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農林水産省

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第6節 食品産業の動向


食品産業は、農林水産業と消費者の間に位置し、品質と安全性を保ちつつ食品を安定的に供給するとともに、消費者ニーズを生産者に伝達する役割を担っています。以下では、食品産業の役割と動向、卸売市場制度の見直し、食品ロスの削減等について記述します。

(農林水産物10.5兆円に食品産業のサービスが付加され、最終消費額は76.3兆円に)

平成23(2011)年の我が国の農林水産物・食品の流通・加工は、国内で生産された9兆2千億円に輸入品を加えた10兆5千億円の食用農林水産物に、流通・加工の各段階で加工経費、商業マージン、運賃、調理サービス代等が付加され、最終的に76兆3千億円となって消費される構造にあります(図表1-6-1)。昭和55(1980)年から平成23(2011)年にかけて、国内最終消費に占める生鮮品等の割合は28.4%から16.3%へ低下し、外食や加工品の割合は上昇しています。また、卸売市場の取扱金額は、直売所やインターネット販売等の様々なチャネルによる卸売市場外流通の増加により、9兆2千億円から6兆7千億円へ減少しています。

図表1-6-1 農林水産物・食品の流通・加工の流れの比較

(国産食用農林水産物の重要な仕向先である食品製造業と外食産業)

食品産業は国内農林水産業と深く結び付いており、国産食用農林水産物の用途別仕向割合を見ると、金額ベースで食品製造業仕向が59.4%、外食産業仕向が9.2%となっています(図表1-6-2)。一方、食品製造業における加工原材料調達割合を見ると、金額ベースで国産食用農林水産物が69.5%となっています。

図表1-6-2 国産食用農林水産物の用途別仕向割合、食品製造業の加工原材料調達割合(平成23(2011)年)

大部分が中小零細企業である食品製造業は、国産食用農林水産物の重要な仕向先であることに加え、雇用の場の提供という役割を有しており、地方創生と地域経済の活性化において欠かせない存在となっています。しかしながら、食品製造業の従業者1人当たりの付加価値額を見ると、製造業全体の1,332万円の66%に相当する882万円と低位にとどまっています(*1)。食品製造業が引き続きその役割を果たし持続的に発展していくためには、消費者ニーズを的確に捉えた付加価値の向上やIoT(*2)・ロボット技術の導入等による労働生産性の向上が重要となっています。

*1 総務省・経済産業省「平成28(2016)年経済センサス-活動調査」の従業者4人以上の事業所における平成27(2015)年の付加価値額を平成28(2016)年6月1日時点の従業者数で除して算出(個人経営事業所を除く。)

*2 用語の解説3(2)を参照

コラム:「明治150年」関連施策テーマ 明治期のグルタミン酸ナトリウムに始まる「うま味」成分の発見

池田菊苗教授

池田菊苗教授
(60歳、大正12(1923)年撮影)

資料:東京大学理学系研究科

甘味、酸味、塩味、苦味に続く第5の味「うま味」は、明治期の東京帝国大学池田菊苗(いけだきくなえ)教授による昆布のうま味成分の発見に始まります。明治32(1899)年に留学先のドイツで最先端の化学を学んだ池田教授は、うま味のある廉価な調味料で国民の栄養状態を改善したいとして研究を開始し、昆布中のグルタミン酸ナトリウムに強いうま味があることを突きとめ、明治41(1908)年に製造に関する特許出願を行いました。

その後、大正2(1913)年には池田教授の弟子の小玉新太郎(こだましんたろう)博士によりかつお節のうま味成分がイノシン酸であること、昭和35(1960)年には民間企業の研究者国中明(くになかあきら)さんらにより干し椎茸(しいたけ)のうま味がグアニル酸に起因することが明らかにされました。

これらうま味成分は、料理で手軽にうま味を引き出せる調味料として商品化され、今日、家庭用、業務用を問わず広く利用されており、調理時間を短くしたいとする食の簡便化に応える調味料の一つとなっています。また、うま味成分を利用した調味料商品は、世界の国・地域にも広がっています。

(食品産業の事業再編等を支援する法律が施行、国内外では業界再編の動きが進行)

食料の国内需要が縮小に向かう中、食品産業の持続的発展に向けては、合併や買収等の事業再編により、経営基盤の強化や事業領域の拡大等を図ることが重要となっています。

平成29(2017)年8月に施行された農業競争力強化支援法では、農産物流通・加工に関する事業再編の取組を推進しており、事業再編計画の認定を受けることで、株式会社日本政策金融公庫による低利融資等や税制上の支援措置を活用できるようになりました。平成29(2017)年度には、食品小売業者による子会社の吸収合併、食品製造業者による同業他社の一部門の子会社化、米穀卸売業者による製造工場の設備廃棄、食品卸売業者による同業他社の子会社化・吸収合併の合計4件の事業再編計画が同法の認定を受けました。

また、近年、大豆加工品製造事業者による同業者からの事業の譲受けの動き、米の卸売業者による野菜や水産物の卸売業者の買収等の動きが国内で見られるほか、調味料製造事業者による米国の医療食品会社の買収等、成長する食料の世界需要を取り込むためのグローバルな業界再編も進んでいます(図表1-6-3)。

図表1-6-3 我が国の食品企業によるM&A事例(平成29(2017)年度)

(コンビニエンスストアは、調理パン等の販売好調により食料品販売額は堅調に推移)

食品小売業の平成29(2017)年における食料品販売額は前年に比べ1,470億円(0.3%)増加の44兆5千億円となりました(図表1-6-4)。

販売額が伸びているコンビニエンスストアでは、ファストフード、調理パン、冷凍食品等の販売が好調となっています。また、食料品販売額を1店舗当たりで見ると、店舗数を増やすことによって販売額を伸ばす傾向が続いています(図表1-6-5)。

図表1-6-5 コンビニエンスストアにおける1店舗当たり食料品販売額

データ(エクセル:90KB / CSV:2KB

図表1-6-6 物販系分野の消費者向け電子商取引の市場規模(平成28(2016)年度)

また、物販系分野の消費者向け電子商取引の市場規模は、平成28(2016)年度で8兆円となっており、このうち食品等は2割に相当する1兆5千億円となっています(図表1-6-6)。食品等は、全取引額に占める電子商取引の割合が他の分類に比べて小さいものの、高齢化の進行や共働き世帯の増加等で宅配ニーズが高まり、また、食品宅配事業へ参入する事業者も見られ、消費者向け電子商取引は引き続き堅調に推移すると見込まれます。

(外食・中食の市場規模は、近年、増加傾向で推移)

外食産業の市場規模は、訪日外国人旅行者の増加や1人当たり外食支出額の上昇等により平成24(2012)年からは増加傾向で推移しており、平成28(2016)年は前年に比べ163億円(0.1%)増加の25兆4千億円となりました(図表1-6-7)。また、持ち帰り弁当店や総菜店等の中食産業の市場規模は、高齢化の進行や共働き世帯の増加等による需要の高まりから増加傾向で推移しており、平成28(2016)年は前年に比べ4千億円(6.0%)増加の7兆円となりました(*1)。

外食・中食業者向けモニター調査(*2)における国産原材料の使用割合(重量ベース)別の事業者割合を見ると、外食、総菜ともに8割以上の階層が最も高く、それぞれ46%、40%となっています(図表1-6-8)。国産原材料の使用を増やしたいと回答した事業者は、外食40%、総菜33%となっており、国産原材料を使用する際の課題としては、外食、総菜ともに、「価格が高い」が最も高く、次いで外食は「生産者、産地、供給元との信頼関係の構築」、総菜は「必要な量を確保できない」、「必要な時期に確保できない」が上位となっています。

外食産業や中食産業において国産原材料の使用割合を増やしていくためには、米や野菜等の産地と実需者との契約取引により、農産物の出荷量や出荷時期等の問題を解決していくことが重要です。

図表1-6-8 国産原材料の使用割合別の事業者割合

*1 一般社団法人日本フードサービス協会調べの料理品小売業(弁当給食を除く。)の数値

*2 農林水産省「食料・農業及び水産業に関する意識・意向調査」(平成30(2018)年3月公表。全国の農林水産情報交流モニターのうち、食品製造、食品卸売、食品小売、外食産業の経営に携わっている流通加工業者モニター705人を対象に行ったアンケート調査(回収率65.0%))

(卸売市場を含めた食品流通の合理化等を促進する法案を国会に提出)

卸売市場は、全国各地から多種大量の生鮮食料品等を「集荷」し、実需者のニーズに合わせて必要な品目を必要な分量だけ「分荷」する役割、小売店等の実需者から販売代金を回収し、早期かつ確実に生産者に「決済」する役割、産地と消費地との間で需給を反映した「価格形成」を行う役割等を通じ、生鮮食料品等の安定供給に向けて、調整機能を果たしています。

他方、食品流通においては、加工食品や外食での生鮮食料品需要の増加、産直取引等流通チャネルの多様化といった変化が見られ、卸売市場では、これらの変化に対応するため市場関係者が子会社を通じて規制のない市場外取引を行うなど制度と乖離(かいり)した動きが見られるようになっています。

このような状況を踏まえ、卸売市場を含めた食品流通の合理化と生鮮食料品等の公正な取引環境の確保を促進し、生産者・消費者双方のメリット向上につながる食品流通構造を実現するため、「卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案」を国会に提出しました。

(流通チャネルが多様化する中、マッチングを支援する仕組みを構築)

農林水産業流通マッチングサイト「agreach」

農林水産業流通マッチングサイト「agreach」

消費者による農林水産物の購入先は、従来の食品スーパー中心から、直売所、コンビニエンスストア、ドラッグストア、インターネット販売等へと広がりを見せ、それぞれの購入先に応じて流通チャネルも多様化しています。今後、ライフスタイルの変化等により流通チャネルの多様化が更に進むと見込まれる中、より効率的で有利な流通を求める、流通業者・実需者と生産者の直接取引が拡大すると考えられます。

農林水産省では、流通業者・実需者と生産者の双方が最適な取引先を見つけられるよう、マッチング支援サイト「agreach(アグリーチ)」を平成29(2017)年6月に開設しました。

事例:農業者が店舗や価格を決定できる小売店向け販売の仕組み(全国)

集荷場の拠点数

集荷場の拠点数
(平成29(2017)年度末時点)

バーコードシールの発券機とタブレット

バーコードシールの発券機と
タブレット

株式会社農業総合研究所の及川智正(おいかわともまさ)代表は、会社勤務、農業を経験後、農業がビジネスとして独り立ちできる仕組みづくりを目指し、平成19(2007)年10月に32歳で同社を設立しました。

同社のシステムは、農業者が農産物を集荷場に持ち込み、自らが決めた店舗や価格のバーコードシールを貼り付ければ、原則翌朝には都市部のスーパーマーケットの売り場に並ぶというものです。価格の60%から65%は農業者の手取りとなり、店舗での販売情報は農業者に随時メールで届きます。また、集荷場には販売店舗を巡回した同社スタッフのコメントや相場情報は集荷場掲示板や専用ポータルサイトを通じて農業者に提供され、パッケージの工夫、店舗選択、価格設定等に役立てられています。平成29(2017)年度末時点で、同社の集荷場は72か所、登録農業者数は7,300人となっており、2020年までに農業者数を2万人に拡大したい考えです。

平成29(2017)年2月には香港向け輸出を始めており、将来的には、農業者が海外の店舗を販売先に選択できることを目指しています。

事例:生産者が需要に応じて出荷できる飲食店向け販売の仕組み
(東京都)

東京都渋谷区
菊池代表(左)と生産者

菊池代表(左)と生産者

東京都渋谷区のプラネットテーブル株式会社の菊池紳(きくちしん)代表は、生産者が意欲的かつ持続的に取り組める農畜水産業にしたいとの思いから、金融機関勤務等を経て平成26(2014)年5月に35歳で同社を設立し、その翌年、生産者と飲食店をつなぐ流通システムSEND(センド)を開始しました。

SENDでは、野菜について生産者が種類や収穫時期等の情報を登録すると同社から注文が届きます。飲食店向けはサイズや外観・包装ではなく、鮮度と品質が重要視され、生産者は飲食店が求める品質の野菜を収穫後すぐに同社へ送ります。同社が買い上げた野菜は、受注に基づいてほぼ全て飲食店へ販売・配送されます。同社の需要予測システムによって野菜をロスなく流通させることで、販売価格の8割が生産者に還元されています。

平成30(2018)年2月末時点でSENDの登録農業者数は4,500人、レストラン数は4,300店となっており、菊池代表は、今後、23区の一部に限定してきたレストランの範囲を都内全域と近隣の政令指定都市に拡大を目指すとしています。

(食品産業の海外展開に向けて、二国間による官民の新たな対話の場を立ち上げ)

第1回日亜農林水産業・食料産業対話

第1回日亜農林水産業・食料産業対話

急速に拡大する食料の世界需要を取り込み、我が国の食品産業の持続的な発展を図るためには、我が国の「強み」である鮮度保持の先端技術等を活かした、農林水産物の生産から製造・加工、流通、消費に至る、フードバリューチェーンの構築を官民が連携して推進し、その事業基盤を拡大・強化していくことが重要です。

このため、政府では、官民による対話等を通じて食品産業の海外展開を促進する環境整備を進めており、平成29(2017)年度には、農業・食品関連産業に係る協力覚書に基づいた日インド官民合同作業部会、日露(*1)農業関係次官級対話、日亜(*2)農林水産業・食料産業対話を新たに立ち上げるとともに、東南アジア諸国等との二国間政策対話の開催、官民ミッションの派遣、官民協議会における食関連企業への投資関連情報の提供等を行いました。

*1 ロシア

*2 アルゼンチン

(食品産業における労働時間が長いなどの課題解決に向け、ハンドブックを作成)

図表1-6-9 労働時間の産業間比較(平成29(2017)年)

食品産業は、他産業に比べ労働時間が長いことや、休みが取りづらいなど様々な課題が挙げられており、職場環境の整備等働き方改革が急務とされています(図表1-6-9)。このような中、農林水産省では、「働く人も企業もいきいき食品産業の働き方改革検討会」を開催し、その議論を基に、経営層に対し課題への気づきを促すチェックリストをはじめ、取組へのきっかけづくりとなるよう、取組のポイント等を盛り込んだハンドブックを平成30(2018)年3月に作成しました。今後、食品産業における働き方改革の推進に向けて、各種会議、セミナー等の機会を通じてハンドブックの活用を促していく予定です。

(中小企業等経営強化法の支援により、食品産業の成長投資を後押し)

中小企業においては、深刻な人手不足、IT活用の遅れ等が見られますが、こうした状況下においても設備投資、IT投資、海外展開等の成長投資に積極的に取り組むことにより、労働生産性や収益力の向上を実現している企業があります。

平成28(2016)年7月に施行された中小企業等経営強化法では、税制・金融等の支援措置を通じ、新たな付加価値の創造や生産性向上につながる成長投資を後押ししており、農林水産省が同法に基づき認定した食品産業等の計画件数は、平成29(2017)年度末時点で5,574件となっています。

(食品製造業と小売業の適正取引を推進するガイドラインを策定・公表)

図表1-6-10 食品製造業・小売業の適正取引推進ガイドライン~豆腐・油揚製造業~(パンフレット抜粋)

我が国経済を持続的な成長軌道に乗せていくため、下請など中小企業の取引条件を改善していくことが重要との観点から、政府では、平成27(2015)年12月から関係省庁による連絡会議を開催し、取引実態の把握や各種制度の改正などの取組を行ってきました。このような取組の一環として、独占禁止法と下請法上問題となり得る事例を記載した業種別ガイドラインを関係省庁で作成しています。農林水産省では、加工食品の中でも、いわゆる日配品で日持ちがせず、店頭での特売の対象となりやすい豆腐・油揚製造業と小売業との取引を対象として、食品関係では初めてとなるガイドラインを、平成29(2017)年3月に策定・公表しました(図表1-6-10)。

また、平成30(2018)年3月には、「過度な鮮度要求、欠品回避のための短納期発注」、「客寄せのための納品価格の不当な引下げ」等の事例を盛り込んだ牛乳・乳製品に関するガイドラインを策定・公表しました。

さらに、スーパーマーケットやドラッグストアを含む小売業界では、関係業界への適正取引の浸透を目的とした「自主行動計画」を策定し、自ら率先して適正取引の推進を図っていくこととしています。

(食品ロスの削減に向けた食品業界の取組が進展)

図表1-6-11 3分の1ルールの見直し(賞味期間6か月の食品の場合)

賞味期限の年月表示化

賞味期限の年月表示化

世界には8億1,500万人の栄養不足人口(*1)が存在し、持続可能な開発目標(SDGs)(*2)では2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料廃棄を半減させる目標が掲げられる中、我が国では国連WFP(*3)の食料援助量の2倍に相当する600万t強の食品ロスが発生しています。世界が食料廃棄を減少させる方向に向かう中で、我が国においても資源の有効利用と環境負荷の軽減の観点から、食品ロスの削減を最優先に取り組み、発生した廃棄物を資源として有効活用することが重要となっています。

食品ロスの削減に向けては、小売業者では納品期限の緩和(*4)の取組が、食品製造業者では品質保持技術の開発による賞味期限の延長の取組が広がりをみせています(図表1-6-11)。

また、食品製造業者、卸売業者、小売業者の間での取引において、既に納入した商品よりも賞味期限が前の日付のものの納入は受け入れないという慣行があり、このことが食品ロスの一因となっています。このような中、食品製造業者等は、賞味期限が3か月を超える菓子や清涼飲料水等について、年月日表示から年月表示へ切替えを進めています。このことは、賞味期限の日にち部分の逆転による納入拒否の問題が解消され食品ロスの削減につながるとともに、卸売業者や小売業者に出荷作業の省力化や品出しの効率化等のメリットをもたらします。一方で、年月表示への切替えは、例えば「2018年5月5日」の表示は「2018年4月」と表示されるように、1か月に満たない日数の切捨てにより賞味期限が短くなることから、食品ロスの削減に向けては、納品期限の緩和や品質保持技術の開発による賞味期限の延長を併せて進めていくことが必要です。

また、平成29(2017)年10月30日に、「30・10運動」(*5)の発祥の地である長野県松本市(まつもとし)で第1回目となる食品ロス削減全国大会が開催されました。同大会では、ゴミ半減の条例を制定した京都市(きょうとし)や民間事業者の取組が紹介され、食品ロスの削減の取組が広がっていく契機となりました。

食品産業の製造・流通段階で発生する未利用食品を、必要とする人や施設に提供するフードバンク活動については、認知度が低いことや、利用者・寄付者のマッチングが効率的に行われていないこと等が課題となっています。その解決に向け、平成29(2017)年度においては、情報交換会やセミナーが全国6か所で開催されたほか、食品を譲り受ける団体等が活動を適切に運営できるよう、HACCP(*6)指導者による衛生管理講習会も併せて開催されました。

発生した廃棄物の有効活用に向けては、食品リサイクル法(*7)の枠組みにより、食品製造業、外食産業等業種別に再生利用等実施率の目標が設定されており、各事業者において取組が進められています。食品製造業では、発生する廃棄物の品質と量が安定していることから多くが家畜の飼料として再生利用されている一方で、外食産業では、廃棄物の分別が困難であること等から焼却処分の割合が多く、発生抑制と再生利用のより一層の推進が必要となっています(図表1-6-12)。

図表1-6-12 食品廃棄物等の発生と処理状況(平成27(2015)年度)

*1 国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)及び国連世界食糧計画(WFP)、国連児童基金(UNICEF)、世界保健機関(WHO)「世界の食料安全保障と栄養の現状2017」

*2 用語の解説3(1)を参照

*3 国連世界食糧計画(World Food Programmeの略。)

*4 商慣行に基づく小売業者の加工食品の納品期限について、製造日から賞味期間の3分の1に相当する日数を経過した日(いわゆる3分の1ルール)から2分の1を経過した日にまで緩和するというもの。現在は、主に飲料と賞味期間180日以上の菓子で取り組まれており、対象商品や取組企業の拡大が今後の課題となっている。

*5 「30・10運動」とは、宴会において乾杯後30分間と終了前10分間は席で料理をしっかり食べる運動のこと

*6 用語の解説3(2)を参照

*7 正式名称は「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」

コラム:気象データとAI技術を活用し、豆腐の廃棄をほぼゼロに

一般財団法人日本気象協会は、気象条件が消費者の購買行動に影響を及ぼすことに着目し、平成28(2016)年度に、豆腐製造業者、小売業者とともに、豆腐の廃棄(食品ロス)削減の実証実験を行いました。

これまで、小売業者から豆腐製造業者への注文は出荷前日に行われていましたが、豆腐の製造には2日を要することから、豆腐製造業者は、出荷2日前の時点で注文に対し不足することのないよう製造数を多めに設定しており、このことが廃棄の原因となっていました。

実証実験では、同協会が豆腐製造業者と小売業者の知見を踏まえ、気象データとAI(*1)技術を活用して、出荷2日前の時点で豆腐の販売数を予測する、寄せ豆腐の「豆腐指数」(*2)を考案しました。

小売業者が寄せ豆腐の「豆腐指数」に基づき出荷2日前の注文を試行したところ、需要予測の精度がこれまでよりも向上し、また、豆腐製造業者は注文を受けてから製造数を設定できるようになったことにより、予測誤差がほぼなくなりました。これにより、豆腐製造業者での廃棄をほぼゼロにすることができるようになりました。

*1 用語の解説3(2)を参照

*2 「豆腐指数」は、気象により消費者の購買行動が変化する商品群として、寄せ豆腐(夏季)、厚揚げ(冬季)について作成

寄せ豆腐の「豆腐指数」


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