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農林水産省

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第7節 生産・加工・流通過程を通じた新たな価値の創出


我が国の農業総産出額は8兆円から9兆円程度で推移しています。農業者が生産した農産物は、保管、流通、加工、調理等の様々な過程で価値が付加され、最終的に消費される飲食料支出額は70兆円を超えています。農林漁業の成長産業化のためには、農林水産物を始めとする地域の多様な資源を有効に活用し、生産、加工、販売、観光等が一体化した6次産業化(*1)を推進することが重要です。

*1 用語の解説3(1)を参照

(農業生産関連事業の年間総販売金額は過去5年間で最高の2兆275億円)

図表1-7-1 農業生産関連事業の年間総販売金額

データ(エクセル:28KB / CSV:2KB

農業者による加工・直売等の取組である農業生産関連事業の市場規模は緩やかに拡大しており、平成28(2016)年度の年間総販売金額は前年度に比べ595億円増加の2兆275億円で、過去5年間で最高となりました(図表1-7-1)。業態別に見ても、農産物の加工、農産物直売所ともに過去5年間で最高となっています。

平成28(2016)年度に農産物の加工を行った事業体数を見ると、平成23(2011)年度と比べ2千事業体減少しており、また、農産物直売所の事業体数は、ほぼ横ばいとなっています(図表1-7-2)。一方で、平成28(2016)年度における1事業体当たりの年間総販売金額は、農産物の加工が平成23(2011)年度と比べ693万円増加の3,307万円、農産物直売所が955万円増加の4,405万円となっており、このことが農業生産関連事業の年間総販売金額増加の要因となっています。

図表1-7-2 農産物の加工、農産物直売所の事業体数及び1事業体当たりの販売金額

データ(エクセル:29KB / CSV:3KB

(六次産業化・地産地消法による認定事業者は規模を拡大)

六次産業化・地産地消法(*1)に基づく総合化事業計画(*2)の認定件数は平成30(2018)年度末時点で2,460件となりました。同計画の認定を受けた事業者は交付金や農林漁業成長産業化ファンドによる資金面での支援等を受けることができます。平成30(2018)年度末時点で、農林漁業成長産業化ファンドによる出資決定案件は140件、出資決定額は132億円となりました(*3)。

農林水産省が行った認定事業者に対するフォローアップ調査によると、認定事業者の売上高平均額が増加していることや、雇用や投資等による地域経済への波及効果をもたらしていることが確認されています(図表1-7-3)。他方、人材不足や経費の増加等が原因で売上げや利益が減少している事業者も存在することから、引き続き、都道府県やサポート機関と連携した取組を進めることとしています。

図表1-7-3 認定事業者の規模拡大の様子

6次産業化の取組を支援するため、都道府県段階に6次産業化サポートセンターが設置され、同センターに登録された6次産業化プランナーが農林漁業者の抱える様々な課題を解決するためのアドバイスや、新商品の企画・設計や販路拡大、申請書類の作成補助等の支援を行っています。6次産業化プランナーの派遣実績は、平成30(2018)年度は6,781件となりました。さらに、市町村段階では、地域の実情に応じた取組方針の検討や、商工業者や大学等の地域の多様な主体が連携することで、地域ぐるみの6次産業化が推進されています。

*1 正式名称は「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」

*2 用語の解説3(1)を参照

*3 農業競争力強化支援法に基づく事業再編計画等及び食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律に基づく食品等流通合理化計画の認定事業者への出資を含む。

事例:味わいや成分の差別化を図ったヨーグルトによる6次産業化(熊本県)

熊本県合志市
オオヤブデイリーファームのヨーグルト「ミルコロ」

オオヤブデイリーファームの
ヨーグルト「ミルコロ」

熊本県合志市(こうしし)で約100頭の乳用牛を飼育する株式会社オオヤブデイリーファームでは、健康に配慮した食品の開発を推進する産学官連携のプロジェクトに参加し、血中中性脂肪低下に効果があるとされるオメガ脂肪酸の成分を含む牛乳を生産しています。

代表取締役の大薮裕介(おおやぶゆうすけ)さんは、「自社で生産する牛乳を様々な形で提案することで消費者から選ばれる酪農家になろう」と考え、平成24(2012)年に6次産業化の取組を始めました。同社では、乳酸菌や発酵温度、時間を変えて試作を繰り返し、上部にクリームチーズのような層ができるヨーグルトを開発し、特徴的な食感や乳成分の高さで商品の差別化を図り、商談会やイベントに積極的に参加した結果、全国展開する百貨店や都内の高級ホテルと取引が始まりました。

取組を始めた当初は、6次産業化サポートセンターや商工会連合会から派遣された専門家の助言により課題を解決しました。また、合志市(こうしし)の6次産業化推進計画に基づく支援により、情報発信等を行っています。さらに、酪農教育ファームとして地域の子供たちの受入れや、熊本地震で被災した農業者から果物等を買い取り、ジェラート等の商品開発を行うなど、地域と連携した取組を進めています。

今後は、事業拡大に向けて加工施設兼直売飲食施設の新築や冷凍流通可能な新商品の開発、HACCP(*)への対応にも取り組む予定です。

* 用語の解説3(2)を参照

(農産物直売所の総販売金額は増加傾向)

地域で生産された農林水産物をその地域内において消費する地産地消(*1)の取組を推進することは、食料自給率(*2)の向上や地域活性化、流通経費の削減等につながります。

図表1-7-4 農産物直売所の総販売金額と総販売金額1億円以上の割合

農林水産省の基本方針(*3)では、令和2(2020)年度までに農産物直売所の総販売金額を1兆5,600億円に、総販売金額1億円以上の割合を50%以上にするという目標が掲げられています。また、地域の農林水産物の利用促進に向けては、平成29(2017)年末時点で、全ての都道府県と全市町村の9割に当たる1,477市町村で促進計画が策定されており、地域資源を活用した新商品の開発や加工・販売施設の整備等が行われています。

近年、農産物直売所の総販売金額と総販売金額1億円以上の割合は、増加・上昇傾向で推移しており、平成28(2016)年度の総販売金額は前年度と比べ350億円増加の1兆324億円、総販売金額1億円以上の割合は前年度と比べ0.6ポイント上昇し21.3%となりました(図表1-7-4)。

また、学校給食等において地場産物を使用することは地産地消を推進するに当たって有効な手段となります。このため、「第3次食育推進基本計画」では学校給食において地場産物を使用する割合を令和2(2020)年度までに30%以上にする目標が掲げられており、平成29(2017)年度は前年度と比べ0.6%上昇し26.4%となりました。

*1、2 用語の解説3(1)を参照

*3 農林水産省「農林漁業者等による農林漁業及び関連事業の総合化並びに地域の農林水産物の利用の促進に関する基本方針」

(薬用作物の生産拡大に向けた取組)

漢方薬等の原料となる生薬については、国内使用量の8割を中国からの輸入に依存しています。しかしながら、中国国内での需要増加等により、今後、安定的な輸入が難しくなると見込まれており、漢方薬メーカー等からは生薬の原料となる薬用作物の国内生産の拡大が期待されています。また、薬用作物は、耕作放棄地等の再生利用や中山間地域等の活性化につながる作物として関心が高まっています。

このような中、薬用作物の生産拡大に向けては、地域に適した栽培技術の確立や優良種苗の供給等が必要です。また、登録農薬が少なく、作業の機械化が進んでいないため、労働負担が大きく、規模拡大が難しい状況です。さらに、漢方薬メーカーとの契約栽培が中心のため、品目別の需要や価格等の情報収集、取引先の確保が難しいこと等が課題となっています。

このため、農林水産省では、地域に適した栽培技術の確立や優良種苗の安定供給のための実証ほ場の設置、農業機械の改良、栽培マニュアルの作成等の地域の取組に対する支援を実施しています。また、薬用作物産地支援協議会による地域説明会・相談会の開催、相談窓口の常設、栽培技術研修会の開催等の全国的な取組に対しても支援を行っています。さらに、農研機構において栽培技術の開発が行われているほか、民間企業と大学が連携した薬用作物の栽培技術向上に向けた実証研究も進められています。

事例:ICTを活用した薬用作物の国内生産拡大への取組(千葉県)

千葉県柏市
早期育苗の様子(オタネニンジン)

早期育苗の様子
(オタネニンジン)

千葉県柏市(かしわし)にある千葉大学環境健康フィールド科学センターの渡辺均(わたなべひとし)准教授のグループは、富士通(ふじつう)株式会社と共同で、薬用作物・機能性植物の効率的な栽培方法の確立や全国で産地形成できるような品目選定のための研究を行っています。

多くの薬用作物・機能性植物は、栽培期間が長く収益につながるまでに複数年を要すること、品種や系統がはっきりしない品目が多く、生産性の高い栽培技術が確立されていないこと等の問題を抱えています。このような中、同グループでは、育苗技術や優良品種の開発を行い、研究・開発の情報や各地の生産者の生産状況等の情報をICTで集積することで、専門的な栽培技術や品質確保の知識が求められる薬用作物・機能性植物の生育環境や生育状況等の情報を見える化し、栽培方法の標準化を目指しています。

また、当面は国内需要の充足を目標としていますが、将来的には国産の高品質な生薬原料の輸出も視野に入れ、国際的な競争力を有する魅力ある品目として生産の拡大を進めることとしています。

(生鮮食品における機能性表示食品に新たに4品目が届出)

機能性表示食品は、安全性と機能性に関する科学的根拠に基づき、食品関連事業者の責任で「おなかの調子を整えます」等の健康の維持・増進に資する、特定の保健の目的が期待できる旨を表示するものとして、販売前に食品関連事業者により科学的根拠等の情報が消費者庁長官に届け出られた食品です。

平成30(2018)年度に消費者庁長官へ届出がされた生鮮食品は、15件(農産物)となりました(図表1-7-5)。「血圧が高めの方の血圧を下げる機能がある」との報告があるGABA(ギャバ)を含むトマトとケール、「食後の血糖値の上昇を抑える機能がある」との報告があるルテオリンを含むとうがらし、「光による刺激から目を保護するとされる網膜(黄斑部)色素を増加させる」との報告があるルテインを含むほうれんそうの4品目が新たな品目として届出されています。また、生鮮食品で初めて個人から届出がありました。

図表1-7-5 機能性表示食品として届出された生鮮食品(平成30(2018)年度)


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