豪州向けぶどうの輸出が解禁されました。



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