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動物医薬品検査所

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平成7年度第3期定期的再評価資料 [成分名:クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール ] (平成7年 月 日作成)

文献
番号
情報の出所
(雑誌名等)
情報区分 情報の内容
試験項目試験結果(試験系、試験方法等)
47-1
48-1
著者:Woodward, K. N. 他
雑誌名:Vet. Hum.
Toxicol.
33 巻 2 号
168-172 頁
1991 年
○安全性
有効性
配合意義
理化学的性質
残留性
使用者に対する安全性(再生不良性貧血) ヒトにおける「動物薬に起因する過敏症」に関する総説
動物用クロラムフェニコール(CP)スプレーを職業上継続的に使用していた羊飼いが、再生不良性貧血により死亡した例が引用されている(引用文献35)。
その他、用量依存的かつ可逆的な骨髄細胞増殖抑制、致死的な再生不良性貧血がCPによって引き起こされることが述べられている。
47-2
48-2
著者:Martelli, A.

雑誌名:Mutation Res.
260 巻 1 号
65-72 頁
1991 年
○安全性
有効性
配合意義
理化学的性質
残留性
変異原性(哺乳類由来の培養細胞におけるDNA損傷) クロラムフェニコール(CP)の変異原性を、V79細胞及びラット肝細胞におけるDNA断片化、ヒト肝細胞におけるDNA修復合成を指標として評価したところ、1.0-4.0mM程度の濃度の感作により、いずれにおいても弱いながら陽性の反応が認められた(in vitro)。
V79細胞における6-チオグアニン耐性細胞の出現頻度を指標にした場合にも弱いながら陽性の結果が得られたものの、V79細胞にラットの肝細胞を共存させた後CPを感作させた場合には陰性となった(in vitro)。
なお、ラットにおけるin vivoの小核試験の結果は陰性であった。
以上のことから、CPは弱い遺伝毒性物質であると筆者らは評価している。
(1. V79細胞(チャイニーズハムスター由来の株化細胞)、ラット及びヒトの肝細胞(外科手術で切除されたもの)由来培養細胞を使用。CP(0.5-4.0mM)を単独または1mMのR-sulfoximineと同時に1または20時間感作させ、DNA断片化(single-strand breaks and/or alkali-labile sites)及びDNA修復合成の発現頻度を算定した。2. V79細胞と1-2mMのCPを1時間感作し、もしくは代謝後の変異原性を調べるためにラット肝細胞とV79細胞を1:1に調整後CPを20時間感作し、6-チオグアニン耐性細胞の出現頻度を測定した。3. さらに、in vivoの試験として、Sprague-Dawley♂アルビノラット(200-250g)を用い、1,250mg/kgのCP(1/2LD50に相当)を1回経口投与後、48時間目に肝細胞及び骨髄細胞中の小核保有細胞数を測定した。)
[引用文献]
IARC(International Agency for Research on Cancer)は、CPを「ヒトに対して発癌性があると思われる物質」として位置づけている(1989年)。
ただし、CPの遺伝毒性に関しては、試験系等によって陽性、陰性の双方の成績があり、IARCも評価を下していない状況(1987年)にある。
47-3
48-3
著者:Lafarge-
Frayssinet, C.他
雑誌名:Mutation Res.
320 巻 3 号
207-215 頁
1994 年
○安全性
有効性
配合意義
理化学的性質
残留性
代謝物の変異原性(哺乳類由来の培
細胞におけるDNA損傷)
クロラムフェニコール(CP)の代謝物であるニトロソ-CP,デヒドロ-CP及びデヒドロ-CP塩基は、ヒト末梢血リンパ細胞及びRaji細胞において、DNAの損傷性を示した。
なお、これらの3種の代謝物は、DNA損傷性を示さなかったCPもしくは残りの3種の代謝物に比べて、低濃度で細胞毒性を示した。
(健康なヒトの末梢血から分離したリンパ球、及びRaji細胞(リンパ腫細胞)を使用し、CP及びその6種の代謝物のDNA損傷性と細胞毒性を調べた。代謝物としては、肝臓で代謝産生されるニトロソ-CP、大腸の腸内細菌によって産生されるデヒドロ-CP及びデヒドロ-CP塩基、主な尿中排泄物であるCP-グルクロニド及びCP塩基、及び新生児の尿で見られるCP-アルコール化誘導体を供試した。DNA損傷は、DMSOで溶解した検体(5μl/ml)を37℃で3時間感作後、アルカリ溶出法でsingle-strand breakを測定することにより判定した。)
[引用文献]
IARCは、CPを発癌性に関するクラス「2A」として評価(1990年)。
CPの遺伝毒性に関しては、評価は依然流動的(IARC,1990年、WHO,1988年他)。
CPによるヒトでの再生不良性貧血の発現頻度は1/20,000~1/40,000(1983年)。
47-4
48-4
著者:Arruga, M. V. 他
雑誌名:Res. Vet. Sci.
52 巻 2 号
256-259 頁
1992 年
○安全性
有効性
配合意義
理化学的性質
残留性
変異原性(ウシ由来細胞における染色体異常) ウシ線維芽細胞を用いて姉妹染色分体交換(SCE)を調べたところ、クロラムフェニコール(CP;5-60μg/ml)のいずれの濃度においても、SCEの有意な増加が認められた。
(腎臓から分離したウシ線維芽細胞の初代培養細胞を使用。対数増殖期の細胞にCP(5-60μg/ml)を感作させ、次の対数増殖期(およそ48時間後)に、5-bromodeoxyuridine(10μl/ml)を加えて60時間培養した(CPは腎臓に長く残存することが多いことから、腎臓の環境を再現するためにこの試薬を加えた)。細胞回収4時間前にコルセミド(デメコルシン)を加え、中期分裂像を集めた後、染色体標本を作成し、SCEの出現頻度を陰性対照群と比較した。)
[引用文献]
前文献とほぼ同様の引用文献が多数あり。
47-5
48-5
著者:Catalan, J. 他
雑誌名:Mutation Res
319 巻 1 号
11-18 頁
1993 年
○安全性
有効性
配合意義
理化学的性質
残留性
変異原性(ウシ由来細胞における染色体異常) ウシリンパ球を用いて姉妹染色分体交換(SCE)を調べたところ、クロラムフェニコール(CP)は、弱いながらも有意にSCEを誘発した。なお、SCEの発現頻度は、最も低い濃度(5μg/ml)で一番高かった。
また、CPは、濃度依存的に細胞増殖の周期を遅延させた。
(Purenauca種の雄牛6頭の末梢血から個体別にリンパ球を分離。5-bromodeoxyuridine(5μg/ml)を加え、2時間後にCP(5,10,20または40μg/ml)を加えた。24時間後にコルセミドを加え、染色体標本を作成し、SCEの出現頻度と細胞増殖係数を算定した。)
[引用文献]
前文献とほぼ同様の引用文献が多数あり。47-4,48-4と同一グループの報告。
47-6
48-6
著者:Manna, G. K.
雑誌名:Nucleus
(Calcutta)
33 巻 3 号
145-155 頁
1990 年
○安全性
有効性
配合意義
理化学的性質
残留性
遺伝毒性(変異原性等) 抗生物質の遺伝毒性(変異原性、再奇形性等)に関する総説。
クロラムフェニコール(CP)の変異原性については、一部流動的な成績があるものの、植物の系(引用文献(以下括弧内の数字は引用文献番号)136)、in vitro及びin vivoの哺乳類細胞の系(106,90,83,23)等で陽性とされている。
CPは、マウスの胚において染色体異常や致死作用を示した(128-130)。
また、CPは、マウスにおいて精子数の低下を惹起し、この形質は子供の代(F1及びF2)に引き継がれた(88)。
以上のことから、筆者らは、CPに遺伝毒性がある可能性を指摘している。
47-7
48-7
著者:Ross, J. S. 他
雑誌名:Contact
Dermatitis
25 巻 1 号
64-65 頁
1991 年
○安全性
有効性
配合意義
理化学的性質
残留性
使用者に対する安全性(接触性皮膚炎) 54才の男性が脚、尻、腕部に紅斑、腫脹、水泡形成。また、53才の女性が手、上腕、脚部に皮膚炎を呈した。いずれもIruxoll Knoll(クロラムフェニコール(CP;1%)及びコラゲナーゼを有効成分とする人体用の軟膏)を長期間局所に塗布していた。パッチテストの結果、Iruxoll Knoll及びCP軟膏で陽性(2及び3日目;+~++及び++)、コラゲナーゼで陰性となった。なお、後者の症例では、7日目にネオマイシン(硫酸フラジオマイシン)20%軟膏にも陽性となった。
CPは使用方法が限局されていることもあり、接触性皮膚炎を誘発するという報告は殆どないが、上記2例の症例はCPに起因するものであると筆者らは結論づけている。
(イタリアにおける報告。パッチテストに用いたCP軟膏及びコラゲナーゼ軟膏の濃度は、各々2~5%及び1.2mg/g)。
47-8
48-8
著者:Baig, J. 他
雑誌名:Indian J.
Animal Sci.
64 巻 7 号
712-715 頁
1994 年
○安全性
有効性
配合意義
理化学的性質
残留性
対照動物(イヌ)における安全性(ヘモ
グロビン・血球数等の低下)
パルミチン酸クロラムフェニコール(CP)をイヌに経口投与することにより、1. ヘモグロビン、総血球量、赤血球数、網状赤血球数、白血球数、血中グルコース量及び総血清蛋白量が低下する傾向にあり、2. 総血清ビリルビン量、アラニン・アミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパルテート・アミノトランスフェラーゼ(AST)が顕著に上昇し、3. 骨髄においては、エリスロイド(赤血球)系細胞が減少し、エリスロイドに対するミエロイド(骨髄球)比が有意に上昇した。
筆者らは、1. ビリルビン量の増加は、CPによる肝機能障害(Levineら,1969)や溶血(Tarlovら,1962)に、2. ALT,ASTの増加は、障害を受けた肝細胞からの酵素放出に(Farkouh,1976他) 、3. 血中グルコースの低下は、腸管粘膜における吸収能の変化に(Al-Hussainyら,1979他)、4. 赤血球数等の減少、エリスロイド:ミエローマ比の増加は、骨髄細胞増殖の抑制と食欲減退(CPの投与によって犬で著実に認められる臨床所見)に、それぞれ起因する可能性を指摘している。
(6~8カ月齢の健康なmongrel犬(体重10~11Kg)24頭を供試。12頭を無処置対照群とし、残りの12頭にCP(300mg/kg・day)を14日間経口投与した。その後1. 0,3,7,11及び15日目に採血し、充填赤血球量、ヘモグロビン量、総赤血球数、種類別白血球数、網状赤血球(幼若な赤血球) 数、血小板数及び血液生化学性状(血清中の蛋白量、ALT、AST量)を測定した。また、2. CP投与開始後0,7及び15日目に生体から骨髄を採取し、染色・鏡検してミエロイド対エリスロイド比を算定した。)
[引用文献]
ネコにおいても同様の現象が認められるという報告あり(Pennyら,1967)。
47-9
48-9
著者:Sudhan, N. A. 他
雑誌名:Indian Vet. J.
67 巻 号
559-560 頁
1990 年
○安全性
有効性
配合意義
理化学的性質
残留性
対象動物(豚)での
副作用報告(過敏症)
コハク酸クロラムフェニコールナトリウム(CP;10mg/kg・day)を豚に連日筋肉注射したところ、3日目に3頭の豚(ヨークシャ種)で重度の掻痒感及び紅斑が認められた。この内の1頭では、皮膚の表層に広汎に水腫が広がっていた。豚は、落ち着きがなく食欲も減退していたが、体温は平常であった。
CPの接種を中止し、抗ヒスタミン剤(avil)の筋肉注射と、二次感染を予防する目的で抗生物質軟膏(vetbacin)の塗布を行ったところ、5日後に症状が改善された。
筆者らは、CPによる豚の過敏症は稀であるとしている。
(インドの養豚場における報告。53頭の輸入豚(ランドレース、ハンプシャー、ヨークシャ種)を別区画で飼育。サルモネラの発生を予防する目的でCPを接種したもの。)
47-10
48-10
著者:Jimenez, J. J.他
雑誌名:Am. J. Med.
Sci.
300 巻 6 号
350-353 頁
1990 年
○安全性
有効性
配合意義
理化学的性質
残留性
代謝物の細胞増殖阻害等 腸内細菌が産生するクロラムフェニコール(CP)の2つの代謝物、デヒドロ-CP(DH-CP)及びニトロフェニルアミノプロパン(NPAP)は、in vitroでCPよりも強い骨髄毒性を示すことが報告されている。当文献では、肝臓で産生されるニトロソ-CP(NO-CP)を含め、CP及びその代謝物の骨髄毒性をcolony stimulating factor(CSF)の産生を指標にしてin vitroで検討した。
ヒト骨髄細胞及び培養細胞において、CP及びその代謝物による成長抑制効果は、CSFの量に比例して認められた。
DH-CP及びNO-CPは、いずれもヒト血液中のbuffy coat細胞によるCSFの産生を50~70%減少させた。なお、CP及びNPAPはCSFを減少させなかった。
以上のことから、CPの腸内細菌による代謝物は、血液細胞の増殖抑制とCSFの産生抑制により、再生不良性貧血を誘発する可能性があると筆者らは考察している。
47参考
48参考
Page, S.W.
Australian Vet. J.
68(1),1-2, 1991
Holt, D. 他
Adverse Drug React.
Toxicol. Rev.
12(2),83-95, 1993
sterdahl, B. G. 他
Vr Fda
42(6),346-350, 1990
International Digest
of Health Legislation
42(3), 509, 1991
○安全性
有効性
配合意義
理化学的性質
残留性
クロラムフェニコールの食用動物への使用に対する各国の措置 オーストラリア獣医師会(Australian Veterinary Association)のレビュー、その他の文献によると各国のクロラムフェニコール(CP)に対する規制は下記のとおり。
英国;他の代替え薬がない場合に限定して、大小動物にCPによる治療(眼科用及び全身用)を許可している(British Vet. Assoc. 1976)。
米国;食用動物へのCPの使用は全面禁止としている(Holt, D. 1993; Settepani, 1984)。FAO/WHO;CPは、感受性のある人に対しては少量の残留でも安全と言えないことから、FAO/WHOはCPの残留許容量を設定することができなかった。食用動物に対しては使用禁止とする努力を引き続き行うよう勧告している(32th Meeting, 1988)。
オーストラリア;食用動物に対するCPの使用は以前から禁止されていたが、最近、馬をこの範疇に加える旨の改正がなされた。禁止理由は、人における再生不良性貧血、CP耐性菌に対する危惧が主なものとして挙げられている。
スウェーデン;食用動物にCPを使用することは許可されていない(sterdahl,B.G. 1990)。
ベネズエラ;食用動物(肉牛、乳牛、羊、山羊、豚、家禽、ウサギ、魚)にCPを使用することを1988年に禁止した(Internat. Digest Health Legislation 1991)。

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