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農林水産政策研究所

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我が国農産物の需要フロンティア開拓と新たなバリューチェーンの構築に関する研究(令和元年度)(プロジェクト研究)

1. 研究の背景

  我が国の食料消費については、高齢化の進行や人口減少に伴い、量的には飽和の段階を超えて、今後大きく減少していく局面を迎える中で、ライフスタイルの変化等を背景とした食の外部化という食料消費行動の変化に対応して、これまで輸入品のシェアが高かった加工・業務用需要について本格的に取り込んでいかなければ、国産農産物等の市場規模は縮小していく懸念があることが明確になった。一方、世界の食市場については、人口増加や所得向上の下で需要が拡大していくと見込まれており、国産農水産物の海外への進出による需要拡大を図る絶好のチャンスとなっている。

  このような中、我が国農林水産業の持続的な発展を図るためには、今後の内外の食市場の需要動向を的確に踏まえつつ、生産・加工・流通過程におけるバリューチェーンを構築し、各段階における新たな価値の創出を促進するとともに、海外需要も取り込み、国産農水産物の需要の確保を図っていくことが欠かせない状況となっている。

  このため、国産農水産物の高付加価値化に的確に対応できる需要拡大方策や高齢社会における食料品の安定供給の方策について明らかにするとともに、多様な海外需要に対応した国産農産物の輸出等への対応を促進する必要がある。

2. 研究内容

(1)高付加価値化に関する研究

• 地理的表示(GI)登録産品全体を対象として、取組の効果や課題を把握するとともに、産品の価格上昇や地域振興に効果をあげている事例の調査を通じて、効果の詳細やその成功要因等を分析する。また、肉用牛のブランドに関して、ブランド化の取組の有無が農業振興に与える効果を、農林業センサスのデータを用いて分析する。

• GI制度をはじめとしたブランド認証制度に関して、流通業者や消費者に対するアンケート調査の分析により、制度に関する認知や評価、これらに影響を与える要因を明らかにし、制度をより効果的に活用したブランド化の推進方向を検討する。

• 6次産業化の取組について、前年度までのデータ分析や事例調査の結果を踏まえ、取組の成功要因等を明らかにする。

(2)食料品アクセスに関する研究

• 昨年度推計された食料品アクセスマップについて、時系列や地域的な動向についての要因分析を行う。また、将来推計人口も考慮した2025年のアクセス困難人口について検討する。

• 全国市町村アンケートをパネルデータとして評価・分析し、食料品アクセス対策の全国的な状況を整理する。その上で、特徴的な対策を実施している事業者や自治体への現地調査の分析を行い、効率的なビジネスモデル、効果的な支援方法など、対策を行う上での課題、アクセス対策の推進方策やその社会的効果について分析・検討する。

(3)輸出に関する研究

• 主要な輸出品目(青果物、茶、水産物)について、産地・加工業者を対象に輸出市場開拓の経緯、近年の輸出の動向や今後の方向性等について現地調査等によって得られた情報を整理・分析するとともに、輸出促進による国内産地・関連産業への影響、今後の輸出促進のための条件について検討・分析を行う。

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企画広報室広報資料課

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