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農林水産政策研究所

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農業・農村コミュニティの再生に向けた地域農業・農村社会の構造的な変化に関する研究(プロジェクト研究)

1.研究の背景

  農業者の高齢化が進んだことによる昭和一桁世代の農業からの大量リタイア、地域差を伴っての若い世代の新たな離帰村の動き等により、農業の担い手、農村地域に係る諸指標を見ると、これまでに見られなかった大きな変化が生じている。これらの中には、一層促進していかなければならない動きがある一方、早急に対策を講じて地域農業や農村社会に深刻な影響を与えないようにする必要がある動きもある。

  具体的には、担い手における労働力不足の加速、集落営農組織の法人化に関する地域格差の拡大、過疎化・高齢化の進展に伴う集落機能の低下といったこれまでの延長線上にある動きだけではなく、農地所有世帯の不在村化や担い手として活動してきた大規模経営等における経営継承の困難化といった、これまであまり見られなかった新たな動きが出てきていることが明らかになってきている。

   こうした状況の中、ICTの活用による経営効率化や意欲ある女性の経営参画等を促進し、競争力のある農業の担い手を育成・確保すると同時に、これらの者が居住する農村地域の資源維持やコミュニティの再生を図っていくことが求められている。

  このため、地域農業や農村社会の構造的な変化が特徴的な地域、様々な課題が顕著になりつつある地域を選定して、ICTの活用実態や女性の経営参画状況も含めた動向の分析を行い、そのような動きが生じている要因と課題を明らかにする必要がある。加えて、統計データを活用した分析から、他産業と比較した農業雇用労働力の現状や、消滅危惧集落の予測を中心とした今後の農村構造の見通しに関する推計を行い、課題に対する対応方向を明らかにする。

2. 研究内容

(1)担い手の経営改善、経営継承に関する研究

  個別経営体の円滑な経営継承及び持続性の低い集落営農組織の再編に向けて、地域類型、営農類型を踏まえた現地調査を、統計分析も組み合わせつつ実施し、対応方向を明らかにする。

(2)ICT等も活用した担い手の労働力不足解消に関する研究

  担い手が規模拡大し経営を改善していくためには、雇用労働力を確保し、女性の能力を活用していく必要がある。このため、農業分野における雇用労働力、女性の経営参画の現状と課題について、統計の組替集計による分析、先進的な取組事例に対する現地調査を行うことで整理し、対応方向を明らかにする。

  その際、ICT等の活用により解消できる課題とできない課題を整理し、追加で講じるべき対応についても明らかにする。

(3)農村集落の将来の姿に関する研究

   農業集落データベースを活用して消滅危惧集落等に関する将来推計を行うとともに、人口減少、高齢化、集落機能の低下と農地の保全状況や集落活動との関係を明らかにし、効果的な対応が図られている先進事例について現地調査を実施する。これらを踏まえて、農村集落の将来の姿を明らかにするとともに、集落の活性化に向けた今後の対応方向を明らかにする。

お問合せ先

企画広報室広報資料課

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