岩手地域からの便り(令和2年度)
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岩手県産りんごを24年ぶりに米国へ輸出 -岩手県・紫波町- (2021年2月22日掲載)
岩手中央農業協同組合(本所・紫波町、浅沼清一組合長)は、今年の2月から岩手県産りんごの米国への輸出を始めました。
国産のりんごが米国に輸出されるのは11年ぶり、岩手県産としては24年ぶりで、盛岡市内で生産された「ふじ」、「はるか」、「シナノゴールド」の3品種、あわせて約3トンが輸出されました。
米国は検疫が厳しく、40日間の低温隔離貯蔵や害虫を駆除するくん蒸処理を行うことが求められるため、コストが高く手間もかかることが課題となっており、日本からの輸出はしばらく途絶えていました。今回の米国への輸出は、2018年度から輸出していたカナダへの輸出業者と連携し、米国のバイヤーからの強い要望を受け、商談がまとまりました。
米国へ輸出されるりんごは、輸出規制条件をクリアした登録園地で栽培され、収穫後光センサーで糖度などを確認し、品質の高いものを選別しました。
米国農務省の検査官によって、りんごの品質や管理方法を確認するための事前検査が2月上旬に行われ、検査官立ち会いの下、丁寧に梱包作業が行われました。関係者が期待を込めて見守る中、りんごを積んだトラックは米国に向け2月4日に出発しました。
2009年度から海外展開を進めている同組合は、県内の農業協同組合で唯一りんごの輸出に取り組んでおり、タイ、ベトナム、台湾、香港、カナダに展開して輸出数量を拡大してきました。
岩手県産りんごは品質の高さが評判となり、海外の富裕層から引き合いが強く、高単価が見込まれています。同組合では、「県産りんごの消費拡大と生産者の所得向上につなげたい」とし、2030年までに約70トンの輸出目標を掲げており、今後も販路拡大が期待されます。
- お問合せ先:岩手中央農業協同組合 営農販売部販売対策課
- 住所:岩手県紫波郡紫波町桜町字上野沢38-1
- 電話番号:019-676-3338
- WEBページ:https://ja-iwatechuoh.or.jp/ [外部リンク]
(情報収集)岩手県拠点 電話:019-624-1125
![]() 米国農務省の検査官(右) による検査の様子 |
![]() 輸出されるりんご (品種:ふじ) |
![]() 出発式で挨拶する 岩手中央農業協同組合の 浅沼組合長 |
![]() トラックに積み込まれた 岩手県産りんご |
( 写真:岩手県拠点職員撮影 ) |
「南部曲り家」「やぶさめ」「馬搬」など馬事文化を引き継ぎ、馬の生産と育成に力を入れています -岩手県・遠野市- (2020年11月20日掲載)
岩手県では、昔から馬とともに暮らし、南部曲り家など、その文化は今も色濃く残っています。その中でも遠野市は、岩手県を代表する馬産地として、馬の生産と育成に力を入れています。
遠野市での馬の競りの歴史は古く、人々は、農作業や運搬に使うために競りで自分の愛馬を購入していました。
時代とともに、農耕馬としての役割が少なくなる一方、馬は「乗馬」として愛されるようになり、市場も「乗用馬市場」となりました。
国内で「乗用馬市場」が開催されるのは遠野市と北海道だけです。「遠野市乗用馬市場」が開催される「遠野馬の里」は、平成10年に開場し、今年で22周年を迎えますが、47回目となる今回まで毎年、遠野市において開催されてきました。
生産者の愛情に包まれ、遠野の自然の中で伸び伸びと駆け回り、遠野馬の里で丁寧に調教された馬が上場されます。
この「乗用馬市場」は珍しく、乗馬関係者のみならず、全国から多くの方々が訪れます。ここで競り落とされた馬は、乗馬施設などに引き取られ、乗馬の愛好者やホースセラピーなど、馬と人との触れ合いの場で活躍し、その馬たちの質の良さは好評を得ています。
遠野市は、「遠野物語」「カッパ伝説」などの民話の里であり、永遠の心のふるさととして、懐かしい時代を感じることができます。
ぜひ、遠野にお越しいただき、馬とのふれあい、日本の原風景にひたってみてはいかがですか。
<遠野馬の里について>
- お問合せ先:一般社団法人遠野市畜産振興公社「遠野馬の里」
- 住所:岩手県遠野市松崎町駒木4-120-5
- 電話番号:0198-62-5561
- WEBページ:http://www.umanosato.com/ [外部リンク]
<遠野市の魅力について>
- お問合せ先:遠野市産業部畜産園芸課
- 住所:岩手県遠野市中央通り9番1号
- 電話番号:0198-63-1055(畜産園芸課直通)
- WEBページ:https://www.city.tono.iwate.jp[外部リンク]
(情報収集)岩手県拠点 電話:019-624-1125
![]() 乗用一歳馬管理共励会には13頭の馬が上場(観客席から見た覆馬場) |
![]() 5名の審査員の皆さん(日本馬事協会・日本中央競馬会・日本馬術連盟・全国乗馬倶楽部振興協会・全国乗用馬育成協会の役員) |
![]() 5名の審査員による審査の様子 |
![]() 1等賞(遠野市長賞)を受賞したヴィクトアール8の生産者 菊池栄喜さん |
( 写真:岩手県拠点職員撮影 ) |
寒暖の差が生み出す花色と花姿が魅力の「安代りんどう」 -岩手県・八幡平市- (2020年8月20日掲載)
岩手県はリンドウの生産量・栽培面積ともに日本一です。リンドウは夏から秋が見頃の花として県内各地で広く栽培されています。中でも、寒暖の差が大きい八幡平(はちまんたい)市は、産地の風土に適した約30品種に上るオリジナル品種を育成するなど「安代(あしろ)りんどう」のブランドを確立し、国内はもとより一部はオランダなど海外にも輸出する日本一の産地です。
リンドウは青紫色の仏花として普及しましたが、近年は白やピンクの品種が育成され生産が可能になりました。リンドウの新しい品種は、「エゾりんどう」と「ササりんどう」の2つの種を利用して生まれます。これらの種から生まれた品種は、花の咲き方や色も様々であり、花姿の印象の違いなどが魅力です。
リンドウのオリジナル品種を開発している八幡平市花き研究開発センターは、毎年1,000種ほどの試験系統を圃場に作付けし、新品種の開発や主力品種の改良を行っています。同センターでは現在、日本の原種にはない赤い花色のニュージーランドの系統を用いた品種開発も行っており、生産者は新品種の開発に期待を寄せています。
産地のJA新いわて八幡平花卉(かき)生産部会は、1年間に出荷する2,700万本以上のリンドウをウイルス病の伝染から防ぐため、間引きや収穫は刃物を使わず、1本ずつ手折りで作業するとともに、温度等の流通管理を徹底することで10日以上日持ちするリンドウを生産しています。
来年で設立50周年を迎える同部会は、品質向上を図る様々な取組を行いながら、信頼される産地を目指すとともに、リンドウを仏花だけでなく、豊富な品種と花色を強みに、婚礼用や花束など洋花のような使い方を提案するなど、新たな需要の掘り起こしを進めています。
岩手県のリンドウは、オリンピック・パラリンピック東京大会のビクトリーブーケに使われます。この大会を契機としてリンドウの需要拡大に生産者は期待を膨らませています。
<オリジナル品種について>
- お問合せ先:八幡平市花き研究開発センター
- 住所:岩手県八幡平市叺田70
- 電話番号:0195-72-2111
- WEBページ:https://www.city.hachimantai.lg.jp/soshiki/kaki/ [外部リンク]
<産地の生産部会について>
- お問合せ先:JA新いわて八幡平営農経済センター安代地区担当課
- 住所:岩手県八幡平市叺田70-2
- 電話番号:0195-72-3111
- WEBページ:https://www.jaiwate.or.jp/shin-iwate/shisetsu/all[外部リンク]
(情報収集)岩手県拠点 電話:019-624-1125
![]() (1)お盆やお彼岸用には、ブルー系の品種が人気です。(今年7月に撮影) |
![]() (2) 婚礼用のブーケや敬老の日のギフトには、白やピンク系の品種が人気です。(今年7月に撮影) |
![]() (3) 集荷場では、品種や等級ごとに仕分けられます。 |
![]() (4) 開発中の赤い花色のリンドウは、秋に開花します。(昨年10月に撮影) |
( 写真提供:(2)及び(4)は、八幡平市花き研究開発センター提供。(3)は、JA新いわて八幡平営農経済センター提供。(1)は、岩手県拠点職員撮影。) |
ブランド山菜「西わらび」ポット苗で生産拡大 -岩手県・西和賀町- (2020年5月21日掲載)
岩手県の中西部に位置する西和賀町(にしわがまち)では、昔から山菜の産地として知られています。その中でもワラビは、他の地域と比べアクやスジが少なく、柔らかくて粘りがあることから「西わらび」と呼ばれ、県内外各地で高く評価されています。
西和賀町では、平成14年に「西わらび」を町の特産品として荒廃農地等に栽培できないかと実験を開始し、「西わらび」の根茎を町内の農家に配布して普及に努めました。
平成18年からは「西わらび」の産地化に向けて本格的な取り組みを始めるとともに、(株)西和賀産業公社が「西わらび」の集荷・販売事業を担い、以降、町を代表するブランド山菜としてギフト商品のほか、ホテル・飲食店を中心に販売経路は順調に拡大していきましたが、当時は「西わらび」の根茎を山林等から掘り起こして植え替える方法で生産していたため、収穫までに時間がかかるほか、1年目の草取り作業が普及の妨げとなり、需要に応えるだけの生産量を確保することができませんでした。
この課題解決のためにたどり着いたのが、ポットを活用した栽培方法でした。ポット苗栽培は、ある程度まで育てた苗を畑に植えることができるため、草取り作業が軽減されるほか、栽培から3年目で収穫できるなどのメリットがあります。また、ポット苗は優良系統を選抜して親株とするため、品質の高い「西わらび」を効率良く生産することができます。
生産者で組織する西和賀わらび生産販売ネットワークでは、栽培技術が確立されて高齢者でも栽培に取組みやすくなったことから、平成28年からポット苗栽培に取組み、令和元年度の栽培面積(水田転作分)は約52ha(うちポット苗栽培約7ha)まで拡大しました。
そして町では、令和2年度の推進事業として、「西わらび」のブランド力強化や知名度向上による生産者の利益向上と消費者の信頼の保護を図るため、地理的表示(GI)保護制度への登録に向けた手続きを進めることとしています。
「西わらび」は、これから6月下旬頃まで収穫時期となります。西和賀町のブランド山菜「西わらび」を味わってみてはいかがでしょうか。
<西わらびの生産について>
- お問合せ先:西和賀町農業振興課
- 住所:岩手県和賀郡西和賀町沢内字太田2-8-1
- 電話番号:0197-85-3415
- WEBページ:http://www.town.nishiwaga.lg.jp[外部リンク]
<西わらび商品について>
- お問合せ先:(株)西和賀産業公社
- 住所:岩手県和賀郡西和賀町川尻40-73-11 湯夢プラザ2F
- 電話番号:0197-82-2211
- WEBページ:https://www.nishiwaga.biz/[外部リンク]
(情報収集)岩手県拠点 電話:019-624-1125
![]() 1年目、苗をポットで 一定の大きさまで 栽培します |
![]() ポットで育てた苗を 畑に定植し、 農業用マルチシートで 雑草を軽減します |
![]() 2年目も雑草に 負けずに育っています |
![]() 3年目でようやく 収穫時期を迎えます |
( 写真提供:西和賀町) |