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東海農政局

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第6回 名古屋文理大学 後藤千穂准教授との対談

東海地域で活躍されている学識経験者や地域の活動者の方と対談を行い、その幅広い視点を皆さんにお伝えしています。
第6回は、名古屋文理大学 健康生活学部 健康栄養学科 後藤千穂准教授にお話を伺いました。
(取材日:平成31年2月27日)

後藤准教授
後藤千穂准教授

消費・安全部長
(聞き手)東海農政局 吉田消費・安全部長

対談の様子
対談の様子

(吉田部長)
東海農政局では、有識者の方などにお話を伺い、食の安全などに関する情報を「TOKAIミニコミ」という形で発信しています。今日は後藤先生に、食生活の問題点や国民の皆さんがどう食生活に向き合っていけばいいのかなどを教えていただければと思います。
まずは先生がどのような御研究をされているか教えてください。

愛知県民は野菜をもっと取りましょう

(後藤准教授)
食生活と病気の関係を検討するには、疫学研究という、多くの人を対象とした研究が必要です。この疫学研究の中において、食習慣として、どのような食事をどのくらい食べているのかということを調査したデータを評価することが必要です。その調査方法や、調査結果をどう活用していくかなどの研究をメインに行っています。
また、疫学研究には様々な研究手法がありますが、調査結果からどうデータを読み取ったらいいのか、この研究手法ならここまでは言えるがこれは言い過ぎであるとか、ということを大学で学生に教えています。
一般の方向けには、稲沢市などの健康講座を担当したり、健康イベントなどでお話ししています。国民健康・栄養調査の結果によると、愛知県は野菜の摂取量が少ないので、最近は摂取量が増えるように、野菜の食べ方も併せて伝えるようにしています。特にお子様連れの方はよく聞いてくださって、どのくらい食べればいいのか、どうやって食べたらいいのか興味を持ってくださいます。

(吉田部長)
愛知県の野菜摂取量が少ない原因は何でしょうか。

(後藤准教授)
原因はまだはっきりとはわかっていないため、現在調査を進めています。ただ、愛知県だけでなく、東海農政局管内の三重県や岐阜県も少ないので、もっと野菜を食べていただきたいと思います。

野菜摂取量 

健康食品は薬ではないので、医薬品のような効果はありません

(吉田部長)
健康食品について注意すべき点はありますか。

(後藤准教授)
いわゆる「健康食品」については、「何を食べたらいいの、これは本当に効果があるの」と質問をいただくことがありますが、「食品は薬ではないですよ」とまずそこからお話をさせていただいています。健康食品も食品ですので、当然、医薬品のような効果はありません。
健康食品は様々なものが販売されています。ただ、例えばバランス栄養食と書いてあると、バランスが良い栄養食品であると思いがちですが、実際はエネルギーに対する脂質の割合が目標とされる割合より、かなり多いこともあります。
私たち栄養士・管理栄養士は食事のバランスをみる方法の1つとして、エネルギー源となる三大栄養素である、タンパク質、脂質、炭水化物の割合をチェックします。これは加工食品の裏に表示があります。なかなかそこまで読んでいる人は少ないかもしれませんが、表示を見ることは必要です。バランス栄養食と表示しているからといって、この商品だけ食べていれば大丈夫ということではありません。ただし、商品によってはビタミンやミネラルを添加しているものもあるので、非常時には有効であったり、食事の時間をとれない時に食べるのには良いと思います。時と場合によって使い分ける必要があると思います。

(吉田部長)
表示は、なかなかその活用方法が浸透していないように感じます。せっかく表示があるのですから、もっと活用していただけたらと思っています。

(後藤准教授)
食品の表示は役に立つのですが、読み方や使い方を学ぶチャンスが少ないのが残念です。食品に機能性を表示できる保健機能食品として、特定保健用食品や機能性表示食品、栄養機能食品があり、新しい商品がどんどん発売されてきています。こういった保健機能食品の表示の違いや、表示されている機能性の根拠、お問合せ先も開示されていますが、一般の人には分かりにくいことも多いです。こういうことも学ぶチャンスがあるとよいと思います。
また、いわゆる健康食品の商品の広告にも消費者に勘違いさせるものがあります。日本人は空気を読んだり、行間を読むので、勝手に効果があると思い込んでしまうこともあります。

(吉田部長)
消費者の皆さんに一番伝える必要があるのは、情報の読み方かもしれないですね。

体調がおかしいと思ったら、取るのを止めて様子をみる、これも重要です

(後藤准教授)
食品の表示を見て購入し、食べたり飲んだりした際に、体調が良いとか心地良いというのを感じられることが大切だと思います。また少しでも体調がおかしいなと感じたら、食べたり飲んだりするのを止めることも必要です。

(吉田部長)
健康食品の問題の一つは、健康食品を摂取して病院に行かなくなることだと聞きましたが。

(後藤准教授)
健康食品は薬ではないことに注意が必要です。
健康食品には高額なものもあり、もったいないから食べきろう、飲みきろうとしてしまうことがあります。病気であれば適切な対応をしなければいけないのに、その機会を逃して健康を害することになるのは問題ですね。

普通の食材の中にも、いろんな危険があります

(吉田部長)
天然のものの中にも普通に自然毒はありますね。昨年、農林水産省でピロリジジンアルカロイドの調査結果を公表しました。ふきにもこれが含まれているのがわかったのですが、同時に従来から伝統的に行われている、水さらしやあく抜きをすれば毒素は減るということも併せて情報提供しています。

あく抜きの手順

(後藤准教授)
生のまま食べたりせずに、従来の調理方法をすれば問題ないということですね。目先の変わった食べ方というのは話題性があり、注目されやすいのですが、昔から、例えば豆は生のまま食べてはだめ、加熱して食べましょうと言われていることなどは重要なことなので、ぜひ情報発信を継続していただきたいと思います。

(吉田部長)
昨年、農林水産省で取り組んだものの一つに「ジャガイモによる食中毒を予防するためにできること」のリーフレットを作成し学校などに配布しました。

(後藤准教授)
ジャガイモによる食中毒が知られていないことがあることにも驚きましたが、ハチミツによる食中毒も予防しましょう。ハチミツは健康的なイメージがありますが、1歳未満のお子さんが食べると乳児ボツリヌス症になることがあります。このように、以前から言われていることも伝え続けることが重要だと思いました。

(吉田部長)
食品に含まれる発がん性物質について心配している人が多いですね。

(後藤准教授)
発がん性物質の有無だけではなく、その食品を食べる量や頻度、食べ方を含めて考える必要があると思います。どんな食品でも食べ過ぎは良くないので、バランス良く、いろいろ食べることが大切です。
がんになるリスクを低くするには、国立がん研究センターによると、禁煙する、食生活を見直す、適正体重を維持する、身体を動かす、節酒するです。食生活指針でも示されていますね。2016年に改訂版が出て、より良くなりました。

(吉田部長)
それを視覚化したのが、食事バランスガイドです。でも、毎日これを絶対達成しないとだめというわけではありませんよね。

バランスガイド

(後藤准教授)
その通りです。食事は一生続きますので、長期間継続が可能であることが重要です。毎回の食事全てを、こう食べなくては、と思うとストレスになってしまいます。バランスを取りながら、おいしく食べるというのが重要です。おいしくて楽しければ続きます。
体調が悪ければおいしく感じないでしょうし、おいしさには体調面や環境面や心理面などいろいろ関わります。たまには、いわゆるジャンク食品を取ることがあっても、子どもの頃から心地良い食事を選択する経験を積んでいれば、たとえ大学生や社会人になり一旦生活が崩れたとしても、自分の体調を感じ取り、体調を良くする心地良い食事を食べたいと感じることができるようになります。

(吉田部長)
自分で意識することが大事ですね。
食生活を意識する上で、消費者の皆さんにこうすれば改善のきっかけになりますよということはありますか。

健康になるための基本は、栄養と運動と休養です

(後藤准教授)
健康になるための基本は、栄養と運動と休養です。
また、バランス良く食べると言われてもわかりにくいかもしれませんが、主食、主菜、副菜を中心に、いろいろな食品を組み合わせて、偏らないようにすることです。また野菜に関しては、カラフルに彩りよく、できるだけ多く食べます。野菜をたくさん食べている人は様々な調理方法で食べています。野菜イコールサラダだけではなく、炒め物や煮物や汁物など、できるだけいろんな調理方法で食べると良いです。
味付けは、薄味を心掛けて、できるだけ塩分を控えめに。またできれば誰かと一緒に食事をする。食事は一人でもできますが、人と一緒だと新しい食べ方を知ったり、チャレンジしたり、多様化しやすくなりますし、また、おいしく、楽しく食べられることにつながります。

(吉田部長)
確かに一人で食べるとどうしても食事が単調になってしまいますし、品数も少なくなりますね。

(後藤准教授)
状況にもよりますが、できるなら誰かと一緒に食べる。家族や友人、職場の同僚など、一緒に食べることによって食事のバリエーションが増えていくと思います。

生産者と消費者のネットワークづくり、情報の発信と共有

(吉田部長)
最後に東海農政局に何かご要望などありますか。

(後藤准教授)
生産者の方からお話を聞かせていただくと、生産者さんのそれぞれの思いであったり、その立場の物の見方などが伝わってきたりします。懇談の場であったり、情報発信であったり、それぞれの思いが伝わる場がもっとあると良いと思います。また、食と健康との関連について、一般消費者の方への情報の発信や共有の場があるとよいなと思います。

(吉田部長)
今日はいろいろなお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

後藤准教授と部長


名古屋文理大学健康生活学部健康栄養学科
後藤千穂(ごとうちほ)准教授
プロフィール〈インタビュー時〉

<学位・資格>
 ・博士(医学)(名古屋市立大学)
 ・修士(生体情報)(名古屋市立大学)
 ・管理栄養士
<専門分野、研究テーマ>
 ・栄養疫学、公衆栄養学
 ・食事評価法
 ・食物摂取頻度調査法の開発および妥当性・再現性
<最近の著書>
 ・「管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラム準拠第8巻公衆栄養学2019年版地域・国・国際レベルでの栄養マネジメント」酒井徹/由田克士編(分担執筆),医歯薬出版,2019.
 ・「新版公衆栄養学実習ワークブック」徳留裕子,東あかね編(分担執筆),みらい,2016.
 ・「管理栄養士のための経営管理」, Nancy R. Hudson 著, 山中克己・徳留裕子監訳(分担翻訳), 東京教学社, 2015.

PDF版

第6回 名古屋文理大学 後藤千穂准教授(PDF : 1,470KB)

お問合せ先

消費・安全部消費生活課

担当者:消費者対応班
代表:052-201-7271(内線2807)
ダイヤルイン:052-223-4651
FAX番号:052-220-1362

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