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農林水産省

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第4節 米政策改革の動向


(需要に応じた米の生産・販売が重要)

米(*1)の1人当たりの年間消費量は、ピークの昭和37(1962)年度の118.3kgから平成29(2017)年度は前年度に比べ0.2kg減少の54.2kg(*2)となるなど、減少傾向が続いています。

このような中、平成30(2018)年産から行政による生産数量目標の配分を廃止し、産地・生産者が中心となって需要に応じた生産・販売を行う米政策へと見直しを行いました。農林水産省では、米の需給についてのきめ細かな情報提供とともに、地域の水田において作付方針を検討するという重要な役割を担う農業再生協議会(*3)への必要な支援や、需要先と結び付いた安定取引の拡大に向けた働き掛けを行っています。さらに、水田フル活用による食料自給率(*4)の向上等を図るため、水田における麦、大豆、飼料用米、米粉用米等の主食用米以外の作付けに対する支援を実施しています。

平成30(2018)年産の主食用米の作付面積は、都道府県ごとの増減があるものの、全国では平成29(2017)年産(137万ha)と比べ1万6千ha増加の138万6千haとなりました(図表2-4-1)。一方、一部地域で9月中旬以降の日照不足等の影響があったため、主食用米の生産量については、全国で98の作況となり、平成30(2018)年産の需給見通しにおける生産量735万tとおおむね同水準の732万7千tとなりました。

図表2-4-1 水稲(青刈り含む)の作付面積の推移

データ(エクセル:30KB / CSV:3KB

このような状況の下、平成30(2018)年産米の価格動向を見ると、平成31(2019)年3月分までの相対取引価格は、年産平均で60kg当たり15,685円と前年産とほぼ同水準の堅調な動きとなっています(図表2-4-2)。

図表2-4-2 米の相対取引価格

しかしながら、人口減少局面に至ったこと等により、今後は、これまでよりも米の需要減少が拡大すると想定されます。令和元(2019)年産米について、産地においては、このような需要減少を踏まえた上で、実需者と結び付いた事前契約や複数年契約による安定的な生産を行うことにより、米の需給と価格の安定を図っていくことがますます重要となっており、農林水産省では、引き続きこのための環境整備を行っています。

*1 主食用米のほか、菓子用・米粉用の米

*2 農林水産省「食料需給表」平成29(2017)年度は概算値

*3 農業再生協議会は、都道府県農業再生協議会と地域農業再生協議会があり、それぞれ都道府県の区域、市町村の区域を基本に設置され、行政、農業団体、担い手農業者組織等が構成員となり各地域の水田での作付方針の作成等を担う協議会

*4 用語の解説3(1)を参照

(戦略作物や高収益作物への更なる転換が必要)

このように今後も主食用米の需要の減少が続くと見込まれる中、水田において、麦、大豆、飼料用米等の戦略作物や、主食用米と比べて面積当たりの収益性の高い野菜等の高収益作物への転換を積極的に推進していくことが、ますます重要になります。

特に、高収益作物については、排水対策等の基盤整備や機械化一貫体系等の新しい技術の導入に合わせて取り組むことで、作業の効率化が図られるとともに更なる高収益が期待されることから、水田農業経営の安定化が期待されます。

(政府備蓄米の運用改善)

農林水産省は、米の不作により供給が減少する事態等に備えて、米の備蓄を行っていますが、平成30(2018)年産の政府備蓄米の買入れについては、買入予定数量20万tに対し、買入数量は12万tにとどまりました。

このような状況の下、今後の備蓄運営を適正に行うには安定的な買入れが必要であることから、産地がより取り組みやすくなるよう、令和元(2019)年産については、入札における産地ごとの優先枠を買入予定数量の全量について設定しました。また、令和元(2019)年産の落札実績を令和2(2020)年産から令和4(2022)年産まで優先枠として維持するほか、産地での保管経費等の軽減のため、国への引渡開始時期を早期化するなどの政府備蓄米の運用改善を行うこととしました。

(外食・中食需要への対応が重要)

図表2-4-3 主食用米の消費内訳(平成29(2017)年度)

外食・中食(*1)向けの需要は、主食用米の需要全体の3割を占めており、今後も堅調な需要が期待されます(図表2-4-3)。

このような中、主食用米全体の需給としては過不足がある状況にはないものの、産地においては高価格帯中心の一般家庭向けの米を生産する意向が強い反面、外食・中食事業者では値頃感のある米を求める声も多くあり、ミスマッチが生じています。

このため、生産コストの削減を進めるとともに、外食・中食をターゲットにした米の生産・販売が進められるよう、農林水産省では産地と実需者とのマッチングを支援しています。

*1 用語の解説3(1)を参照

事例:多様化するニーズへ対応 外食・中食向けの米の生産が増加(宮城県)

宮城県栗原市
一面を埋める「萌えみのり」

一面を埋める「萌(も)えみのり」

宮城県栗原市(くりはらし)の栗(くり)っこ農業協同組合では、「ひとめぼれ」や「つや姫」等の家庭用ブランド米の生産に特化していましたが、家庭での需要減少による販売の伸び悩みや、国民1人当たりの年間消費量の減少等の消費構造の変化に対応した生産が必要と感じ、新たな需要が見込める外食・中食向けの値頃感のある米に着目しました。

同農協は、10年前から多収品種である「萌(も)えみのり」の生産を開始し、近年では栗原市(くりはらし)の水田の1割に当たる700haで栽培しており、その生産量を伸ばしています。この品種は直播(ちょくはん)栽培でもよく育つため、生産コストを抑えながら、収量を2割増やすことができます。また、卸売会社との契約栽培を導入したことで在庫を抱えるリスクがありません。このような取組を進めた結果、協力農家の収入が増加しました。

外食・中食向けの需要が堅調な中で、同農協においては、複数銘柄の外食・中食向けの米を生産し、実需者の多様なニーズに対応していこうとしています。

(担い手の生産コストは平成23年の全国平均に比べて3割減少)

稲作経営の農業所得(*1)を向上させるためには、品質や収量の向上に加えて、生産コストの削減が重要です。担い手の米の生産コストについては、令和5(2023)年までに平成23(2011)年産の全国平均(16,001円/60kg)から4割削減する目標を掲げています(*2)。平成29(2017)年産は、認定農業者(*3)(15ha以上層)では平成23(2011)年産全国平均と比べ31.3%減少となる10,995円/60kg(*4)、稲作主体の組織法人経営では同25.9%減少となる11,859円/60kg(*5)となりました。農林水産省では、更なる生産コスト削減に向けて、直播(ちょくはん)栽培等の省力栽培技術や多収品種の導入に加え、農業競争力強化支援法に基づく生産資材価格の引下げ等による生産資材費の低減、農地中間管理機構による担い手への農地の集積・集約化(*6)や農地の大区画化等を推進しています。

*1 用語の解説2(3)を参照

*2 「日本再興戦略」(平成25(2013)年6月閣議決定)

*3、6 用語の解説3(1)を参照

*4 農林水産省「平成29年産農産物生産費(個別経営)」

*5 農林水産省「平成29年産農産物生産費(組織法人経営)」

(官民を挙げた需要に応じた種子の供給環境の整備)

多様化する実需者ニーズに応えるためには、需要が堅調な外食・中食用や、今後の需要拡大が期待される輸出用に適した多収品種等、多様な品種の供給が重要になります。

このため、農林水産省では、主要農作物種子法により都道府県に全国一律に稲・麦・大豆の種子供給に関する義務付けを行うというやり方を廃止し、官民の連携等も含め、それぞれの地域に応じた種子供給体制の構築を促進することで、多様な需要に応じた多様な品種が供給されやすい環境を整備することとしました。

これを踏まえ、都道府県では、従来の取組に加えて、新たに官民の連携や種子供給体制の整備に取り組む動きや地域の独自性を反映した条例の制定等の動きも出てきており、農林水産省では、このような現場での取組を尊重しつつ、引き続き、種子供給体制の整備に取り組んでいきます。

事例:主要農作物種子法廃止を踏まえ、種子供給体制を整備(富山県)

富山県富山市
生産された種もみを検査する病害虫検定温室

生産された種もみを検査する
病害虫検定温室

富山県は、全国一の種もみ出荷県(県間流通量の6割に当たる量を出荷)としての優位性を維持・強化するため、「とやまの種籾(たねもみ)生産技術拠点整備事業」(平成30(2018)年度から実施)により、民間や他県の育成品種を、病気のないクリーンな状態で原種として供給すること等を目的とした種子供給施設「種もみクリーン原種供給センター」を整備しました。

また、平成30(2018)年3月に改定された「とやま未来創生戦略2018」においても、全国一の種もみ出荷県としての優位性を維持・強化し、種子生産農家の経営規模の拡大や所得向上を図る旨を明記しています。さらに、平成30(2018)年9月には、他県の種子の需給状況も踏まえた種子計画の策定や、種子計画に基づく原種の生産を行う施設の整備等、富山県独自の内容を規定した、種子の生産・供給に関する条例「富山県主要農作物種子生産条例」を制定しています。

このような県の動きを受けて、県内の農協でも、需要のある民間育成品種の受託生産を独自に行うなど、将来を見据え、官民を挙げて多様な需要に応じた種子供給体制の整備に取り組んでいます。

(米の消費拡大に向けた取組)

米の需要の減少が続く中、このような傾向に歯止めをかけるため、農林水産省では従来のごはん食の普及・啓発活動や教育現場における食育の推進、米粉等の新規用途開発に加え、平成30(2018)年10月から米の消費拡大に取り組む企業等を応援するWebサイト「やっぱりごはんでしょ!」を開設しました。米の消費拡大につながる飲食店や新商品開発の情報等をタイムリーに発信しています。

(ノングルテン米粉の流通開始)

米粉については、日本米粉協会が運営するノングルテン米粉製品第三者認証制度により、グルテン(*1)含有基準値1ppm以下(欧米のグルテンフリー表示は食品のグルテン含有基準値20ppm以下)であることが認証されたノングルテン米粉が平成30(2018)年6月に誕生し、流通が始まりました。

このような高品質な米粉の流通により、輸出を含めた米粉の需要拡大が期待されます。

*1 アレルギー症状や免疫疾患の原因となり得る、小麦等に含まれるたんぱく質の一種



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