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農林水産省

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トピックス1 農林水産物・食品の輸出の新たな戦略



政府の輸出額目標である令和7(2025)年に2兆円、令和12(2030)年までに5兆円を達成するため、令和2(2020)年12月に農林水産業・地域の活力創造本部において、「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を決定し、海外市場で求められる量・価格・品質・規格の産品を継続的に生産・販売するマーケットインの体制を整備することとしました。以下では、輸出戦略で示された3つの基本的な考え方と具体的な施策について紹介します。

(第1の戦略:日本の強みを最大限に活かす品目別の具体的目標を設定)

農林水産物・食品の輸出が多い先進国では、その国が強みを持つ品目を輸出向けに専門的・継続的に生産・輸出する体制を整備しています。一方、日本の輸出品目は多岐にわたり、それぞれの輸出額は小さくなっています。これは、これまでの日本の農林水産物・食品の輸出が「国内市場向け産品の余剰品を輸出する」事業にとどまり、マーケットインによる輸出の体制が整備されていないためです。今後の輸出拡大に当たっては、海外で評価される日本の強みがある品目を中心に輸出を加速させる必要があります。

そのため、海外で評価される日本の強みがあり、輸出拡大余地の大きい27品目を重点品目に選定しました(図表トピ1-1)。これらの品目について、主として輸出向けの生産を行う輸出産地をリスト化し、1,227産地(*1)を掲載しています。

図表トピ1-1 輸出重点品目

また、重点品目ごとに、海外の市場動向や輸出環境等を踏まえ、輸出拡大を重点的に目指すターゲット国・地域を特定し、ターゲット国・地域ごとの輸出目標を設定しました(図表トピ1-2)。さらに、官民一体となった海外での販売力の強化のため、重点品目ごとに品目団体又は生産・流通・輸出事業者等が連携したコンソーシアムを組織化することとしています。品目団体等が主体となって、輸出先の情報収集、販売戦略づくり等に取り組むこととしています。

図表トピ1-2 品目別輸出目標の例

*1 令和3(2021)年4月1日時点

(第2の戦略:マーケットインの発想で輸出にチャレンジする農林水産事業者を後押し)

輸出のマーケットインへの転換のためには、リスクを取って輸出向け産品の生産・輸出にチャレンジする事業者が不可欠です。そのため、海外の規制やニーズに対応した輸出に取り組む事業者や産地に対し、重点的な支援・環境整備を行うことが重要です。

これまでの支援に加え、輸出に取り組む事業者への資金の供給を後押しするため、「農業法人に対する投資の円滑化に関する特別措置法の一部を改正する法律案」を国会に提出しました。また、専門的・継続的に、輸出向けの生産を行う輸出産地をリスト化し、輸出産地の形成に必要な施設整備等を重点的に支援することとしました。さらに、大ロットで高品質、効率的な輸出を後押しするため、港湾や空港の具体的な利活用の方策、輸出のための集荷等の拠点となる物流施設の整備・活用、海外におけるコールドチェーンの拠点整備・確保の方策等について検討することとしています。

(第3の戦略:省庁の垣根を越え政府一体としての輸出の障害を克服)

輸出加速を支える政府一体としての体制の整備の一つとして、輸出先国・地域の規制緩和・撤廃に向け、農林水産物・食品輸出本部の下、政府一体となって協議することとしています。また、輸出先国・地域の規制やニーズに対応するため、HACCP(*1)対応施設等の整備といった加工食品等への支援も重要で、適合施設の認定を迅速に行うこととしています。そして、生産・加工・販売等の関連事業の海外展開が我が国のノウハウ等の流出につながらないよう、我が国の農林水産業・食品産業の利益となる海外展開の推進方策について検討するほか、海外での品種登録や改正種苗法(トピックス6参照)に基づく輸出先国・地域の指定等を行う品種数等の数値目標を設定することとしています。

さらに、上記の戦略を実行するため、農林水産省に「輸出・国際局」(仮称)の設置を予定しており、今後、同局を中心として、輸出関連施策を政府一体となって実施します。

第1章第4節を参照

*1 用語の解説3(2)を参照



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