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農林水産省

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第7節 日本食・食文化の魅力発信と輸出の促進


少子高齢化等により国内の農林水産物・食品の市場が減少傾向にある一方、世界に目を向けると、人口の増加や各国の経済成長等に伴い、世界の食市場は拡大が見込まれています。我が国の農林水産物・食品の輸出を拡大していくためには、成長著しいアジア諸国のみならず、より購買力の高い人口を多く擁する欧米諸国への輸出促進が重要です。以下では、日本食・食文化の魅力を海外に発信する取組や、農林水産物・食品の輸出促進戦略の実行体制、輸出環境の整備について記述します。


(農林水産物・食品の輸出額の推移)

我が国の農林水産物・食品の輸出額は、平成23(2011)年3月の東日本大震災の影響等により減少傾向に転じましたが、平成25(2013)年においては増加に転じ、平成26(2014)年の輸出額は6,117億円となり、昭和30(1955)年に輸出額の統計を取り始めて以来の最高値になり、着実に増加しています(図1-7-1)。



平成26(2014)年の農林水産物・食品の輸出額を国・地域別にみると、中国ではホタテ貝やさけ・ます等の海産物の増加により22.4%、カナダでは植物性油脂やみかん等の増加により21.7%増加するなど、特に大きく輸出額が増加しています。また、米国(13.9%)やEU(17.1%)等、購買力の高い先進諸国でも大きく増加しています(表1-7-1)。

このほか、品目別に輸出額をみても、農産物ではりんご、牛肉、緑茶、清酒等、水産物ではホタテ貝、さけ・ます等、これまで輸出実績のある品目が、引き続き大きく増加しています。また、「和食」(*1)のユネスコ無形文化遺産登録も追い風として、加工食品では、みそやしょうゆ等の品目が大きく増加しています。


*1 [用語の解説]を参照


さらに、輸出額のみならず数量ベースで見ても着実な増加がみられることなどから、平成26(2014)年における輸出額の増加は、日本産食品への海外での需要が高まったことが、増加の大きな要因と考えられます。


(日本食・食文化の海外発信)

平成32(2020)年に開催が予定される「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会」や、平成25(2013)年の「和食」のユネスコ無形文化遺産登録等を受け、国内外における日本食への関心が高まる中、我が国の農林水産物・食品の輸出を拡大していくためには、日本食・食文化の魅力も併せて海外に発信していくことが重要です。

このような状況の中、内閣総理大臣、農林水産大臣等によるトップセールスや、在外公館を活用した日本産新米の海外への紹介、海外の料理学校での日本食調理講習、日本食普及の特別親善大使等を通じた各種メディアでの情報発信や海外の日本料理関係者等へ助言等、我が国の農林水産物・食品や日本食・食文化の魅力発信の取組が行われています。

日本食普及の特別親善大使と林農林水産大臣ら
日本食普及の特別親善大使と林農林水産大臣ら

また、平成27(2015)年5月から10月までの間、イタリアのミラノ市において開催される「2015年ミラノ国際博覧会」は、「地球に食料を、生命にエネルギーを」がテーマとなっています。148の国・地域や国際機関が同博覧会への参加を表明(*1)する中、我が国も、参加国中の最大規模の敷地面積で日本館を出展することとしており、「Harmonious Diversity -共存する多様性-」をテーマに、箸をモチーフにしたシンボルマークを掲げ、官民一体となって、日本館の建築や広報等に取り組んでいます(図1-7-2)。

日本館では、産地から食卓までの「食を巡る遙かなる旅」を演出する展示を通じ、「Harmonious Diversity」に込められたメッセージを来場者へ発信することとしています。また、展示の理解を共感、さらには感動に変えるため、日本最高峰の京風懐石料理をカウンターで提供する高級レストラン、和牛や米等の日本ならではの食材や技術を用い、バラエティ豊かな食事を提供するフードコートの2種類のレストランを展開することとしています。

EU諸国を始め、世界各国から入場者が集まる同博覧会において、我が国の農林水産物・食品の強みや日本食・食文化の魅力を発信し、日本のブランド価値を向上させることにより、我が国の農林水産物・食品の輸出促進や、日本企業の海外展開につながることが期待されます。


*1 平成27(2015)年3月現在

図1-7-2 2015年ミラノ国際博覧会における日本館の概要

コラム:2015年ミラノ国際博覧会で日本食・食文化の魅力を発信

ミラノ万博キックオフパーティー会場におけるすき焼きの調理実演
ミラノ万博キックオフパーティー
会場におけるすき焼きの調理実演

2015年ミラノ国際博覧会(以下「ミラノ万博」という)は、「食」をテーマとする初めての国際博覧会です。会場の日本館内に設置される本格的な日本食レストランやフードコートで日本食・食文化の紹介を行うほか、参加地方公共団体・団体が食に関する取組を紹介する場である「イベント広場」では、地域特産品や伝統的な食品の展示・試食提供、生け花、植木、盆栽の展示等が予定されており、開幕に向けた準備が進んでいます。

日本館においては日本産の食材を用いた料理の提供が期待されていますが、それらの中には、EUの現行規則に合致せず、日本からEU域内への輸出ができない食品があります。このため、農林水産省は、ミラノ万博向けの食品持込みについて特例措置をEU・イタリア政府に要請し、日本食の基本である「だし」を取るための「かつお節」や、牛肉、豚肉、家きん肉(鶏肉、鴨肉等)の加工品(加熱処理肉)等を持ち込むことが可能となりました。

ミラノ万博の開催2か月前となる平成27(2015)年3月には、万博開幕の機運を高めるため、駐日イタリア共和国大使館と共催で、イタリア農林政策大臣を始め、参加地方公共団体・団体、ミラノ万博サポーターの方々等を迎えてミラノ万博キックオフパーティーを実施しました。会場では実際にミラノ万博に参加するレストラン事業者による「すき焼き」を始めとした調理実演・試食提供等もあり、参加者から好評を得ました。

ミラノ万博は、日本の優れた農林水産業や食文化をアピールする絶好の機会であり、日本食・食文化の魅力が、欧州の人々を始めとする世界各国の多くの人々に伝わることが期待されます。

 

(輸出戦略の実行体制の強化)

平成32(2020)年に農林水産物・食品の輸出額を1兆円規模にするという目標の具体化に向け、農林水産省は、平成25(2013)年8月に「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」を策定・公表しました。さらに、平成26(2014)年6月、同戦略に基づく取組の検証や、オールジャパンでの実効性ある輸出拡大に向けた取組体制等について議論を行うため、「輸出戦略実行委員会(*1)」を設置しました(図1-7-3)。


図1-7-3 輸出戦略実行委員会概要

同実行委員会の下、牛肉部会等の7つの品目部会と、品目横断的な課題を議論する物流部会等の5つのテーマ別部会を設置しました。品目部会では、これまでの輸出拡大に向けた取組の検証や今後の対応方向の検討が行われ、平成27(2015)年1月、重点品目別の「輸出拡大方針」が作成・公表されました。また、オールジャパンで輸出に取り組む品目別輸出団体も、コメ・コメ加工品、牛肉、茶、林産物(木材)、花き、水産物で、順次設立されました。平成27(2015)年1月には、ドイツのベルリンにおいて、コメ・コメ加工品、牛肉、茶の品目別輸出団体が海外において合同で行う初めての輸出促進イベントが、これらの団体と独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)により開催され、各品目の特徴や魅力等の解説を行うセミナーやワークショップ、各品目の料理デモと試食・試飲等を行うレセプションを実施しました。今後さらに、国やJETROの支援を受けた各品目別団体を中心に、産地間連携の推進やジャパン・ブランドの確立等、アジアに加え欧米への輸出拡大を加速化するための取組を推進することとしています。


*1 農林水産団体、食品産業・流通関係団体、外食・観光関係団体、経済団体、47都道府県知事、地域ブロック輸出促進協議会、関係省庁が参加する「農林水産物等輸出促進全国協議会」の下に設置

(輸出環境の整備)

農林水産物・食品の輸出拡大に当たっては、HACCP(危害分析・重要管理点)(*1)等の工程管理システムの導入、動植物検疫上の措置、食品添加物等の使用に係る基準等について、輸出先国・地域の制度に適合させる必要があります。また、欧州を中心に流通・小売の大手企業の取引基準であるGLOBALG.A.P.(*2)の認証の取得を求められる場合もあります。

このような状況を踏まえ、国内販売とは異なる手続を要する農林水産物・食品の輸出に関する相談に対して迅速・的確に対応するため、平成26(2014)年10月に「農林水産省輸出相談窓口」を設置したほか、農林水産省と関係省庁との連携による品質管理体制の確立、円滑な動植物検疫の実施、戦略的な検疫協議等が進められています。特に牛肉については、平成26(2014)年以降、メキシコ、ニュージーランド、ベトナム、フィリピン、EU等への輸出が可能になっており、平成26(2014)年6月のEU向けの輸出開始時には、JETROを通じ、英国の在英国日本国大使公邸における官民一体となった和牛のプロモーションイベントや、フランスで開催された世界最大級の国際食品見本市「SIAL 2014」への出展が行われました。

また、更なる輸出環境の整備に向け、輸出戦略実行委員会の下、農林水産物・食品の輸出促進の阻害要因となっている課題を国別、品目別に洗い出すとともに、各課題の優先順位付けを行いました。その課題を輸出環境課題レポートにまとめ、逐次課題に取り組むとともに、検証及び課題の更新を行うこととしています。

このほか、輸出に取り組む食品事業者の競争力強化に向けて、国際的に通用する規格の策定に向けた取組や、グローバル・フードバリューチェーン戦略(*3)に基づいた、開発途上国等におけるコールドチェーン(*4)や流通販売網等の整備に向けた取組が進められています。


*1、2 [用語の解説]を参照
*4 [用語の解説]を参照

事例:輸出促進の取組

(1)食肉加工施設を整備し、世界各地へ牛肉を輸出

群馬県玉村町
EU輸出出発式の様子
EU輸出出発式の様子

群馬県玉村町(たまむらまち)の株式会社群馬県食肉卸売市場は、地域のブランド牛である上州牛を始めとした食肉を、欧米やアジア各国へ輸出しています。

同社は、平成2(1990)年に米国向け牛肉輸出施設としての認定取得以降、カナダ、香港等への輸出認定を着実に取得し、国産食肉の海外輸出を積極的に推進してきました。さらに、平成26(2014)年には、国内で初めてEU向けの牛肉輸出施設として認定を受け、同年6月より輸出を開始しました。

このような取組により、牛肉の販路が拡大するとともに、産地の知名度も向上し、生産者意欲の向上に貢献しています。平成26(2014)年の牛肉輸出量は63tに達しています。

今後とも、国産牛肉の食味や安全性を発信するとともに、欧米諸国向けの牛肉調理方法の開拓等を通じ、更なる輸出拡大に取り組んでいく考えです。

 

(2)海外で精米したての日本産米を提供

大阪府大阪市
業務用自動洗米炊飯器導入の様子
業務用自動洗米炊飯器導入の様子

大阪府大阪市(おおさかし)の株式会社クボタは、香港、シンガポール等において日本産米の輸入、精米、販売を行う現地法人を設立し、日本産米の海外販路の拡大や、輸出量増大に取り組んでいます。

同社は、現地では精米したての日本産米を入手することが困難なことや、ほとんどが外食産業事業者向けに販売されていることに着目し、平成23(2011)年10月に香港、平成25(2013)年12月にはシンガポールにおいて、日本産米を玄米で輸出するとともに現地精米して外食産業事業者等に販売する取組を開始しました。また、精米したての日本産米を販売すると同時に、業務用自動洗米炊飯器(炊飯ロボット)の販売等も行っているため、海外現地の日本食レストラン等において、日本国内のレストランと同等の方法で炊飯されたごはんの提供を可能としています。

今後も、米食文化があるアジアを中心に、輸出拡大に取り組む考えです。

 


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