沿革
第 1 趣旨
1 オーストラリアへ輸出するいちごの生果実(以下「オーストラリア向けいちご」という。) について、オーストラリア向けいちごの生産者(以下「生産者」という。) 、選果技術員(病害虫寄生果の識別及び選別並びに選果従事者への技術指導を行う者をいう。以下同じ。) 、選果こん包施設の責任者、くん蒸倉庫等のくん蒸施設(以下「くん蒸倉庫」という。) の責任者等が施設管理、収穫、選果こん包、くん蒸等を関係法令に従って適切に実施し、及び植物防疫官が検疫を斉一に実施することにより、我が国からのオーストラリア向けいちごの円滑な輸出を確保するため、本要領を定める。
2 オーストラリア向けいちごの検疫は、植物防疫法(昭和25年法律第151号) 、植物防疫法施行規則(昭和25年農林省令第73号。以下「規則」という。) 及び輸出植物検疫規程(昭和25年8月4日農林省告示第231号) に定めるもののほか、本要領により実施するものとする。なお、栽培地検査実施細則(昭和32年4月9日付け32振局第1065号振興局長通達) は、オーストラリア向けいちごの検疫については、適用しない。
第 2 定義
本要領において「いちご」とは、Fragaria×ananassaをいう。
第 3 補助員の設置
1 植物防疫所長(那覇植物防疫事務所長を含む。以下同じ。) は、植物防疫官による第4の角斑細菌病菌の栽培地検査並びに第4及び第5のオウトウショウジョウバエ、ニセオウトウショウジョウバエ及びDrosophila subpulchrella(以下「ショウジョウバエ類」という。) の調査の事務を補助させるため、オーストラリア向けいちご検査補助員(以下「補助員」という。) を、第1号様式による辞令を交付して委嘱することができるものとする。
2 補助員は、病害虫に関する知識を有し、かつ、オーストラリア向けいちごの売買に直接利害関係を有しない者であって、オーストラリア向けいちごを生産する都道府県(以下「都道府県」という。) の主務部長が推薦した者の中から委嘱されるものとする。
3 植物防疫所長は、補助員を委嘱したときは、当該補助員に対し、その者が担当すべき地域及び事務の内容を指示するものとする。
4 補助員の担当地域を管轄する植物防疫所(那覇植物防疫事務所、支所及び出張所を含む。以下同じ。) の植物防疫官は、当該補助員に対し、その者が担当すべき事務に係る講習及び指導を行うものとする。
第 4 生産施設の登録等
1 検査の申請
(1) 生産者又は生産者が属する生産者団体等(以下「生産者団体等」という。) の責任者は、オーストラリア向けいちごを生産するガラス温室、ビニールハウス等の施設(以下「生産施設」という。) について、規則第24条第1項の規定により、栽培地検査(以下「検査」という。) を申請するものとする。
(2) (1) の申請に当たっては、毎年栽培地検査申請書(規則第12号様式) 、生産施設の所在地に係る地図及び親株が健全苗であることを示す資料を、当該生産施設が所在する都道府県に提出するものとする。
(3) 都道府県は、その年に生産されるオーストラリア向けいちごに係る栽培地検査申請書を取りまとめ、当該年の7月31日までに、オーストラリア向けいちごの生産施設の所在地を管轄する植物防疫所の植物防疫官に提出するものとする。
(4) 生産者又は生産者団体等の責任者は、(2) により提出した栽培地検査申請書の記載内容に変更があったときは、修正後の栽培地検査申請書を、速やかに同様の経路で提出するものとする
2 生産施設の登録
(1) 植物防疫官は、提出された栽培地検査申請書及び資料の内容に基づき、生産施設におけるトラップ設置図を作成するとともに、オーストラリア向けいちご登録生産施設一覧表(第2号様式。以下「登録生産施設一覧表」という。) により、当該施設をオーストラリア向けいちごの生産施設として登録し、生産者又は生産者団体等の責任者に対し、都道府県を経由して、当該生産者又は生産者団体等に係る登録生産施設一覧表を通知するものとする。
なお、登録を行った植物防疫官は、当該登録生産施設一覧表を、登録した年度の翌年度末まで保管するものとする。
(2) 植物防疫所長は、(1) により作成された登録生産施設一覧表、生産施設の所在地を示す地図及び生産施設におけるトラップ設置図を、毎年8月31日までに、農林水産省消費・安全局植物防疫課長(以下「植物防疫課長」という。) に提出するものとする。提出した資料の内容に変更があったときは、植物防疫所長は、遅滞なく、変更後の資料を植物防疫課長に提出するものとする。
(3) 植物防疫課長は、(2) により提出された資料をオーストラリア植物防疫機関に提出するものとする。
(4) (1) により登録されたオーストラリア向けいちごの生産施設(以下「登録生産施設」という。) を管理する生産者又は生産者団体等の責任者は、規則第24条第2項の規定により、当該登録生産施設の見やすい場所に、規則第13号様式の表示(以下「標札」という。) を行わなければならない。
(5) 植物防疫官は、第3により補助員が設置されている場合は、当該補助員に対し、当該補助員が担当すべき登録生産施設を指示するものとする。
3 登録生産施設における検査及び調査
植物防疫官又は補助員は、登録生産施設について、次により検査及び調査を行うものとする。ただし、第9の臭化メチルくん蒸を行う場合は、(2) 及び(3) の調査は行う必要はない。
また、当該検査に当たっては、規則第24条第2項の規定により、登録生産施設を管理する生産者又は生産者団体等の責任者は、当該検査に立ち会わなければならない。
(1) 角斑細菌病菌に対する検査
ア 時期及び回数
栽培初期及び輸出開始の4~6週間前に、1回ずつ実施する。
イ 方法
全ての登録生産施設内の全ての植物について、角斑細菌病菌の発生の有無を目視により検査する。
(2) ショウジョウバエ類に対するトラップ調査(第9の臭化メチルくん蒸を行う場合は除く)
ア 時期及び頻度
輸出開始の1か月前から輸出期間終了までの間、1週間に1回実施する。
イ 方法
全ての登録生産施設及びその周囲において、以下に定める手順に従ってトラップを設置し、ショウジョウバエ類の捕獲の有無を確認する。
(ア) 側面に直径5mm程度の孔を4~6個開けたプラスチック容器(250~750ml程度) を使用すること。
(イ) トラップ内に入れる液体には、日本酒及び蜂蜜を重量比5:1で混合したもの、リンゴ酢原液(JAS規格に定める酸度4.5%以上のもの) その他ショウジョウバエ類の成虫を誘引する効果が確認されているもの(以下「誘引剤」という。) を使用し、液体の量は、容器容量の半分以上とすること。
(ウ) トラップは、別表2に定める密度で設置すること。
(エ) トラップは、毎週調査し、誘引剤は2週間ごとに交換すること。
(3) ショウジョウバエ類に対する果実調査(第9の臭化メチルくん蒸を行う場合は除く)
ア 実施の時期及び頻度
輸出の開始の1か月前から輸出の終了までの間、1週間に1回実施する。
イ 調査の方法
登録生産施設ごとに300個以上(同一の生産者又は生産者団体等で複数の登録生産施設を有する場合は、その全ての登録生産施設から抽出して合計300個以上とすることができる。) の果実について、ショウジョウバエ類の発生の有無を目視により調査し、果実にショウジョウバエ類の食害であることが疑われる傷が確認された場合は、当該果実を切開し、ショウジョウバエ類の発生の有無を調査する。
4 植物防疫官又は補助員は、3により検査及び調査を実施するときは、その日程を、あらかじめ登録生産施設を管理する生産者又は生産者団体等の責任者に通知するものとする。
5 植物防疫官又は補助員は、3の(1) の検査結果を角斑細菌病菌に対する登録生産施設検査成績(第3号様式) に、3の(2) 及び(3) の調査結果をショウジョウバエ類に対する調査記録(第4号様式) に、それぞれ記録する。補助員が検査又は調査を行ったときは、検査又は調査の都度、当該記録を植物防疫官に提出するものとする。
6 植物防疫官は、3の(1) による検査結果を確認し、又は5による補助員検査の成績を審査した結果、登録生産施設に角斑細菌病菌が発見されないことを確認したときは、規則第30条第2項の規定により、当該登録生産施設を管理する生産者又は生産者団体等の責任者に対し、栽培地検査合格証明書(規則第19号様式) を交付するものとする。なお、この際、当該証明書の備考欄に、植物防疫官又は補助員が3の(2) 及び(3) の調査を行う旨を記載するものとする(第9の臭化メチルくん蒸を行う場合は除く) 。
7 植物防疫官は、3の(1) の検査の結果、角斑細菌病菌が発見されたときは、当該病菌が発見された登録生産施設の登録を取り消し、登録生産施設一覧表から削除するものとする。
検査を行った補助員から角斑細菌病菌が発見された旨の報告があり、その報告内容が真正と認められたときも同様とする。
8 植物防疫官は、3の(2) 又は(3) の調査の結果、ショウジョウバエ類が発見されたときは、その旨を直ちに植物防疫所長に報告するとともに、当該害虫が発見された登録生産施設から半径15kmの範囲に存在する全ての登録生産施設及び第5の(3) により登録を行ったオーストラリア向けいちごの選果こん包施設(以下「登録選果こん包施設」という。) の登録を取り消し、登録生産施設一覧表及び第5のオーストラリア向けいちご登録選果こん包施設一覧表(第6号様式) (以下「登録選果こん包施設一覧表」という。) から、当該登録生産施設及び登録選果こん包施設を削除するものとする。
調査を行った補助員からショウジョウバエ類が発見された旨の報告があり、その報告内容が真正と認められたときも同様とする。
9 8の報告を受けた植物防疫所長は、植物防疫課長に対し、ショウジョウバエ類が発見された旨を報告し、植物防疫課長は、オーストラリア植物防疫機関に対し、その旨を報告するものとする。
10 植物防疫官は、7又は8により登録を取り消したときは、当該登録生産施設を管理する生産者又は生産者団体等の責任者に対しては、取消しの理由及び標札を撤去すべき旨を通知し、当該登録選果こん包施設の責任者に対しては、取消しの理由を通知するとともに、植物防疫所長に対して当該通知をした旨を報告するものとする。
11 10の報告を受けた植物防疫所長は、植物防疫課長並びに当該登録生産施設及び登録選果こん包施設が所在する都道府県に対し、登録生産施設又は登録選果こん包施設の登録を取り消した旨を通知し、植物防疫課長は、その旨をオーストラリア植物防疫機関に通知するものとする。
第 5 選果こん包施設の登録等
選果こん包施設及び選果技術員の登録は、次により行うものとする。
1 選果こん包施設の登録申請
(1) 選果こん包施設の責任者は、オーストラリア向けいちごをこん包する施設について、植物防疫官の登録を受けるものとする。登録に当たっては、オーストラリア向けいちご選果こん包施設登録申請書(第5号様式。以下「選果こん包施設登録申請書」という。) を、都道府県を経由して、毎年7月31日までに、当該選果こん包施設の所在地を管轄する植物防疫所の植物防疫官に提出するものとする。
(2) 選果こん包施設の責任者は、(1) により提出した選果こん包施設登録申請書の記載内容に変更があったときは、速やかに、修正後の選果こん包施設登録申請書を同様の経路で提出するものとする。
2 選果技術員の登録
1の(1) 又は(2) により選果こん包施設登録申請書を受けた植物防疫官は、当該こん包施設に係る選果技術員に対し、病害虫の識別に関する技術研修(以下「識別研修」という。) を実施し、受講者を識別研修の修了者として登録するものとする。
3 選果こん包施設の登録及び公表
(1) 植物防疫官は、選果技術員が識別研修を修了し、申請に係る選果こん包施設が次のアからエまでに掲げる要件を備えていることを確認した上で、当該選果こん包施設をオーストラリア向けいちごの選果こん包施設として登録するものとする。
ア 選果のための十分な照明設備及び選果設備を有すること。
イ 施設内に登録生産施設以外で生産されたいちご等の生果実がある場合は、当該生果実とオーストラリア向けいちごとを1m以上(冷蔵施設の場合は、10cm以上) 離して保管できること。
ウ 定期的に清掃、消毒等が適切に行われており、その記録が保管されていること。
エ ショウジョウバエ類の侵入防止措置を講じた選果こん包施設を使用する場合にあっては、輸出の開始の1か月前から、当該選果こん包施設の窓等の開口部に網(孔の大きさが0.98mm以下のものに限る。以下同じ。) を張ること。
(2) (1) により登録を行った植物防疫官は、都道府県を経由して、当該申請を行った選果こん包施設の責任者に対し、当該登録を行った旨を通知するものとする。
(3) 植物防疫所長は、登録選果こん包施設の情報を、登録選果こん包施設一覧表により、毎年9月30日までに植物防疫課長に提出するとともに、登録選果こん包施設一覧表(選果こん包施設責任者氏名及び選果技術員氏名の欄を除く。) を植物防疫所ホームページに掲載するものとする。
なお、登録を行った植物防疫官は、当該登録選果こん包施設一覧表を、登録した年度の翌年度末まで保管するものとする。
(4) オーストラリア向けいちご選果こん包施設の登録後に、(1) の要件を満たしていないことが判明した場合、植物防疫官は、当該登録選果こん包施設の責任者に対し、改善措置を実施するよう指導するものとする。
なお、植物防疫官は、当該責任者が指導に従わない場合には、(1) による登録を取り消すとともに、当該選果こん包施設が所在する都道府県を経由して、当該責任者に対し、取消しの理由を通知するものとする。
(5) 植物防疫課長は、オーストラリア植物防疫当局の要請に応じて、(2) により提出された登録選果こん包施設一覧表を、オーストラリア植物防疫機関に提出するものとする。
4 登録選果こん包施設における調査(第9の臭化メチルくん蒸を行う場合又はショウジョウバエ類の侵入防止措置を講じた選果こん包施設は除く。)
植物防疫官又は補助員は、登録選果こん包施設について、次によりショウジョウバエ類に対するトラップ調査を行うものとする。ただし、第9の臭化メチルくん蒸を行う場合又はショウジョウバエ類の侵入防止措置を講じた選果こん包施設である場合は、この限りでない。
(1) 実施の時期及び頻度
輸出開始の1か月前から輸出期間終了までの間、1週間に1回実施する。
(2) 調査の方法
全ての登録選果こん包施設において、以下に定める手順に従って、トラップを設置し、ショウジョウバエ類の捕獲の有無を確認する。
(ア) 側面に直径5mm程度の孔を4~6個開けたプラスチック容器(250~750ml程度) を使用すること。
(イ) トラップ内に入れる液体には、第4の3(2) の誘引剤を使用し、液体の量は、容器容量の半分以上とすること。
(ウ) トラップは、登録選果こん包施設内に1個設置すること。
(エ) トラップは毎週点検し、誘引剤は2週間ごとに交換すること。
5 植物防疫官又は補助員は、4により調査を実施するときは、その日程を、あらかじめ登録選果こん包施設の責任者に通知するものとする。
6 植物防疫官又は補助員は、4による調査結果をショウジョウバエ類に対する調査記録(第4号様式) に記録するものとする。補助員が調査を行ったときは、調査の都度、当該記録を植物防疫官に提出するものとする。
7 4による調査の結果、登録選果こん包施設においてショウジョウバエ類が発見されたと認められるときは、植物防疫所長又は植物防疫官は、第4の8及び9から11までによる措置を行うものとする。
第 6 くん蒸倉庫の登録
1 ショウジョウバエ類に対する措置として第9の臭化メチルくん蒸を実施する場合は、くん蒸倉庫の責任者は、くん蒸倉庫について、植物防疫官の登録を受けるものとする。登録に当たっては、オーストラリア向けいちごくん蒸倉庫登録申請書(第7号様式。以下「くん蒸倉庫登録申請書」という。) に関係書類を添付して、都道府県を経由して、当該くん蒸倉庫の所在地を管轄する植物防疫所の植物防疫官に提出するものとする。
2 くん蒸倉庫の責任者は、1により提出したくん蒸倉庫登録申請書の記載内容に変更があったときは、速やかに修正後のくん蒸倉庫登録申請書を、同様の経路で植物防疫官に提出するものとする。
3 植物防疫官は、申請書及び添付された関係書類に不備がないことを確認し、植物防疫所長に報告するものとする。報告を受けた植物防疫所長は、当該添付書類を植物防疫課長に提出するものとする。
4 植物防疫課長は、3により提出された関係書類をオーストラリア植物防疫機関に提出し、オーストラリア植物防疫機関の承認を得るものとする。
5 植物防疫官は、申請書に基づき、オーストラリア植物防疫機関から承認が得られたくん蒸倉庫を、オーストラリア向けいちごのくん蒸倉庫として登録するものとする。
6 植物防疫官は、登録したくん蒸倉庫(以下「登録くん蒸倉庫」という。) を、オーストラリア向けいちご登録くん蒸倉庫一覧表(第8号様式。以下「登録くん蒸倉庫一覧表」という。) により、くん蒸倉庫の責任者に通知するものとする。
また、植物防疫所長は、遅滞なく、登録くん蒸倉庫の登録情報を、登録くん蒸倉庫一覧表により、植物防疫課長に提出するとともに、登録くん蒸倉庫一覧表を植物防疫所ホームページに掲載するものとする(登録くん蒸倉庫責任者氏名の欄を除く。) 。
なお、登録を行った植物防疫官は、当該登録くん蒸倉庫一覧表を登録した年度の翌年度末まで保管するものとする。
7 植物防疫課長は、オーストラリア植物防疫機関の要請に応じて、6により提出された登録くん蒸倉庫一覧表をオーストラリア植物防疫機関に提出するものとする。
8 オーストラリア向けいちごくん蒸倉庫の登録後に、1により提出された申請書及び関係書類について記載内容の誤り等の不備があったことが判明した場合、植物防疫官は、当該登録くん蒸倉庫の責任者に対し、改善措置を実施するよう指導するものとする。なお、植物防疫官は、当該責任者が指導に従わない場合には、5による登録を取り消すものとするとともに、当該くん蒸倉庫が所在する都道府県を経由して、当該責任者に対し、取消しの理由を通知するものとする。
第 7 選果こん包等の実施
1 登録選果こん包施設におけるオーストラリア向けいちごの選果こん包、積込み作業等は、次により行うものとする。
なお、作業に従事する者の中に第5の2で登録を受けた選果技術員を少なくとも1人配置するものとする。
(1) 登録生産施設で生産されたいちご生果実であることを確認すること。
(2) 当該登録生産施設での最初の収穫から1週間を経過した後に収穫されたいちご生果実であることを確認すること。
(3) 選果こん包作業の開始前に、選果こん包施設内の清掃を行うこと。
(4) こん包に用いる容器は、未使用のものであること。また、原則として密閉式の容器を使用するものとするが、非密閉式の容器を使用する場合には、次に掲げる措置のいずれかを行うこと。
ア 通気孔に網が張られているこん包を使用すること。
イ こん包又は束ねたこん包全体を網で覆うこと。
ウ 登録選果こん包施設から直接密閉式輸送機器に積み込み、開封せずに輸出すること。
(5) 登録生産施設で生産されたオーストラリア向けいちごと登録生産施設以外で生産されたいちご等の生果実の選果こん包を同時に行わないこと。
(6) 登録選果こん包施設内に登録生産施設以外で生産されたいちご等の生果実がある場合は、オーストラリア向けいちごを1メートル以上(冷蔵施設の場合は、10センチメートル以上) 離して保管すること。
(7) 各こん包の側面に、オーストラリア向けの表示(Product of Japan for Australia) 、果実の種類、登録選果こん包施設番号、登録生産施設番号及び第9の臭化メチルくん蒸を行った場合は登録くん蒸倉庫名又は登録くん蒸倉庫番号を表示すること(参考様式) 。
2 選果技術員は、選果こん包作業においてショウジョウバエ類が発見されたときは、直ちに選果こん包施設の責任者にその旨を報告し、当該責任者は、植物防疫官にその旨を報告するものとする。
3 2の報告があったときは、植物防疫所長又は植物防疫官は、第4の8及び9から11までに基づく措置を行うものとする。
第 8 選果こん包実施報告書の交付
登録選果こん包施設の責任者は、選果こん包等が第6の1に従い適切に行われたと判断した場合には、オーストラリア向けいちご選果こん包実施報告書(第9号様式。以下「選果こん包実施報告書」という。) を2部(輸出検査申請書添付用及び輸出者保管用) 作成し、オーストラリア向けいちごを輸出しようとする者(選果こん包の実施依頼者を含む。以下「輸出者」という。) に交付するものとする。
第 9 臭化メチルくん蒸の実施
1 輸出者は、オーストラリア向けいちごくん蒸計画書(第10号様式) 及び選果こん包実施報告書の写しを、登録くん蒸倉庫の所在地を管轄する植物防疫所の植物防疫官に提出するものとする。
2 植物防疫官は、くん蒸の開始前又は終了後の立会いを通じて以下の事項を確認することにより、くん蒸が適切に行われたことを確認するものとする。
(1) くん蒸は、登録くん蒸倉庫で実施されたこと。
(2) 臭化メチルの薬量は、くん蒸倉庫の内容積1m3あたり40g以上であり、生果実の中心温度が18℃以上で、くん蒸が3時間行われたこと。
(3) 包装は、くん蒸が行える程度の通気性があり、新しい包装材で行われたものであること。
(4) 一回に処理する生果実の量が、くん蒸倉庫の内容積の50%を超えず、かつ、積付けがガス濃度の均一化を阻害しないように行われたこと。
3 くん蒸後のオーストラリア向けいちご生果実については、密閉型輸送機器で輸送するなどショウジョウバエ類の汚染防止措置を講ずること。
第10 輸出検査
1 輸出者は、オーストラリア向けいちごの輸出に当たっては、規則第25条の規定により、植物等輸出検査申請書(規則第14号様式(イ) 。以下「輸出検査申請書」という。) 、オーストラリア政府により交付された輸入許可証の写し及び第8による選果こん包実施報告書を、あらかじめ、輸出検査の実施を希望する植物防疫所の植物防疫官に提出するものとする。
2 植物防疫官は、輸出者に、あらかじめ輸出検査の実施予定日時及び実施場所を通知するものとする。
3 植物防疫官は、選果こん包実施報告書により、輸出されるオーストラリア向けいちごが登録選果こん包施設において選果こん包されたものであること、第9の臭化メチルくん蒸を実施した場合にあっては、第9の2の確認を受けたものであることを確認するものとする。
4 植物防疫官は、3による確認ができた場合は、次の(1) 及び(2) により輸出検査を実施し、病害虫又は枝葉等の付着物が発見した場合は、当該病害虫名及びその生死又は付着物名を記録するものとし、その結果に基づき(3) の措置を行うものとする。
(1) 輸出検査の単位(ロット)
申請のあった生果実に対し、生産者(又は都道府県) 及び登録選果こん包施設が同一のものを、品種ごとに1つの輸出検査単位(ロット) とする。ただし、ロットが細分化され、輸出検査が非効率となる場合であって、かつ、申請者からの要望があった場合は、品種については、異なるものをまとめて1ロットとすることができるものとする。
(2) 輸出検査の内容
1ロットから別表3に掲げる数量を無作為に抽出し、次について確認するものとする。
ア 別表1の病害虫が認められないこと。
イ 第7の1の(7) の表示があること(参考様式) 。
ウ こん包には、土、枝葉等の混入がないこと。
(3) 輸出検査の結果行う措置
ア オーストラリア向けいちごの輸出条件に適合すると認められた場合
植物防疫官は、合格証明書(規則第18号様式(ロ) ) を交付するものとする。合格証明書の交付に際しては、次の(ア) のとおり追記を行うとともに、(イ) の内容について追記を行うものとし、臭化メチルくん蒸が行われた場合には、(ウ) の内容について追記を行うものとする。
(ア) The fruit in this consignment has been produced in Japan in accordance with the conditions governing entry to Australia and in accordance with the “Work plan for the export of fresh strawberries from Japan to Australia”. The fruit in this consignment has been produced at a seasonal pest free place of production known to be free from Drosophila pulchrella, D. subpulchrella and D. suzukii.
(イ) 登録生産施設及び登録選果こん包施設の登録番号。密閉式船積み貨物にあっては、これらに加え、コンテナ番号及び封印番号(関係書類に記載する場合には、合格証明書の番号を併記することとし、その場合は、合格証明書への記載を省略することができる) 。
(ウ) 臭化メチル薬量1m3あたり40g以上であり、果実中心温度が18℃以上で3時間くん蒸が行われたこと、くん蒸年月日及び登録くん蒸倉庫名又は登録くん蒸倉庫番号
イ 角斑細菌病菌が発見された場合
(ア) 当該ロットを不合格とするものとする。
(イ) 当該ロットを生産した登録生産施設について、第4の2の(1) による登録を取り消すとともに、当該登録生産施設の生産者又は生産者団体等の責任者に対して、取消しの理由及び標札を撤去すべき旨を、登録選果こん包施設の責任者及び当該登録生産施設が所在する都道府県に対して、生産施設の登録が取り消された旨を、それぞれ通知するものとする。
ウ ショウジョウバエ類が発見された場合
(ア) 当該ロットを不合格とするものとする。
(イ) 直ちに植物防疫所長にショウジョウバエ類が発見された旨を報告するとともに、当該ロットを生産した登録生産施設から半径15kmの範囲に所在する全ての登録生産施設及び登録選果こん包施設について、第4の8及び9から11までに基づく措置を行うものとする。
エ 角斑細菌病菌及びショウジョウバエ類以外の別表1の病害虫が発見された場合
当該ロットを不合格とするものとする。
第11 輸送方法
オーストラリア向けいちごは、船積み貨物又は航空貨物として輸送するものとする。
第12 輸出期間
1 第9の臭化メチルくん蒸を行う場合
通年
2 第9の臭化メチルくん蒸を行わない場合
12月1日から翌年の3月31日まで。
第13 オーストラリアでの輸入検査
オーストラリアにおける輸入検査の結果、ショウジョウバエ類が発見されたとき又は不合格が連続するときは、それらの原因が特定され、適切な措置が講じられるまでの間、我が国からのオーストラリア向けいちごの輸出は全て停止される。その旨の通知を受けたとき以降、植物防疫官による輸出検査は、全て停止するものとする。
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