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農林水産省

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第1節 社会的変化に対応した取組


農村地域の人口減少、高齢化が進む中、都市部の若い世代を中心に高まりを見せる「田園回帰(*1)」の流れを活かし、段階的に移住・定住を図るとともに、仕事を作り、安心して住める仕組みを構築することが重要です。

*1 農村の魅力の再発見により、都市と農村を人々が行き交うこと

(1)農村の人口、仕事、暮らしの現状と課題

(農村では都市に先行して高齢化と生産年齢人口割合の減少が進行)

我が国を農業地域類型区分(*1)、別に見ると、面積では、平地農業地域(*2)で14.2%、中間農業地域(*3)と山間農業地域(*4)を合わせた中山間地域で72.5%と、これらの地域で合わせて9割を占め、都市的地域(*5)は1割となっています(図表3-1-1)。一方で、人口では、都市的地域1億143万人、平地農業地域1,147万人、中間農業地域1,069万人、山間農業地域351万人となっており、8割が都市的地域に集中しています。

図表3-1-1 農業地域類型区分とその面積・人口・農業集落数(平成27(2015)年)

平成22(2010)年から平成27(2015)年までの5年間における年齢区分別の人口割合の推移を見ると、平地・中間・山間の各農業地域では、都市的地域に先行して、高齢化と、15歳以上65歳未満の生産年齢人口割合の減少が進行しています(図表3-1-2)。また、この5年間で、都市的地域、平地農業地域、中間農業地域が、それぞれ、平成22(2010)年の平地農業地域、中間農業地域、山間農業地域の人口構成に近づいていることも見てとれます。

図表3-1-2 農業地域類型区分別の人口の年齢構成

*1~5 用語の解説2(6)を参照

(総戸数9戸以下の小規模集落が増加、一部集落で機能維持が困難となるおそれも)

我が国の農業集落(*1)は、冠婚葬祭等の生活扶助や農作業等を世帯間で助け合う生産補完機能のほか、農道の補修、草刈り、水路掃除や共有林の手入れ等、農地や山林に関わる地域資源維持管理機能等、都市部に比べて多様な機能を発揮し、環境を維持しています。

しかしながら、集落の小規模化・高齢化が進む中、このような集落機能は低下し、一方で生活支援の需要は増加するという課題に直面している地域もあります。

平成22(2010)年から平成27(2015)年までの農業集落の平均総戸数の変化を農業地域類型別に見ると、都市的地域では増加しているものの、平地農業地域と中間農業地域では微増、山間農業地域では減少しています。また、平均農家数は全地域で減少しています(図表3-1-3)。

図表3-1-3 農業集落の平均総戸数と平均農家数

総戸数が9戸以下の小規模な農業集落の割合について見ると、平成22(2010)年から平成27(2015)年までの5年間で、山間農業地域で2.2ポイント上昇して17.9%等となっており、特に山間農業地域の集落における世帯の低密度化が進展しています(図表3-1-4)。

図表3-1-4 総戸数が9戸以下の農業集落の割合

総戸数が10戸を下回る農業集落では、農地や農業用用排水路等の地域資源の保全、伝統的な祭り等の保存や各種イベントの開催といった集落活動の実施率が急激に低下する傾向が見られ、集落機能の維持には、最低限度の集落規模の維持が必要であることがうかがえます(図表3-1-5)。

総戸数が3戸を下回ると、他の集落との共同保全活動を通して機能維持を図る傾向が見られます(図表3-1-6)。しかし、今後の山間農業地域等では、一定範囲の複数集落が総じて機能を維持できないリスクが高まることも懸念されます。

図表3-1-5 集落活動の実施率と総戸数の関係(平成27(2015)年)

データ(エクセル:28KB / CSV:2KB

図表3-1-6 地域資源の共同保全率と総戸数の関係(平成27(2015)年)

データ(エクセル:26KB / CSV:2KB

*1 用語の解説3(1)を参照

(空き家の増加、商店の閉鎖等の暮らしの課題)

総務省と国土交通省が過疎地域等(*1)の集落を対象に行った調査を見ると、集落で発生している課題について、生活面では、空き家の増加、商店・スーパー等の閉鎖、住宅の荒廃(老朽家屋の増加)、産業面では、耕作放棄地の増大、働き口の減少、環境面では、獣害・病虫害の発生、森林の荒廃の割合が高くなっています(図表3-1-7)。

図表3-1-7 集落で発生している課題(複数回答)

最寄りの店舗(*2)まで直線距離で500m以上の位置に居住し、自動車を利用できない65歳以上の人の数である食料品アクセス困難人口は、平成27(2015)年に全国で825万人と推計されています。65歳以上の人口に占めるその割合を市町村別に見ると、地方において高くなっています(図表3-1-8)。また、食料品アクセス困難人口のうち75歳以上は536万人と推計されており、75歳以上の人口に占めるその割合を市町村別に見ると、40%を超える市町村も多くなっています。

図表3-1-8 食料品アクセス困難人口の市町村別の割合(平成27(2015)年)

*1 過疎地域、半島振興対策実施地域、離島振興対策実施地域、振興山村、特別豪雪地帯及び旧過疎地域

*2 生鮮食料品小売業、百貨店、総合スーパー、食料品スーパー、コンビニエンスストア

(2)「田園回帰」と「関係人口」を通じた交流・移住・定住の動き

(農村地域の維持・強化へ向け多様な人材を迎える必要)

農村を自己実現の場として、また、新しいビジネスモデルやイノベーションが生まれる課題先進地域として注目する若者も増えています。

特に東日本大震災以降、人の役に立ちたいという社会的な価値を重視する価値観が広がるとともに、若者を中心に従来の都市志向から地方志向が広がっています(*1)。

人口減少や高齢化等が先行する農村地域を維持・強化するためには、若い世代を中心に「田園回帰」の意識が高まっている中で、多様な人材を農村に迎えて、既存の住民とともに、仕事や生活の新たな仕組みづくりに、創意工夫を発揮してチャレンジしていく必要があります。

*1 例えば、内閣府の平成17(2005)年と平成26(2014)年の世論調査を比較すると、都市住民の農山漁村への定住願望は11%増加。また、特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センターへの移住相談件数は、30歳代以下の割合が増加

(東京一極集中の緩和に向けた施策が展開)

このような「田園回帰」の動きについて、国土審議会の専門委員会(*1)が平成30(2018)年12月に公表した分析によると、平成24(2012)年から平成29(2017)年の6年間で、東京圏(*2)からの転入が東京圏への転出を上回る年が3回以上あった市町村は146確認されました(図表3-1-9)。この中には山間部や離島等の市町村も確認できます。

図表3-1-9 東京圏からの転入が転出を上回った市町村(平成24(2012)年から平成29(2017)年)

*1 国土審議会計画推進部会住み続けられる国土専門委員会

*2 東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県

事例:きめ細かな対応で移住者を受入れ(岡山県)

岡山県瀬戸内市
移住者が住む空き家の清掃

移住者が住む空き家の清掃

岡山県瀬戸内市(せとうちし)の裳掛(もかけ)地区コミュニティ協議会は、同地区の活性化を目指し、平成24(2012)年度に「むらおこしプロジェクト」を発足させました。地域おこし協力隊と住民を中心に、平成27(2015)年度からは瀬戸内(せとうち)市役所を加えた裳掛(もかけ)地区農村活性化協議会として、農林水産省の農山漁村振興交付金を活用し、ワークショップやアンケートを通じた地域の将来像づくり、鳥獣害対策等の農業支援、移住者を増やすための活動等を行っています。

移住者を増やす活動では、東京で行われる移住フェアへの出展や、移住相談会の開催といった広報活動に加え、移住者が入居できる空き家の確保やその整理も行っています。平成29(2017)年度までに20戸の空き家で受入準備を行いました。また、特産のピオーネの栽培等、農業を営みたい人には、農地探しや販路開拓の手伝い、農業研修の受入促進も行っています。

このようなきめ細かな対応が功を奏し、移住者の受入実績は平成27(2015)年度から平成30(2018)年度までの間に16世帯37人となりました。

平成26(2014)年11月のまち・ひと・しごと創生法の施行以降、東京圏から地方への人の流れを更に創出するための取組が推進されています。平成27(2015)年3月には、移住・交流情報ガーデンが東京駅近傍に設置され、一般的な移住相談のほか、専門家を配置して就職や就農についての相談にも対応するとともに、地方公共団体等による移住セミナー等の場として活用されています。平成29(2017)年度には来場者数13,955人、移住候補地等のあっせん件数9,792件と、地方への移住を考える際の手掛かりを提供する場所となっています。

(「関係人口」の裾野の拡大が移住・定住の入り口に)

将来的に移住を希望する者は増えていますが、実際の移住では、家庭環境や生活環境により、様々なステップを経ることが一般的です。このため、その実現に向けては、移住希望者が地域を知る交流の機会を積極的に創出し、将来の移住・定住をより具体的に考えられる仕組みを整えることが重要です。

また、出身地、就学地や勤務地のほか、ボランティア活動を通じて縁のできた地域等、自らの居住地以外で人々が想いを寄せる地域が生まれるきっかけも多様になっています。特定の地域に貢献するため、資金や知恵、労力を提供する取組も積極的に行われ始めています。

これからの地域づくりの担い手として、このような、長期的な定住人口でも短期的な交流人口でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者である「関係人口(*1)」が注目されています(図表3-1-10)。

図表3-1-10 「関係人口」のイメージ

ふるさと納税は、都市住民等と地方公共団体の間に新しい関係を生むことが期待されており、今後、寄附金を活用する施策の明確化等、使い道が評価される取組が望まれます。例えば、北海道上士幌町(かみしほろちょう)では、寄附者のうち移住を希望する者を対象としたツアーが実施されています。また、宮崎県綾町(あやちょう)では、寄附金を、返礼業務のほか、地域の農作業の受託や農産物の販路開拓等を行う拠点の開設に活用しました。

*1 例えば、近傍に居住しながら継続的に故郷の活動に参加し地域住民とともに地域づくりを支えている人、都市部で生活しながらも、ルーツがある地域のコミュニティ活動を担っている人、ルーツはないが、頻繁にその地域に行き来する人、過去にその地域で居住や勤務、滞在した経験から、頻繁に行き来はしないが、何らかの形で地域を応援する人等

(「農地付き空き家」を取得できる環境整備が進展)

農地付き空き家のイメージ

農地付き空き家のイメージ

資料:国土交通省

農村への移住を希望する者の中には、移住後に趣味として農作業を楽しみたい者や、生業として農業に従事したいといった者は少なくありません。また、その中間として、農業以外を本業としつつ、無理のない範囲で農業を行いたい者もいます。移住後に農業をできる環境があることは、農村への移住・定住を進める上で大きな魅力となります。

農地を貸借等する際は、農地法により、一定の下限面積(*1)以上の農地を取得することが必要ですが、同法の特例(*2)により、一定の条件下でこれを引き下げることも可能です。平成30(2018)年10月1日時点で、空き家とセットで農地を取得する場合の下限面積の特例を153市町において定めています(図表3-1-11)。

農村への移住希望者にとって、住宅の確保は、収入の確保とともに大切な課題です。一部の地方公共団体は、空き家等の情報をWebサイト等で発信する空き家・空き地バンクを運営しています。国土交通省は、これらを一元化した「全国版空き家・空き地バンク」を平成30(2018)年度から本格運用しています。ここでは、「農地付き空き家」を検索することも可能となっており、平成29(2017)年度末時点で、204件の「農地付き空き家」が登録されました。また、同省では、農地付き空き家を地域資源として活用するための取組事例や関連制度をまとめた手引き(*3)を公表しました。

図表3-1-11 空き家とセットで農地を取得する場合の下限面積の特例を定めている市町村数(平成30(2018)年10月1日時点)

*1 原則として、都府県で50a、北海道で2ha

*2 農地法施行規則第17条

*3 国土交通省「「農地付き空き家」の手引き」(平成30(2018)年3月)

(3)農村の地域資源を活用した雇用と所得の創出(農村の仕事)

農村に住む人が、やりがいをもって働き、家族を養っていけるだけの収入を確保できるよう、魅力ある就業の機会を創出する必要があります。仕事の創出は、農村への移住・定住を進める上でも、最も重要な課題の一つです。

農村において、農林水産業の振興やその6次産業化(*1)は最大の地方創生策の一つです。同時に、新しい技術や制度、異なる業種や異なる政策の連携を活かした農村における仕事づくりの取組も行われています。

*1 用語の解説3(1)を参照

(地域商社を設立し、農林水産物の販路を拡大する取組が広がる)

農産物や工芸品、サービス等の販路を開拓する地域商社が各地で誕生しています。

株式会社日本政策投資銀行(にっぽんせいさくとうしぎんこう)が平成30(2018)年7月に公表した調査報告では、地域商社は、地域産品の生産段階から流通・販売まで一貫してマーケティングを行う存在であり、「地域で、地域と地域産品のマーケティングを担う地域発の主体・プロジェクト」等と定義されています(図表3-1-12)。また、地域商社は、地域産品を販売し外貨を獲得するだけでなく、市場の情報を地域にもたらすこと等により、地域のビジネスの成長に寄与していくことが期待されます。

地域商社は、都市でビジネスに従事するなどして社会経験を積んだ者等が、マーケティング等農山漁村に不足する能力を補強することで取組を軌道に乗せる例が見られます。

図表3-1-12 地域商社の定義とイメージ

事例:地域の潜在力を持続可能なビジネスに(宮崎県)

宮崎県児湯郡新富町
こゆ財団スタッフの皆さん

こゆ財団スタッフの皆さん

「1粒1,000円のライチ」

「1粒1,000円のライチ」

宮崎県児湯郡新富町(こゆぐんしんとみちょう)は、平成29(2017)年4月、新富町(しんとみちょう)観光協会を法人化した地域商社として、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(以下「こゆ財団」という。)を設立しました。

こゆ財団は、米国のIT企業等での経験がある齋藤潤一(さいとうじゅんいち)さんを代表理事とし、役場からの出向者2人を含む16人(平均年齢35歳)のスタッフから構成されています。町内外からの多様な人材で構成されるこゆ財団では、特産品販売と起業家育成に取り組んでいます。

特産品販売については、希少性の高い国産ライチを、ロゴやパッケージデザインの統一等を通してブランド化し、「1粒1,000円のライチ」として販売するなどして、地域の農業を支援しています。

起業家育成では、「世界一チャレンジしやすいまち」をスローガンに、塾の開講やコワーキングスペースの提供により、地域づくりを担う人材の育成に取り組んでおり、平成29(2017)年度は7人が移住し、企業4社を誘致しました。また、地元の若手農家らと農業研究会を設立し、農業ベンチャーや高等専門学校と連携し、IT・IoT(*)をほ場に導入した実践的な研究を行っています。

齋藤(さいとう)さんは、「ICTにより情報を早く広く伝えられる現代は、小さな組織でも十分に戦える。今後も志が近い人と、経済的にも持続可能な地域づくりの実現に向けて、努力を続けたい」と言います。

* 用語の解説3(2)を参照

(ICTを利用した新しい販路開拓の動きも活発化)

農林水産物の消費者への直売は、従前から様々な民間企業等によって実施されてきました。さらに、近年ではスマートフォン等の携帯情報端末等の普及に伴いICT技術が身近になった結果、より多くの団体や個人農家が、一般的な販売手段として直売を行っています。

これにより、特徴ある農産物を生産し、その品質やそこで生産する意義を伝えたり、消費者とのコミュニケーションやつながりを構築することで、条件不利地域の農業者がニッチな市場をつかむことも可能となることから、その重要性が増しつつあります。

(旅客鉄道や高速バスで農産物を輸送する試みも増加)

新幹線で東京駅に運ばれた農産物の搬出

新幹線で東京駅に
運ばれた農産物の
搬出

資料:東日本旅客

鉄道株式会社

近年、旅客車両に少量の貨物を載せ、地域の農産物を都市部に送る試みが増えています。

東日本旅客鉄道(ひがしにほんりょかくてつどう)株式会社は、平成29(2017)年度から、管内の各地域から新幹線で直送した野菜や果物を中心に販売する産直市を東京駅等で不定期開催しています。平成30(2018)年11月には、日本郵便(にっぽんゆうびん)株式会社と連携し、同社が仙台(せんだい)駅まで輸送した宮城県山元町(やまもとちょう)の朝採れいちご等を新幹線で運び、東京駅で即日販売する取組を試行しました。

高速バス等の路線バスで少量(*1)の農産物を運ぶ取組も始まっています。近年、全国39都府県を結ぶ高速バスの停留所が集約されているバスタ新宿(しんじゅく)(*2)を活用し、茨城県、千葉県、山梨県等の農林水産物を高速バスで届けて周辺で即日販売する取組が行われています。

このような取組は、旅客の安全な運送が前提ですが、少量生産の伝統野菜等、大量輸送に向かない農産物を、新鮮なまま低コストで輸送し、新しい販路を作るものとして注目されています。

また、旅客車両で貨物を運ぶ等の「貨客混載」をより行いやすい環境が、許可の運用の見直し(*3)等を通して整えられました。

*1 乗合バス事業者は、旅客の運送に付随して、少量の貨物を運送することが可能(道路運送法82条)

*2 平成28(2016)年4月開業。正式名称は新宿南口交通ターミナル

*3 国土交通省は、平成29(2017)年8月7日付自動車局長通知により、旅客自動車運送事業及び貨物自動車運送事業の両事業の許可を取得した場合には、乗合バスについては全国で、バス、タクシー、トラックについては過疎地域において、一定の条件の下で事業の「かけもち」を行うことができるよう措置を実施(平成29(2017)年9月1日から運用開始)。

(4)住み続けられる地域への挑戦(農村の暮らし)

農村の生活の課題を解決するための取組が、地域住民同士の共助を中心に、様々な主体の力により行われています。また、ICT等の新しい技術やシェアリングの仕組みを活用して地域の生活を支えていくことも期待されています。

(「小さな拠点」を中心に地域の生活圏を再構築する活動が広がる)

政府は、各種生活サービス機能を集約・確保したり、地域に仕事や収入を確保したりする「小さな拠点」を中心に、地域住民が主体となり地方公共団体等と協力・役割分担しながら地域の生活を支える様々な取組を推進しています。まち・ひと・しごと創生法に基づく市町村版総合戦略に位置付けられた「小さな拠点」は、平成30(2018)年5月末時点で1,069か所となりました。

そのうち84%においては、住民主体の「地域運営組織」が設立され、地域の祭りや公的施設の運営、広報誌の作成のほか、体験交流や特産品の加工・販売といった6次産業化(*1)、高齢者等の見守り、買物支援、コミュニティバスの運行等、様々な取組が行われています(図表3-1-13)。

図表3-1-13 小さな拠点における地域運営組織の活動内容(複数回答)

*1 用語の解説3(1)を参照

(ICTやシェアリングの仕組みを活用して生活の足の確保等の地域活動を効率化)

配車アプリを用いた公共交通空白地有償運送

配車アプリを用いた
公共交通空白地有償運送

資料:特定非営利活動法人「気張る!

ふるさと丹後町」

生活サービスの提供についても、ICTやシェアリングの仕組みを活用して効率化できる余地があります。

京都府京丹後市丹後町(きょうたんごしたんごちょう)の特定非営利活動法人「気張(きば)る!ふるさと丹後町(たんごちょう)」は、高齢化の進行やタクシーの撤退により、住民の生活の足の確保が問題となっていたことから、市から受託している予約制のバスの運行に加えて、平成28(2016)年5月から、登録された住民ボランティアが自家用車で地域住民等を運ぶ公共交通空白地有償運送(*1)を行っています。

同法人は、公共交通空白地有償運送の実施に当たり、スマートフォン等で利用する民間(*2)の配車アプリを導入しました。これにより、利用者とドライバーのマッチングが自動で行われ、配車希望の受付、運行可能なドライバーの探索といった運行管理を効率化しました。また、高齢者のニーズを踏まえて、代理人による配車や現金支払も可能としています。利用者の多くは地元住民ですが、多言語に対応しているアプリを活用したことで、訪日外国人旅行者を含む観光客等にも利用されています。

公道における自動車の自動運転やドローンによる郵便物等の輸送の実証実験は、中山間地域や離島を中心に行われていますが、人口規模が少なく十分な人件費を確保できない農山漁村においても、このような省力化技術の導入が期待されます。

このように、農村の課題解決にはICT等の活用が期待されており、農林水産省では、平成30(2018)年度、ICTを活用し定住条件の強化に取り組む優良事例について事例集を作成し、ホームページ上に公表するなど、横展開を図っています。

また、日本郵便(にっぽんゆうびん)株式会社と東日本旅客鉄道(ひがしにほんりょかくてつどう)株式会社は、平成30(2018)年6月、郵便局と駅の機能の連携等を内容とする協定(*3)を結びました。この中では、地方における郵便局舎の駅舎内への移転等による窓口業務の一体運営も検討されています。

このような地域の生活インフラのシェアリングは、人口規模とそれに伴う需要規模の小さな地域ならではの仕組みづくりとしても期待されます。

*1 道路運送法第78条第2項に基づく自家用有償旅客運送のうち、同法施行規則第49条第1項第2号に基づく公共交通空白地有償運送

*2 Uber Japan株式会社

*3 日本郵便株式会社、東日本旅客鉄道株式会社「日本郵便とJR東日本の地域・社会の活性化に関する協定の締結」(平成30(2018)年6月12日公表)

事例:食・農・福祉の小さな経済循環を目指す地域づくり(島根県)

島根県益田市
保育所等に利用されている野菜の生産者

保育所等に利用されている野菜の
生産者

島根県益田市真砂(ますだしまさご)地区は人口370人、高齢化率56%、市街地から15kmほどの中山間地域です。

商店の閉鎖で高齢者の買物が不自由となるとともに介護施設への入所が顕在化してきたこと、地域の主産業である農業の担い手不足等による地域力の低下が大きな課題となってきました。

これらの課題を解決していくため、平成23(2011)年度から「食と農と福祉」をキーワードに地域で活躍している地域商社と、将来、真砂(まさご)地区を担う子供たちを公民館活動に取り込む「農から食育」活動を開始し、野菜の生産から販売までを自分たちで担う6次産業化(*1)により、地域内経済の循環を目指しました。

この取組は主に女性農業者が主体となって始め、市内4保育所の給食食材やレストランの食材として納入しています。現在では男性農業者による市内大型店の地産地消(*2)コーナーでの販売等も手掛けています。園児の健全育成支援はもとより農業者の生きがいづくりにも貢献しています。

これら一連の取組は公民館が主体となってサポートしています。平成28(2016)年度からは、このような活動をまとめるために設立した地域自治組織「ときめきの里 真砂(まさご)」と公民館が連携し、活動に必要な情報交換等を行うことで地域運営がスムーズに動き出しています。また、益田市(ますだし)が導入したクラウドシステムを活用することで地域運営の効率化を図っています。

*1、2 用語の解説3(1)を参照



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