7.エネルギーの循環【第1章「農」ってなーに?】
植物は食べられるばかりで損だと思う方がいらっしゃるかも知れませんね。でも、そうでもありません。植物も、動物がいるおかげで豊かに育つのです。
食物連鎖(生態系ピラミッド)の頂点にいるのは、人間や大型の肉食動物ですね。例えば陸の王者・ライオンは、生きているうちは襲われたりはしませんが、死ぬとその死骸はハゲタカやワシなどによって荒らされます。やがて死骸は腐り、ハエがたかり、最後は微生物によって分解されて、土の豊かな栄養分となります。その栄養を植物が吸収し、太陽の光を浴びて・・・という具合に地上のすべての動物は、やがて死骸となり土となって植物の栄養分になるわけです。
落ち葉や動物のフン(排泄物)もバクテリア等の微生物によって分解され、植物の栄養となります※。昔の日本では、オシッコやウンチも田畑へ戻して、肥料にしていました。
鳥は野生の果実を食べます。そして、あちこちに飛んでフンをします。果実のタネは消化できないのでフンと一緒に落とされ、そこから芽が出てきます。植物は歩けませんが、鳥や昆虫のおかげで、遠く離れたところでも仲間が増えていったのです。あるいは、海岸でシジミや魚などを食べた鳥は、森に戻ってフンをします。1羽の鳥が1日に3gのフンをすると、1年で約1kgになりますね。何万羽という鳥が、年間に何万kgもの肥料を森にまいていることになるのです。
生態学の分野では、植物はエネルギーを生み出しているので「生産者」、動物はそれを食べるので「消費者」、そしてバクテリアなどは動物の出す糞や死骸を食べて分解してしまうので「分解者」と呼ばれています。このように、「生産者」と「消費者」と「分解者」により、自然界のあらゆる生物はエネルギーを循環させて生きているわけです。 まるで神業(かみわざ)のような仕組みですね。
ちょっと専門的な話になりますが、植物の肥料としては油かすや魚粉、家畜糞などの有機質肥料があります。しかし、植物は有機物のままでは吸収できません。バクテリアが分解した無機物を栄養分として吸収しているのです(化学者リービッヒの発見)。つまり、バクテリアによってアンモニウム塩、亜硝酸塩などの無機物に分解されてはじめて植物の栄養素となるわけです。したがって、有機質肥料といっても、土中にバクテリアがいないと効かないのです。化学肥料は無機物の肥料ですから効果が早い。しかし、そればかり使っていると有機物が不足して土壌も悪くなるといわれています。
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