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農林水産省

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第2節 熊本地震からの復旧・復興


平成28(2016)年4月に発生した熊本地震では、熊本県を中心とする九州各県で大きな被害が生じました。熊本県では、「平成28年熊本地震からの復旧・復興プラン」と主な取組のロードマップに基づき着実に復旧・復興を進めています。

(令和元年の営農再開100%完了を目標に)

図表4-2-1 農林水産関係の被害状況

熊本地震による農林水産関係の被害額は1,773億円であり、このうち農業関係の被害額は1,299億円となりました(図表4-2-1)。熊本県では平成28(2016)年8月に、令和元(2019)年度までの復旧・復興の道筋を示す「平成28年熊本地震からの復旧・復興プラン」と、主な取組のロードマップをまとめました。平成29(2017)年3月には、28項目から成るロードマップの中から重点的に進捗の把握を行い、復旧・復興全体の進捗を加速化させるため、10項目を選定しました。これらの重点10項目は、将来の姿を明確に描き、そこに至るまでの過程を含め、随時、進捗状況を公表しています。農林水産分野では、農地及び営農施設の復旧による令和元(2019)年の営農再開100%完了を目標として掲げ、取組を推進しています。営農再開を目指す農家は15,503戸となっていますが、営農施設や農地等の復旧が進展し、平成30(2018)年度末時点で99.7%が営農を再開しています。

事例:被災牛舎をフリーバーン牛舎へ、地域全体で営農再開(熊本県)

熊本県西原村
機械化された新牛舎

機械化された新牛舎

熊本県西原村(にしはらむら)の山田政晴(やまだまさはる)さんは、経産牛90頭の牧場、牛乳加工・直売と農家レストランを経営しています。熊本地震では、牛舎2棟の倒壊、搾乳ロボットの損傷、乳用牛3頭が死亡するなど大きな被害を受けました。その後、被災農業者向け経営体育成支援事業を活用しフリーバーン牛舎を2棟建設し、その他事業を活用し搾乳ロボットと哺乳ロボットを導入したことで、機械化が進みました。

また、山田(やまだ)さんは西阿蘇(にしあそ)酪農業協同組合の組合長をしています。熊本地震により牛舎が倒壊するなど甚大な被害を受けた西原村(にしはらむら)では、一時は廃業を考えた組合員も多くいましたが、被災農業者向け経営体育成支援事業により牛舎の再生を最優先したことで、酪農家の営農再開が進みました。また、新施設建設に伴い規模を拡大し乳牛を増頭した酪農家もおり、震災後には3人が新規就農しました。山田(やまだ)さんは、「震災前の状況に戻すだけではなく、地域として更なる生産体制を目指したい」と語り、熊本県の進める営農再開100%と創造的な復興を成し遂げようとしています。

事例:震災を機に乾燥調製施設を再編整備(熊本県)

熊本県西原村

*宇城市(うきし)ほか3市町
の全部又は一部

新設された富合城南広域カントリーエレベーター

新設された富合城南(とみあいじょうなん)
広域カントリーエレベーター

熊本宇城(くまもとうき)農業協同組合では、6か所のライスセンターにおいて米麦の乾燥調製を行っていましたが、熊本地震で被災しました。施設の老朽化が進んでいたことも踏まえ、3か所を解体・撤去し、カントリーエレベーターを新設し4か所とする再編整備を行いました。

再編前のライスセンターでは、米、麦、飼料用米、大豆と併用で行っていましたが、再編後はそれぞれ大豆専用、飼料用米専用、米麦用と機能を特化することにより、整備コストやランニングコストの削減、農家負担の軽減、地域の規格の統一と高品質化を図ることが可能となりました。また、処理量は、米3,600t、麦2,800tと県内では最大級です。平成30(2018)年5月から、同農協管内の下北(しもきた)地区に新設された富合城南(とみあいじょうなん)広域カントリーエレベーターの稼働が始まりました。連日平均280tの小麦が処理されており、生産者の待ち時間が短縮され、生産性向上につながっています。

同農協では、「今後、高齢化が進み農家数の減少が予想されることから、所得向上や担い手の育成等に取り組み、農家数の減少、農地の減少に歯止めをかけ、農地を守っていきたい」と考えています。

(秋津・阿蘇谷・乙ヶ瀬3地区で創造的復興が進展)

農地では、亀裂、沈下、法面(のりめん)崩壊等の被害が11,172か所で、ため池、農道、用排水路等の農業用施設では、破損等の被害が4,970か所で発生しました(*1)。

熊本県では、大規模な地表面の亀裂やずれによる被害が発生した農地や農業用施設について、創造的復興の取組として、単に元の姿に戻すだけでなく、大区画化と併せた農地集積を図る基盤整備事業を行っています。具体的には、熊本市(くまもとし)と益城町(ましきまち)にまたがる秋津(あきつ)地区、阿蘇市(あそし)の阿蘇谷(あそだに)地区、南阿蘇村(みなみあそむら)の乙ヶ瀬(おとがせ)地区の3地区を対象に復旧・復興を進めています(図表4-2-2)。秋津(あきつ)地区では、平成30(2018)年度までに農地の約8割の工事が完了し、順次営農を再開しています。阿蘇谷(あそだに)地区では、平成30(2018)年5月から基盤整備等が完了した農地において、順次営農が再開しています。乙ヶ瀬(おとがせ)地区では、平成29(2017)年10月に土地改良法の手続が完了し、平成30(2018)年10月から工事が始まりました。

また、熊本地震により大切畑(おおきりはた)ため池(通称、大切畑(おおきりはた)ダム)とパイプラインが被災し、周辺の農家では農業用水を安定的に確保できない状態が続いています。このような事態を受け、熊本県では益城町(ましきまち)の2か所に深井戸ポンプを設置し、暫定的に用水を確保しています。平成29(2017)年7月には、学識経験者等で構成された「大切畑ダム(ため池)技術検討委員会」が設置され、令和元(2019)年度に堤体工事に着手し、令和5(2023)年までの5年間で工事完了を目指すこととしています。

図表4-2-2 秋津・阿蘇谷・乙ヶ瀬の復旧状況
新設された富合城南広域カントリーエレベーター

阿蘇谷(あそだに)地区の地震による地割れ

矢印
阿蘇谷地区における水稲作付けの再開(平成30(2018)年6月)

阿蘇谷(あそだに)地区における水稲作付けの再開
(平成30(2018)年6月)

*1 熊本県「平成28年熊本地震による農林水産関係被害」(平成30(2018)年3月13日公表)



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