2.水田と森は大の仲良し!?-CO2の吸収
ヨーロッパやアメリカの農地は畑や牧場が中心ですから、農場を開拓する場合にはどんどん森を切り開いていきました。
ところが、水田はそういうわけにはいきません。水を引いてこなければならないので、通常は川の上流よりも標高の低い地域しか開発できません。台地や段丘に水田が造られるのは明治以後、ポンプの輸入や大規模な水利事業が可能になってからです。あるいは、いくら平野が広くても川の水量が少なければ、水田はできなかったのです。つまり、水田の開発面積は、使える水の量に比例していました。
一方、森林は水源林という言葉があるように、水を生み出します。昔の農民たちは山から流れ出る川の水が枯れないように、せっせと山に木を植えつづけたといいます。
また、山、特に里山(集落の近くにある山)は、木材や薪(まき)だけでなく、農地の肥料(草木)を得る大切な場所であり、村の財産でもありました。したがって、日本では農地は少ない代わりに、森が多く残ったというわけです。
ヨーロッパの緑被率(山や森林で被われている割合)は20~30%、イギリスは約10%、ドイツも30%程度に過ぎません。これに対して、日本の緑被率は約67%。この数値は、少なくとも先進国の中では突出した数値です。
森林は二酸化炭素(CO2)を吸収します。日本が水田社会であったことは、結果的に、現在国際的問題となっている温暖化防止に貢献していることになります。
ちなみに、日本の森林が1年間に吸収する二酸化炭素の量は、平成17年度で約8,700万tと考えられており、これは国内の全家庭で排出される量(約6,700万t)の約1.3倍に相当します。
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