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近畿農政局

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牛糞リユースの取組から働き方改革へ

滋賀県甲賀市|山田牧場

  甲賀市で観光牧場を経営する山田牧場を訪問し、発酵技術開発事業者等と共同で牛糞を発酵させリユース(再利用)
  する取組についてお話を伺いました。

山田牧場
山田牧場
  育成牛
育成牛
  搾乳牛
搾乳牛

【牧場の概要】

山田牧場は大正14(1925)年創業で、昭和48年より酪農を開始しました。令和7年には創立100周年事業を計画しています。現在総面積8haの入場料等を徴収しない農業教育ファームとして運営し、子牛舎、育成牛舎、搾乳牛舎の飼育施設で、約150頭の乳牛が飼育されています。
平成10年より多角経営に取り組み、生乳、アイスクリーム、チーズ、チーズケーキなどを牧場内で製造販売しています。
チーズは国際的チーズコンテスト「World Cheese Awards 2022」で銀賞を受賞しました。 牧場内にはバーベキュー施設のほか、ヤギや孔雀も飼育しており、休日は家族連れなどで賑わいます。

店内の様子
店内の様子
   銀賞を受賞したチーズ
銀賞を受賞したチーズ(琵琶のトト)
   搾乳牛舎
搾乳牛舎の様子

【これまでの経営の課題】

堆肥は堆肥舎で熟成させた後、市内の農家へ供給していましたが、牛舎における1日2回の重機による糞尿土壌の入替作業は労働時間が非常に長く、人員の確保などが経営の課題となっていました。


【牛糞リユースのきっかけ】

一般社団法人畜産応援プロジェクトの北ノ坊さんは、15年前に牛糞の発酵装置を開発し、有機廃棄物を完熟発酵させ、堆肥として有機農業に活用する事業を高島地域で展開されていました。堆肥の供給元である畜産農家の調査において、畜産経営における糞尿処理の課題を目の当たりにし、発酵技術を活用して問題解決できないかと考え、関わりのあった山田牧場において、3年前から育成牛舎で牛糞リユースの実証実験を共同で開始しました。

意見交換の様子
意見交換の様子
熟成土壌を説明する北ノ坊さん
熟成土壌を説明する北ノ坊さん


【牛糞リユースの仕組みとメリット】

牛舎床面の透過性をよくすることで尿と糞を分けます。床上に残った糞と床土のみを回収し、発酵装置で熟成させて、悪臭のない腐葉土のようなフカフカの土に戻した後、牛舎に戻して敷き、リユースします。
牛糞リユースのメリットとして、経営面では、発酵装置は送風設備のみのため、ランニングコストはあまりかからず、不要となった堆肥保管面積で飼養頭数の増加が可能となります。
獣医師の話では、飼養環境の向上により、摂餌が良くなり、種付率が上昇しているとのことです。
また、最も効果的なのは、畜舎の床土の入替作業が週に1度となり、糞尿処理にかかる労働力が大幅に削減されることで、働き方改革にもつながると期待されています。

発酵装置
発酵装置
育成牛舎の様子
育成牛舎の様子


【今後の展開】

これまでは育成牛舎で牛糞リユースの取組を試験的に行っていましたが、今後は搾乳牛舎でも導入したいと考えておられます。山田牧場の稲吉さんは、「乳牛をフカフカの床土の上で過ごさせて、おいしいミルクを生産したいです。」と意気込まれています。牧場経営の労働力が大幅に削減できる見込みとなり、牛や従業員への一層の負担軽減を図っていくことで、将来的に持続可能な畜産業の展開を目指しておられます。

山田牧場の稲吉さん
山田牧場の牛の悩み相談室長の稲吉さん
稲吉さんと北ノ坊さん
稲吉さんと北ノ坊さん

山田牧場HP

https://www.no-fu-yamadabokujyou.com

お問合せ先

滋賀県拠点 地方参事官室
TEL:077-522-4261