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農林水産政策研究所

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クローズアップ研究者 伊藤 暢宏

農林水産政策研究所 研究員(食料領域)

専門: 農業経済学(フードシステム論、食料消費行動)

これまでの研究はどのようなものですか?

  これまで、「消費者の食料消費行動」について、消費者のアンケートデータや購買データ等を用いて様々な角度から研究してきました。特に、中心的な課題としてきたのは、食品事業者や農業者が消費者と直接的な交流の機会を持つことで、その後の消費者の意識や行動がどのように変化するのかについてです。食品の生産・流通について分業が進んでいることは消費者が多種多様の食品を選択して楽しむことができますが、一方では消費者が生産現場の様子や工夫を知ることが困難な場合があります。例えば、農業者が生産時に工夫を行い良質な食品を生産していても、その情報が消費者の元に届いていない可能性があり、そうした生産者が持続的に生産活動を続けることを難しくしてしまいます。そのため、消費者が農業体験や工場見学など直接生産現場に赴いて生産者と交流することによって、消費者行動がどのように変化するのかについて研究してきました。
  また、最近は消費者の米消費や小売店の販売行動との関係についての研究にも取り組んでいます。日本農業にとって米は大きな割合を占めている一方、その消費は年々落ち込んでいます。これは米の産地や品種が多種多様であることに加え、小売店ではセール品として扱ったり、ブランド米として売り出したりすることもあります。このように、以前にも増して米に関する消費者行動は複雑になってきています。消費者がすべての商品に目を配った上で購買できておらず、ある一定の商品群の中から選んでいることなど、消費者の米購買行動について基礎的なところから丁寧に明らかにしています。

今後の抱負はなんですか?

  今後も、食料消費行動を明らかにする研究を進めることを通じて、食料・農業・農村が直面している課題に挑戦していきたいと思っています。また、消費者の視点から研究を進める上でも、農業や食品産業の現場の理解は不可欠であると考えており、これらの関連分野及び現場から多くのことを学んでいきたいと思います。そして、政策的・学術的、そして実践的な研究を行い、研究成果を広く社会に理解していただけるような研究者を目指します。

略歴      研究員紹介のページを見る

三重県出身。2019年3月東京大学大学院修了(博士(農学))。同年、東京大学農学特定研究員、明治大学兼任講師等を経て、2020年4月より現職。

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