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農林水産省

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(1)スマート農業の推進状況と活用可能性 ウ データやセンシング技術を駆使した生産性や品質の向上


担い手への農地集積が進み、経営耕地面積が10ha以上の経営体への集積割合は52.7%まで拡大してきており、30ha以上の経営体も18,500経営体に増加(*1)しています。

このような大規模経営における栽培管理では、衛星画像等を用いたセンシングデータとほ場ごとの栽培履歴や作物の生育状況等のデータを組み合わせて解析することにより、ほ場条件に応じた最適な栽培管理や効率的な作業計画の策定が可能になります。これにより、ほ場や作物のポテンシャルが最大限に発揮され、多収、高品質、効率生産の実現が可能になります。

また、中山間地域を含め活用が期待されるドローンによるセンシング技術の導入も進んでおり、ドローンにより撮影した画像の分析により病害虫発生箇所を特定し、ピンポイントで農薬散布を行うサービスや、生育状況のばらつきをマップ化し、ばらつきに応じて量を調整した追肥を行うサービスが広がりつつあり、必要な分だけ農薬の散布や肥料の施用を行うことで資材費の低減や環境保全型農業の実践にもつながります。

施設園芸の分野では、温度、二酸化炭素濃度等の環境をICTやAIを活用して自動的に制御する技術開発に取り組んでいます。この環境制御技術により、トマトでは糖度5度以上で10a当たり55tの年間収量を得られることが実証されており、その実用化や他の作物への応用が期待されています。また、トマトの施設栽培用の技術として、トマトの収穫ロボットの開発が進んでいます。このロボット収穫機は、トマトの画像データからAIが成熟度を判定し、熟した果実のみを選んでロボットアームで収穫します。

近年、地球温暖化による影響が顕在化してきています。平成30(2018)年10月にIPCC(*2)により「1.5℃特別報告書」が公表され、地球温暖化が現在の度合いで続けば、令和12(2030)年から令和34(2052)年の間に、工業化以前の水準からの気温上昇が1.5℃に達すると予測されています。また、我が国の平均気温は100年当たり1.1℃の割合で上昇していると言われています。今後は異常気象や新たな病害虫の発生等これまで経験のないリスクに直面することが懸念されます。このため、気象情報、病害虫、遺伝子情報、作物特性等のビッグデータ(*3)から作物の生育や病害虫発生等を予測することで、先回りしてリスクに対応する農業の実現が求められています。

ドローンによるピンポイント農薬散布

ドローンによるピンポイント農薬散布

AIがトマトの成熟度を判定する自動収穫ロボット

AIがトマトの成熟度を判定する自動収穫ロボット

*1 農林水産省「平成30年農業構造動態調査」

*2 気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)の略

*3 用語の解説3(1)を参照

衛星画像を活用した広範囲で高品質な米の生産 ~青森県産業技術センター、青森県農林水産部(青森県)~

衛星画像から水稲の収穫最適日を予測

衛星画像から水稲の収穫最適日を予測

地方独立行政法人青森県産業技術センターと青森県農林水産部等は、ブランド米「青天(せいてん)の霹靂(へきれき)」の品質管理のため衛星画像を利用する方法を開発し、実用化しました。

8月から9月にかけて撮影した衛星画像とアメダス気象データを組み合わせて作成した収穫適期マップを県内津軽(つがる)地域13市町村の農業者にWebアプリで提供しています。平成30(2018)年には、地域の農業者約1,000人のうち500人以上に利用されており、「青天(せいてん)の霹靂(へきれき)」が作付けされた1,889haで約8千枚の水田一枚一枚について適切なタイミングで収穫を行うことで品質の向上が図られています。

さらに、玄米のたんぱく質含有率や土壌肥沃度に関するマップも提供しており、施肥指導や品種の選定等にも役立てています。その結果、平成30(2018)年に生産された約8千tの「青天(せいてん)の霹靂(へきれき)」は、一等米比率99%という高い水準での出荷を実現しています。

農薬散布をドローンで自動化 ~株式会社イケマコ(佐賀県)~

ドローンによって撮影された大豆の葉の被害状況

ドローンによって撮影された
大豆の葉の被害状況

佐賀県佐賀市(さがし)で米・麦・大豆等の生産を行う株式会社イケマコの代表池田大志(いけだひろし)さんは、もともと米穀業を営んでおり、農業者から将来の農地の維持管理が心配との悩みを聴くことが増えたことから、自らが地域の農業の受皿になろうと平成19(2007)年に農業法人を設立しました。

平成30(2018)年度から株式会社OPTiM(オプティム)と連携してドローンを活用した米・大豆栽培を本格的に開始し、ドローンで撮影した高解像度の画像解析によって検出した病害虫の発生箇所にのみ農薬を散布することで、追加的な労力をかけずに減農薬栽培を実現しました。米のウンカ防除については、AIでの判別により農薬散布の必要はないと判断しました。池田(いけだ)さんは、「リアルタイムで情報が入手できるようになれば、ほ場の見回り回数を更に抑えることも可能になる。また、客観的なデータ解析に基づいて画像を見ながら社員と情報共有を行うことで、同じ基準で作業に当たることができるようになり、経験の浅い若者の技能や観察眼も上がりやすくなった」と語っています。

地熱×環境制御でパプリカ栽培 ~株式会社タカヒコアグロビジネス(大分県)~

株式会社タカヒコアグロビジネスは、施設面積29,108m2の大規模な環境制御型パプリカ生産施設を経営しています。同社では、プラントエンジニアリングを得意とし親会社である株式会社タカフジが長年培った技術を基に開発した農業用の地熱利用型熱交換システムの導入により、燃料費の大幅削減を実現しました。

また、二酸化炭素施用装置や細霧装置等を組み合わせた環境制御により、パプリカの周年出荷が可能となるとともに、栽培管理の改善によって平成30(2018)年は前年と比べ、平均単収が1m2当たり11.8kgから18.5kgとなり、年間生産量が285.3tから446.8tへと大きく向上しました。

同社は、更なる農業経営の安定化を図るために、収穫量や品質、作業効率の向上を目指して、過去の環境データ、生育データ、作業データを分析しながら環境の適正化を図りつつ、作業計画、収穫量予測から販売計画へと体系的につながるシステムの開発を進めています。

パプリカの栽培ハウス

パプリカの栽培ハウス

地熱利用型大規模ハウスの俯瞰図

地熱利用型大規模ハウスの俯瞰(ふかん)図

スマート農業への取組を通じて地域産業の振興及び農業・食品分野の発展へ ~高知県~

高知県は、山間地が多く、耕地面積が少ない不利な地形条件下にありながら、冬期の温暖・多照な気候を利用した施設園芸農業に力を入れており、なす、みょうが、にら等の出荷量は全国1位を誇る全国有数の園芸産地です。平成21(2009)年にはオランダのウェストラント市と友好園芸農業協定を締結し、全国に先駆けてオランダの最先端の園芸技術を取り入れ、高知県の栽培条件に適応させた「次世代型こうち新施設園芸システム」の普及を進めてきました。

高知県は、平成30(2018)年7月に、園芸作物の生育状況等をAIにより可視化し、利活用を実現するIoP(Internet of Plants)が導く「Next(ネクスト)次世代型施設園芸農業への進化」と銘打った新プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトでは、IoTにより取得した作物情報、農作業、環境情報等のビッグデータをIoPクラウドに蓄積するとともに、AIを導入して栽培管理の最適化を行う「理想の栽培モデル」の構築や出荷量の予測を行う「出荷予測システム」を構築します。これにより、農業者への最適な栽培アドバイスや需要が多い時期と収穫のピークとのずれを環境制御で調整することが可能となり、地域全体での生産性の向上と需要に合った戦略的な販売の実現等が期待されます。

平成31(2019)年1月には、高知県、高知大学、高知工科大学、高知県立大学は、農研機構と「農業・食品分野におけるSociety5.0の実現に向けた連携協力に関する協定」を結ぶなど、地域の産学官が一丸となって取り組むスマート農業を推進しています。

本プロジェクトを通じて全国初の技術を開発し、普及させることにより、施設園芸農業の飛躍的な発展と関連産業の創出・集積を目指しています。

高知県が目指す未来の施設園芸農業の営農イメージ

高知県が目指す未来の施設園芸農業の営農イメージ

農業者同士が新技術を「学び教え合う」現地検討会

農業者同士が新技術を「学び教え合う」現地検討会



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