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農林水産省

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第7節 気候変動への対応等の環境政策の推進


気候変動の影響は既に顕在化しており、今後、その影響が拡大することが予測されています。このため、温室効果ガス(*1)の排出削減と吸収による緩和策と、その影響の回避、軽減、利用による適応策を一体的に充実・強化することが重要です。また、持続可能な開発目標(SDGs)(*2)への貢献のためにも有機農業等の生物多様性の保全に配慮した持続可能な農業生産の推進が求められています。

*1、2 用語の解説3(1)を参照

(1)気候変動に対する緩和・適応策の推進等

(IPCCが1.5℃特別報告書を公表)

平成27(2015)年に、地球温暖化対策の国際ルールとして、世界の平均気温の上昇を工業化以前に比べ2℃未満に抑えることを目指し、1.5℃を努力目標としたパリ協定が採択されました。平成30(2018)年10月のIPCC(*1)総会において、1.5℃の気温上昇に係る影響、リスク及びそれに対する適応、関連する排出経路、温室効果ガスの削減(緩和)等に関する特別報告書(*2)が、承認・受諾され、公表されました。

同報告書では、現在の地球の平均気温は工業化以前の水準と比べ、既に0.8から1.2℃上昇し10年間で0.2℃ほどのペースで上昇しており、その結果、地球温暖化が現在の度合いで続けば令和12(2030)年から令和34(2052)年の間に、工業化以前の水準からの気温上昇が1.5℃に達する可能性が高いとされています。さらに、気温上昇幅が2℃となった場合、1.5℃の場合と比べて、「陸域、淡水及び沿岸域の生態系が受ける影響」、「健康、生計、食料安全保障、水供給、人間の安全保障及び経済成長に対する気候関連のリスク」等において悪影響が大きくなることが指摘されています。気温上昇が1.5℃を超えないための選択は、いずれも社会全般及び世界中で大変革を必要とする上、それらを迅速に実行することが極めて重要であることが強調されています。

*1 気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)の略

*2 正式名称は、「気候変動の脅威への世界的な対応の強化、持続可能な発展及び貧困撲滅の文脈において工業化以前の水準から1.5°Cの気温上昇にかかる影響や関連する地球全体での温室効果ガス(GHG)排出経路に関する特別報告書」

(COP24では締約国がパリ協定の運用ルールに合意)

図表2-7-1 パリ協定採択後の経過

平成30(2018)年12月にポーランドのカトヴィツェで国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)が開催されました(図表2-7-1)。平成28(2016)年に発効したパリ協定を運用するための実施指針が、全ての国を対象とした共通のルールとして合意に達し、令和2(2020)年から適用されることとなりました。

農業分野については、平成29(2017)年のCOP23で決定された「農業に関するコロニビア共同作業(*1)」に基づき、1回目のワークショップが開催され、気候変動に対応した技術の開発・普及等について、各加盟国、国際機関、非政府組織(NGO)等による意見交換が行われました。各国の抱える農業の脆弱(ぜいじゃく)性や食料安全保障(*2)上の課題が共有されるとともに、これらの課題に対する更なる技術開発や技術の現場への普及が促進されることへの期待が強調されました。

*1 気候変動枠組条約の下で農業の脆弱性や食料安全保障への具体的な対応を議論するワークショップや専門家会合

*2 用語の解説3(1)を参照

(気候変動対策の強化に向けて、気候変動適応法が施行)

地球温暖化対策としては、温室効果ガスの排出削減と吸収により大気中の温室効果ガス濃度を安定させ、地球温暖化の進行を食い止める緩和策と、気候変動やそれに伴う気温や海水面の上昇等に対して人、社会、経済のシステムを調節することにより影響を回避、軽減する適応策の2つに分類することができます。この両方に取り組み、互いに補完し合うことで気候変動によるリスクの低減を図っていくことが重要です。

我が国では、社会経済活動等による温室効果ガスの排出の抑制等を促進するための措置を講ずること等により、地球温暖化対策の推進を図ることを目的とした地球温暖化対策推進法が平成10(1998)年に施行され、これに基づく地球温暖化対策計画が策定されています。

図表2-7-2 気候変動対策の概念図(緩和と適応の関係性)

また、適応策として高温耐性品種の開発・普及、防波堤等による沿岸防護、水利用の高効率化、熱中症・感染症の予防等の取組を推進するための気候変動適応法が平成30(2018)年12月に施行され、国、地方公共団体、事業者、国民が担うべき役割が明確化されました。国は、気候変動適応計画を策定し、その進展状況を把握・評価する手法を開発するとともに、5年ごとに計画の見直しを行うこととなりました。これを踏まえ、今後おおむね5年間における基本戦略等を示した新たな気候変動適応計画が策定されました。これらにより、気候変動対策の推進において車の両輪となる緩和と適応の2つの法律と計画が整備されました(図表2-7-2)。

(顕在化しつつある気候変動の影響への対策を推進)

農業生産は一般に気候変動の影響を受けやすく、各品目で生育障害や品質低下等の気候変動によると考えられる影響が現れており、この影響を回避・軽減するための取組が進められています。水稲については、高温による品質低下が起こりにくい高温耐性品種の導入が進められており、平成29(2017)年産における作付面積は、前年産に比べ2,400ha増加の9万3,800haで、主食用米の作付面積に占める割合は6.8%となっています(図表2-7-3)。ぶどうについては、着色不良や着色遅延による品質低下を抑制するため、環状剥皮(はくひ)処理等の対策のほか、着色を気にしなくてもよい品種や高温下でも着色が進みやすい品種が導入されています。

着色良好果(左)と着色不良果(右)

着色良好果(左)と着色不良果(右)

ぶどうの環状剥皮処理

ぶどうの環状剥皮(はくひ)処理

図表2-7-3 水稲の高温耐性品種作付面積

他方、地球温暖化の原因の一つとされている温室効果ガスは、自動車、工場、火力発電所等における化石原料の燃焼によってその多くが発生しています。農林水産業においても、燃料の燃焼、稲作における稲わらのすき込み、家畜排せつ物の管理といった営農活動により温室効果ガスが排出されます。近年、施設園芸の省エネルギー化、堆肥施用への転換等の排出削減対策により、排出量は減少傾向にありますが、平成28(2016)年度の排出量は、5,061万t(二酸化炭素換算)と我が国全体の総排出量の3.9%を占めています(図表2-7-4)。

図表2-7-4 農林水産分野の温室効果ガス排出の現状

データ(エクセル:90KB / CSV:6KB

事例:気候条件の変化に強いカカオで三方よしを実現(京都府)

京都府京都市
現地生産者に技術指導を行う吉野代表取締役

現地生産者に技術指導を行う
吉野(よしの)代表取締役

インドネシアのカカオ生産者たち

インドネシアの
カカオ生産者たち

パリ協定でも開発途上国の地球温暖化対策の能力強化に向けて一層の支援が求められている中、政府による資金提供や国際協力の推進のほか、持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献にも資すると注目が集まる気候変動適応ビジネスの積極的な展開が期待されます。

Dari K(ダリケー)株式会社は、京都府京都市(きょうとし)でチョコレートの製造、販売やインドネシアで原料となるカカオの生産支援を行っています。

インドネシアでは、今後の気候変動がもたらす降雨量の減少により、農作物の収穫量が大きく減少すると見込まれる地域があります。

Dari K(ダリケー)が進めるカカオへの転作とアグロフォレストリー(*)の導入は、従来の作物と比べ水や肥料の使用量を抑制できること等から、気候変動のリスクに対応した農業が可能となります。

Dari K(ダリケー)では、「カカオを通して世界を変える」という企業理念の下、インドネシアでは一般的でなかったカカオ豆の発酵の技術指導を行っています。インドネシア産カカオの品質の向上への貢献と高品質なチョコレートの販売により、生産者、消費者、Dari K(ダリケー)の3者全てがWin-win-win(ウィンウィンウィン)の三方よしの体制を構築することを目指しています。

このような環境に優しい高付加価値な農産物の生産は、気候変動への適応はもちろん、飢餓・貧困の撲滅、働きがいと経済成長の実現、環境保全といったSDGsの目標にもつながっています。

* 樹木を植栽し、その間に成長サイクルが異なる複数の農作物を栽培することで森林を破壊することなく土地を有効に活用し、生産する農法

(気候変動等に対応するための遺伝資源の保全と利用を推進)

気候変動等に対応した高温耐性品種等の開発には、多様な生物の遺伝資源(*1)が欠かせないものとなっていますが、遺伝資源の多様性が地球規模で失われつつあります。このため、我が国では、アジア諸国と連携した遺伝資源の探索や共同研究等を実施し、遺伝資源の保全を行っています。平成30(2018)年度からは、気候変動に対応した新品種の開発を支援するため、民間企業等への遺伝資源の提供を促進する取組を開始しました。また、民間企業等が海外の遺伝資源を利用しやすい環境を整備するために、遺伝資源提供国との関係構築等も行っています。

* 用語の解説3(1)を参照

(「生物多様性の主流化」に向け評価マニュアル等を開発)

私たちの暮らしは、多様な生き物が関わり合う生態系から得られる恵みによって支えられています。 私たちの命と暮らしを支えている生物多様性を守り、持続的に利用していくことは、私たちだけでなく、将来の世代のためにも必要です。特に農業は、農地周辺に生息する様々な生き物の恩恵を受けて成り立っており、これら生き物の働きは持続的な農業生産を行う上でなくてはならないものです。

しかし、生物多様性の認知度は、平成22(2010)年に愛知県名古屋市(なごやし)で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)以降低下傾向にあり、生物多様性に関する社会全体の関心を高めることが必要です(図表2-7-5)。

図表2-7-5 生物多様性の認知度

そこで、地方公共団体や企業等の多様な主体を巻き込み、生物多様性の保全と持続可能な利用を、地球規模から身近な市民生活のレベルまで、様々な社会経済活動の中に組み込み浸透させていく「生物多様性の主流化」により、生物多様性に配慮した社会経済へと転換を図ることが必要です。

平成30(2018)年11月にエジプトのシャルム・エル・シェイクにおいて生物多様性条約第14回締約国会議(COP14)が開催されました。閣僚級の会合では、前回のCOP13での農林水産業、観光業における生物多様性の主流化の議論に続き、エネルギー・鉱業、インフラ分野、製造・加工業、健康分野における生物多様性の主流化についての議論が行われ、あらゆるレベルで全てのセクターにまたがって生物多様性を主流化するために取り組むことが宣言に盛り込まれました。次回のCOP15では、令和2(2020)年を達成年とする愛知目標(*1)の次の世界目標が決定される予定です。

国内の動きとして、農研機構により環境に配慮した農業の取組による生物多様性保全効果を評価する新たな手法が開発され、平成30(2018)年3月に、「鳥類に優しい水田がわかる生物多様性の調査・評価マニュアル」と「魚が棲みやすい農業水路を目指して~農業水路の魚類調査・評価マニュアル~」として発行されました。

これらのマニュアルでは、定められた方法で各指標生物(*2)を調査し、得られた個体数又は魚種数を基準として点数を付けて評価を行うため、農業が生物多様性に果たす役割とその効果を科学的根拠に基づき定量的に把握・表示することが可能です。これにより、水田や農業水路周辺の生物多様性保全活動が促進されるとともに、国民的な理解の推進や農産物の新たな付加価値の付与、ブランド化につながることが期待されています。

*1 平成23(2011)年以降の世界目標となる新戦略計画。令和32(2050)年までに「自然と共生する世界」を実現することを目指した、令和2(2020)年までに生物多様性の損失を止めるための効果的かつ緊急の行動を実施するという20の個別目標

*2 生育している地域の環境条件の判定に用いられる生物種又は群集

コラム:生物多様性の保全と利用を結びつけた地域活性化

平成30(2018)年7月、千葉県いすみ市(し)において、第5回生物の多様性を育む農業国際会議(ICEBA)が開催されました。この会議は、国内外で取り組まれてきた生物の多様性を育む農業の現状を整理するとともに、既存の社会システムとの融合をどのように図るべきか、手法の確立を図ることを目的として開催されました。

本会合においては、4か国、1,050人が参加し、農業技術分野において生物多様性の主流化を目指すことや、地場産有機農産物の学校給食への活用、生物多様性の主流化と流域のネットワークづくり等について議論が行われました。

いすみ市(し)では、平成25(2013)年から、生物多様性に配慮したまちづくりと有機農業による米生産を開始しました。安心安全な米を子供たちに食べさせたいとの思いから、平成29(2017)年10月には全国で初めて、全13の市立小中学校の学校給食に使用する米の全てが有機栽培米となりました。「オーガニックの学校給食がEU諸国や韓国を始め世界の潮流となる中で、日本の優れた実践である」と本会議においても高く評価されました。

いすみ市の学校給食における
有機栽培米使用量・割合の推移

いすみ市の学校給食における有機栽培米使用量・割合の推移
有機栽培のほ場に飛来したコウノトリ

有機栽培のほ場に
飛来したコウノトリ

有機栽培米の給食を食べる児童

有機栽培米の給食を
食べる児童

資料:いすみ市農林課「いすみ市の自然と共生する里づくりと学校給食米全量オーガニックの取組」

(2)環境保全に配慮した農業の推進

(世界では有機農業の取組拡大が進行)

有機農業を始めとする環境保全に配慮した農業は、農業の自然循環機能を増進させるとともに、環境への負荷を低減させるものであり、生物多様性の保全等、生物の生育・生息環境の維持にも寄与しています。

世界の有機食品販売額は、平成29(2017)年には10.7兆円(*1)と年々拡大しています。また、欧米を中心に、世界の有機農業の取組面積は、平成11(1999)年から平成29(2017)年の間に6倍になっており、全耕地面積に対する有機農業取組面積割合は1.4%と急速に拡大しています(図表2-7-6)。

図表2-7-6 世界の有機農業取組面積と全耕地面積に占める割合

データ(エクセル:31KB / CSV:3KB

*1 FiBL&IFOAM「THE WORLD OF ORGANIC AGRICULTURE STATISTICS & EMERGING TRENDS 2019」。110円/USドルで換算した値

(我が国の有機食品の市場規模は徐々に拡大)

平成29(2017)年における我が国の有機食品の市場規模は1,850億円(*1)と推計されており、平成21(2009)年の1,300億円から1.4倍に拡大してきています。しかしながら、海外から輸入される有機農産物は平成28(2016)年度で3.3万tとなっており、国内で取り扱われる有機農産物の35.4%を占めます(*2)。また、我が国の有機農業の取組面積は2万3千ha(*3)(全耕地面積の0.5%)と、欧米に比べ少ない状況であり、取組面積をいかに拡大するかが課題です(図表2-7-7)。

一方、新規参入者のうち、有機農業に取り組んでいる者は2から3割と高い水準で推移していること等から、有機農業に対する若手農業者の関心は高いといえます(図表2-7-8)。

図表2-7-7 各国の有機農業取組面積と割合

データ(エクセル:28KB / CSV:2KB

図表2-7-8 新規参入者による有機農業等への取組状況

*1 農林水産省 「平成29年度有機食品マーケットに関する調査」を基に推計

*2 農林水産省「平成28年度認定事業者に係る格付実績」

*3 農林水産省「国内における有機JASほ場の面積」、「有機農業の取組面積に係る実態調査」を基に集計(平成29(2017)年度時点)

(安定的な供給体制や生産技術の確立といった課題の解決に向けて取組を推進)

有機農産物等(*1)の出荷先は、消費者への直接販売が6割以上となっています(*2)。一方、消費者アンケートによると購入頻度の高い消費者の有機食品の購入先は8割以上がスーパーマーケットとなっています(*3)。また、有機農産物等を取り扱う実需者の6割以上が有機農産物等を取り扱う上で求める条件として「1年を通じて一定量が確保されること」と回答しており(*4)、実需者の状況に対応した安定生産や供給が必要となっています。

このような課題に対応するため、有機農業者のネットワークづくり、有機農業への新規参入と慣行栽培からの転換を促進するための研修会の開催、実践拠点を核とした多品目・周年供給体制の構築、実需者との連携強化等、安定供給体制の構築を目指す取組が、平成30(2018)年度には、全国21の地区で進められています。

また、有機農業の取組面積を縮小する理由としては、労力がかかることや、収量や品質が不安定であるといった理由が多く、新規参入者等には、生産技術の習得がうまくいかずに取組を断念するケースも見られます。

有機農業の生産技術の確立に向けて、農研機構では、平成30(2018)年6月に有機農業の栽培マニュアルを公表したほか、地域の気候等の特性に合わせた独自の有機農業の栽培マニュアルが22の都道府県で作成されています。また、全国各地で有機農業の普及指導体制が整備されてきています。このような取組が進むことで、新規参入者等の技術力向上が図られ、有機農業の取組が広がることが期待されます。

*1 有機栽培等(有機JAS認定を受けた農産物及び有機JAS認定は受けていないが化学肥料及び化学合成農薬を使用せず行う栽培方法)による農産物

*2 農林水産省「有機農業を含む環境に配慮した農産物に関する意識・意向調査」(平成28(2016)年2月)(平成27年度農林水産情報交流ネットワーク事業 全国調査)。農産物の栽培の中で有機栽培等が最も多い栽培方法と回答した農業者(92人)の割合

*3 農林水産省「平成29年度有機食品マーケットに関する調査」

*4 農林水産省「有機農業を含む環境に配慮した農産物に関する意識・意向調査」(平成28(2016)年2月)(平成27年度農林水産情報交流ネットワーク事業全国調査)。有機農産物等を取り扱いたいと思うと回答した流通加工業者(187人)の割合

事例:県内で仲間を増やし面積を拡大(鹿児島県)

鹿児島県
インドネシアのカカオ生産者たち

有機農業に取り組む農業者

平成31(2019)年3月に、農林水産省が主催する未来につながる持続可能な農業推進コンクールの表彰式が行われました。

有機農業・環境保全型農業部門においては、全国33の応募者の中から、有限会社かごしま有機生産組合が農林水産大臣賞を受賞しました。

有限会社かごしま有機生産組合は昭和59(1984)年に10人の農家で8haの面積からスタートしましたが、技術研修会や品目部会を続けることで、現在では鹿児島県内全域162人、275haで有機栽培に取り組むまでに広がっています。組合では有機野菜、果樹等の120品目以上を生産し、年間を通じて常時20品目以上を卸、小売、インターネットを通じて全国に安定的に販売しています。近年では、ジュースやベビーフード等の加工品の開発に取り組むとともに、100戸以上が有機JAS認証を取得している強みを活かし、アジアを中心に輸出にも取り組んでいます。このような、地域での連携や安定出荷、販路の確保に向けた取組が高く評価されました。

(収穫後の回収・処理が不要な生分解性マルチの利用が拡大)

近年、プラスチックによる海洋汚染が国際的な問題となっており、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の中でも取り上げられています。プラスチック資源循環に向けた取組の強化が求められている中で、生分解性プラスチックが注目されています。

生分解性プラスチックは、微生物の働きにより最終的には水と二酸化炭素に分解されることから、使用済プラスチックの排出抑制につながり環境保全に貢献するものです。農業生産の現場においても、地温の確保、雑草の発生防止等の目的で使用されるマルチフィルムでの利用が進んでいます(図表2-7-9)。

生分解性マルチの分解過程(イメージ)

生分解性マルチの分解過程(イメージ)

生分解性マルチでの栽培

図表2-7-9 生分解性マルチの利用状況

生分解性マルチは、収穫後のマルチの回収・処理が不要となることから、農作業の省力化・軽労化も図られます。これにより規模拡大や計画的な生産体系の確立が可能となるなど、農村地域の課題である高齢化や労働力不足の解決にも資するメリットを有しています。農林水産省では、平成31(2019)年2月に活用事例を公表するなど、生分解性マルチの利用拡大を推進しています。

生分解性マルチの販売量は増加傾向にあるものの、一般的なポリエチレンマルチに比べ価格が高いことや分解時期が不安定なこと等が課題とされています。生分解性プラスチックを速やかに分解する酵素と組み合わせた栽培技術や農業資材の開発等により、生分解性プラスチックの利用拡大が進むことが期待されます。



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