「九州農業の成長産業化に向けた6次産業化セミナー~女性の活躍とICT技術の活用で地域を活性化!~」の概要について(令和2年10月30日開催)
農林漁業者による加工・販売等の6次産業化の取組については、農林漁業者をはじめとする関係者の努力によりその市場規模は拡大していますが、その一方で、6次産業化に取り組んだものの、必ずしも経営の改善や発展につながっていないという状況も見られます。
こうした中、地域農業を振興し活性化を図るためには、「消費者視点を持っている」、「コミュニケーション能力が高い」などの強みを持ち、6次産業化の新たな担い手としても大きく期待されている女性農業者の活躍や、SNS・インターネットなどのICT技術を活用した更なる消費者ニーズの把握や販路開拓等への取組が大変重要です。
このため、全国で活躍する6次産業化プロデューサーによるICT技術を活用した6次産業化と経営発展についての講演や、インターネット等による販路拡大を実践する女性農業者の取組を紹介することにより、九州農業の成長産業化と地域の活性化につなげることを目的に本セミナーを開催しました。
セミナーには、農林漁業関係者、行政関係者等をあわせて90名の参加がありました。
日時
令和2年10月30日(金曜日)13時30分~17時00分
場所
熊本地方合同庁舎(B棟2F大会議室)
主催
九州農政局
セミナーの概要
1 開会
2 主催者挨拶
横井九州農政局長挨拶 要旨
6次産業化には、「加工・販売等の付加価値を農林漁業者が得ることによる経営改善」と、「農山漁村の活性化」が期待されているところであります。関係者の努力でその市場規模は確実に増加しておりますが、その一方で、6次産業化に取り組んだものの、必ずしも経営改善や発展につながっていないといった課題も見受けられます。
このような課題がある中、6次産業化を発展させていくためには、SNS・インターネットなどを活用することにより、消費者ニーズを適確に把握し、販路を開拓していくことが必要となります。あわせて、6次産業化の担い手として大きく期待されている女性農業者の活躍も大変重要であると考えております。
このため、本日のセミナーでは、全国で活躍する6次産業化プランナーによる「持続性・成長性の高い6次産業化の進め方」や、「消費者に伝わる農産物の販売戦略」のご講演や、インターネット等による販路拡大を実践する女性農業者の取組をご紹介させていただきます。
本日のセミナーで、ご自身の6次産業化の取組に向けたヒントを得ていただき、皆様の農業経営の改善と発展、さらには地域の活性化につながることを期待します。
3 事例発表
レッドアップ株式会社 取締役 林田 裕美 氏(熊本県)から、「 18歳で農家の後継者と結婚!!農業が大嫌いだった私の現在~6次化で地域に貢献!~」と題し、結婚と同時に就農し、いつしかトマト作りの面白さにドップリはまってしまったいきさつや、規格外で廃棄となるトマトの有効活用をと6次化に積極的に取り組んだ中での失敗談とそこから学んだこと等についてお話していただきました。
参加者から「夢」について質問があり、「夢を持つことが一番大事。夢を叶えるため、1年後、2年後...5年後の自分がどうなっていたいか目標を立てることが大事。目標を持つと自然とそちらの方向に行く。たまに方向を間違えることもあるかもしれないが、遠回りをしてでも目標に近づくことが大事。目標があれば頑張れるし日々の楽しみにもなる。」また、「私の夢は、息子が農家を継いでくれること。ただ、今のままでは胸を張って渡せない。継ぎたいと思ってくれるようなしっかりした基盤作りをしていきたい。」と答えられていました。
事例発表資料(PDF : 1,647KB)
4 講演1
ホライズンコンサルティンググループ株式会社 代表取締役 庄司 和弘 氏から、「継続性・成長性の高い6次産業化の進め方」と題してご講演いただきました。講演では、「商売(ビジネス)の基本的な考え方」「売りやすい商品のキーワード」「デジタルによる購買行動の変化」についてお話していただきました。
参加者から、「農産物の生産と6次産業化のバランスの取り方」について質問があり、「優先順位を付けた具体的な目標を整理し設定することが大事。(例えば、最優先は生産面をしっかりしていくことで上がる収入。次に、輸出や販路開拓などによる収入。その他の収入として、できるだけお金を掛けず小さなビジネスとして外部委託で6次産業化をやる等。)」と回答されていました。
5 講演2
N.GROWTH株式会社 代表取締役 桑原 ナミ 氏から、「消費者に伝わる農産物の販売戦略~農業経営に女性の視点を~」と題してご講演いただきました。講演では、一番の消費者である女性の視点が要であり、ターゲットをしぼりリサーチした上での商品開発の重要性や、地域のファン作り、SNS・インターネット等を活用した販売戦略の有効性等についてお話していただきました。
参加者から、「コロナ禍における消費者への一番のアプローチ方法は?」との質問があり、「商品に使用している農産物の栽培の様子や取組について、SNSを活用して日々アップすることにより、思い入れや価値を感じてもらえる」また、「試食販売等の対面販売でなくても売れるようにするためには、消費者に一番近い販売先のスタッフに商品への思いを伝え共感してもらい、気に入ってもらうことが大切。それにより、同じような商品の中から選んでもらい、消費者へ薦めてもらえる」と答えられていました。
講演2資料(PDF : 268KB)
6質疑応答
Q美味しい商品を作るための基本である美味しい農産物を作るコツは?
A一番大事なことは土作り。液肥も手作りで作っている。
Q6次産業化に取り組む際、具体的には何からスタートすればいいか?
Aまずは小ロットでいいので試作品を作り、マルシェやイベントでテスト販売を行って、売れ行きや消費者の反応などを確かめることから一歩一歩進める。
また、商品開発ではアイデア出しが一番大事。例えばモニター(40代主婦層など)を集め、意見を聞く。モニター側は「買うのか?」、生産者側は「作れるのか?」という軸で絞り込む。具体的にどの様な商品にするのか、価格設定や販路、販売促進のやり方など、売れる商品にするための意見を出してもらい、試作品を作っていく。
この他にもたくさんの質問が出され、それに対して発表者及び講師から一つ一つ丁寧に回答やアドバイスが行われました。
7閉会
8名刺交換会
今回、事例発表者及び講演者とのつながりを持っていただき、今後、6次化に取り組む際に直接相談等ができるよう名刺交換会を実施しました。
来場者の皆さんには積極的に参加していただき、名刺交換と併せて各自の取り組みの相談や質問などもされており、話が尽きない様子でした。
「九州農業の成長産業化に向けた6次産業化セミナー」アンケート結果
セミナーに参加された90名の方のうち、74名の方にアンケートにご協力いただきました。
ご協力に対し、心より感謝申し上げます。
集計結果を以下のファイルにてお知らせいたします。
アンケート結果(PDF : 168KB)
お問合せ先
経営・事業支援部 経営支援課
担当者:女性活躍推進係
ダイヤルイン:096-300-6373
FAX番号:096-300-6373