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東北農政局

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宮城地域からの便り(令和3年度)


宮城の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

石巻市北上地区に新たな憩いの場が誕生 宇宙品質のパプリカがお手軽に  -宮城県・石巻市- (2022年2月21日掲載)

石巻市北上町で大規模施設園芸を行っている株式会社デ・リーフデ北上の隣接地に、2021年11月に直売所、カフェ及び加工場の機能を有した複合施設「リーフデ・テラス」がオープンしました。自社で生産したトマトとパプリカを直売スペースで割安に販売するほか、規格外品はカフェスペースで提供するパスタやピザ等に活用し、訪れた人たちに提供しています。
 
デ・リーフデ北上は、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた北上地区で地域に根ざした農業を展開するため2014年4月に設立し、施設園芸の先進地オランダから導入した栽培技術と徹底した栽培管理で、高品質なトマトとパプリカを生産しています。その品質の高さから、パプリカは2018年から国際宇宙ステーションの宇宙飛行士に提供する生鮮食料品に採用されています。
 
「自分たちが生産したものを地元住民や観光客にもっと知ってもらいたい。規格外品となったものを有効活用しフードロスを減らしていきたい」という思いから、会社設立当初からこの複合施設の構想を温めてきましたが、東日本大震災から10年となる節目の年に実現に至りました。赤い屋根に白と茶色に塗り分けられた壁が特徴的なこの施設は、オランダの建物をイメージしてデザインされました。施設は直売とカフェのスペースに分かれており、直売スペースでは自社産品のほか、地域の農家が生産した米や野菜、加工品、パンなどを販売しています。カフェスペースは、店内に20席、テラスに6席あり、社員1名、パート3名(うち障害者雇用1名)を石巻市内から雇用しています。施設の奥に併設した加工スペースでは乾燥機を導入してドライトマトとドライパプリカを試作中であり、今後、商品化し販売する計画です。
 
2021年5月には2カ所目の園芸施設として「デ・リーフデ大川」を建設し、大川では夏に、北上では冬に生産のピークをもってくることで、周年で生産・販売できるようにしています。また、2つの施設を合わせて約100名を雇用しており、地域の雇用創出にも貢献しています。
 
「我々は地元密着の会社。この立ち位置は設立当初からで今後も変わることはない。リーフデ・テラスはそれを形にしたもの。多くの人に集まってもらいデ・リーフデブランドの発信の場にしていきたい」と阿部淳一総務部長は力強く話されました。
 
新たなアイテムを加え、さらに躍進する「デ・リーフデ」グループ、今後も目が離せません。
 
 

  • お問合せ先:リーフデ・テラス
  • 住所:宮城県石巻市北上町橋浦北釜谷崎242-1
  • 電話:0225-98-7016
  • WEBページ:http://de-liefde.co.jp/[外部リンク]

(情報収集)宮城県拠点  電話:022-221-6404

石巻市北上地区に新たな憩いの場が誕生 宇宙品質のパプリカがお手軽に

オランダの建物をイメージしてデザインされた「リーフデ・テラス」
オランダの建物をイメージしてデザインされた「リーフデ・テラス」

デ・リーフデ北上で生産されたトマトとパプリカを使用したピクルス
デ・リーフデ北上で生産されたトマトとパプリカを使用したピクルス

カフェスペースで提供している「マルゲリータピザ」
カフェスペースで提供している「マルゲリータピザ」

カフェスペース(店内20席、テラス6席)
カフェスペース
(店内20席、テラス6席)

(写真:宮城県拠点職員 撮影)

生産量県内トップの地場産小麦100%のパンを学校給食に!  -宮城県・美里町- (2021年11月22日掲載)

宮城県美里町では令和3年9月から、町内の小中学校9校で毎週木曜日に、町内産小麦を100%使用した学校給食用パンの提供を開始しました。

美里町の南郷地区では、昭和40年代に実施された水田の大区画整備を契機に、転作作物として麦の栽培が始まり、平成30年には県内小麦収穫量の3割以上を美里町が占め、作付面積が県内トップとなっていました。一方で宮城県産小麦として出荷を行うことから美里町の産地としての知名度は高くありませんでした。

このような中、令和元年産から、製パン適性が高い上に穂発芽しにくい等の特性を持つ新品種「夏黄金(なつこがね)」の作付けが美里町で本格的に開始され、令和2年度から宮城県の学校給食用パンに県内産「夏黄金」が30%使われることになりました。これらを契機に、「夏黄金」の産地としての地位確立を図るため、小麦の生産振興に加えて付加価値を創出し、地域内での消費を促進する取組として、町内産「夏黄金」100%で製造した学校給食用パンの提供が計画されました。

令和2年7月に美里町役場とJA新みやぎ(みどりの地区本部)から町教育委員会へ計画を提案し、三者で連携して計画推進に取り組むこととなりました。令和3年度、町がJA新みやぎを実施主体に「町内産小麦の流通安定化モデル事業」に取り組み、製粉は福島県郡山市の業者、パンの製造は宮城県栗原市の業者に委託することにより、町内で生産された小麦の区分管理と、町内産小麦粉の製粉先とパンの製造先確保等にとりかかり、学校給食への提供を実現しました。その後、美里町役場とJA新みやぎ(みどりの地区本部)、町教育委員会は、令和3年8月に「美里町産小麦『夏黄金』学校給食用パンの供給に関する協定」を締結し、提案から約1年という短期間での提供開始となりました。

こうして提供された学校給食用パンは好評で、美里町役場の担当者は「これをきっかけに本町が安心安全な小麦の産地として認知されれば」と期待しています。今後は、年内を目標に家庭用小麦粉(600g入り)の販売も計画しており、町内のみならず、仙台市内のスーパーなどで販売される予定です。

 

  • お問合せ先:美里町産業振興課
  • 住所:宮城県遠田郡美里町木間塚字中央1
  • 電話:0229-58-2374

(情報収集)宮城県拠点  電話:022-221-6404

生産量県内トップの地場産小麦100%のパンを学校給食に!

美里町産「夏黄金」100%の学校給食パン
美里町産「夏黄金」100%の学校給食パン

毎週木曜日は「パンの日」
毎週木曜日は「パンの日」

「ふっくらしておいしい!」と子供たちも好評です
「ふっくらしておいしい!」と子供たちも好評です

年内販売予定の「家庭用小麦」
年内販売予定の「家庭用小麦」

(写真:美里町提供)

理想の豚肉を追求し、料理人が養豚農家に  -宮城県・川崎町- (2021年8月20日掲載)

宮城県蔵王連峰の麓に位置する川崎町には、全国的にも数少ない自然放牧による養豚を行っている生産者がいます。放牧場「Fattoria Kawasaki(ファットリア・カワサキ)」を経営するのは佐藤剛(たけし)さん。料理人でもある佐藤さんは地元川崎町にレストランをオープンし、自ら生産した「たけし豚」を使用した料理も提供しています。

もともと料理人を目指していた佐藤さんは、平成19年に仙台市のイタリアンレストランに就職し、料理の技術を学びました。イタリアの食文化、特に豚肉を使ったハムやソーセージなどの加工肉や保存食文化に魅了された佐藤さんは、これを自分なりに表現できないかと考えました。しかし、理想とする豚肉がなかなか見つからなかったことから、「理想の豚がいないのなら、自分で育ててしまおう」と自ら養豚を行うことを決意しました。

養豚の研修のため訪れた岩手県岩泉町の養豚農家で、豚の放牧と出会った佐藤さんは、祖父が経営していた観光農園の跡地を放牧場に整備し、平成24年から放牧養豚をスタートさせました。「豚を育てるというよりは、豚が豚らしく生きるのを手伝っている感覚」と語る佐藤さん。現在は5ヘクタールの山林で約30頭を通年放牧し、10~12ヶ月という通常の倍の飼育期間で200キログラムを超える大きな豚に育てています。また、餌は配合飼料を必要最小限にし、周辺農家の規格外野菜や地域企業の食品残渣を活用した自家配合飼料を与えており、食品ロス対策も行っています。

ストレスのない環境でのびのび育った「たけし豚」は、全国各地の料理店に販売しているほか、今年の4月にオープンしたレストラン「farmer's table mano(ファーマーズ・テーブル・マーノ)」でも味わうことができるようになりました。店内には地元の木材を使って大工さんに作ってもらったテーブルが配置され、コースターやストローも地元の人が手作りしたものを使用するなど、内装等にもこだわっており、「空間を含めてゆっくり味わってほしい」と佐藤さん。SNS等で噂を聞きつけ、仙台を中心に県外からもお客さんが訪れ、評判は上々のようです。

「お客様が食べるところまでイメージして育てられる養豚家になりたい」と語る佐藤さん。ゆくゆくは全て地元川崎町の食材を使った料理も作ってみたいとのこと。農家であり料理人でもある佐藤さんの取り組みが、地域に新たな風を呼び込んでいます。

 

  • お問合せ先:佐藤剛(farmer's table mano / Fattoria Kawasaki)
  • 住所:宮城県柴田郡川崎町小野弁天5-1(farmer's table mano)
  • 電話:022-487-7037
  • WEBページ:https://farmerstable-mano.jp/ [外部リンク]

(情報収集)宮城県拠点  電話:022-221-6404

理想の豚肉を追求し、料理人が養豚農家に

レストラン前の佐藤剛さん

農家+料理人の佐藤剛さん
(4月にオープンしたレストラン前で)

放牧場のたけし豚

広々とした放牧場でくつろぐ
「たけし豚」

たけし豚のロースト

「たけし豚」のロースト

手作りの民芸品も販売

レストランでは地元の職人等が手作りした民芸品も販売しています

(写真(左から)2枚目、3枚目:佐藤 剛さん提供   1枚目、4枚目:宮城県拠点職員撮影)