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東北農政局

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岩手地域からの便り(平成30年度)

岩手の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

「陸前高田食と農の森」 ~若手就農者の持続的経営と食と農の連携~ -岩手県・陸前高田市- (2019年3月5日掲載)

震災から約8年が経過し農地の復旧が進む陸前高田市で、平成31年1月、若手農業者8人が、農業経営の持続的発展と地域の活性化を目的とした「陸前高田食と農の森」というグループを設立しました。

同グループの松田俊一会長は、震災を機にサラリーマンを辞め、同市の臨時応援職員として帰郷し、農業者への復興支援に関わりながら、農業への魅力を感じ平成25年に就農しましたが、地域の新規就農者が周囲との関係を築けずに数年で離農していく現状や、小規模農家が多く品目毎の販売ロットが小さいため、流通販売面で条件が不利となるなどの地域農業の課題に直面しました。

その課題解決のためには若手農業者同士の連携が必要と感じた松田会長は、平成30年3月、「陸前高田グローバルキャンパス※」が開催した大学関係者と地域との交流を目的としたシンポジウムでの「三陸の園芸振興に向けて」をテーマとしたパネルディスカッションの場で、若手農業者へ連携を呼びかけました。その後、松田会長の呼びかけに賛同した若手農業者7人が集まり、岩手大学からグループ立ち上げの支援を受けて、「陸前高田食と農の森」の活動をスタートしました。

「自分たちは未だ独り立ちしていない農業者の集まり」という松田会長ですが、当初は、農業に関する情報をどのように得ればよいのかわからなかった仲間が、勉強会や懇談会を通じて、栽培や資材購入等に関し情報交換しながら研鑽を積むようになりました。今後はSNSを活用した情報発信やマルシェを開催することで、自らの経営と地域を盛り上げるとともに、新規就農者ならではの自由な発想で課題を解決し、自立した農業者になることを目指しています。

松田会長は「農産物を生産するだけではなく、食として消費者の口に届くまでを繋ぎたい」という想いから、将来的には、バイヤーや流通業者など食に関わる様々な業種との結びつきを構築し、多様な発展に繋げたいと夢を膨らませています。

高齢化・労働力減少が深刻化する中、新たに誕生した若手農業者たちの取組が地域農業者間の連携を強化するとともに、農業と食に関わる多様な事業者とのネットワークを築き上げ、農産物の多様な販路の確保による収益力向上や地域の活性化に向けて新たな可能性を導き出すことが期待されています。

 ※ 岩手大学、立教大学、陸前高田市の3者により、全国の陸前高田市ゆかりの大学関係者と市民の集いの場として、平成29年4月に開設。

  • 問い合わせ先:「陸前高田食と農の森」事務局
  • 住所:陸前高田市高田町字大隅93-1  高田大隅つどいの丘商店街9号
  • 電話番号:0192-47-3287

(情報収集)岩手県拠点    電話:019-624-1125


「陸前高田食と農の森」 ~若手就農者の持続的経営と食と農の連携~

設立前に開催された
若手農業者懇談会の様子
「陸前高田農業の活性化
アイディア」での
ワークショップの様子
「陸前高田食と農の森」
設立総会の様子
「陸前高田食と農の森」を
立ち上げた松田会長

( 画像提供:懇談会、ワークショップ、設立総会の各様子は陸前高田グローバルキャンパス提供、松田会長の写真は岩手県拠点職員撮影)

「滝沢はるか」 ~黄金の濃蜜りんごはいかがですか~ -岩手県・滝沢市- (2018年12月5日掲載)

今、注目を集めている黄色系りんご「はるか」は、ゴールデンデリシャスの自然交雑のなかから選抜の上、岩手大学農学部附属滝沢農場(岩手県滝沢市)で育てられ、平成14年に品種登録されました。「はるか」は、豊かな香りとパリッとした食感、そして黄色系りんごには珍しく蜜がたっぷりと入っているのが特徴です。

生産が始まった当初の「はるか」は、食味は優れているものの果実が250g程度と小ぶりで肌の見栄えも良いとは言えず一般に流通しませんでした。しかし、おいしい「はるか」を消費者に届けたいという生産者の強い想いにより、一般的なりんごよりも一本の樹につける実の数を少なくし、1玉1玉に袋をかけ、雪が降る頃まで「寒さ」に当てながら完熟させるなどの栽培技術を確立させ、大きな果実で濃厚な甘みとコク、きれいな黄色い肌の「はるか」ができるようになりました。

滝沢市では、40名を超えるりんご農家が剪定や防除などの栽培技術向上に向けて滝沢果樹協会を組織し、りんご産地としての評価を高めるよう取り組んでいます。

「はるか」をはじめとする約30種類のりんごを滝沢市で栽培する小森果樹園代表の小森克英さんに今年の「はるか」について伺ったところ、「今年は天候に恵まれ、蜜の入り具合・収穫量とも近年にない出来映えであり、とにかくぜひ一度食べていただきたい。」とのことでした。

この滝沢市の「はるか」は、「農産物共同直売所ふれあい」をはじめ市内の産直施設で販売されています。

また、一般的なりんごの糖度が13~14度と言われるなか、12戸の生産者が収穫した「はるか」は、1玉ずつ糖度計・蜜入りセンサーで計測するなど厳しい選果基準により、「滝沢はるか(糖度16.0~16.9度)」、「プレミアム滝沢はるか(糖度17.0度以上)」として、滝沢市観光協会を通じ滝沢市公式ネットショップで毎年12月上旬から限定販売しています。(今年は12月6日から)

ぜひ、滝沢市の「はるか」をお召し上がり下さい。

  • 問い合わせ先:滝沢市観光協会
  • 住所:岩手県滝沢市下鵜飼1-15
  • 電話番号:019-601-6327  FAX:019-601-6328
  • 滝沢市観光協会ホームページ:http://www.takizawa-kankou.jp/
  • 滝沢市公式ネットショップ「チャグまるしぇ滝沢」:http://chag.jp/

(情報収集)岩手県拠点    電話:019-624-1125


「滝沢はるか」~黄金の濃蜜りんごはいかがですか~

収穫直前の袋のかかった
「はるか」

蜜がたっぷり入った断面

「はるか」を始め地域の
りんごが並ぶ産直の様子

「滝沢はるか」に使われる
桐箱等

( 画像提供:岩手県拠点職員撮影)

さらなる甘味を求めて ~村イチオシの特産品「あま茶」~ -岩手県・九戸村- (2018年9月5日掲載)

皆さんは、あま茶というお茶をご存じでしょうか。

普通のお茶だと思って飲むとその甘さに驚くほど、名前の通り甘味が口いっぱいに広がります。

あま茶は、お茶として飲まれるほか、古くから薬として利用され、今では生薬材料としても使われています。そのほかに、甘味料、緑茶や桑茶等とのブレンド材料、ドレッシング、アイスクリーム、パスタ等にも利用されています。

岩手県の北部に位置する九戸村では、村おこしの一環として昭和58年頃からあま茶の栽培を開始し、現在、30戸の農家が農薬や化学肥料を使わずに栽培しています。収穫は8月から10月中旬にかけて行いますが、お茶の品質を保つため、葉を傷つけないよう今でも手作業で行っており、この時期の農家は大忙しです。

あま茶は、ユキノシタ科に属するガクアジサイによく似た80cmほどの落葉性の低木で、葉を乾燥させると甘味が出ます。アマチャヅル茶と名前が似ていますが、こちらはウリ科の多年生ツル植物であり、同じ甘いお茶でも原料は異なります。

農家からあま茶の葉を買い取り、お茶を製造している九戸村ふるさと振興公社では、より品質の高いあま茶を求めて研究を重ね、収穫時期が遅くなるにつれてあま茶に含まれるポリフェノールの苦味が強くなることを見つけました。今年は、より甘いあま茶を作るために例年よりも2か月程収穫時期を早めるとともに、製造過程における葉の発酵時間や発酵を促す水分量について検証しています。

あま茶は、村イチオシの特産品として売り出してきたこともあり、今では取引先からの注文に応えきれないほど、年々評判が高くなっているとのことです。

皆さんもあま茶の甘味を試してみてはいかがでしょうか。

  • 問い合わせ先:株式会社 九戸村ふるさと振興公社
  • 住所:岩手県九戸郡九戸村大字山屋2-28-1
  • 電話番号:0195-42-4400  FAX:0195-43-3027
  • ホームページ:http://furusato-kunohe.com

(情報収集)岩手県拠点    電話:019-624-1125


さらなる甘味を求めて~村イチオシの特産品「あま茶」~

収穫直前のあま茶のほ場

茶葉を傷つけないよう手で摘み取り

ジェットバーナーで熱風を送り、手で茶葉をかくはんしながら半乾燥

茶葉のほかティーバッグでも販売

( 画像提供:岩手県拠点職員撮影)

日本最大級の円筒分水工をご存じですか? -岩手県・奥州市- (2018年6月5日掲載)

奥州市胆沢(いさわ)の徳水園には、日本最大級の円筒分水工があります。円筒分水工は胆沢平野の農業用水を公平に配分するための分水施設で、外円径31.5メートルのコンクリート製、逆サイフォン形式で、胆沢平野土地改良区のシンボルとなっています。

胆沢平野の二大幹線水路である「寿安堰(じゅあんぜき)」及び「茂井羅堰(しげいらぜき)」における激しい水争いを解消するため、昭和32年に国営胆沢川農業水利事業の一環として施工され、老朽化により平成7年に改修されて現在の姿となりました。上流の胆沢ダムから届く水は毎秒16トンと豊富で、中央部から勢いよく湧き上がり、2本の主要な用水路に配分された水が胆沢平野の水田約7,400ヘクタールを潤します。

農業用水の供給開始にあたり、本年4月24日に放水式が開催され、奥州市や金ケ崎町などから関係者80人が出席しました。放水式では、分水工から豊富な水があふれ出し、胆沢ダムの完成記念で設置された3本の「命水の大噴水」が約24メートルの高さまで噴き上がりました。また、狼ヶ志田(おえなしだ)神楽保存会の舞手である胆沢中学校の生徒5人が御神楽を披露しました。

放水は9月10日まで行われます。また、「命水の大噴水」は10月までの毎日、午前10時から午後4時の毎正時から15分間噴き上がります。青空に映える3本の「命水の大噴水」と圧倒的な円筒分水工の大きさ・放水量を見に、徳水園を訪れてみてはいかがでしょうか。

  • 問い合わせ先:胆沢平野土地改良区
  • 住所:岩手県奥州市水沢字北田140番地1
  • 電話番号:0197-24-0171  FAX:0197-24-0174
  • ホームページ:http://www.isawa-heiya.or.jp/

(情報収集)岩手県拠点    電話:019-624-1125


日本最大級の円筒分水工をご存じですか?

命の水を蓄える胆沢ダム

広大な農地が広がる胆沢平野

「円筒分水工」と、勢いよく水を噴き上げる「命水の大噴水」

狼ヶ志田(おえなしだ)神楽保存会による御神楽

( 写真提供:左から北上川ダム統合管理事務所、胆沢平野土地改良区、右2枚=岩手県拠点職員撮影)