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農林水産省

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(1)農業経営体の動向 ア 農業経営体の経営状況


(ア)販売農家

(農産物販売金額5千万円以上の販売農家が増加)

販売農家数は、平成27(2015)年において133万戸となり、10年前の196万戸から32%減少しました。一方、農産物販売金額規模別の販売農家数を見ると、北海道においては、平成17(2005)年から平成22(2010)年までの5年間と比較して、平成22(2010)年から平成27(2015)年の5年間で3,000万円以上から5億円未満の各階層の増加率が高まり、都府県においては、5,000万円以上の各階層が増加に転じています(図表 特2-1)。

平成27(2015)年の1経営体当たりの農業所得(*1)を主な営農類型別に見ると、10年前に比べて、いずれの営農類型でも増加しています(図表 特2-2)。

1 用語の解説2(3)を参照

図表 特2-1 農産物販売金額規模別の販売農家数と増減率

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図表 特2-2 個別経営における主な営農類型別の農業所得

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(農産物販売金額が大きい販売農家ほど出荷先は分散)

販売農家における農産物の出荷先のうち、最も売上げの高かった出荷先を見ると、委託販売が主体の農協へ出荷する販売農家の割合が高いものの、農産物販売金額が大きい販売農家ほど農協以外の出荷先へ分散する傾向にあり、農産物の販売ロットが大きくなることで食品製造業や外食産業との直接取引が進展しています(図表 特2-3)。

また、消費者に直接販売を行っている販売農家についてその方法を見ると、農産物販売金額が大きいほど、自営の農産物直売所やインターネットを利用する割合が高く、自ら値段がつけられる方法で販売が行われています(図表 特2-4)。

図表 特2-3 農産物販売金額規模別・農産物売上高1位の出荷先別の販売農家数割合(平成27(2015)年)

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図表 特2-4 「消費者に直接販売」の方法別の販売農家数割合(平成27(2015)年)

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(イ)法人経営体

(農産物販売金額全体に占める法人経営体の販売金額シェアはこの10年間で大きく増加)

平成27(2015)年における法人経営体数は10年前の2.2倍の1万8,857経営体となり、農産物販売金額規模別に見ても、全階層で増加しています(図表 特2-5)。

また、法人経営体数の増加等に伴い、平成27(2015)年における農産物販売金額全体に占める法人経営体の販売金額シェアは27%となり、10年前の15%から大きく増加し、農業生産における存在感が増しています(図表 特2-6)。

図表 特2-5 農産物販売金額規模別の法人経営体数

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図表 特2-6 農産物販売金額全体に占める法人経営体の販売金額シェア

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(露地・施設野菜を中心に異業種との資本提携が進展)

農業経営体のうち農業以外の業種から資本金等の提供を受けている農事組合法人(*1)と会社は、平成27(2015)年に1,592経営体となり、平成22(2010)年の1,164経営体に比べ増加しているものの、農事組合法人と会社全体(*2)に占める割合は、平成22(2010)年と同程度の7%となっています。

主な営農類型別に見ると、農業以外の業種から資本金等の提供を受けている農事組合法人と会社は、露地野菜や施設野菜を中心に耕種部門で増加しています(図表 特2-7)。特に、稲作と施設野菜では、建設業・運輸業からの資本金等の提供を受けているものが多くなっています。

1 用語の解説3(1)を参照

2 農事組合法人と会社を合わせた経営体数は、平成22(2010)年は1万7,033、平成27(2015)年は2万2,772

図表 特2-7

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(リース方式による企業等の参入が増加)

図表 特2-8 一般法人の参入数

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農林水産省では、平成21(2009)年の農地法の改正により、企業等の貸借での参入規制を緩和し、農業参入フェアの開催等により本制度の周知を図っています。この改正後、2,222法人がリース方式で参入し、1年当たりの法人参入数は、改正前の5倍のペースとなっています(図表 特2-8)。業務形態別にみると、農業・畜産業、食品関連産業、建設業の順に割合が高く、営農作物別に見ると、野菜の割合が42%と高くなっています(図表 特2-9)。

一方、農地を所有できる法人の要件については、他産業との連携により6次産業化(*1)等をより進めやすくするために、議決権要件と役員要件の見直しが行われました。平成28(2016)年4月に施行された改正後の農地法では、農業常時従事者、農地を提供した個人、地方公共団体、農業協同組合等の農業関係者の議決権について、総議決権の2分の1超であればよいとされました。役員要件については、役員又は農場長等の重要な使用人のうち、1人以上が農作業に従事すれば足りることとされました(図表 特2-10)。

1 用語の解説3(1)を参照

図表 特2-10 農地を所有できる法人の要件等の変更点

事例:厳しい胡蝶蘭生産の経営を立て直したホームセンター(北海道)

北海道赤平市
赤平オーキッドの胡蝶蘭

赤平オーキッドの胡蝶蘭

北海道赤平市(あかびらし)の赤平オーキッド株式会社では、胡蝶蘭(こちょうらん)とそのメリクロン苗(*1)、実生苗(みしょうなえ)(*2)の生産・販売等を行っています。

同市では、炭鉱閉山後の地域振興のため、平成6(1994)年に第三セクターの赤平花卉(かき)園芸振興公社を設立しました。生産した胡蝶蘭(こちょうらん)は卸売市場に出荷され、損失は同市が補填していました。同市が平成20(2008)年に健全化計画を策定したことを受け、公社の施設はホームセンター事業を行うDCMホーマック株式会社が引き継ぎ、同年に赤平オーキッド株式会社が設立されました。

施設では燃料代が収益を圧迫していましたが、地中熱ヒートポンプシステムを導入することで、二酸化炭素の削減や地域の自然へ配慮しつつ、コストの大幅削減を実現しました。販路拡大のために、卸売市場への出荷に加え、消費者への直接販売や、DCMホーマック株式会社が展開する275店のホームセンターでの販売等を開始しました。このような取組により経営も軌道に乗り、新たに家庭でも楽しめる小型の胡蝶蘭(こちょうらん)の生産・販売にも取り組み始めています。

1 茎頂培養した苗

2 種から育てた苗

また、平成28(2016)年9月に施行された改正後の国家戦略特別区域法においては、企業による農地取得について農地法の特例(法人農地取得事業)が実現し、同年11月には、耕作放棄地の増加や担い手不足の課題を抱える兵庫県養父市(やぶし)の企業3社が認定を受け、農地を取得・再生する事業を開始しました。この特例は、5年間の時限措置とした上で、企業が地方公共団体を通じて所有権を取得する場合に限定し、農地を適正に利用しない場合には、地方公共団体に所有権を移転することとしています。これにより、企業が長期的・安定的な農業経営を行うことが期待されています。

(農業経営の法人化に向けた支援)

「日本再興戦略」(平成25(2013)年6月閣議決定)は、平成35(2023)年までに法人経営体数を平成22(2010)年比約4倍の5万法人とする目標を掲げています。平成28(2016)年2月時点で2万800法人(*1)まで増加したものの、目標達成に向けては、施策の更なる推進により、法人経営体の増加ペースを加速する必要があります。

このため、農林水産省では、都道府県段階において外部の専門家が参加する法人化推進体制の整備や、税理士や中小企業診断士等の法人化・経営継承に関する専門家の派遣、相談窓口の設置等の支援を行っています。

また、平成28(2016)年12月、公益社団法人日本農業法人協会(以下「農業法人協会」という。)と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「農研機構」という。)は、生産現場と農業経営力の強化を連携・協力して推進することを目的とした協定を締結しました。この協定では、農業法人協会会員からの技術相談に対して農研機構がサポートし、また、農研機構の最新の研究成果を、農業法人協会を通じていち早く農業生産現場に導入することとしています。

1 農林水産省「農業構造動態調査」

事例:家族経営の法人化で社員の確保が容易に(群馬県)

群馬県利根郡昭和村
牛舎の様子

牛舎の様子

群馬県利根郡昭和村(とねぐんしょうわむら)の有限会社ロマンチックデーリィファームは、牛乳の生産を行っています。同社社長の須藤泰人(すとうやすと)さんは、当初、家族経営で酪農を営んでいましたが、雇用を増やし休暇を取得できるようにするため、平成11(1999)年3月に法人化を図りました。

現在では、正社員20人、パート6人を雇用するほか、外国人研修生6人を受け入れています。須藤社長は「有限会社になったことで信用力が向上し、社員を集めやすくなった上、融資も受けやすくなった。」と法人化の効果を振り返っています。また、設備投資等を積極的に行うことで、直近10年間における売上高は3倍以上に伸びており、このことについて須藤社長は「ここまで成長できたのは、常に挑戦してきたから。そのために法人化は欠かせなかった。」と考えています。

(集落営農数は横ばいで推移しているが法人化は進展)

集落営農(*1)は、集落等を単位とする一定の取決めの下、農作業の共同化や機械の共同利用を行うことにより、経営の効率化を図る組織です。

集落営農は、主に担い手が不足する地域における農業経営の受皿となっており、集落内外の農作業受託を担って規模拡大を図る組織や、野菜等の高収益作物との複合経営に取り組む組織など、多様な取組が行われています。

また、新設される集落営農がある一方で解散することもありますが、法人化した集落営農には解散しにくい傾向があることから、組織の継続性を高めるためには集落営農を法人化することが重要となっています。

平成29(2017)年の集落営農数は1万5,136となり、近年横ばいで推移しているものの、法人組織の集落営農数は着実に増加し、その割合は31%となっています(図表 特2-11)。

1 用語の解説3(1)を参照

図表 特2-11 集落営農数と法人の割合

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事例:デザイン会社の経営者が大規模集落営農法人の代表取締役に(福井県)

福井県小浜市宮川地区
ひまわり畑

ひまわり畑

福井県小浜市宮川(おばましみやがわ)地区では、4つの集落営農組織を1つの法人に統合する検討が行われ、平成27(2015)年7月に、地元でデザイン会社を営む前野恭慶(まえのやすのり)さんを代表取締役に迎え、株式会社若狭(わかさ)の恵が設立されました。

同社では、従業員5人とパート社員数人が中心となって農作業に従事し、農地中間管理機構を通じて集積された約150haの水田のうち、90haに主食用米、60haに飼料用米、大麦、ひまわり等を作付けしています。水稲については、4割の面積で直播(ちょくはん)栽培(*1)を行い、コスト削減に取り組むとともに、特別栽培米や、ひまわりをすき込んだ後に栽培する「ひまわり米」など、こだわりの米生産を行っています。

デザイン会社を営む前野代表取締役の技能や経験は、経営面にいかされ同社のパンフレットやSNS(*2)等の広告宣伝、地方銀行をメインバンクにすることによる信用力の向上等につながっています。

今後は、トマト栽培を導入し、販売額の増加を目指したいとしています。

1 用語の解説3(1)を参照

2 Social Networking Serviceの略。登録された利用者同士が交流できるウェブサイトのサービス

(ウ)農業生産関連事業への取組

(農業生産関連事業の売上金額1千万円以上の販売農家の売上金額シェアは66%)

農業生産関連事業(*1)を行った農業経営体数は、平成27(2015)年において3万6,748経営体となり、農業経営体数全体に占める割合は3%となりました(*2)。

農業生産関連事業の売上金額規模別に見ると、売上金額1,000万円以上の販売農家は、農家数シェアでは6%とわずかですが、売上金額シェアでは66%と過半を占めており、売上金額の高い販売農家の存在が大きくなっています。法人経営体では、売上金額1,000万円以上の経営体数シェアの36%に対し、売上金額シェアが97%と大半を占めており、少数の売上金額の高い経営体が農業生産関連事業を担っている構造となっています(図表 特2-12)。

1 農産物の加工、観光農園、農家民宿等の農業生産に関連した事業(消費者への直接販売は含まない。)

2 農林水産省「2015年農林業センサス」

また、農業生産関連事業の事業別に見ると、販売農家では農産物の加工に取り組むものが最も多く(*3)、そのうち農産物の加工が農業生産関連事業の大半(農業生産関連事業の売上金額の8割以上)を占める販売農家について、事業全体の売上規模を見ると、法人化している販売農家では、売上金額1,000万円以上の割合が26%であるが、法人化していない販売農家では売上金額100万円未満が63%を占めています(図表 特2-13)。

一方、法人経営体について農業生産関連事業の事業別に見ると、農家レストランや観光農園が農業生産関連事業の大半(農業生産関連事業の売上金額の8割以上)を占める法人経営体は、他の農業生産関連事業を大半とする法人経営体に比べて、事業全体の売上金額が1,000万円以上の割合が高くなっています(図表 特2-14)。

3 農林水産省「2015年農林業センサス」。農業生産関連事業を行う販売農家の68%が「農産物の加工」に取り組んでいる。

図表 特2-13 「農産物の加工」における販売農家の法人化の有無別・売上規模別割合(平成27(2015)年)

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図表 特2-14 農業生産関連事業内容・売上規模別の法人経営体数割合(平成27(2015)年)

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(売上金額の拡大に向けた、地域ぐるみの取組の実施と6次産業化事業体の設立)

農業生産関連事業の売上金額を拡大するためには、天候の影響等による農産物の収穫量や品質の低下を防ぐとともに、人材の確保と技能向上を図ることが重要です。このため、市町村の6次産業化戦略に沿った地域ぐるみの取組を広げることにより、農業生産関連事業の実施体制の強化を推進しています。

また、農業生産関連事業の本格化を図るためには、経営上のパートナーである食品産業事業者が有する加工や販売等のノウハウを活用することが重要です。このため、農業者が行う農業関連事業部分を経営から分離し、農林漁業成長産業化ファンドの出資・融資を受け、パートナー事業者とともに6次産業化事業体を設立することにより、事業を本格展開する取組が行われています。



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