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農林水産省

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(1)食料消費面での影響と新たな動き ア 食料消費への影響


令和2(2020)年2月以降、学校の休校や外出自粛、インバウンド需要の減少等により、外食事業者を始め、関連産業に大きな影響が発生しています。

感染症が拡大するにつれ、外出自粛に伴う家庭内消費が増加し、一時的に米やパスタ、冷凍食品等の品目がスーパーで欠品又は品薄になりましたが、食品製造事業者の生産継続や、流通事業者の休日配送等により、食料は安定的に供給されました。

(外食への支出が大きく減少、生鮮食品への支出が増加)

令和2(2020)年以降の食料消費支出額を見ると、令和元(2019)年と比べ、令和2(2020)年3月以降は外食への支出額が大きく減少する一方、生鮮食品への支出額は増加し、高止まりしています(図表 特-1)。令和3(2021)年1月に緊急事態宣言が再度発出され、回復の兆しが見えた外食への支出額は再び大きく減少しました。

図表 特-1 1人1か月当たりの食料消費支出額の推移

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(外食産業の売上げが大幅に減少)

一般社団法人日本フードサービス協会の調査によれば、令和2(2020)年の外食産業全体の売上高は前年と比べ15.1%減となり、平成6(1994)年の調査開始以来最大の下げ幅となりました。テイクアウト・デリバリー需要に支えられたファストフードは3.7%減と踏みとどまった一方、パブレストラン・居酒屋では49.5%減と大きなダメージを受けました。

月ごとの推移を見ると、令和2(2020)年5月以降は、緊急事態宣言の解除により全ての業態で売上げは回復し、同年11月の外食産業全体の売上高は前年同月比で9割強まで回復しましたが、その後の新型コロナウイルス感染症の再拡大を受けて再び減少しました。令和3(2021)年1月に緊急事態宣言が再度発出され、同年2月の外食産業全体の売上高は前年同月比で77.7%となりました(図表 特-2)。

図表 特-2 外食産業における業態別売上高の推移(前年同月比)

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図表 特-3 新型コロナウイルス関連倒産数(業種別件数上位)

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また、株式会社帝国(ていこく)データバンクが令和3(2021)年3月に公表した調査によると、「新型コロナウイルス関連倒産」の件数は全国で1,237件にのぼり、業種別では、「飲食店」が205件で最も多く、「食品卸」も62件と全体で5番目に多くなっています。外食産業の売上げの減少により、関連する食品卸にも影響が波及していると考えられます(図表 特-3)。

(インバウンド需要は大幅に減少)

図表 特-4 訪日外国人旅行者数

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日本政府観光局(JNTO)の調査によれば、令和2(2020)年の訪日外国人旅行者数は、外国との往来規制により前年比で9割弱減少し、412万人となりました(図表 特-4)。これにより、訪日外国人旅行者の旅行消費額も同程度減少していると考えられます。

(長期保存が可能な加工品等の消費が増加)

令和2(2020)年3月以降、長期保存が可能な米、パスタ、小麦粉、バター、冷凍調理食品等の加工品や生鮮肉等の生鮮品への支出額が増加しています(図表 特-5)。

図表 特-5 主な品目別の1人1か月当たりの支出額(前年同月を100とする指数)

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米については、内閣府が令和2(2020)年9月に実施した世論調査によると、新型コロナウイルス感染症発生前と比べ米の消費が「増加した」と答えた者が全体の約2割(「変わらない」が約8割)で、年齢別に見ると、「増加した」と答えた者の割合は30歳代、50歳代で高くなっています(図表 特-6)。

図表 特-6 新型コロナウイルス感染症発生前後の米の消費の変化

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また、令和2(2020)年3月以降、納豆、ヨーグルト等の発酵食品や緑黄色野菜への支出額も前年同月と比べ増加しています(図表 特-7)。これは消費者の健康志向の高まりが一因と考えられます。

図表 特-7 発酵食品や緑黄色野菜の1人1か月当たりの支出額(前年同月を100とする指数)

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(自宅での食事・料理機会が増加)

生鮮食品への支出額が増加した要因としては、自宅での料理機会の増加が考えられます。

株式会社マクロミルが令和2(2020)年7月に公表した調査によれば、外出自粛やテレワークの浸透に伴い、自宅での食事機会が増えたと回答した人、料理機会が増えたと回答した人は、それぞれ5割程度となっています(図表 特-8)。

また、農林水産省が令和2(2020)年12月に実施した調査でも、自宅で食事する回数が増えたと回答した人は4割弱、料理する回数が増えたと回答した人は3割弱となり、自宅内での食事、料理機会の増加傾向が継続していることがうかがえます(図表 特-9)。

図表 特-8 自宅における食事及び料理の頻度

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図表 特-9 自宅における食事及び料理の頻度

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(食品スーパーの売上高は増加)

家庭における料理機会の増加に伴い、食品スーパーの売上高は増加しています。

スーパーマーケット業界3団体合同の調査によると、令和2(2020)年2月以降、食品全体の売上高は前年同月と比べ増加しています。特に生鮮3部門(青果、水産、畜産)の売上高が増加しており、令和2(2020)年5月には前年同月と比べ2割程度増加し、6月以降も例年より高い水準で推移しています(図表 特-10)。

図表 特-10 食品スーパーの売上高(前年同月比)

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(1回の買物で食料品をまとめ買いする消費者が増加)

スーパーマーケット業界3団体合同の動向調査によると、令和2(2020)年4月以降、スーパーマーケットの来客数は減少する一方、客単価は、前年同月比で2~3割程度増加して推移しています(図表 特-11)。外出自粛に伴い、スーパーマーケットへの来店は、回数を減らし、1回の買物で食料品をまとめ買いする消費者が増加したためと考えられます。

図表 特-11 スーパーマーケットの来客数DIと客単価DI

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(インターネット通信販売での食料消費が増加)

令和2(2020)年3月以降、インターネットによる通信販売での食料支出額が増えています(図表 特-12)。同年5月には前年同月比で8割増加し、その後も前年同月比で5~7割程度増加して推移しています。

年齢別に見ると、29歳以下での利用が最も多いものの、60歳代以上の高齢者層も含め、全ての年齢層において前年と比べ支出額が増加しています(図表 特-13)。

図表 特-12 インターネットによる通信販売での食料支出額

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図表 特-13 インターネットによる通信販売での食料支出額(年齢別)

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(コラム)調理器具の購入額変化

自宅での料理機会の増加により調理器具への支出も増加しています。令和2(2020)年における1人1か月当たりの包丁やまな板を含む台所用品への支出額は前年に比べて約1割増加しています。また、調理家電の需要が増加しており、令和2(2020)年におけるホットプレート及びトースターの国内出荷額は、前年比でそれぞれ4割増加、2割増加となりました。

1人1か月当たりの「他の台所用品」への支出額

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調理家電の国内出荷額

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