2.稲を育てる集団【第2章「農」の発生】
彼らは山の中の森には住みません。平野を流れている川や湖の近くにムラをつくって暮らしています。ムラの周囲を濠(ほり)や木の柵で囲い、物見台や倉庫のような高い建物も持っています。そして、近くの湿地帯(水でベタベタした土地)では、なにやら見たこともない植物を皆で大量に育てています。その植物は春にタネをまくと、秋には何万という黄金色の粒を実らせます。彼らはそれを刈り取って乾すと、実だけをもぎ取って倉庫の中に運び入れます。倉庫の中には、昨年刈り取ったものでしょうか、たくさんの粒が袋に入れて保存してあり、彼らは毎日、それを土器で煮て食べているのです。
もうお分かりですね。そうです、お米です。その集団は稲を栽培して暮らしていたのです。もちろん獲物をしとめたり、魚を捕ったりもします。でも、基本的にはお米を作ることが彼らの仕事の中心だったのです。
最初、森の中の人間たちは不思議そうに見ていたに違いありません。「なんだろう、あの小さい実は?」「あんなものが美味しいの?」「どうして腐らず、保存しておけるのだろう?」
でも、良く考えてみると、いいことばかりです。「第一、保存ができるのなら、雨や嵐の日に獲物を探しに行く必要がない。獲物だって毎日捕れるわけではない。逆に襲われてケガ人も出たりする。大きな獲物をしとめても、すぐに腐ってしまう・・・」。そして、お米を食べてみると美味しくて、しかも、栄養満点でした。
・・・というわけでお米を栽培して暮らす生活は、またたく間に日本中に広がっていきました。これが「農」の始まりというわけです。
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