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農林水産省

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トピックス3 消費が広がるジビエ


平成29(2017)年度の野生鳥獣による農作物被害額は164億円で、近年、減少傾向にあるものの農山村に深刻な影響を及ぼしており、被害の内訳を見るとシカ、イノシシによる被害額が103億円で全体の6割を占めています(*1)。このため、従来から実施されている狩猟に加え、農作物被害の防止等を目的としたシカやイノシシの捕獲が全国各地で進められており、平成29(2017)年度ではシカ61万頭、イノシシ55万頭が捕獲されています(*2)。

農作物被害対策として捕獲されたシカやイノシシは、そのほとんどが埋設や焼却により処分されていますが、これらをジビエ(*3)として有効活用することで、農山村の所得向上や、有害鳥獣の捕獲意欲が向上し、農作物被害や生活環境被害の軽減につながることが期待できます。また、新たな食文化の創造として、外食や小売等を始め、農泊や観光、学校給食での提供、さらにはペットフード等様々な分野での利用が進むことで、マイナスの存在であった有害鳥獣をジビエというプラスの存在に変えていくことが期待されており、また、ジビエは低カロリーかつ高栄養価の食材としても注目されています。

*1 農林水産省調べ

*2 環境省「狩猟及び有害捕獲等による主な鳥獣の捕獲数」

*3 フランス語で野生鳥獣肉のこと

(捕獲した野生鳥獣のジビエ利用量は3割増加)

平成29(2017)年度に食肉処理施設で処理された野生鳥獣のジビエ利用量は、前年度に比べ3割増加の1,629tとなりました。特に食用のシカが149t増加の814t、ペットフードが223t増加の373tと前年度に比べて大きく増加しています(図表3-1)。

図表3-1 ジビエ利用量
図表3-2 イノシシ・シカのジビエ利用率

一方で、平成29(2017)年度のジビエ利用率(*1)はイノシシ5.1%、シカ10.6%、イノシシ・シカの合計8.0%となっており、前年度に比べ向上したものの、依然として低い水準にとどまっているため、ジビエ利用の更なる拡大に向けた取組が必要となっています(図表3-2)。

*1 捕獲頭数全体に占める、ジビエ利用のために処理された野生鳥獣頭数の割合(シカ、イノシシ)

(ジビエ利用モデル地区を全国で17地区選定)

農林水産省では、令和元(2019)年度にジビエ利用量を倍増させるという政府目標の達成に向けて、平成30(2018)年度より、ジビエ利用モデル地区を整備しているほか、安全・安心なジビエを提供するための国産ジビエ認証制度の制定や、全国ジビエプロモーション等、ジビエの利用拡大に向けた様々な取組を進めています。

ジビエ利用モデル地区は、ビジネスとして持続できる安全で良質なジビエの提供を実現するため、捕獲から搬送・処理加工、販売までがしっかりとつながった我が国の先導的なジビエ利用のモデルとなる地区のことで、全国で17地区が選定されています(図表3-3)。これらの地区では、令和元(2019)年度においておおむね1千頭以上のシカ及びイノシシの処理頭数を確保することを目標として、平成30(2018)年度より、ジビエ利用の中核的な食肉処理施設や保冷施設の整備、ジビエカー(*1)の導入等が進められています。

図表3-3 ジビエ利用量

*1 車内で一次処理を行うことができ、遠方からでも肉質を落とさずに搬入できる移動式解体処理車の通称

(消費者の安心確保に向けて国産ジビエ認証制度を制定)

農林水産省は、安全なジビエの提供により消費者のジビエに対する安心を確保するため、平成30(2018)年5月に国産ジビエ認証制度を制定し、運用を開始しました。

図表3-4 ジビエ認証マークと商品(イノシシ)

同制度は、厚生労働省が定める「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に基づく衛生管理の遵守や、流通のための規格・表示の統一を図る食肉処理施設を認証するもので、認証された食肉処理施設は、生産したジビエ製品等に認証マークを表示して安全性をアピールすることができます(図表3-4)。

平成30(2018)年度末時点で、食肉処理施設を認証する認証機関は一般社団法人日本ジビエ振興協会、ジビエラボラトリー株式会社の2機関、認証された食肉処理施設は、京丹波(きょうたんば)自然工房(京都府)、祖谷(いや)の地美栄(じびえ)(徳島県)、信州富士見高原(しんしゅうふじみこうげん)ファーム(長野県)の3施設となっています。

事例:徹底した品質、衛生管理によりおいしいジビエを提供(京都府)

京都府京丹波町
百貨店での常設販売の様子

百貨店での常設販売の様子

京都府京丹波町(きょうたんばちょう)の株式会社ART CUBE(アートキューブ)は、シカ、イノシシの捕獲から止め刺し、運搬、解体、精肉、販売、営業に至るまで自社で一貫して実施しています。

同社では、独自のマニュアルに基づき、全ての工程における作業記録の作成や、捕獲時や解体時の状態確認等、約90項目にわたるチェックリストに基づく確認作業を実施しています。さらに、同社の運営する食肉処理施設「京丹波(きょうたんば)自然工房」は食品衛生法に基づく食肉の処理、販売の営業許可に必要な設備基準を満たしており、搬入、洗浄、加工といった工程ごとの処理室が整備されています。同社は、このような取組を通じて、徹底した品質管理、衛生管理を実施しており、平成30(2018)年9月には国産ジビエ認証施設の第1号に認定されました。

また、大手百貨店での販売に向けて、大手百貨店の担当者と食肉処理施設の運営・管理状況の確認作業を繰り返し、約1年かけて衛生面や安全性の確認を受け、高級ブランドとして平成29(2017)年7月より常設販売、平成30(2018)年9月からは同百貨店の別店舗でも常設販売を開始しています。

代表取締役の垣内(かきうち)さんは、「これからは、豊かな山の恵みで育った「京都丹波の鹿・猪」を京都産ブランド品として育て上げたい」と話しています。

(全国的な需要拡大に向けたプロモーションを推進)

農林水産省は、ジビエの全国的な需要拡大に向けた全国ジビエプロモーションとして、平成30(2018)年7月にジビエに関する情報を集約したWebサイト「ジビエト」を開設し、20代から30代の若者層を主な対象として、ジビエを提供している飲食店やイベント情報、国産ジビエ認証制度等、ジビエに関する様々な情報を紹介しています。

また、消費者がジビエ料理を食べる機会を創出することを目的として、これまで提供してこなかった飲食店等においてジビエ料理を提供する、全国ジビエフェアを夏期と冬期の2回開催しました。同フェアには、全国で1千店舗以上の飲食店等が参加し、ラーメンやハンバーガー等の消費者にとって身近なメニューの提供も行われました。

さらに、平成30(2018)年度は飲食店の料理人を対象としたプロ向け国産ジビエ料理セミナーを全国4か所で開催し、流通のルールや取扱いの注意点、安全でおいしい加熱調理方法等の周知を図っているほか、一般消費者への普及啓発を目的としてジビエ料理コンテストを実施し、入賞したジビエ料理のレシピについて紹介しています(図表3-5)。

図表3-5 ジビエ料理コンテストの入賞レシピ

コラム:低カロリーかつ高栄養価の食材として注目されるジビエ

シカ肉の栄養成分を見ると、牛肉に比べて、カロリーは半分以下、脂質は5分の1と大きく下回っており、たんぱく質、鉄分、ビタミン等、多くの栄養素を含んでいます。また、イノシシ肉の栄養成分を見ると、豚肉と比べて、カロリーやたんぱく質、脂質において大きな差はありませんが、鉄分の含有量は4倍となっており、ビタミンも多く含まれています。

近年の健康志向の高まりもあり、ジビエは低カロリーかつ高栄養価の食材として注目されており、体型維持や高齢者の介護食向けの食材として消費の拡大が期待されています。

100g当たりの栄養成分の比較


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