川坂川を守る会(宮崎県延岡市)
かけがえのない湿原と、神楽の伝わる美しい集落を守る
延岡市北川町に広がる「北川湿原」には、絶滅危惧種の動植物が50種以上生息し、日本の重要湿地500やラムサール条約湿地潜在候補地等に指定されています。「川坂川を守る会」(以下、守る会)は、「自然と人が元気な里地・里山づくり」を活動テーマに掲げ、同湿原の一部を形成する川坂湿原の環境保全を目的に平成22年に設立されました。
守る会の活動は、環境保全の枠にとらわれず、深刻化する有害獣対策などの地域課題の解決や、地域資源を活かした多彩で特色ある活動に取り組み、元気と活力に満ちたむらづくりを展開しています。
また、「地域の課題は自らの手で解決」の実践を通じて、住民に意識改革をもたらし、農林業の振興や交流人口の拡大、賑わいの創出など地域活性化が図られており、さらに今後は農家民泊の取組みによるインバウンドの受入・国際交流などの新たな展開が期待されています。
緑豊かな川坂地区 |
希少動植物の宝庫「川坂湿原」 |
湿原の維持管理 |
地域の課題「有害獣対策」に取り組む
川坂集落では、湿原の希少植物や地域の農林業に対するシカ・イノシシによる獣害が大きな課題となっていました。
獣害は平成の初めごろから増え続け、農業者の高齢化に伴う耕作放棄地の拡大、里山林の荒廃が拍車をかけ、平成22年前後からさらに拡大し、農林業のみならず住民生活への影響も深刻化していました。
このようななか、平成24年度から守る会が事業主体となって県や国の事業を導入し、住民総出で川坂湿原と集落全体に金網ネットやシカ侵入防止ネットを設置するとともに、行政機関や猟友会の協力を得て有害獣対策に取組みました。
また、湿原の周囲を取り巻く里山林の雑草木の刈払いや間伐等の整備を進めた結果、健全な里山が蘇り、有害獣対策や集落の景観形成に大きな効果を発揮しました。
これらの事業実施を通じて、会員同士の絆が深まるとともに、守る会に対する認知度と信頼感が増し、守る会が掲げるテーマ「自然と人が元気な里地・里山づくり」が地域住民に浸透しました。
集落に毎夜シカが出没 |
金網ネット組立作業の様子 | 里山の整備の様子 |
地域資源を活用した多彩な活動を展開
守る会ではこれまで、川坂湿原の草刈りや外来種の駆除作業などの維持管理のほか、県内外の個人・団体来訪客を対象としたボランティアガイド活動やガイドブック制作を通して、湿原の保全とPRに努め観光地としての知名度向上を図っています。
また、昭和30年代から途絶えていた五穀豊穣を祈る「春祈祷」を約50年ぶりに復活させ「薪神楽」や「かわざか花物語」として実施し、企画から準備、運営まで地域住民の手作りで行なわれています。
住民の活力を結集させて実現したこの取組みは、集落に暮らす人達の郷土愛を醸成し、コミュニティの活性化、賑わいの創出と交流人口の拡大に大きく寄与しています。
北川湿原ガイドブック |
湿原を案内する会員 | 復活した五穀豊穣を祈るイベント |
平成29年度豊かなむらづくり全国表彰において、農林水産大臣賞を受賞
これらの取組みが評価され、平成29年度豊かなむらづくり全国表彰において、農林水産大臣賞を受賞されました。
平成29年12月21日に、熊本地方合同庁舎A棟1階共用会議室において「平成29年度豊かなむらづくり全国表彰事業九州ブロック表彰式」及び受賞団体の業績発表、講演会が開催されます。
詳しくは、九州農政局ホームページをご覧下さい
URL:https://www.maff.go.jp/kyusyu/press/shinko/171018.html
イベント情報
『ワークショップ 「北川の霞堤と生きる!」』
日時: 平成29年12月~30年2月(月1回、不定期)19時00分~20時30分
場所: 宮崎県延岡市北川町長井2526-5 川坂公民館
『かわざか花物語』
日時: 平成30年3月17日(土曜日)時間帯未定
場所: 宮崎県延岡市北川町長井2526-5 川坂公民館
添付資料
問い合わせ先
名称:川坂川を守る会
住所:宮崎県延岡市北川町長井3813番地(会長の自宅)
電話: 0982-46-3247
お問合せ先
企画調整室担当者:松田、木場
代表:096-211-9111(内線4117、4124)
ダイヤルイン:096-300-6012
FAX:096-211-8707