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農林水産省

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(1)スマート農業の推進状況と活用可能性 ア 先端技術による作業の自動化、負担の軽減


平成7(1995)年から平成27(2015)年までの20年間で、販売農家(*1)数が265万戸から133万戸へと半減し(*2)、基幹的農業従事者の平均年齢が7歳上昇して67歳(*3)となるなど、担い手の減少・高齢化が急速に進行しています。加えて、担い手への農地の集積が進む一方、臨時雇用等の確保が困難となるなど、労働力不足が深刻化しており、農作業をいかにこなしていくかが課題となっています。

平成30(2018)年10月には、GPS(*4)等の衛星測位と操舵(そうだ)・変速等の自動制御技術により、農業者の監視の下、無人で農作業を行う自動走行トラクターの本格販売が開始されました。このトラクターは、ほ場又はほ場周辺からの人の監視下において、ほ場内を自動走行するもので、無人機と有人機を2台同時に使用することで効率的な作業が可能となります。また、世界初の技術として現在研究開発が進められているマルチロボット作業システムは、複数台の自動走行トラクターが編隊を組んで協調作業を行うことができるため、トラクターの台数を変えることで大きなほ場でも効率的に作業できる技術として有望視されています。

自動走行トラクターの導入により、重複のない正確な作業を行うことができるようになるほか、作業に係る疲労が軽減され、より広い面積での作業が可能となり、土地利用型農業の規模限界を打破した超省力・大規模生産の実現や、人手不足が深刻な地域における農業生産の維持につながることが期待されます。田植機やコンバインについても、衛星測位等の技術による自動走行システムの開発が進められています。

平成30(2018)年3月には、水田水位センサーから得られる情報を基に、遠隔かつ自動で水田の給排水を行い、最適な水管理を実現する自動水管理システムの販売が開始されました。

自動水管理システムの導入により、水田作で多くの労働時間を占める水管理作業を大幅に省力化するとともに、最適な水管理によって、高温障害や冷害等による減収のリスク軽減が可能になっています。規模拡大に伴い農地が分散している経営体も多く、水管理に要する移動時間の削減にも大きな効果を上げることが期待されています。

中山間地域の水田では法面(のりめん)の面積が大きく、草刈りに多大な労力を要するとともに、けが等の危険を伴いますが、リモコンで簡単に操作でき傾斜地でも走行可能な草刈機が販売され、作業負担の大幅な軽減と安全の確保が図られています。さらに、現場からの導入コスト低減のニーズを踏まえ、従来100万円程度であった乗用型草刈機の半額程度を目標に、機能を絞り込んだ低価格の無人草刈機の研究開発が進められています。

また、園芸分野の技術として、重量野菜や果物等の収穫物の運搬等で生じる負担を軽減するアシストスーツが販売されています。

自動走行トラクター

自動走行トラクター

自動運転田植機

自動運転田植機

リモコン式自走草刈機

リモコン式自走草刈機

アシストスーツ

アシストスーツ

*1 用語の解説1、2(2)を参照

*2、3 農林水産省「農林業センサス」

*4 用語の解説3(2)を参照

基盤整備に伴う自動走行トラクターの活用 ~北海道妹背牛町(北海道)~

北海道妹背牛町(もせうしちょう)では、平成20(2008)年度からの国営農地再編整備事業により標準2.2haへの大区画化及び地下水位制御システムの導入が実施されました。

大区画化された農地において、RTK-GPS(*1)を利用した自動走行農機の活用により、乾田直播(*2)(ちょくはん)に不可欠なほ場の均平作業(*3)が高い精度で可能となるとともに、地下かんがいの導入により、稲の生長に合わせた細かな水位調整を行うことが可能となり、水稲の直播(ちょくはん)栽培の拡大を推進し、労働時間を削減する取組をしています。

また、GPSを利用してトラクターの作業軌跡を正確に把握することにより、作業の重複や漏れをなくし、代かき作業を効率的に実施することが可能になっています。

同町内では、稲作経営の更なるコスト削減を目指し、農家有志による水稲直播(ちょくはん)研究会が設立され、直播(ちょくはん)技術の情報交換や研さんを行うとともに、直播(ちょくはん)向け品種「ほしまる」の導入を進めています。

このように、地域ぐるみの活動に併せて、スマート農業技術の導入を進めることで、より効率的な生産体制の確立に取り組んでいます。

GPSを活用した均平機による均平作業

GPSを活用した均平機による
均平作業

トラクター車内のGPSシステム

トラクター車内のGPSシステム

GPSを活用したトラクター作業軌跡の把握

GPSを活用した
トラクター作業軌跡の把握

*1 Real Time Kinematic GPSの略。地上に設置した「基準局」からの位置情報データによって、誤差数cm単位での高い精度の測位を実現する技術

*2 用語の解説3(1)を参照

*3 生育ムラや雑草の害を減らすため、土を均(なら)して、平らにすること。

無人でお茶摘みを行うロボット摘採機 ~鹿児島県農業開発総合センター等(鹿児島県)~

茶葉の刈取りを行う無人摘採機

茶葉の刈取りを行う無人摘採機

鹿児島県農業開発総合センターでは、茶園管理機メーカーの松元機工(まつもときこう)株式会社と、電子機器や制御システムを手掛ける株式会社日本計器鹿児島(にほんけいきかごしま)製作所との共同開発により、茶のロボット摘採(てきさい)(*1)機を開発し、平成30(2018)年9月に受注を開始しました。操作はタッチパネルを押すだけで畝間(うねま)移動を含め園内を自動で走行し、自動で茶葉の刈取りまでを行います。また、農林水産省が策定した「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」に合わせ、危険の察知による自動停止やリモコンによる非常停止等の安全機能も装備しています。

本機は、搭載した様々なセンサーで茶園の形状を検知し自動で操舵(そうだ)するため、作業の精度も高く畝間(うねま)が蛇行した茶園での作業も可能です。また、鹿児島県南九州市(みなみきゅうしゅうし)で開催される茶摘み技術を競う摘採(てきさい)競技大会で1位となるなど、人の操作と遜色(そんしょく)ない水準にあることが明らかになりました。

摘採(てきさい)機以外にも茶園管理に必要な機械の開発が進められており、ロボット技術が確立すれば、1人当たり2台から3台の同時使用、連続作業時間の延長、人の従事が困難な早朝・夜間の作業、夜行性害虫防除対策等、これまで想定されなかった作業体系を実現できる可能性があり、国内茶業の競争力強化が期待されます。

*1 茶を摘み取ること。収量と品質に直接影響する最も注意を要する作業



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