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農林水産省

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(10)畜産物 イ 肉用牛・酪農の生産基盤の強化策等


(着実に増加する畜産クラスターの中心的経営体)

畜産・酪農の生産基盤の強化を図るため、畜産農家だけでなく、コントラクター(*1)等の支援組織、流通・加工業者、市町村、農業協同組合(以下「農協」という。)等の地域の関係者が連携・協力して、地域全体で畜産の収益性を向上させる畜産クラスター(*2)の取組を推進しています。

平成26(2014)年より開始された畜産クラスターの取組は、酪農、繁殖経営を中心に拡大し、平成28(2016)年には、全国で731の畜産クラスター協議会が設立されており、平成27(2015)年に比べ協議会の設立数は1.3倍、参加する中心的経営体(*3)数は1.6倍と取組の重要性が浸透しています(図表2-3-23、図表2-3-24 )。

畜産クラスターの取組の推進を通じ、地域の関係者の連携、それに対する国の支援を進めることにより、飼養頭数の拡大等の生産基盤の強化や飼料費低減等による体質強化を図っていくことが重要です。

*1 飼料作物の収穫作業等の農作業を請け負う組織

*2 畜産農家と地域の畜産関係者(コントラクター等の支援組織、流通加工業者、農業団体、行政等)が、ぶどうの房(クラスター)のように一体的に結集することで、地域全体で畜産の収益向上を図る取組

*3 地域の畜産の収益性向上を目指す畜産クラスター計画の実現のために、自らの経営の収益強化に取り組む経営体や収益性の高い経営の実現のため、率先して計画に定められた取組を実践する経営体等(「畜産農家」、「受託組織」、「新規就農者」)として、畜産クラスター計画に位置づけられている者

事例:畜産クラスターの形成を通じた分業体制の構築(北海道)

北海道河東郡上士幌町
TMRセンターのバンカーサイロ

TMRセンターのバンカーサイロ

北海道河東郡上士幌町(かとうぐんかみしほろちょう)では、乳用牛の飼養戸数の減少に伴い、1戸当たりの飼養頭数が増加しており、農業者の過重な労働負担が課題となっていました。このため、平成27(2015)年1月に同町や農協を中心に地域の関係者が連携して畜産クラスターの形成(上士幌町(かみしほろちょう)資源利活用推進協議会の設立)とともに、酪農経営を営む農業者の飼料生産や乳用子牛の哺育・育成の作業を外部化し、分業体制を構築することで、生産基盤の強化を図ることとしました。

飼料生産については、平成28(2016)年度に、畜産クラスター事業を活用して、農協が運営するTMRセンターのバンカーサイロを増設し、良質な自給飼料の供給能力を高めることで、農業者の飼料生産労働の負担軽減を図りました。

また、乳用子牛の哺育・育成については、作業外部化の需要が高まっていることから、今後、公共牧場等における預託受入れ頭数の拡大や預託開始月齢の引下げなどにより、農業者が搾乳牛を増頭し、搾乳作業に特化できる環境の整備を図ることとしています。

これら分業体制の構築により、平成30(2018)年度までに同町における生乳生産量を事業実施前に比べ約20%増加させるという目標の達成を目指しています。

(配合飼料価格安定制度の安定的な運営と自給飼料の増産)

畜産農家の収益性を向上させるためには、経営コストの4割から7割を占める飼料費の低減が必要不可欠です。家畜の飼料は、大きく分けて牛等の草食家畜に給与される粗飼料(*1)と、牛のほか、豚や鶏に利用される濃厚飼料(*2)があります(図表2-3-25)。平成27(2015)年度の粗飼料の自給率は79%、濃厚飼料では14%となっています。濃厚飼料はとうもろこし等の穀物が主な原料で、そのほとんどを海外からの輸入に依存しており、価格は穀物相場や海上運賃、為替等の影響を大きく受けます。

濃厚飼料の価格が上昇した際の畜産経営への影響を緩和するため、配合飼料価格安定制度があります。平成28(2016)年は濃厚飼料価格の上昇に対応する異常補填の発動がありませんでしたが、補填財源の確保等により、引き続き、制度の安定的な運営に努める必要があります。

また、輸入飼料に過度に依存しない畜産経営の確立を図るためには、国産飼料の生産・利用が重要であり、土地条件の制約等から自給飼料生産が困難な地域に対する国産飼料の広域流通体制の構築、飼料生産基盤である公共牧場の活用拡大と機能強化、中山間地域の耕作放棄地等を活用した肉用牛の周年親子放牧や乳用牛の集約放牧等の日本型放牧を推進しています。

*1 乾草やサイレージ(飼料作物を乳酸発酵させ、保存性・し好性を高めた飼料)、稲等

*2 とうもろこしを中心とする穀類、ぬか類、かす類等

(地域内分業体制の構築等により、牛肉、牛乳・乳製品の安定供給を確保)

牛肉の安定供給の確保に向けては、繁殖雌牛の増頭や肉用牛経営における生産性向上を図ることが重要です。このため、畜産クラスターの構築等を通じたキャトルステーション(*1)の活用等による地域内分業体制の構築、乳用雌牛や肥育前の交雑種雌牛への和牛受精卵移植技術の活用、ICT(*2)や哺乳ロボットの活用、繁殖と肥育の一貫経営への移行等を推進しています。

牛乳・乳製品の安定供給の確保に向けては、乳用後継牛の確保や酪農経営における生産性向上を図ることが重要です。このため、畜産クラスターの構築等を通じた性判別精液を活用する技術の導入(*3)等による乳用後継牛の計画的な確保・育成、コントラクターの活用等による地域内分業体制の構築、搾乳ロボットの導入、ミルキングパーラー(*4)の整備、複数の酪農経営による協業化法人の設立等を推進しています。

さらに、酪農については、「「日本再興戦略」改訂2014」(平成26(2014)年6月閣議決定)において、平成32(2020)年までに酪農家による6次産業化の取組を500件とする目標を掲げる中で、平成28(2016)年4月末時点の取組件数は303件となっています。このため、農林水産省では、酪農家が指定生乳生産者団体(以下「指定団体」という。)に委託販売をしつつ、特色ある生乳(*5)の一部を乳業者に直接販売するといった生乳取引制度の周知等を推進するとともに、牛乳・乳製品の生産・流通等の改革を通じて、多様な消費者ニーズに対応し、6次産業化に取り組む酪農家を支援することとしています。

*1 子牛育成受託施設

*2 用語の解説3(2)を参照

*3 受胎率の向上が期待できる、性判別された新型凍結精液を活用し、乳用後継牛を生産する取組

*4 搾乳施設。ロータリーパーラー方式、パラレルパーラー方式、ヘリンボーンパーラー方式等がある。

*5 特色ある生乳とは、ジャージー種から搾乳された生乳、有機栽培された飼料を給与した牛から搾乳された生乳、特定の産地で生産された生乳など、他の生乳と差別化が図られ、同じ用途の他の生乳と比べて高い価格で販売可能な生乳



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