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東北農政局

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福島地域からの便り(令和2年度)


福島の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

イノシシの命を資源として活用 -伊達市農林業振興公社の取組- -福島県・伊達市-  (2021年1月20日掲載)

福島県中通りの北東部に位置し、桃、あんぽ柿、キュウリなどを特産品とする伊達市では、イノシシによる農作物の被害対策としてイノシシの駆除にとどまらず、資源の有効活用策として捕獲・飼育し、食肉化に向けた計画を進めていましたが、平成23年3月に発生した東日本大震災に伴う原発事故により食肉化を断念せざるを得ませんでした。

その後、平成24年に伊達市が設立した伊達市農林業振興公社では、食肉以外の有効な活用について検討を重ね、平成26年度にイノシシの皮を使ったキーホルダーなどを試作して試験販売をしたところ好評を得たことから、翌27年度には、伊達市の支援を受けて作業所や製作に必要な機器を揃え、地域住民14名を雇用して本格的に事業化を始めました。

ブランド名をイノシシのイノとイタリア語の「かわいい」「小さな」の意味と日本語の「いいもの」を掛け合わせたino DATE(イーノ伊達)とし、キーホルダー、名刺入れ、ペンケースなどを製作、販売しています。

最近は、コロナの影響で長時間マスクを着用する機会が増えたことに着目し、マスク紐による耳の痛みを緩和するためのマスクフックを開発して地元テレビに取り上げられるなど注目されています。また、コロナの影響で限定的ではありますが、公社では県内外の事業者や学校等の依頼を受けてワークショップを開催し、鳥獣被害対策についての理解とino DATEブランドの普及に努めています。

公社専務理事の三浦さんは、「この取組は鳥獣被害対策は勿論、地域振興にも寄与している。今後も、ino DATEブランドの普及と末永く愛用される製品づくりに努めたい。」と話されました。

みなさんもこの機会に、一つ一つ丁寧に手作りされたino DATEブランドの革製品を手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

  • お問合せ先:一般社団法人 伊達市農林業振興公社
  • 住所:福島県伊達市霊山町掛田字段居45
  • 電話:024-564-2301
  • WEBペ-ジ:http://www.ino-date.com/brand[外部リンク]

(情報収集)福島県拠点    電話:024-534-4142

イノシシの命を資源として活用 -伊達市農林業振興公社の取組-

材料は鞣して着色したイノシシの革

材料は鞣(なめ)して
着色したイノシシの革

製品は地域のみなさんが一つ一つ丁寧に作ります

製品は地域のみなさんが
一つ一つ丁寧に作ります

ウィズコロナで好評、マスクフック

ウィズコロナで好評、
マスクフック

ino DATEブランド製品の数々。赤ちゃんが生まれて初めて履く靴「ファーストシューズ」も作っています

ino DATEブランド製品の
数々。赤ちゃんが生まれて
初めて履く靴
「ファーストシューズ」も
作っています

(写真提供:伊達市農林業振興公社)

 

喜多方市の酒蔵の地産地消の取組について -福島県・喜多方市-  (2020年10月20日掲載)

合資会社大和川(やまとがわ)酒造店(以下「大和川酒造店」という。)は、飯豊山(いいでさん)の豊富な伏流水に恵まれた福島県喜多方市にある江戸時代中期の寛政2年(1790年)から続く造り酒屋です。平成19年から有限会社大和川ファーム(以下「大和川ファーム」という。)という農業法人を立ち上げて自社田でコメを栽培し、自社米を使った酒造りも行っています。

大和川酒造店が使用する自社米は、「夢の香」、「山田錦」、「福乃香」といった酒造好適米であり、酒造りの際に出る米ぬか、酒粕等の副産物を堆肥として活用して減農薬減化学肥料栽培で生産したものです。また、大和川ファームでは酒米の他、地域の振興のためにワイン用ブドウの生産にも取り組んでおり、将来は地域のグループとコンソーシアムを組んでワイナリーを作りたいとの構想を持っています。

大和川酒造店は、喜多方市本木地区で堰(農業用水路)と棚田を保全して棚田米の生産に取り組んでいる「本木・早稲谷  堰と里山を守る会」と協力し、棚田米を再生産可能な価格で買い取って純米酒を醸造・販売し、棚田の保全を支援しています。さらに、桑折町や北塩原村などの市町村から土産用として地元の原料米を使った清酒醸造の委託を受けており、特に飯舘村商工会とは昭和60年代頃から“おこし酒”と言う村おこしのための清酒を醸造し、ふるさと納税の返礼品にも活用されています。

大和川酒造店は、「何事にも地産地消をモットーに」を理念に掲げており、自ら農業を行っている酒蔵の会「農!といえる酒蔵の会」を全国の12社で発足し、商品の差別化に向けて取り組んでいます。「農!といえる酒蔵の会」の今年の会合は当社で行う予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から中止となってしまいました。

最後に、大和川酒造店の佐藤専務は「新型コロナウイルス感染症拡大の影響で日本酒の販売が全国的にも振るわず大変な状況ですが、様々な活動を継続的に取り組むことで地域の文化と賑わいを作りたい。また、地産地消により土地を有効に活用して地域の活性化につなげていきたい」と話されていました。

近くにお寄りの際は、酒蔵を見学し、喜多方市の名水とお米を使ったお酒を味わってみてはいかがでしょうか。

 

  • お問合せ先:合資会社大和川酒造店、有限会社大和川ファーム
  • 住所:福島県喜多方市字押切南2-112(有限会社大和川ファーム)
  • 電話:0241-21-1500
  • WEBペ-ジ:http://www.yauemon.co.jp/kodawari/[外部リンク]

(情報収集)福島県拠点    電話:024-534-4145

喜多方市の酒蔵の地産地消の取組について

仕込みを行う酒蔵

仕込みを行う酒蔵

飯舘村から依頼を受けている「おこし酒」と喜多方市の「本木・早稲谷 堰と里山を守る会」から依頼を受けている「上堰米のお酒」

飯舘村から依頼を受けている「おこし酒」と喜多方市の「本木・早稲谷  堰と里山を守る会」から依頼を受けている「上堰米のお酒」


収穫に近づく酒造好適米「山田錦」の圃場

収穫に近づく酒造好適米「山田錦」の圃場

ワイン用ブドウが栽培されている圃場

ワイン用ブドウが栽培されている圃場
(写真:福島県拠点職員撮影)

 

美味しさにこだわり、環境に配慮した米作りを目指して! -福島県・天栄村-  (2020年7月20日掲載)

福島県中通り南部に位置する天栄村では、天栄米栽培研究会が食味と品質の向上を目指し、美味しい米作りに取り組んでいます。

天栄米栽培研究会は、米の輸入自由化による米価の下落に危機感を感じた村内の米農家が、生き残りをかけて味を重視した米を作ろうと考え、平成20年2月に発足しました。現在、会員は27名で、発足以降、会員の情報交換の場として毎月1回定例会を開催し、土作りや栽培方法の話し合いのほか、外部講師による勉強会などを行っています。

研究会では、発足当初から、漢方の煎じかすを有機肥料に配合して施肥を行い、雑草を抑制するために紙マルチを田んぼに敷設して、環境に配慮した「漢方環境農法」に取り組んでいます。ほかに、有機栽培や農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」に基づく特別栽培や、宇都宮大学が育成し、平成30年に福島県産地品種銘柄に設定された「ゆうだい21」の栽培にも取り組んでいます。

研究会が栽培する天栄米は、村内2箇所の道の駅や郡山市内にある百貨店、インターネットによる販売のほか、新米の出回り期などに試食・即売会等のイベントを開催し、販売しています。

研究会では、天栄米を米・食味分析鑑定コンクール国際大会に出品し、平成20年から28年までの9年連続と令和元年に国際総合部門で通算10度の金賞を受賞しました。平成25年には、当該コンクール国際大会・国際総合部門で5年連続金賞を受賞した生産者団体に贈られる名誉ある称号「ゴールドプレミアムライスAAA」を授与されました。

また、研究会では、ヤフー(株)東京本社を訪問し、天栄米の販売促進活動を行ったり、東京都内の消費者を村に招いて、田植え、草取り、収穫体験等のイベントを開催するなど、都市農村交流にも取り組んでいます。

イベントの開催やコンクールでの実績を積み重ねることで「天栄米」の知名度が向上し、天栄米の直販に大きく寄与していると同時に、村のPRという面でも大きな役割を果たしています。

天栄村役場の担当者は、「天栄米の知名度は全国的に見ればまだまだ低いが、どんな思いのもとで作られているか、多くの消費者にPRしていきたい。そして、村の宝である研究会の取組をこれからも支援していきたい。」と語ってくれました。

皆さんも、「天栄米」の美味しさを味わいに、是非一度、天栄村においで下さい。

 

  • お問合せ先:天栄村役場産業課
  • 住所:福島県岩瀬郡天栄村大字下松本字原畑78番地
  • 電話:0248-82-2117
  • WEBペ-ジ:http://www.vill.tenei.fukushima.jp/[外部リンク]

(情報収集)福島県拠点    電話:024-534-4144

美味しさにこだわり、環境に配慮した米作りを目指して!

天栄米栽培研究会の会員の皆さん

天栄米栽培研究会の
会員の皆さん


紙マルチ専用の田植機による「漢方環境農法栽培米」の田植え風景

紙マルチ専用の田植機による
「漢方環境農法栽培米」の
田植え風景


天栄米の販売商品(左から「天栄米ゆうだい21」、「漢方環境農法天栄米」、「ゴ-ルドプレミアムライス天栄米」)

天栄米の販売商品
(左から「天栄米ゆうだい21」、「漢方環境農法天栄米」、「ゴ-ルドプレミアムライス天栄米」)


道の駅 季の里天栄(天栄村)で開催した新米試食・販売会の様子

道の駅 季の里天栄
(天栄村)で開催した
新米試食・販売会の様子
(写真提供:天栄村役場産業課)

 

~ 台風19号被災を乗り越えて ~  おいしい桃を届けたい! -福島県・伊達地方-  (2020年4月21日掲載)

昨年10月12日から13日にかけて、大型で猛烈な台風19号が関東地方から東北南部を縦断し、福島県内各地に記録的な大雨を降らせました。これにより、県内の農林水産業では農地や農業施設を中心に約636億円にも達する甚大な被害が発生しました。

中でも、全国第2位の収穫量を誇る桃の主産地である県北部の伊達地方では、主要河川の阿武隈川が越水し、同河川に流入している中小河川も至る所で氾濫して一部では破堤も発生しました。

川沿いの多くの園地では、桃の木が冠水し、中には水が引くまで10日前後も要した箇所もありました。水の引いた園地には一面に分厚く泥が堆積し、流れ着いたゴミや草木などが樹体に付着しており、被災前のよく手入れされた園地は見る影もありませんでした。

そうした中、農家の皆さんは付着したゴミや草木の除去や倒れたり痛んだりした桃の木の改植など、日々黙々と園地の復旧に努めています。

自らも園地が冠水したJAふくしま未来伊達地区モモ生産部会副会長の徳江忠さんは、「被災直後の園地の惨状に言葉も出ず、これからどうなるのだろうと思いましたが、多くの方々からのおいしい桃を食べたいという声援に力をもらい、また、関係機関からの支援も受けて園地の復旧を進めています。浸水の影響で桃の品質が心配ですが、同じように被災した仲間と手を取り合い多くの皆さんにおいしい桃を届けていきたい。」と力強く話されていました。

桃の木は、4月上旬には可憐なピンク色の花を付け、まるでピンクのじゅうたんを敷き詰めたような風景が地域の至る所で見られます。農家の皆さんは、これから摘果作業などの樹体管理に努め、7月から9月に収穫を迎えます。

今年の夏は台風被災を乗り越えて農家の皆さんが愛情込めて栽培したおいしい福島の桃を味わってみてはいかがでしょうか。

 

  • お問合せ先:JAふくしま未来伊達地区本部
  • 住所:福島県伊達市保原町字7丁目33-3
  • 電話:024-575-0114

(情報収集)福島県拠点    電話:024-534-4142

~ 台風19号被災を乗り越えて ~  おいしい桃を届けたい!
被災の状況1 多くの園地が冠水しました(桑折町提供)

被災の状況1
多くの園地が冠水しました
(桑折町提供)
被災の状況2 泥が堆積し桃の樹体にゴミや草木が付着した園地

被災の状況2
泥が堆積し桃の樹体に
ゴミや草木が付着した園地
災害を乗り越えておいしい桃を届けようと手入れに励んでいます

災害を乗り越えて
おいしい桃を届けようと
手入れに励んでいます

被災した園地に可憐な桃の花が咲きました

被災した園地に
可憐な桃の花が
咲きました
(写真提供:「被災の状況1」は桑折町から提供。それ以外は福島県拠点職員撮影)