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関東農政局

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イベント概要

更新日:令和2年4月30日

令和元年度 食育活動の実践に関する交流会

テーマ   令和の時代における食育 ~身近なところからはじめようSDGs~

日   時   令和2年2月21日(金曜日)13時00分~15時50分

会   場   東京家政大学板橋キャンパス 16号館 162B講義室(東京都板橋区加賀1-18-1)

出席者   60名(企業17名、団体16名、教育関係者7名、農林漁業者1名、行政1名、大学生18名

出席者のエントリーシートはこちらをご覧ください  (PDF : 11,386KB)

1.  基調講演

演題:「生活者調査に見る令和の時代の“食育テーマ”」
講師:三菱食品株式会社マーケティング本部戦略研究所担当部長 北濱 利弘 氏

 資料(PDF : 10,021KB)


北濱 氏
                 
講演の様子

 
少子高齢化の急展開と経済社会の変化

  • 2005年、出生数と死亡者数が逆転し「人口減少時代」に突入した。
  • 認知症高齢者や要介護(要支援)高齢者は年々増加している。
  • 出産年齢人口の急激な減少により、少子化・高齢化が急速に進んでいる。また、後期高齢者を支える現役世代も減少している。
  • 国では定年、年金支給開始の選択を70歳に引き上げ、年金受給者を減らす政策を進めている。
  • 三菱食品(株)でのインタビュー調査によると結婚離れ、出産離れを伺わせる回答がある。例えば、快適なコミュニティーを壊してまでも結婚する必要はないといった意見である。
  • 単身世帯が増加する中、単身世帯の高齢化も進んでいる。

▼ 所得低下と消費の低迷、食料支出は増加傾向

  • 日本人の所得は低下を続け、年収400万円世帯は10年前に比べ増加し、全世帯の半数に迫っている。
  • 所得低下に伴う消費低迷の中、食料費支出は全年代で増加しており、特に高齢層が伸ばしている。要因の一つとして、子や孫への食費の援助であるが、そのことでコミュニケーションも生まれている。
  • 食料費一世帯あたりの品目別支出推移は2012年を境に微増傾向にある。特徴的なのは、鮮魚消費は減少しているが鶏肉は増加しており、日本人の蛋白源は鮮魚に変わって鶏肉となっているのかもしれない。
  • その鶏肉の購入金額や購入量は40歳代で最高となり、50歳代、60歳代、70歳代と減少している。しかし、鶏肉購入単価は世代が上がるほど高く、高齢者は量より質を重視していると言える。
  • 野菜類は量的減少が続いている。しかし、カット野菜の普及により2013年の頃から販売金額は回復傾向にある。
  • カット野菜の進化形として、ミールキットが急成長し認知度も上がっている。

▼ 調査データに見る令和の食育テーマ

  • 所得額と食生活や生活習慣等の関係について比較すると低所得層ほど課題が多いと言える。例えば、穀類摂取や喫煙率が高い、睡眠による休養が不十分、20歯未満の者の比率が高い等である。
  • 単身世帯の食生活は2008年と2018年を比較すると、外食が減り弁当や飲料、菓子類の購入が増加している。
  • インタビュー調査に見る令和の「食育のテーマ」は、各世代での課題や希望をいかに解決し叶えていくかにヒントがある。
  • 家電メーカーや食品メーカー等のCMにおいて、家事のシーンには男性が登場している。これは家事分担が平等になっているということであり、男性の家事参加から食育を考えることが重要であると言える。
  • 現在、子育て世代や高齢者などの世代別や所得層別において食をめぐる状況は異なり課題も多く、食育の意識は高まっている。令和の食育ではこれらの課題や要望を取り込み、食生活ニーズに即した食育を推進することが重要である。
  • 食生活ニーズとして、時間を省くこと、手間・工程数を省くこと、作れない料理が作れるようになったり、入手困難な食材が揃えられる(省時間)ことが考えられる。また、食を通じたコミュニケーション、絆、共感も大切なことである。


2.  事例紹介

コープデリ生活協同組合連合会 CSR推進部長 岩佐 透 氏

資料(PDF : 1,959KB)



▼ コープデリの現状

  • コープデリ連合会のエリアは関東と信越。組合員は500 万人を超えている。店舗数は150 店舗ほどである。近隣では、板橋駅前にある。
  • 福祉事業にも力を入れており、デイサービスや高齢者住宅も約40 事業所運営している。

▼ コープデリの取り組み

  • 売上げが好調な店舗であっても、近隣のスーパーと日々、競合している状況である。
  • 消費者を獲得するため、商品数を多くしたり、欠品をしないよう在庫を確保する傾向があり、食品ロスについては多少目をつぶっているのが現状である。
  • 製造業者としては品質基準が厳格化し、何かあると製造者の責任となる。商品回収などになった場合は全量廃棄、そして食品ロスへと繋がってしまう。
  • 新商品については当たればよいが外れてしまうと、全部在庫となってしまう。
  • 小売業は豊富な品揃えをしないと消費者は他の店へ行ってしまうため、どうしても、作り過ぎの傾向になってしまう。売れ残ると翌日、廃棄することとなり胃の痛む思いをしている。現状は食品ロスよりもチャンスロスを優先してしまっている。
  • コープデリの店舗では食品残渣が年間2,500トンほど出ている。そのうちの85%はリサイクルし、飼料やたい肥、メタンガスにして発電している。
  • 賞味期限180日以上のグロサリー商品の納品について、業界には3分の1ルールという暗黙のルールがある。1月1日に製造した商品は賞味期限が12月31日であっても、4月30日までに納品しなくてはならない。今後は、2分の1ルールとして6月30日まで納品できるよう延長し、食品ロスを減らしたいと考える。
  • 規格外農産物の取扱いについても力を入れている。正規品の7~8割の値段で販売することにより、生産者も消費者にも喜ばれる取り組みとなっている。それでも、残ってしまう物についてはフードバンクを通じて活用してもらっている。
  • 今後もフードドライブや回収BOXなどの活動により、食品ロスを2030年までに半減させたいと考えている。

▼ たべる責任

  • 「食品ロス削減推進法」が昨年10月1日に施行された。2030年までに家庭からの食料の廃棄、食品ロスについても半減させたい。
  • 食べ物のもとは生き物である。私たちは生き物を美味しくいただいている。私たちコープの取り組みとしても、学習会や流通センターの見学などを通して、「年月をかけて育った命をいただく大切さ」を消費者に伝えていきたい。
  • 生鮮食品は、工業製品ではない。生産地・生産者・時期はそれぞれであり、天候などにより品質も価格も変わる。消費者は理解をして購入することも大事である
  • コープは産直という取り組みに力を入れている。生産者と消費者の顔が見えるコミュニケーションが大切である。この取り組みを通じて、SDGs目標12の「つくる責任つかう責任」の目標の達成に貢献していきたい。

キユーピー株式会社 広報・CSR本部執行役員 森 佳光 氏

資料(PDF : 1,999KB)


 

▼ キユーピーグループのサステナビリティへの取り組み

  • キユーピーグループはメーカーである。原料を仕入れて製品を作り、それを運搬、販売する。購入した消費者は、それを使用後に廃棄する。メーカーとしての仕組みの中で各段階においてどのような問題があるのかを考え、正の影響のあるものは拡大・提案し、負の影響のものは最小化していきたいと考える。
  • 各企業が考えることにより、日本、そして世界の方々にとって持続可能な取り組みとなるかが大切である。これらがSDGsの17の目標と紐付いていると考え始めたのが2015~2016年。全てやりきることは大変である。
  • キユーピーグループとして、SDGsの目標の中で最も力を入れる2つの軸から考えた。1つはステークホルダーからの期待、もう1つは社会への影響の大きさである。
  • 当社として、5つの領域としてSDGsの目標と関連づけ「サステナビリティに向けての重点課題」を設定し、昨年1月に公表した。
▼ 人口減少と家族構成の変化への対応
  • 核家族化の進行などで、子育てについて相談する相手のいない子育て家族が増加している。
  • ベビーフードを使ったセミナーを開催。参加者がベビーフードに関する知識を得られるとともに、家族同士のネットワークも醸成され、子育て不安の解消にも役立っている。
▼ 超高齢社会、健康寿命の延伸への対応
  • 介護食は1990年代から提供している。最近、注目を浴びてきた。
  • 65歳以上になると摂るべき栄養素も大分変わってくる。カロリー、たんぱく質も必要である。
  • シニアに必要な栄養などを学び、野菜とタマゴなどを使った簡単メニューを夫婦が一緒に作る、『べジボウル』セミナーを開催している。
  • 日本人のタマゴの消費量は年間334個。世界で2番目。キユーピーグループはサラダとタマゴのリーディングカンパニーとして社会に貢献したい。

▼ 様々な社会格差への対応

  • 今、社会格差は深刻であり、今後の見通しも暗い。子供たちの貧困も深刻である。
  • 貧困は「経済的な貧困」、「体験(多世代が接する機会の減少)の貧困」、関係性(外出せずコミュニケーション不足)の貧困」の3つがあると考える。1つの企業でその問題に取り組むのは無理だと考える。
  • 「キユーピーみらいたまご財団」を創設し、子どもの居場所作りを支援。事業者間での交流は悩みやアイデアの共有に繋がり、課題解決にも役立っている。

▼ 農業体験を通じた食育

  • 親子での収穫体験や野菜をたくさん使ったメニューを作り、試食することにより、野菜摂取の大切さや農業への親しみを実感できる。

▼ 男性の家事分担役割意識の醸成

  • 性別的役割分担意識を排除すべく、働き方を変え、家事参画を応援する。
  • 家族や周りのみんなを笑顔にしよう!と男性社員向けの料理教室「Let's 男飯」を開催していく。

3. 意見交換 


発言者(企業)  私は地方で「子ども食堂」の運営に携わっている。都市部に開設されている「子ども食堂」を利用する子供の親御さんの考え方に疑問を持っている。地方で生産された規格外の野菜は、生産者の善意で安く提供されるのが当たり前だと勘違いしている方がいる。企業はお客様のニーズを第一に考えるが、生産者は野菜を安く売ると経営が成り立たず人手不足になってしまう。これは都市集中型の歪みではないか。
  私は、都市部において子どもに食事を提供することが困難な人達に「子ども食堂」を利用してもらうことにより、地方で働く生産者の選択肢が増え、やがて多くの人たちの救済につながるのではないかと考えている。「子ども食堂」の取り組みを通して、子どもへの食育やその親御さんに対する食育などへのアプローチをしていただきたい。

北濱氏  「子ども食堂」というと生活が困窮している子どもさんに向けての活動と思われているが、必ずしもそうではない。問題なのはコミュニティーが崩壊しつつあることである。昔はお父さん1人の給料で家を買い、子供を2人大学に進学させることができた経済構造だったが、今は共働きでもなかなか困難な状況であり、その歪みが子どもに行ってしまう構造がある。また、都市部と地方の歪みがとても大きく、すべてが東京一極集中になっている。その中で子どもを育てていくための礎となるのは「食」であり、「子ども食堂」というのをもっと広い概念で捉えたほうが良いと思う。要するに貧困の子どもを救うのではなく、ベースとなるコミュニティーのあり方として、地域の人が子どもの「食」を中心に集うこと。その中に地域の農産品・水産品を知ることや、特産品や郷土料理を知ることにより、色々なことが生まれてくるのではないかと思う。
  当社は卸売業なので、スーパーや生協などが相手である。地方では、人口が減少し、銀行や新聞、テレビ、ラジオ、マスコミ、行政までもが困っている。しかし、その中で、地域の人が集ってくるスーパーや生協の店舗は羨ましいと言われている。今後、スーパーや生協の取り組みとして、新しい概念をもった「子ども食堂」の展開は我々が取り組むべき課題だと考える。

森氏  先ほど話した中に貧困課題が3つあると申し上げた。1つは経済的な貧困、2つ目は体験の貧困、3つ目は関係性の貧困。必ずしも「子ども食堂」の中で、これらが別々に存在することはそれほどなく、オーバーラップしていることが多い。その中でもフードバンク的に世の中で余剰となったものをうまく活用しようとすることは、良いと思う。決して余ったもので運営しなくてはいけないと言うわけではないと思う。大事なのは、これらをできるだけ一元的に解決する近道をみんなで探していこうということ。
  「子ども食堂」という名前もそうだが、「食」は大きな役割を持っている。食べる時は笑顔になり、みんなが集まって座っている。料理を作る人や食べる人の関係性もある。先ほど関係性の貧困を話したが、子どもだけが居場所がないわけではなく、高齢者の居場所作りも大変な課題となっている。いわゆる多世代交流、そして、他世代支援ということ。これも「子ども食堂」があることによって、世代課題の解決に繋がる大きな役割だと思っている。これは、都市部やその他の地域、あるいは大消費地エリアの感覚の差はあると思うが、考えていくことが大事だと思う。

岩佐氏  当コープも色々な形で「子ども食堂」とお付き合いをさせていただいている。JAやNPO団体と協力しながら、それぞれの得意分野を活かし協力していくことが重要である。私の感覚では「子ども食堂」コミュニティーの再構築である気がする。
  昔は貧しい子どもやお金持ちの子どもも差別なくコミュニケーションがあった。先ほどの、野菜を貰って当たり前という話を聞くと気分は良くないが、いつか理解が得られると信じて、包容力を持ち対応することが大事だと思っている。コミュニティーの場であるため、様々な考えの人がいることを理解しながら、「子ども食堂」を開催できたらと思っている。

発言者(団体)  コープデリの取り組みの事例発表の中で、1月1日に製造されたものが、4月30日には、納品期限を迎えてしまうという業界ルールを知り、驚いた。この点に関してはイタリアやフランス、ベルギーなどのヨーロッパ諸国は食の先進国だと思っている。この納品期限の問題をヨーロッパ並みに近づけていくためにも、消費者にとって魅力ある商品の販売をお願いするとともに、この問題についての解決策を考えていましたらお聞かせ下さい。
  また、2項目の「たべる責任」について、このページをチラシにすると売り上げが半減してしまうことは確かに理解できる。例えば、子どもに優しいストーリー性のあるハンドブックなどを作成したり、講話会などで話すことによって、命をいただくことの大切さを学ぶことは重要だと思う。是非、意見を伺いたい。

岩佐氏  3分1ルールだが、とりあえず2分1にまで改善したい。賞味期限の残日数180日以上を120日以上にまでにしたいと思う。業界の流れとして、いずれ2分1ルールになる日が近いのではないか。しかし、更に3分2にするには、消費者の「たべる責任」の意識改革が必要である。スーパーでは商品を一番手前からでなく、奥から取り出しているお客様がいる。あの習慣がなくならない限り、3分2はまだまだ先ではないかと思う。
  家畜の一生についてだが、産地に行き、生産者と接することにより感じてもらうことが良いと思う。ただし、今は防疫の関係で、農産の現場は見ることができるが、畜産現場は見せてもらえない。牛舎、豚舎、鶏舎は病気の関係でそこの実態を見ることができないので、どうやったら見せることができるのかが大きなポイントである。本、ビデオというやり方もあるが、やはり遠目でも良いので現場やと畜の場面も見ることが大事ではないかと思う。しかし、今は逆の流れあり、そのようなことを子どもに教えたくないという親御さんも多い。食肉流通センターには立派な見学用の通路があるが、親からのクレームが来ることもあり、企画が中止になったりする。これも3分の1ルールと同じように大きな壁だが、そこは、少しずつ改善していくことが大事だと思う。

発言者(団体)  先日フードバンク神奈川のネットワークを通じて、試験圃場で作った三浦のだいこん約2,500本を福祉施設や子ども食堂に届けた。生産者も品質の問題などにより出荷できないような農産物があると思う。フードバンク神奈川では、生鮮食品の取扱いが難しいと聞いている。
  生産者の方で、生鮮食品を届けていただける方がいる場合、そのネットワークや連絡先などを教えていただけるか伺いたい。

岩佐氏  基本はエリアのフードバンクがあるのでそちらに繋げたり、社会福祉協議会の皆さんに相談することが多い。一番ネックになるのは、どこまで届けるのかという行為を、どちらが行うのかという調整。生産者がこれだけあるから取りに来て欲しいと言われても、取りに行く手段がないので、フードバンクなど欲しい所へ届けてくれるところがあればスムーズになると思う。
  同じように大きな壁だが、そこは、少しずつ改善していくことが大事だと思う。

発言者(企業)  岡山県にスーパーハローズというところがあり、ハローズモデルという取り組みがある。お店で余った賞味期限が近いものなどを台車の中に店舗担当者が入れ、ロス処分し、それを子ども食堂の方が週3日から5日で定期的に取りに来る。先ほどデリバリーが難しいと言われたが、まさにその通りで、ハローズさんは上手なチャンネル作りをしていて大成功している。
  今、スーパーマーケットがやらなくてはいけないことは、一定の形でロスが出たときに廃棄するのであれば、その前に事前に青果や一般商品の賞味期限の近い物をまとめ、それを子ども食堂の担当者に取りに来てもらうこと。お店はサービスカウンターで、このような形で貢献しているとアピールをすることでメリットがある。定期的に取りに来てもらうことで、社会的責任も果たしている。

以上

イベント概要(フォトレポート)はこちらをご覧ください

お問合せ先

消費・安全部消費生活課

担当者:食育推進班
ダイヤルイン:048-740-5276
FAX番号:048-740-0081

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