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東北農政局

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岩手地域からの便り(令和3年度)


岩手の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

冬採りホワイトアスパラガスで地域を元気に!! -岩手県・二戸市-(2022年2月7日掲載)

岩手県内陸部北端に位置する二戸市は、国産漆のうち75%以上を産出する漆の里としても有名ですが、市内の浄法寺町では全国でも珍しい冬採りの「ホワイトアスパラガス」栽培に取り組む農業者がいます。

冬に収穫されるホワイトアスパラガスを中心に農作物の生産・加工・販売を一貫して取り組んでいるのは、200年以上この地で農業を営んでいる馬場園芸の9代目となる馬場 淳さん。(2018年法人設立、代表取締役)

仕事のない冬場に農業で雇用を創出し地域を元気にしたい、という熱い思いで2013年から取り組んでいるホワイトアスパラガス。
1月に種をまき、春から秋にかけて露地でじっくり成育した株を11月初旬に掘り起こし、ハウスへ移し再び土をかけて埋め直す「伏せ込み栽培」という珍しい方法で、遮光シートをかぶせ日光をさえぎることで白く成長します。
ホワイトアスパラガスが他の野菜と違うのは、光合成をしないこと。厳しい環境の中育つこのホワイトアスパラガスは、糖度が6~8度と高く、トウモロコシのように甘く、その秘密は、栄養を蓄えた株にあります。糖度が25度を超えるものもある栄養たっぷりの株から育ったホワイトアスパラガスは生で食べられるほど柔らかく、口の中に果汁が溢れるほどのみずみずしさから「白い果実」と名付け、全国的に供給量の少ない12月上旬から出荷が始まります。

栽培は、観賞用菊栽培用(4月~10月)ハウスを活用して、12月から収穫が終わる翌年3月まで、もみ殻を利用したボイラーでハウスの地温を上げる土中パイプで暖め栽培しています。もみ殻は地域の農協から提供してもらい、燃焼後に出るくん炭は、土壌改良資材として地域の農家に還元しながら、地域資源を有効活用した循環ができて、持続可能な地域社会の実現に貢献しています。
また、採れたてのホワイトアスパラガスを自宅で手軽に味わうことができる栽培キットの製作販売も実施。教材として市内の小中学校へ配布し、栽培指導を行ったり、地元食材として学校給食への提供を行うなど食育につなげています。

馬場代表は「雪の中で採れるホワイトアスパラガスは人を引きつける魅力があり、寒さがむしろ価値と考えている。」と話されました。
浄法寺の魅力を、世界で唯一雪の中で採れるホワイトアスパラにのせて、畑から届ける最高の贅沢、皆さんも一度この「白い果実」に出会ってみてはいかがでしょう。


  お問合せ先:株式会社馬場園芸
  住所:岩手県二戸市浄法寺町小池60-2
  電話:0195-43-3851
  WEBページ:https://sannimon.com/[外部リンク]


(情報収集)岩手県拠点  電話:019-624-1125



冬採りホワイトアスパラガスで地域を元気に!!

掘り起こしたアスパラの株を手作業で伏せ込む
11月初旬に掘り起こしたアスパラの株を手作業で伏せ込み、その後遮光シートをかぶせ土を温めて育てます


もみ殻を燃料にしたボイラーと馬場社長
ハウス内の地面を温めるためもみ殻を燃料に活用したボイラーと説明する馬場社長(右)

ホワイトアスパラの収穫時の状況
ホワイトアスパラの収穫時の状況、左上は切り口から汁がしたたる様子


ホワイトアスパラ栽培キット
ホワイトアスパラ栽培キット、左上は上から見た株の様子

(写真:1,2,4枚目 岩手県拠点職員 撮影、3枚目 馬場園芸 提供)

北上市の「二子さといも」は肉質まろやか、ぬめり、コク、舌触りの良さが抜群の「さといも」です。-岩手県・北上市-(2021年11月5日掲載)

突然ですが、皆さんは「里芋」というとどんなイメージが湧きますか?
「里芋田楽」「里芋の煮っころがし」「里芋コロッケ」「揚げだし里芋」あとは東北の秋の野外イベント「芋煮会」でしょうか。
コロナ禍でこのイベントもあまり見かけませんが、いつもの風景が無いと寂しいですね。

さて、今回、紹介するのは、岩手県北上市で栽培されている「二子さといも」です。「さといも」は漢字で「里芋」と書きますが、なぜ「二子さといも」はひらがなで「さといも」と書き、二子という名称が付くのか。皆さんに質問です。ちょっと難しいでしょうか?
まず、この二子というのは「さといも」が二個繋がったということではなく、二子(ふたご)という地域の名称を指し、産品名の「さといも」は親しみやすいようにひらがなにしています。

この「二子さといも」の特徴ですが、江戸時代の天保2年(1831年)に刊行された「二子物語」の中で当時の野菜として「芋」という言葉で記されていたように、二子地域で古くから品種改良もせずにこの地域だけで栽培されてきました。栽培品種は在来系統の「赤茎(あかがら)」と呼ばれる里芋で、平成30年度に地理的表示(GI)保護制度に登録されました。現在約100戸の生産者が20ヘクタールの圃場で栽培しており、今年は187トン程度の生産を見込んでいます。
二子さといも生産部会長である髙橋豊氏の圃場では、収穫最盛期を迎え、収穫作業が行われていました。「今年は7~8月の高温により生育の遅れが心配されたが、9月に入って朝晩の気温が下がり順調に肥大している。適度な降雨もあり、おいしさが増している」とのことです。

JAいわて花巻の選果場では、GI登録から3年目を迎えて、今年から新たに出荷設備を整備しました。カメラの導入で、大きさや重さを自動判定することにより選別の精度と効率が向上しました。さらに、さといもの選果機への投入を自動化することにより省力化が図られ、1日当たり5.8トンを選別処理する能力を持ちます。箱詰めされた「二子さといも」のほとんどは県内で消費されますが、一部は県外にも出荷されます。

例年、「二子さといも」の収穫を祝うイベントとして「二子の里 いものこまつり」が北上市二子地区で行われていましたが、今年はコロナ禍により開催されませんでした。コロナ禍が落ち着いたらぜひ行きたいものです。
皆さんも北上市を訪れた際には、今が旬の「二子さといも」を是非味わってください。
北上市のキャラクター「二子いも丸」も大歓迎しています。


  お問合せ先:JAいわて花巻北上地域営農グループ園芸課
  住所:岩手県北上市流通センター19-33
  電話:0197-71-1333


(情報収集)岩手県拠点  電話:019-624-1125


北上市の「二子さといも」は肉質まろやか、ぬめり、コク、舌触りの良さが抜群の「さといも」です。

茎が赤黒くなるのが特徴で「赤茎(あかがら)」と言われています

さといもは収穫期に茎が赤黒くなるのが特徴で「赤茎(あかがら)」と言われています


収穫作業風景

収穫作業風景

選果機で大きさを自動選別したあと、小さな傷や割れは目視により選別します

選果機で大きさを自動選別したあと、小さな傷や割れは目視により選別します


箱詰めされた二子さといも「いざ!市場へ」

箱詰めされた二子さといも
「いざ!市場へ」
(キャラクターのいも丸とGIマークに注目)

(写真:岩手県拠点職員 撮影)

岩泉町の畑わさび~辛さとともに、ほのかな甘みが特長~ -岩手県・岩泉町- (2021年8月5日掲載)

畑わさびの生産量が日本一の岩手県。その8割を占めているのが岩泉町です。
畑わさびは、一般的にイメージされる清流で栽培されるわさびと同じ植物ですが、栽培方法は異なり、土に植えていることから大きく育つのは「茎」の部分になります。岩泉町のわさびは、比較的標高の高い場所の松林やカラマツ林の林間に開かれた畑を利用し、樹木の間伐や枝打ちを行いながら、適切な光量や湿度を保ち栽培しています。
栽培から出荷の過程は、育苗、定植、花芽の摘み取り、収穫(葉を除去)、茎や根の選別、洗浄及び異物の除去等があり、ほとんどが手作業です。
圃場への苗の定植は年に3回であり、定植時期によって収穫時期が変わります。
4月下旬の定植では翌年6月以降の収穫、6月下旬の定植は翌年夏以降の収穫、秋の定植は翌々年の春以降の収穫となります。

岩泉町門地区にある吉澤 誠さんの圃場では、収穫最盛期を迎え、家族総出で収穫作業が行われていました。就農11年目の吉澤さんからは「畑わさびの栽培は、通常の農業とはちょっと違うところに面白さを感じています。初期投資は比較的少なく、需要も十分あり、規模拡大することで安定した収入が見込めます。」との話がされました。

アブラナ科のわさびは、菜の花のような白い花を咲かせます。春に摘み取りした花芽は生での出荷や醤油漬けに、6月以降に収穫する茎や根は主に練りわさびやドレッシングの原料、オイル漬けに利用。また、練りわさび用の原料として中国にも輸出されています。

岩泉町は総面積の93%が森林で、豊富な森林資源を利用できる特産物として畑わさびの生産振興を積極的に行っています。
生産者は高齢化等により平成16年の103名から半減しましたが、近年はわさびの専業化を進め、4ヘクタール程の大規模経営を確立したモデル農業者も出てきており、安定した経営を目指す若い農業者が次々と現れています。

また、町にはカット処理等の原料加工を行う一次加工施設、製品化までを行う二次加工施設があります。生産から加工までを町内で行うことで、6次産業化による新たな付加価値を生み出し、雇用の創出による地域活性化を展開しています。


< 畑わさびの生産振興 >
  お問合せ先:岩手県岩泉町農林水産課
  住所:岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字惣畑59- 5
  電話:0194-22-2111(内線543)

< 畑わさびの栽培技術指導>
  お問合せ先:JA新いわて宮古営農経済センター米穀園芸課
  住所:岩手県宮古市花輪10-5-1
  電話:0193-69-3220

< 畑わさびの加工・わさび製品>
  お問合せ先:岩泉ホールディングス株式会社産業開発事業部
  住所:岩手県下閉伊郡岩泉町乙茂字乙茂90-1
  電話:0194-22-4433
  WEBページ:http://www.ryusendo-water.co.jp/selection/wasabi.html[外部リンク]



(情報収集)岩手県拠点  電話:019-624-1125


岩泉町の畑わさび~辛さとともに、ほのかな甘みが特長~

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就農11年目の畑わさび農家 吉澤 氏


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手作業による畑わさびの収穫


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収穫した畑わさびは作業場で葉と白根を除去し、茎と一部の根茎を残します


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岩泉町が畑わさびの生産振興のため整備した加工処理施設

(写真左から1枚目はJA新いわて宮古営農経済センター 提供)
(写真の2枚目から4枚目は岩手県拠点職員 撮影)