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東北農政局

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山形地域からの便り(平成30年度)

山形の「農山漁村の季節の風物詩」、「農産物直売所、農漁家民宿等の取組」、「村おこしイベント」、「農山漁村の行事、お祭り」、「郷土料理」など東北各地域の取組や様子などを紹介します。

捨てられていた枝豆の「さや」で良質な緬羊肉生産 ー山形県・鶴岡市ー (2019年1月25日掲載)

月山高原花沢ファーム代表の丸山光平(まるやまこうへい)さんは、約20ha(うち6haで飼料作物を生産)で耕作を行っているほか、鶴岡市で唯一、肉用緬羊(にくようめんよう)約230頭を飼養しています。

丸山さんが肉用緬羊の飼養を始めたのは昭和50年、7頭からのスタートでした。

当初は、飼養技術を学ぶために山形市蔵王地区や県外の緬羊農家に研修に行ったこともありましたが、ほぼ独学で飼養技術を習得・確立しました。

丸山さんは、「経費をかけずに良い緬羊を生産する」を経営方針に掲げ手作りで羊舎を設置し、緬羊の快適性に配慮した飼養管理を行っています。

そんな丸山さんの元に、鶴岡市の特産品である枝豆「だだちゃ豆」の加工を行っている近隣の食品加工施設から、枝豆の豆粒をはじいた後の「さや」の処分に困っているとの話がありました。飼養している肉用緬羊の飼料代が少しでも削減できるのでは、との思いでさっそく「さや」を羊に与えてみると、枝豆の「さや」に小さな豆が残っているためか、食い込みが良い事に驚いたそうです。中でも「さや」を特に好む緬羊は1日に5kg以上も食べます。

「さや」は、運搬費も含め無料で提供を受けており、手作りの羊舎などと併せ、丸山さんが目指す「低コスト経営」が実践されています。

緬羊肉は、生後1年未満を「ラム」、生後2年以上のものを「マトン」、その間を「フォゲット」に分類し、出荷販売されるのが一般的ですが、丸山さんは「フォゲット」の中でも特に、「生後14ヶ月~20ヶ月」の飼育期間での出荷にこだわりを持っています。その理由を丸山さんに尋ねると「肉全体に脂が乗りボリュームが増し、羊肉を一番美味しく感じることが出来るから。」とのコメントを頂きました。

また、鶴岡市内に本店があるイタリアンレストラン「アル・ケッチャーノ」のオーナーシェフである奥田政行さんから、「緬羊特有の臭みが少なく、芳醇で柔らかい素晴らしい肉」との高い評価を受けました。

奥田さんは、丸山さんが飼養する緬羊肉に惚れ込み、自らが「羽黒緬羊」と名付け、東京近郊のレストラン等に優良食材として広く紹介していただいたことにより、「羽黒緬羊」は庄内地域を代表する食材として一歩踏み出す事が出来ました。

丸山さんからは、「従来廃棄物として処分されていた枝豆の「さや」を引き続き貴重な飼料として活用し、緬羊からの排泄物を、堆肥として地域の水田や畑に還元する「循環型農業」を実践するとともに、緬羊の集約放牧を通じた「景観形成」や「地域おこし」へと発展する生産基盤を構築していきたい。」との、力強い抱負を伺うことが出来ました。

  • お問合せ先:月山高原花沢ファーム 代表 丸山 光平
  • 住所:山形県鶴岡市羽黒町荒川字西田157
  • 羊・山羊舎:山形県鶴岡市羽黒町荒川字花沢461
  • 電話:0235-62-3341
  • 「羽黒緬羊」肉の販売:クックミートマルヤマ
  • 住所:山形県鶴岡市みどり町20-35
  • 電話:0235-23-5246

(情報収集)山形県拠点  電話:023-622-7271

捨てられていた枝豆の「さや」で良質な緬羊肉生産
緬羊の快適性を追求した、丸山さん手作りの「フリーストール羊舎」緬羊の快適性を追求した、
丸山さん手作りの羊舎
食品加工施設から運ばれた枝豆の「さや」食品加工施設から運ばれた枝豆の「さや」 枝豆の「さや」を食べる緬羊枝豆の「さや」を食べる緬羊 月山高原花沢ファームを支える関係者手前中央が代表の丸山光平さん月山高原花沢ファームを支える
関係者 手前中央が
代表の丸山光平さん

(画像提供:山形県拠点職員撮影

地元の素材を使った惣菜コーナーが人気~魅力たっぷりな道の駅米沢~ ー山形県・米沢市ー (2018年10月19日掲載)

道の駅米沢は、農林水産省の中山間地域所得向上支援事業などを活用し、東北中央自動車道米沢中央インターチェンジ付近の主要地方道米沢高畠線沿いに平成30年4月にオープンした、山形県内で一番新しい道の駅です。

東北中央自動車道の福島大笹生(ふくしまおおざそう)ICから米沢北IC間が無料区間として前年11月に開通していたこともあり、市などの予想を大きく上回って開業から5か月足らずの9月8日に来場者数が年間目標の85万3千人を突破し、10月5日には100万人に達しました。

道の駅米沢の建物は、地元産材をふんだんに用い落ち着いた外観で、内部は上杉の城下町米沢の町並みをイメージしています。館内には農産物直売所に加え、ご当地グルメの米沢牛や米沢ラーメンが手軽に味わえるフードコートのほかに、本格的な米沢牛レストラン、県内の全酒蔵とワイナリーの商品を揃えたコーナー等を設置しています。また、米沢-仙台間の高速バス停留所を新設したり、屋外には多目的広場を設置して芋煮会やバーベキューが楽しめるようにするなど、米沢や県内のグルメから観光まで、観る・食べるコンテンツ満載で魅力たっぷりの施設となっています。

その中でも、農産物加工施設「かぁちゃんの台所」では、地元で生産された農産物を活用した惣菜の製造販売に取り組んでおり、6次産業化による農業者の所得向上や地元の魅力ある農産物を内外にPRするなど、地域産業の振興を図っています。

惣菜コーナーのたくさんのメニューの中で、山形県の特産品である「麩」を醤油と砂糖で甘辛く煮焼きした「麩のかばやき」や「米沢牛すじ炊き込みご飯」などが特に人気です。現在、さらなる新メニューの開発を地元のかぁちゃんたちだけでなく野菜ソムリエや学校給食の調理経験者の方々も加わって進めているところです。

また、県全域のインバウンド対応を始めとした多様な特産品や体験型観光の情報を含む複数の観光ルートを提供する拠点として、県内初の「重点道の駅」に選定され、館内中央の総合観光案内所には外国語で案内できるコンシェルジュが常駐し、置賜(おきたま)地域はもとより山形県内の魅力を発信しています。

道の駅米沢では、山形県の南の玄関口として「おしょうしな」(置賜地方の方言でありがとうの意味)の「おもてなしの心」で皆様をお迎えしております。ぜひ、お越しください。

  • お問合せ先:道の駅米沢
  • 住所:山形県米沢市大字川井1039-1
  • 電話: 0238-40-8400(総合案内所 9時00分-18時00分)
  • ホームページ:http://michinoeki-yonezawa.jp/
  • 営業時間:農産物販売所 9時00分-18時00分、特産品販売所 9時00分-18時00分
                  フードコート 10時00分-18時00分、ファストフード 10時00分-18時00分、
                  米沢牛レストラン 11時00分-21時00分、コンビニエンスストア 7時00分-21時00分

(情報収集)山形県拠点  電話:023-622-7271

地元の素材を使った惣菜コーナーが人気~魅力たっぷりな道の駅米沢~

地元産材をふんだんに用いた
落ち着いた外観
外国語で案内できる
コンシェルジュが常駐
新メニューの開発を進める
地元のかぁちゃんたち
甘辛くておいしい「麩のかばやき」など人気の惣菜たち

(画像提供:米沢市)

山形県村山市から浅草寺に「大わらじ」奉納 ー山形県・村山市ー (2018年7月20日掲載)

皆さん、東京浅草にある浅草寺の宝蔵門に、山形県村山市の皆さんが製作した大わらじが奉納され掲げられていることをご存じでしょうか。

本年、10年ぶりに新しい大わらじが村山市から奉納されることになりました。

この大わらじは、昭和4年(1929年)に山形県楯岡町(たておかまち:現村山市楯岡)で開催されたわら工品の展示品評会に出展するため、楯岡町の荒町青年団が製作したのが始まりです。

荒町青年団では、当時から浅草寺へ大わらじを奉納する夢を持っていましたが、財政的な理由から実現しませんでした。しかし、昭和16年(1941年)、ようやく関係者の尽力により第1回目の奉納が実現してからは、概ね10年に一度のペースで、計7回奉納しており(6回目からは「浅草寺奉納大わらじ製作実行委員会」が奉納)、この度、8回目の奉納を平成30年10月に行うこととなりました。

材料となる稲わらは、大わらじ製作実行委員会が村山市内の「奉納田」30アールに平成29年春に田植えを行い、近隣農家の協力を得て栽培管理したものです。秋には、1.4メートルほどに成長した稲が村山市民約140人の方々により手刈りされ、くい掛け乾燥後に材料として確保されました。

その稲わらを使って平成30年2月からわらじの製作を開始し、延べ880人が約1か月かけて、長さ4.5メートル、幅1.5メートル、重さが片方500kgの大わらじ1足を完成させました。

完成した大わらじは、村山市役所に平成30年10月19日まで展示され、10月21日に浅草寺に奉納される予定です。

わらじをはじめ、わら靴、蓑、むしろ、俵などのわら工品制作の技術は、生活に欠かせない「ものづくり」の技術として、今でも村山市はもとより山形県内各地に伝承されています。

ぜひ、昭和の初めから受け継がれ奉納されている大わらじの大きさを確かめにお出かけ下さい。

  • お問合せ先:村山市商工観光課
  • 住所:山形県村山市中央一丁目3番6号
  • 電話: 0237-55-2111
  • ホームページ:https://www.city.murayama.lg.jp

(情報収集)山形県拠点  電話:023-622-7271

山形県村山市から浅草寺に「大わらじ」奉納

今年奉納される大わらじ

大わらじ製作の様子

「浅草寺奉納大わらじ製作
実行委員会」の皆さん

現在浅草寺に奉納されている
大わらじ

(画像提供:村山市商工観光課)

国産飼料100%で和牛肥育 ー山形県・天童市ー (2018年4月20日掲載)

株式会社和(なごみ)農産の代表取締役である矢野仁(やの ひとし)さんは、天童市で800頭の黒毛和牛を肥育しています。矢野さんは、かねてから遺伝子組換え等による輸入飼料の安全性に不安を抱えており、国による飼料用米活用の推進の取組を契機に、平成26年に自治体、地元企業、農家、研究機関の協力を得て、米を中心とした国産100%の飼料利用に取り組むこととしました。

取組当初は、自ら作成したチラシで、飼料用米を契約栽培することによる収穫後の労力軽減などの農家のメリットや、国産100%の飼料利用への和農産の思いを農家に伝えたものの、飼料用米の契約に至ったのは僅かに2件のみでした。しかし、翌年から徐々に協力者が増え、平成29年の契約農家数は29件、栽培面積は55haまで拡大し、耕作放棄地の増加防止、ひいては地域の水田を守ることにつながっています。今後も地域の農家と契約し、農家の収益確保と運賃などのコスト削減を図るなど、お互いメリットを享受できる関係を構築していきたいと考えています。

現在の飼料用米を使用した配合飼料は、米の配合割合や加工形状に試行錯誤を重ねた結果、飼料に占める米の割合は約50%(うちSGS(ソフト・グレイン・サイレージ=もみ米を発酵させたもの)が27%、残りは圧ぺんもみ米と玄米ペレット)となっています。800頭分の飼料は、農林水産省が推進している畜産クラスター事業を利用して整備した調製施設で配合しており、米以外の配合飼料の原料である大豆やふすまのほか、粗飼料まで国産100%を実現しています。

平成28年には、国産飼料100%のこだわりを持って肥育した牛を消費者に直接届けたいとの思いで6次産業化の認定事業者となり、直営精肉店「eat Meat(イートミート)」をオープンしました。国産飼料100%で生産した牛肉を「和(なごみ)の奏(かなで)」と命名し販売しています。

「『国産飼料100%』をPRし精肉の販路を拡大させることで、飼養頭数が増加して米の利用も増加すれば、水田活用の需要者として地域に貢献できる。耕作放棄地対策と食の安全確保、事業の継続・拡大のために、国の支援に期待している。」と、矢野さんはさらなる取組拡大を目指しています。

〇お問合せ先:株式会社 和農産

〇直営精肉店「eat Meat」

(情報収集)山形県拠点  電話:023-622-7271

国産飼料100%で和牛肥育

株式会社和農産 代表取締役
矢野仁さん
SGS(ソフト・グレイン・サイレージ)(クリーム色の容器)
給餌の様子
直営精肉店「eat Meat」の
外観

(画像提供:「給餌の様子」は(株)和農産提供。その他は山形県拠点職員撮影。)