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農林水産省

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第5節 鳥獣被害への対応


野生鳥獣をめぐっては、生息数の増加等により深刻な農作物被害が全国的に発生しており、また、車両との衝突事故や住宅地への進入等の被害も発生しています。このような中、市町村を中心に対策が進められており、農林水産省は、農林水産物への被害防止の観点から様々な支援を実施しています。

(1)鳥獣被害の現状と対策

(野生鳥獣による農作物被害額は5年連続で減少)

図表3-5-1 野生鳥獣による農作物被害額

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平成29(2017)年度の野生鳥獣による農作物被害額は164億円で、被害の内訳を見ると、7割がシカ、イノシシ、サルによるものとなっており、また、都道府県別では被害額が大きい順に北海道、福岡県、茨城県となっています。

鳥獣被害防止特措法(*1)が施行されて以降、市町村を中心として被害防止に向けた取組が進められ、野生鳥獣による農作物被害額は5年連続で減少しています(図表3-5-1)。しかしながら、野生鳥獣による被害は営農意欲の減退や耕作放棄の要因ともなっており、これが更なる被害を招く悪循環を生じさせていることから、直接的に被害額として数字に現れる以上に農山漁村に深刻な影響を及ぼしています。

*1 正式名称は「鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律」

(鳥獣被害防止特措法が施行され、市町村が中心となり鳥獣被害対策を展開)

図表3-5-2 鳥獣被害防止計画の策定と鳥獣被害対策実施隊の設置の状況

野生鳥獣による農作物被害の防止に向けては、平成20(2008)年2月に施行された鳥獣被害防止特措法に基づき、現場に最も近い行政機関である市町村が中心となり、鳥獣被害防止計画の策定や鳥獣被害対策実施隊の設置等の対策を進めています。鳥獣被害対策実施隊は市町村職員や農業者、猟友会会員等で構成され、捕獲活動や追い払い、侵入防止柵の設置、農業者への指導・助言等を実施しています。

平成30(2018)年4月末時点で、1,479市町村が鳥獣被害防止計画を策定し、そのうち1,183市町村が鳥獣被害対策実施隊を設置しています(図表3-5-2)。農林水産省は令和2(2020)年度までに鳥獣被害対策実施隊の設置市町村数を1,200にする目標を掲げており、鳥獣被害対策実施隊を設置した際に受けることができる、狩猟税の軽減措置、猟銃所持許可の更新等における技能講習の免除等の優遇措置について周知を図っています。また、鳥獣被害対策実施隊の活動をより効率的に実施していくためには、地域の被害の実態に合った計画の立案、現場の人材育成、NPO法人等の地域の組織との連携等が重要となります。

このような中、農林水産省では、鳥獣被害対策実施隊を中心とした地域ぐるみの取組を推進するため、鳥獣被害防止総合対策交付金による侵入防止柵の設置、わなの購入、人材育成のための研修等のほか、鳥獣被害防止マニュアルの公開や優良事例の紹介等、様々な方向から支援を行っています。

(シカ、イノシシの捕獲頭数は増加傾向で推移)

平成25(2013)年に環境省と農林水産省が策定した「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」では、令和5(2023)年度までに、シカ、イノシシの個体数を平成23(2011)年度と比べ半減させる目標が掲げられています。

現場の取組により、シカ、イノシシの捕獲頭数は増加傾向で推移しており、平成29(2017)年度では、シカ61万頭、イノシシ55万頭となっています(図表3-5-3)。また、平成26(2014)年度以降は、シカ、イノシシの推定個体数が減少傾向を示しています(図表3-5-4)。

図表3-5-3 シカ、イノシシの捕獲頭数

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図表3-5-4 シカ、イノシシの推定個体数

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(捕獲の強化に向けて、ICT等を用いた捕獲技術の高度化を推進)

平成28(2016)年度の推定個体数は、シカ、イノシシともにピーク時に比べると減少していますが、目標(*1)達成のためには、更なる捕獲の強化が必要であり、農林水産省では、ICTを用いた捕獲技術の高度化等を一層進めることとしています。

平成30(2018)年4月末時点で鳥獣被害対策にICTを導入している市町村は、鳥獣被害防止計画を策定している1,479市町村の2割に当たる346市町村、今後、ICT利用に取り組む意向のある市町村は168市町村となっています(*2)。

大型ICT箱わな

大型ICT箱わな

生態把握のために設置されたセンサー

生態把握のために設置されたセンサー

また、総務省が実施した調査によると、捕獲数の増加等の捕獲に係る効果では66.7%、わなの見回り負担の軽減については86.2%の市町村が、ICT機器の導入による効果があると回答しています(図表3-5-5)。一方で、導入に至っていない市町村に対し、その理由を尋ねた設問では、機器が高額、製品の情報が十分に得られないなどの回答がありました。このため、農林水産省では、ICT機器の導入に鳥獣被害防止総合対策交付金が活用できることや、ICT機器の活用方法について、動画を配信するなどして、情報発信を行っています。あわせて、出口対策として、捕獲した鳥獣のジビエ利用拡大に向けた取組を推進しています。

図表3-5-5 鳥獣被害対策に関する実態調査結果(ICT機器導入の効果)

*1 環境省、農林水産省が策定した「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」で掲げられている、令和5(2023)年度までにシカ、イノシシの個体数を平成23(2011)年度と比べ半減させる目標

*2 農林水産省調べ

事例:鳥獣対策を通じた地域の担い手育成(熊本県)

熊本県宇城市
講習会の様子

講習会の様子

熊本県宇城市(うきし)の宮川将人(みやがわまさひと)さんは、地域におけるイノシシ被害が深刻であることを知り、また、猟師や行政に頼るばかりではなく農家自身が取り組む必要があると考え、農家による自衛組織「くまもと☆農家ハンター」を立ち上げました。参加する農家は約100名で、その全員がイノシシ対策の担い手として活動しており、また、防除活動を通じて地域の担い手育成を進める観点から、年齢層は25歳から40歳となっています。

「くまもと☆農家ハンター」では、農作物を返礼品とするクラウドファンディングで対策に必要な資金を調達し、ICTを活用した箱わなによる捕獲を進めています。また、地域と畑を守る取組として、捕獲のみならず、防護柵の設置や講習会の開催等の活動も実施しています。さらに、経験豊富な猟師から得た技術や知見をマニュアル化し、クラウド上でメンバーに共有しています。

代表の宮川(みやがわ)さんは、全国に活動が広がるように仲間と応援してもらう人を増やすこと、SNSでの情報発信やICTの活用を積極的に行っていくことを通じて、これからの農村をけん引していくリーダーを育成したいと考えています。

(2)消費が広がるジビエ

トピックス3を参照



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