このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

(2)農地の動向 イ 担い手に対する利用集積


(農地中間管理機構の整備等により、担い手に対する農地集積率は増加)

「日本再興戦略」(平成25(2013)年6月閣議決定)は、平成35(2023)年までに担い手に全農地面積の8割を集積するという目標を掲げています。担い手に対する農地の利用集積率は、平成13(2001)年の27.8%(134万ha)から平成23(2011)年の48.1%(221万ha)に上昇した後、停滞していました。機構の整備や人・農地プランの作成等により、平成26(2014)年には再び上昇が始まり、平成28(2016)年には52.3%(235万ha)まで増加し、農地の利用集積は着実に進展しています(図表 特2-23)。

図表 特2-23 担い手に対する農地の利用集積率

データ(エクセル:93KB / CSV:2KB

(都府県での10ha以上の農業経営体の面積シェアは、10年間で11%から27%に増加)

担い手への農地集積は、北海道、都府県ともに進展しています。平成27(2015)年において、北海道の農業経営体数3万9,620のうち、経営耕地面積10ha以上の経営体数は2万5,285となり、農業経営体数全体に占める割合は64%と、10年前の54%から10ポイント上昇しています(図表 特2-24)。また、北海道の経営耕地面積全体に占める10ha以上の農業経営体の面積シェアは95%となっています。

都府県では、農業経営体数132万1,557のうち、経営耕地面積1ha未満の小規模な経営体数が72万2,464となり、10年前の112万4,903から減少したもののいまだ過半を占めています。一方で、経営耕地面積10ha以上の農業経営体数は2万7,499、農業経営体数全体に占める割合は2.1%となり、10年前の1万4,273、0.7%から上昇しています。また、都府県の経営耕地面積全体に占める10ha以上の農業経営体の面積シェアは27%となり、10年前の11%から16ポイント上昇していますが、農業の競争力強化に向け、引き続き、担い手への農地集積を進めていく必要があります。

(法人経営体の面積シェアは、10年間で2.5%から7.2%に増加)

平成27(2015)年の法人経営体数は1万8,857となり、農地面積全体に占める法人経営体の面積シェアは、10年前の2.5%から7.2%に上昇し、農地利用における存在感が増大しています(図表 特2-25)。

図表 特2-25 農地面積に占める法人経営体の面積シェア

データ(エクセル:94KB / CSV:2KB

(農地中間管理機構の実績は3倍に増加)

農業の成長産業化に向けては、農地利用の担い手への集積・集約化(*1)が重要であり、「日本再興戦略」(平成25(2013)年6月閣議決定)において、平成35(2023)年度までに担い手が利用する農地面積の割合を現状の5割から8割に引き上げる目標が設定され、これを推進するため、平成26(2014)年に各都道府県に農地集積の中間的受皿として機構が整備されました。

機構の取組2年目となる平成27(2015)年度の実績(フロー)は、借入面積が7万6千ha、転貸面積が7万7千haとなり、初年度の平成26(2014)年度の3倍程度に拡大しています(図表 特2-26)。

1 用語の解説3(1)を参照

図表 特2-26 農地中間管理機構の実績

データ(エクセル:90KB / CSV:1KB

農地利用集積目標の実現に向けて、農林水産省は都道府県ごとに年間集積目標面積を設定しており、これに対する機構の寄与度を見ると、全国が18%となる中、福井県が60%、石川県が55%、秋田県が44%などと高くなっています(図表 特2-27)。

地域内で分散している農地を整理し、担い手に対し集積・集約化を進めていくためには、機構を活用し、地域の農地利用を最適な状態にしていくことが重要です。

図表 特2-27 年間集積目標面積に対する農地中間管理機構の寄与度が高い都道府県(平成27(2015)年度)

データ(エクセル:92KB / CSV:2KB

事例:農地中間管理事業で農業法人を誘致(石川県)

石川県

石川県は、平成26(2014)年度に、農業法人の誘致から農地の条件整備・確保、営農指導までを支援する「農業参入総合支援プロジェクト」により、能登半島の鳳珠郡能登町立壁(ほうすぐんのとちょうたてかべ)・四方山(よもやま)地区に、野菜生産ほ場とカット野菜工場を全国的に展開する有限会社ワールドファームを誘致しました。

誘致に際しては、機構が石川県と能登町(のとちょう)と連携して同地区の農業者に働きかけを行い、農地12haを確保しました。この結果、同地区の担い手に対する農地の集積面積は0haから12haに、農地利用集積率は0%から42%に増加しました。今後も、機構は、町と連携して農地の出し手の意向を把握しつつ、荒廃農地の再生も図りながら、担い手に対する農地の集積を進めていくこととしています。

(農地の集積・集約化につながる「全国農地ナビ」の稼働)

平成27(2015)年4月に、農業委員会が整備している農地基本台帳に基づく農地情報を電子化・地図化し、全国農業委員会ネットワーク機構が一括して公開する農地情報公開システム(以下「全国農地ナビ」という。)が稼働しました。全国農地ナビにより、インターネットを利用して経営規模の拡大や新規参入を希望する者が全国から条件の合う農地を探したり、機構や市町村・農業委員会が農地情報を発信したりできるようになりました。

平成28(2016)年4月には、検索速度の向上等のバージョンアップを行いました。現在、毎月約10万件のアクセス者と約400万件の閲覧があり、担い手への農地集積・集約化に向けた地域における話合いや農業参入に関心のある個人又は法人による全国の農地情報の取得等に活用されています。

全国農地ナビの活用により、農地の出し手と受け手のマッチングを進め、担い手に対する農地集積のペースを加速化していくことが重要です。

(農地中間管理機構へ貸し付けるインセンティブを高める税制措置の創設)

機構を通じた担い手への農地の集積・集約化(*1)を進めるためには、出し手である農地所有者に対して農地を貸し付けるインセンティブを強化することが重要です。このため、所有する大部分の農地を、平成28(2016)年度以降新たに機構に10年以上の期間で貸し付けたときに、貸付期間に応じ、一定期間、当該農地の固定資産税が2分の1に軽減される措置が創設されました。

また、農地が耕作も貸付けも行われずに遊休農地となると、雑草の繁茂や病害虫の発生など周辺の農地に悪影響を及ぼすこととなります。このため、農地法に基づき、農業委員会による機構の農地中間管理権の取得に関する協議の勧告を受けた遊休農地について、平成29(2017)年度に納付する固定資産税から、税額が通常の約1.8倍に課税強化される措置が創設されました。

これらの税制措置の農地の出し手への周知を図り、地域の農地利用に関する継続的な話合いを行い、機構への農地の貸付けを促すことにより、遊休農地の発生防止・解消を図っていくことが重要です。

1 用語の解説3(1)を参照

(農地の集積・集約化を阻害する相続未登記のおそれのある農地は約2割)

土地の登記事項証明書(抜粋イメージ)

近年、農地所有者の死亡後に、相続人が所有権移転登記を行わない農地が増えています。このような相続未登記農地の存在は、機構による担い手への農地の集積・集約化を進める上で阻害要因となっているという指摘があります。

農地の貸借を行う際には所有者の同意が必要です。その際、当該農地が相続登記されていないことにより権利関係が不明確となっている場合には、機構は住民基本台帳や、集落の関係者への聞き取り等により所有者を探索しなければなりません。特に、長期間、相続未登記の状態が続いた農地では、所有者が孫、ひ孫、玄孫(やしゃご)の代にまで及び、その居住地を調査することさえ困難となることから、実態上、機構が農地を借り受けできない場合が多くなります。

このような中、これまで農林水産省では、農地の貸借について、共有権者の過半の同意があれば利用権を設定でき、遊休農地について過半の持分を有する者を確知できない場合でも、公示等の手続を通じ利用権を設定することを可能にするなどの対策をとってきました。

相続未登記農地等の状況を把握するため、農林水産省が平成28(2016)年8月に農業委員会を通じて実施した実態調査では、

(1) 登記名義人が死亡していることが確認された農地の面積は約47万7千ha

(2) 登記名義人が市町村外に転出し、既に死亡している可能性があるなど、相続未登記のおそれのある農地の面積は約45万8千ha

存在することが確認されました。これらを合計すると、全農地面積の約2割に及びます。

今回の調査結果を踏まえ、法務省や国土交通省等の関係省庁と連携し、相続登記の促進など、必要な対策を実施していきます。

事例:GPS付きタブレットで遊休農地情報を把握(沖縄県)

沖縄県南城市
遊休農地の把握に利用しているタブレット

遊休農地の把握に利用しているタブレット

沖縄県南城市(なんじょうし)は、農家戸数1,430戸、農地面積1,360haを有し、さやいんげん、オクラなどの野菜やさとうきび等を栽培しています。一方、高齢化や後継者不足によって、平成27(2015)年度末で114haの遊休農地が発生しています。

南城市(なんじょうし)農業委員会では、平成28(2016)年度から5年間で30haの遊休農地の解消に向けて取り組んでおり、管内の全ての農地を農業委員と事務局職員で定期的に巡回し、GPS付きタブレットにどのような作物を作付けしているか、どこが遊休農地になっているかを入力しています。タブレットの利用により、遊休農地の発生が多い山間部での地番確認が容易となり、遊休農地の把握に役立っています。このような取組により、平成27(2015)年度では8ha、平成28(2016)年度では10haの遊休農地の解消を実現しました。

今後は、機構を利用して農地の集積・集約化を図り、地域の担い手の育成を図りたいとしています。

(人・農地プランは、進捗率9割超)

図表 特2-28 人・農地プランの作成数

データ(エクセル:91KB / CSV:1KB

全国的に担い手の減少が進み、荒廃農地が発生する中で、地域の人と農地の問題を一体的に解決していくために、集落や地域における徹底的かつ継続的な話合いを通じて、地域農業を担う経営体や地域の在り方等を示した人・農地プランの作成を進めています。

人・農地プランの作成済み市町村数は、平成28(2016)年3月末時点で1,565市町村、作成済み地域数は1万3,845地域となり、それぞれの進捗率は9割を超えています(図表 特2-28)。また、農業振興地域が設定されている市町村の97%でプランの策定が行われています。

人・農地プランにおいて機構の活用方針を明らかにしている地域の割合は、平成28(2016)年3月末時点で74%となっており、前年の56%から18ポイント増加しています。

高齢化等により耕作できなくなる農地は随時発生する可能性があり、このような農地を担い手に確実に集積・集約化していくためには、地域の農地利用に関する継続的な話合いを通じて地域の農業者の意向を常時把握し、人・農地プランの定期的な見直しにつなげていくことが重要です。



ご意見・ご感想について

農林水産省では、皆さまにとってより一層わかりやすい白書の作成を目指しています。

白書をお読みいただいた皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。

送信フォームはこちら

お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室

代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883
FAX番号:03-6744-1526