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農林水産省

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第7節 都市農業の振興


我が国の都市やその周辺の地域における農業(以下「都市農業」という。)は、新鮮な農産物の供給、災害時の防災空間の確保、国土・環境の保全等、多様な役割を有しています。

(農産物の供給、農業体験・学習の場の提供等、多様な役割を有する都市農業)

図表3-7-1 都市住民の都市農業・都市農地の保全に対する考え方

都市農業は、都市という消費地に近接している特徴を活かした新鮮な農産物の供給はもとより、農業体験の場や災害時の避難場所の提供、住民生活への安らぎをもたらす等の多様な機能を有しています。

都市住民を対象にした調査では、73.1%が都市農業・都市農地を残していくべきと回答しています(図表3-7-1)。

このような中、平成27(2015)年4月に施行された都市農業振興基本法に基づき平成28(2016)年5月に閣議決定された「都市農業振興基本計画」では、従来、「宅地化すべきもの」とされていた都市農地の位置付けを、都市に「あるべきもの」へと大きく転換しました。

国産農産物の消費拡大を図り、農業の持続的発展を実現していくためには、国民による農業への理解が欠かせません。人口の7割が集中する都市部において、都市住民が、身近に存在する都市農業を通じて、農業が育んできた歴史・文化に触れることは、農業や農業政策に対する理解の醸成につながることが期待されます。

(生産緑地の有効活用と保全に向けて整備された一連の法令が施行)

都市農地の中核となる市街化区域内の農地面積は、平成29(2017)年時点で、我が国農地の1.6%に相当する6.9万haとなっています(図表3-7-2)。また、宅地需要等に応じて転用が進み、市街化区域内の農地の減少が続く中で、生産緑地地区に指定された農地はほぼ維持されています。

生産緑地制度(*1)をめぐっては、平成30(2018)年4月までに改正された生産緑地法により、生産緑地地区の下限面積をこれまでの一律500m2から、市町村が条例により300m2まで引き下げることを可能とし、併せて都市計画運用指針の見直しにより、同一又は隣接する街区内の複数の農地を一団の農地として生産緑地地区に指定できるようになりました。この法改正を受け、条例制定により下限面積を緩和した市区町村は、平成31(2019)年1月末時点で70市区町村となっています。

図表3-7-2 市街化区域内農地面積

データ(エクセル:28KB / CSV:2KB

生産緑地は、生産緑地地区の指定から30年を経過すると市町村に買取り申出ができるようになり、令和4(2022)年には当該農地の8割が指定後30年を迎えます。引き続き農地を保全するため、改正後の生産緑地法に基づき、生産緑地地区の都市計画の告示日から30年が経過しようとする生産緑地を市町村が所有者等の同意を得て特定生産緑地に指定すると、買取り申出が可能となる時期が10年延期される特定生産緑地制度が平成30(2018)年4月に新設されました(*2)。これを受け、例えば東京都町田市(まちだし)では、農協と「町田市(まちだし)内の都市農地の保全に関する連携協定」を締結し、連携して説明会の開催、土地所有者への通知、都市農地貸借のサポートを行っています。

また、生産緑地地区内における施設設置の要望を踏まえ、農業の安定的な継続に資する直売所や農家レストラン等を生産緑地地区内に設置できるようになり、安定的な収益を得る都市農業の実現に向けた取組が期待されます。

*1 良好な都市環境の形成を図るため、農林漁業との調整を図りつつ、都市部の農地の計画的な保全を図る制度

*2 生産緑地指定から30年経過する前に申請が必要。なお、生産緑地指定から30年経過の前に特定生産緑地に指定したとしても、制度の更新は令和4(2022)年からであり、指定期間が短縮されることはない。

(都市農地の貸借の円滑化に関する法律の施行とともに税制措置を実施)

都市農業における従事者の高齢化が進行する中、農地所有者のみでは都市農地を有効に活用することが困難となっている状況が生じており、意欲ある都市農業者等にその活用を促すため、都市農地の貸借が円滑に行われる仕組みが必要となっていました。このため、市町村長の認定(*1)の下で行われる生産緑地地区の農地の貸借をしやすくする「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」(以下「都市農地貸借法」という。)が平成30(2018)年9月に施行されました。

これにより、農地所有者と意欲ある農家の間で生産緑地地区の農地の貸借を安心して行えるようになるとともに、農地を所有していない者が、所有者から直接生産緑地地区の農地を借りて市民農園を開設する「特定都市農地貸付け」が創設され、企業やNPO(*2)が市民農園を開設することも容易になりました。

また、平成30(2018)年4月には、地方税法が改正され、特定生産緑地に指定された農地について固定資産税の軽減措置が継続されることになりました。同年9月には、都市農地貸借法の成立が前提であった、租税特別措置法の改正も行われ、生産緑地地区の農地を貸借した場合における相続税の納税猶予制度の適用が継続されるようになりました(図表3-7-3)。

これらの措置により、特定生産緑地の指定を選択しやすくなることに加え、市街化区域内に農地を所有しつつも従来は生産緑地の指定の申請を控えていた人の農地における生産緑地の追加指定が促進され、より安定的な都市農地の保全につながることが期待されます。

図表3-7-3 法改正後の市街化区域内の農地における税制措置

*1 生産物の一定割合を地元直売所等で販売する、都市住民に農作業体験を提供する、防災協力農地とする協定を市町村と締結するといった取組を行うと認められ、かつ、周辺の生活環境と調和のとれた農地利用を行うこと等の一定の要件を満たすことで認定

*2 用語の解説3(2)を参照

事例:農地を借りて体験農園を拡大(東京都)

東京都練馬区
「イガさんの畑」で農作業体験をする人

「イガさんの畑」で
農作業体験をする人

東京都練馬区(ねりまく)の五十嵐透(いがらしとおる)さんは、平成11(1999)年から、農業体験農園「イガさんの畑」を開園しています。

農園の利用者は、1区画30m2を使い、年間を通して20種類程度の野菜の種まき・苗植えから収穫までを行います。栽培の計画の作成や指導は五十嵐(いがらし)さんが行います。近年の利用者には小さな子のいる家族が多くなっており、利用者募集時の応募倍率は2倍程度となっています。

このような中で、都市農地貸借法が施行され、農地を借り、経営面積を広げやすくなりました。隣接する農地を所有する農業者が高齢化して農地の維持に苦慮していたこともあり、五十嵐(いがらし)さんは、このうち6aを借り受けて、体験農園の区画数を増やすことにしました。

五十嵐(いがらし)さんは、「農業体験農園の魅力は消費者である利用者と農家との距離が近く、獲れた野菜がおいしかったなどの声を直接聞けることにあり、借り受けた農地も活用して、より多くの人に農業に親しんでほしい」と考えています。



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