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近畿農政局

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「令和3年度学生を取り込んだ食育推進に関するセミナー」(「【近畿農政局】学生食育インタビュー2021」)概要

近畿農政局は、令和3年8月25日(水曜日)、「令和3年度学生を取り込んだ食育推進セミナー」(「【近畿農政局】学生食育インタビュー2021」)をオンラインにて開催しました。
今回は、新型コロナウイルス感染症への対応として、オンラインにより、大学、食育仕事人、近畿農政局の3か所をつないでのインタビューに取り組み、学生が食育活動を推進するうえで、日頃思っていることや疑問点などを、豊富な職歴をもつ食育実践者から直接アドバスを受け、今後の活動への実践的な参考としていただく場として、5人の大学生にご参加いただきました。
はじめに、食育仕事人(近畿農政局において登録)であり、こどもの食育すぽっとゆめつぼ代表(株式会社ルーアンライト代表取締役)の大坪さやか氏(以下「大坪氏」という)からご自身の経歴を紹介していただきました。
続いて畿央大学食育ボランティアサークル(畿央nutrition eggチーム)の学生から、同サークルの説明と食育活動の紹介がありました。
その後、同サークルの1~3回生の学生5人が、大坪氏に対し、経歴や起業等に関する質問、食生活や食育に取り組む上での相談など一問一答スタイルでインタビューを行いました。


  以下にセミナーの概要をご紹介します。 

学生食育インタビュー概要

 講  師 (食育仕事人)
  子供の食育すぽっと ゆめつぼ代表 (株式会社ルーアンライト代表取締役)  大坪 さやか
 
参加学生
  畿央大学 ボランティアサークル「畿央nutrition egg チーム」所属の下記の5名
     溝脇 杏佳(みぞわき きょうか・3回生) 、 田宮 怜(たみや れい・3回生)、
     初岡 杏(はつおか あんず・2回生) 、 吉田 奈央(よしだ なお・2回生)、
     浦野 美希(うらの みき・1回生)

学生 溝脇杏佳(以下「溝脇 氏」) :

大学卒業後はどのような場所で経験を積めば良いかについて悩むことがある。例えば、自然食品を扱う企業に就職して商品を製造・販売することにも興味があり、また栄養教諭として食育・調理に携わることにも興味がある。そこで、大坪先生が、夢を見据えて在学中に活動していたことや、卒業後の就職で経験して良かったと感じることはどのようなことか。

食育仕事人 大坪氏(以下「大坪 氏」) :
私が、大学生の時に、一般社会人の大人の方から、学生時代にもっと勉強しておけばよかったということを聞いていたこともあり、まず、目前の勉強にきちんと取り組むこととした。興味のある研究室で学ぶ方を優先せず、一番厳しい環境である研究室で学ぶ姿勢を優先した。何か迷うようなことがあれば厳しい方を選んでいけば、将来によい影響として帰ってくると思う。就職先は、どれを選んでも経験を積むにはよいと思う。管理栄養士として1つあるいは、1日分の献立を考えるのは、容易だが、少年院で働いていた時、朝・昼・晩の3食の献立をトータルで年間通して考えたことはよい経験となった。管理栄養士だからこそ、できる仕事であり、今の私の強みになっていると思う。

溝脇 氏 :
現在の大坪先生の「フリーランス」というお仕事の位置づけになると思うが、このような形で仕事をする中で、これまでに経験された、いわゆる安定したお仕事と比較して、良かった点や苦労した点、気を付けなければならない点は何か。

大坪 氏 :
すぐに起業するのも、どこかで経験を積むのも、どちらであってもよいと思う。「フリーランス」は、自分でやりたいことを追求できるので、そういうものをしっかり持っている方は、向いていると思う。ただ、多くの方が失敗しており、集客についてなど経営も学ばないといけない。管理栄養士としての知識も必要だが、ビジネスは別であり、こちらの学習も大切になる。最初のところでは、休みの取得が困難なことや収入が不安定であったりするような状態も想定されるので、それが要因で挫折する人が多い。そこを乗り越えられるかどうかで、継続できるかが分かれると思う。私も最初は、厳しい状態だった。今も休みはあまり取れないけれど、自分がこの仕事が好きであり、できていると感じているから、あまり苦にならず楽しんでいる。

   畿央大学生1
                 参加学生の皆さん

学生 田宮怜(以下「田宮 氏」) :
大坪先生は医療少年院でお仕事をされていたと伺った。医療少年院では、上手くいかないことも多く、様々な障壁があったと伺ったが、食育を行う中で、入所者の方々にどのような効果や変化があるのか。

大坪 氏 :
少年院での少年は、規則正しい生活をすることになり、その中で、自分の身体が楽になっていくことにほとんどの子どもが気づく。食事に関しても3食栄養バランスを考えた給食が提供されるが、最初は、おいしくないとか、野菜が嫌いなど、内容に不満を述べる子どもが多い。しかし、だんだんおいしく感じたり、野菜が食べることができたりする変化も多く目にする。一般社会に戻ったら、自制心のない子どもが多かったことも要因になるが、この生活が守られることはないけれど、少年院での生活は無駄にはならず、何かしらの気づきには繋がっているので、大切なことには違いない。

畿央大学生2
溝脇 氏

学生 初岡杏 (以下「初岡 氏」) :
大坪先生は行政の管理栄養士として仕事をされていたと伺った。行政は一次予防の第一線である非常に大切な役割を担っていると感じている。地域の方々に一次予防の重要性として料理教室や食事指導など様々な企画を行い、参加者を募集する中で良かった点や難しい点、課題などは、どのようなことがあったか。

大坪 氏 :
行政での仕事は、安心感があることや参加者が無料で参加できることが多いので、多くの人が利用するイメージがある。参加者は健康志向の方が多く、もう伝えることがないくらい既に知っている人が多いので、私は、もっとニーズが大きいところで栄養指導をやりたいと感じたので転職した。参加者は、栄養バランスが大事、野菜食べろということなどわかっていて、わかっているからこそ行きたくないと、考えている。そういう人にもできる何かを考えていかなければならない。集客面のことは、民間の企業の方が得意なので、見習える点は見習わないといけない。食生活の大切さは大事だと理解していても、実際にできない人が多いので、そんな人は、話の内容を先読みできることから、例えば、栄養バランスの話をしても、簡単に聞いてもらえないので、その辺りの理解を得ながら参加してもらう工夫が必要なのではないかと思っている。

学生 吉田奈央(以下「吉田 氏」) :
私は、栄養教諭の免許を取得したら、中学校で勤務してみたいと思っている。中学生くらいの年代の子どもに対して食育を推進していく上で大切にしなければいけないことは何か。

大坪 氏 :
中学生くらいの年代の子どもは扱いが難しくて、小学生高学年から子ども扱いをすると必ず嫌うので思春期の真ん中世代にあたる中学生を相手にする上で、気を付けていることは、子ども扱いせず対等にすることと、自分が先生だからとか、他の同僚の先生の様子を伺ったりして、先生としてきちっとしなければいけないという態度で接しないこと。先生っぽいのは、中学生には逆効果を生むのではと考えていて、少々くだけた感じのほうがよいと思っている。相手が興味のある話題に寄り添いながら課題を伝える工夫もあっていいのではと考える。

畿央大学生3    田宮 氏

学生 浦野美希(以下「浦野 氏」) :
私は、SNSにおいて食とダイエットに関する正確な情報を伝えていき、健康的な身体を作ることが大切だと考えている。大坪先生のブログを拝見すると、その中には、「効率的なダイエットをすることでダイエットに成功した。」と書かれていました。効率的なダイエットとはどのようなものか。

大坪 氏 : 
効率的なダイエットは一言でいうときちんと食べること。ダイエットというと食べない、特に糖質オフを思われがちだが、逆に、脳が糖質をより求めるようになり、余計にドカ食いしてしまうことになる。それは、管理栄養士の要請コースで学び知ったことだが、この知識を自分の身をもって試そうと思い、きちんとご飯を食べるようにした。きちんと食べることによって自然に痩せることができたので、実践をもって説明ができるようになった。

浦野 氏 :
大坪先生は、食にあまり興味のない若者や誤った知識をもつ若者が、食の知識を正しく習得して、バランスの取れた食生活を送るためにはどのように食育を行うのが良いと思うか。

大坪 氏 :
ネットの世界では、間違った情報が多く流れており、動画とか見ていて残念な気持ちになることが多い。正しい知識は、情報としては面白みがない。バランスよく食べましょう。野菜を食べようと訴えても、何となく気づいてはいるが、多忙であったり、毎日の生活で余裕がなかったりするから実践ができていない。人間は、楽な行動に流れる傾向があるので、とりあえず、これ飲んでおけば痩せるとか、必要な栄養素が摂れるといった形で楽な行動に流れる傾向があると思う。正しい情報を正しく伝えて対処することは大切だが、伝わる面には弱い部分を感じる。相手の立場に立って、まずは、面白く興味を引くような伝え方がいいと思っている。ただし、他の管理栄養士からすればよくないという批判があがるかもしれない。情報を伝える対象者は、若者に対し行っていくことが求められていると考えているが、若者は若者同士で対応する方が、やはり影響面では、強いと思うので、皆さんのような大学生が動画等で工夫して伝えていくのがよいのではなかろうか。

畿央大学生4
浦野 氏
畿央大学6        初岡 氏

田宮 氏 :
現在、新型コロナウイルスの影響で、人と会話をしながら食事をするのが難しく、「みんなで食べると食事がおいしくなる」ができなくなった今、食育はどう対応していくべきなのか。私は、食は生命維持のためだけでなく人生の満足度を大きく左右するものだと考えているので、食事を面倒で楽しくないものにしてしまわないように、一人での食事の充実感をあげるような食育が必要だと考えいるがどう思われるか。

大坪 氏 :
今は小学校の給食などでも、黙って前を向いて食べる(黙食)ことが決められている。私の料理教室でも、以前は作って食べる試食の時間が、盛り上がって楽しい時間であったが、今は、何も言わずに食べることとなり、寂しく残念な気持ちである。
一人での食事の充実感をあげるには、私自身一人での生活が長く、孤独になることが多くあったし、その上、組織で勤めていた時に仕事が大変だったので、自分の時間を充実させたくて、また、職場での昼休みの時間にテンションを上げるため、それ程料理は好きでも、得意でもなかったけれど、自分への愛情を込めてお弁当を毎日作っていた。
少年院で勤務していた時に、入所している子どもたちに、ここを出て、一般社会に戻ったらどんな料理が食べたいかを聞いたところ、多くの子どもが、肉とか、有名ハンバーガー店舗で食べたいと回答するが、母親が作ったものを食べたいという子どもも何人かいて、やはり、食事は栄養を摂るだけでなく、コミュニケーションとして必要であり、愛情を感じるもの。一人での食事の充実度を上げるには、作り手の判るものが大切なのではなかろうかと考える。

初岡 氏 : 
私は人とお話しすることが苦手なのですが、栄養教諭を目指すうえで沢山の人と関わることで自分の苦手を克服し、栄養や食育についての学びを深められるように努力している。人との関わりというのは食育だけでなく、食事や健康という面で非常に大切な役割を持つと考えている。大坪先生は行政やフリーランスの管理栄養士として働いているが、その中で様々な職種の方だけでなく地域の方々とも関わりながら食育活動を行っていたと思う。そういった人との関わりの中で良かった点や嬉しかった出来事、また苦労した点や課題などを教えてほしい。

大坪 氏 :
地域での関わりでは、新卒後で、保健所で勤務していた時、食生活改善推進委員という食育推進のボランティア団体の人と一緒に仕事をしていたことがあって、委員の方は、おばあちゃん世代の方がほとんどで圧倒された環境の中、どのように接したらいいのか困っていた。管理栄養士という立場であったので、例えば、料理教室などでは、私は、教えないといけないとの思いが強くて、最初のころは緊張し、固くなっていた。しかし、だんだん世間話など、普通の会話をするうちに、自分自身が肩の力が抜けて、楽しいなと思えるようになってきた。すると、相手も楽しいと思ってもらえるようになってきて、取組がうまくできるようになっていった。そういった経験から、何事にも自分が楽しんでやるというのがよいと感じている。話すことが苦手な人は、おそらく聞くことは上手な人であると思う。人は、自分の話を聞いてほしいと思っているもの。その点で、話を聞いてくれる人は、重宝であり信頼関係を築ける人であると思うのでこれを特技であると逆に考え生かしていってほしいと思う。

畿央大学生5         吉田 氏

吉田 氏 :
私の地元では、給食で珍しいメニューが出ることも多く、ドーナツが特に印象に残っている。大坪先生のブログで、小学校に勤務されていたときに、給食で「揚げパン」を初めて提供したという情報を拝見したときも、面白いと感じた。大坪先生は、献立の作成において、みんなが楽しめるようにどのような工夫をされているのか。

大坪 氏 :
献立については、少年院2年、小学校2年、料理教室3~4年、献立作りをしてきた。
少年院勤務のときは、おかわりなし、おやつも時々しか出さないし、朝昼晩決められたものを食べる環境であることから、小学校の給食よりも、とっても楽しみにされていると思った。そのような中で、時々あっと思わせるメニューにしてあげようと、「オムライス」や「ラーメン」、「恵方巻」などを考えた。
小学校の給食は、すでにおいしいものだと受け入れられていたので、毎日楽しんでもらえるものをと、4校程度の複数の学校分の献立管理がされていた。私が、そのような中で新規として、揚げパンを提供することができた。
私の料理教室では、あっと驚かせるようなメニューでなく、毎日たべることができ、何度も食べることができるような飽きない家庭料理を教えている。時々は、楽しみも必要と考え、家庭ではなかなかできない、もち米・小豆からの「おはぎ」を、9月に、小麦粉から「手打ちうどん」や、2月に「巻き寿司」を作った。毎回2~3品作成するが、そのうちの1品は、子どもが好きそうなものを入れている。献立は、子どもたちにも立ててもらった方が、料理に興味を持ってもらえるのではと考え、定期的に自分で考え作ってもらうことも行い好評をいただいている。

溝脇 氏 :
大坪先生のこれから先に取り組んでみたいことや目標、展望などをきかせてほしい。

大坪 氏 :
食育は、大切であるのは周知されているが、主として行政、企業、地域の人達などで行われており、その中にボランティアの位置づけがあるように思う。私が起業するにあたり、ボランティアでなく、ビジネスとして、収益を得るような形で臨んでいく方が、食育の広がりには適合するのではと考え、何もわからないままビジネスの形を選んでしまった。多くの機会で厳しいと思われる面が発生するのが実情だが、この選択でやっていけるとの思いを持っている。食育をビジネスとして成し遂げている例はないので、日本の中での唯一の存在になろうという思いがある。

インタビューの様子1                              近畿農政局

参加者の感想、講評等

 終了後、参加した学生からは、「今後様々な食育活動に取り組んでいくための向上心が掻き立てられた」、「今回の取組が一回で終了するのはもったいない」、「管理栄養士や栄養教諭なるために大変参考になった」などの感想がありました。
また、学生を指導する畿央大学の先生、今回インタビューに対応していただいた大坪氏から以下のとおり講評をいただきました。

【大学生の感想】

溝脇 氏 :
自分の将来と向き合うきっかけになった。このインタビューの様子をもっと多くの人に拡散するための方法について模索していきたい。

田宮 氏 :
様々な角度から食育の重要性を知ることができ、視野が広がった。また、管理栄養士という職業に様々な可能性も感じた。今回のこの活動は、非常に貴重な体験なので、この一回で終わるのはもったいないと感じた。

初岡 氏 :
様々な職種において、大変さの中にもやりがいがあることが分かり、より一層管理栄養士や栄養教諭という職業につきたいと感じた。大坪先生の食育活動の詳しい内容をもっと聞いてみたいと思った。

吉田 氏 :
普段なかなかこのようにお話を聞く機会がないためとても良い経験ができた。また、様々な現場への携わり方も知ることができた。先生の食育活動の現場の様子も実際に見てみたいと思った。

浦野 氏 :
これから大学での学びをより大切にし、将来に生かしていきたいと感じることができた。大坪先生の食育対象者に興味を持ってもらう対処方法については、とても記憶に残った。私も、今後たくさんの方々との会話を通じ、将来は、興味を持ってもらえるような話の提供ができるようになりたいと思った。

【畿央大学 健康科学部 健康栄養学科 : 野原潤子 講師の講評】

医療少年院・栄養教諭・行政・フリーランスといった、さまざまな経験をされている大坪先生から実体験に基づいたお話を聞かせていただき、学生たちは、大学では経験できない貴重な話を聞くことができた。将来の選択肢を考える時の幅が広げられたことにお礼申し上げたい。 学生が申し上げておりましたとおり、今回の一度だけのインタビューの取組だけでなく、大坪先生が実際にされている食育活動の現場にお伺いさせていただくなど、継続して連携させていただければ有難いと思う。

  インタビューの様子        畿央大学会場
  

【大坪 氏の講評】

私が大学生の時のことを思い出して、その時の自分に対し、今日の参加者である畿央大学の皆さんの活動を見習わせたいと思えた。

これから先の進路について、悩むことが多くあると思うが、例えば2つの選択肢の中で、どちらを選んだからよかったというものはなく、どちらであっても、いいことも悪いこともある。就職先を選ぶ際は、相当悩むようなことがあるかも知れないが、直感的に正直な自分の思いに向かって行けば前に行くものであると考える。
本日は、コロナ禍の中、マスクで顔も覚えにくい状況であったが、また機会があれば声掛けしていただき、何か取組など一緒に行えればと思う。

   大坪先生             大坪 氏
   

お問合せ先

消費・安全部 消費生活課
担当:食育担当
直通:075-414-9771
FAX番号:075-414-9910