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関東農政局

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2.コミュニケーションを高める「機能の優先」

機能の優先

  建物には多くの機能があります。居住や使用のスペースを確保するだけでなく、雨や風から守る、地震や火事から人命を守る、給水や排水の完備、電気やガス、通風、断熱・・・、さらにドアの開け閉めや採光など日常生活における快適性も、建物の良し悪しを決める機能的要素です。これらの機能がどの程度の地震によって、どの程度保証されるのかは、建物の使用者にとって重要な関心事であり、例えば、オフィスにとってはビルのひび割れより電気や電話、インターネット回線の断線などが切実な問題となります。また、そうした修理のしやすさ、被災時の回復性も建築物の機能にかかわる大きな要素です。

  当然のことながら、耐震性を重視すれば建築費用も膨らみます。建物のユーザーにとっては、震度6ではどの機能がどうなるのか、震度7や8の場合はどうなるのか、あるいは風速30mの台風ではどういう事態になるのかといったことを知り、建築費や修理費とにらみ合わせながら耐震設計の基準を決めるということが望ましい姿となります。

  つまり、これは建物の機能や性能(機能の働き)を重視した設計・施工ということで、ユーザーと建築の専門家とのコミュニケーションを高めるということに寄与するはずです。昨今の防災意識の高まりから、ユーザーに対する説明責任も重要になってきました。 

公共物の場合

  これは建築物だけでなく、水路や頭首工などの水利施設にも当てはまります。例えば、水路などでは倒壊にいたらなくてもひび割れが生じただけで漏水が生じることになり、その機能は著しく衰えます。といって、1カ所のひび割れも起こさない頑丈なものを造れば建設費がかさみます。簡単な修復で直せる程度であれば、修理費の方が安くなります。

  同じ水利施設とはいっても、Aの施設は一番重要なので「阪神大震災級の地震でも壊れないように」、Bの施設は少し品質が落ちてもかまわないので「少し修復工事をすれば通常の使用に耐えられるように」、あるいは地震ではなくともCの施設は「耐用年数がくるまで手入れ不要にしたい」、Dの施設は「10年に1回程度の補修工事で使い続けるように」など、造る施設の重要性や予算などの水準に応じた品質を選択できればより合理的になるはずです。つまり、水利施設などの公共物においても、発注者と使用者(農家や水土里ネット注))および民間事業者とのコミュニケーションを高めることが重要視されるようになってきました。 

注)水土里ネットとは、農業水利施設などの維持管理を行っている組織です。一定のまとまりを持つ農家で運営されており、同じ水路の水を使う農家が集まり、比較的小さな共同体で分散管理がなされている場合が多くなっています。全国に約6,500の水土里ネットがあります。

お問合せ先

農村振興部設計課

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