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東海農政局

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第11回 東海漬物株式会社における取組

東海地域で展開している食品関連企業を訪問して、企業活動の中で食品の安全・安心/消費者の信頼確保に取り組んでいる状況を取材しています。
第11回はきゅうりのキューちゃんでおなじみの「東海漬物株式会社」にお話を伺いました。(取材日:令和2年2月6日)

大羽代表取締役会長門馬営業企画部長消費・安全部長

日本の食卓に合う、ロングセラー商品の誕生

(東海農政局)
本日はよろしくお願いいたします。
まず、会社の概要を教えてください。

(東海漬物)
東海漬物は昭和16年(1941年)に名古屋市中村区で創業しました。第二次世界大戦で社屋は焼失し、昭和20年(1945年)に田原町(現田原市)に本社を移転しました。
愛知県は古くから漬物産業が盛んで、それを支えたのが、愛知県産の豊富な農産物です。当社も渥美半島で収穫される大根を中心に漬物製造を行ってきました。昭和37年(1962年)に豊橋工場が完成し、本社を豊橋市に移転しました。当社の代表的商品である「きゅうりのキューちゃん」が誕生したのもその年です。それを契機に会社は大きく飛躍しました。
「きゅうりのキューちゃん」は発売当時、画期的な商品でした。第一に包装形態、当時漬物は樽から小分けして売るの発売当時のキューちゃんが一般的でしたが、いち早く衛生的で便利なパッケージを実現しました。第二に醤油味、当時醤油ときゅうりの組み合わせは斬新でした。第三に愛嬌たっぷりのネーミングです。
発売翌年からテレビコマーシャルを開始し、キューちゃんは一躍全国的に有名になり、半世紀以上の歴史を持つ全国で流通するロングセラー商品へと成長しました。
もともとこの時代に扱われていた漬物は、遠方まで流通させると、その間に発酵が進み味に変化を来してしまうため、地元で生産をして地元で消費をするものでした。 
当社としては、発売当初より全国流通という販売形態を目標にしていましたので、発売から4年後にはいち早く、漬物の風味を落とさず微生物を不活化させる「温湯殺菌」の技術を漬物に導入したことにより、全国流通が可能となりました。漬物を殺菌することに対して漬物業界からは批判もありましたが、発酵を抑えることで安定した味の漬物を提供できました。

キューちゃん塩分量推移一方で、発売以来、キューちゃん独自の味は残しつつも、消費者の嗜好や食生活の変化に応じて、塩分や味、製法を絶えず進化させてきました。例えば塩分量が発売当初10%以上あったものを、今では4%以下に減塩しています。しかし、きゅうり独特の食感と、良質醤油の味わいや香りが特徴の、ごはんに合うおいしさは、昔も今も変わりません。
これからも常に積極的に時代と向き合い、自己改革を重ねていき、更なるロングセラー商品を皆さまに届けていきます。

 

キューちゃんに続くヒット商品「こくうまキムチ」

(東海農政局)
多くの商品がありますが、キューちゃんに続く商品はありますか。こくうま

(東海漬物)
「きゅうりのキューちゃん」がヒットして、東海漬物は成長しました。キューちゃんに負けない次のヒット商品を作りたいという思いで開発したのが、「こくうまキムチ」です。国産白菜100%で日本人の味覚に合うように「こく」と「うまさ」にとことんこだわった白菜キムチです。おかげさまで人気商品となり、今ではキューちゃんを上回る売上げとなっています。しかし発売当初から簡単に売れたわけではなく、丁寧に商品ブランドを育てながら販売をしてきました。漬物は、伝統的な食品であり、新商品を発売すればどんどん売れるものでもありません。お客さまが保守的なものを求められる傾向もありますので、いかに飽きの来ない商品を作るかを考えています。

浅漬最近当社の商品で、売上の伸率が一番高いのが「ぷち!浅漬」です。個食化、食べ切りサイズに対応した、小内容量カップの商品です。容量の小さいものは割高になりますが、核家族や一人暮らしの家庭が増えた昨今、大容量のものを買っても食べきれないこともあります。当社の商品も容量の少ない個食タイプを増やしています。
 

漬物文化の継承へ

(東海農政局)
漬物の消費量に変化はありますか。 

(東海漬物)漬物
平成25年(2013年)に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、それ以降も残念ながらお米の消費量は減っていますし、お米に関連した商品もあまり伸びてはいません。ご飯のお供である漬物の消費量も少しずつ減少してきましたが、ここ3年ほどは減少が止まっています。当社でも漬物を食べる文化を継承していくため、学校やイベントでぬか漬教室を行うなど漬物を身近に感じてもらう活動を行っています。
ちまたでは美と健康のためにもっと野菜を食べようというような若い女性向けの漫画が人気で、当社のリフレッシュルームにも置いていますが、若い人たちの野菜の消費量が少し伸びてきているのではないかという話を聞きます。
野菜が見直され、その野菜の中で漬物が評価いただけるようにするにはどうすればいいか考えています。お客さまにとって、魅力ある情報をどのように発信していくかと同時に、お客さまにとって魅力のある商品をどのように開発していくかの2つの視点が大切かと思い活動をしています。

豊橋マザー工場にてFSSC22000認証取得

(東海農政局)
生産拠点の中心は、豊橋市や田原市ですか。

(東海漬物)
生産拠点は、人口比や物流を考慮して配置しています。
愛知県は日本のほぼ真ん中に位置しており、全国へ流通がしやすいので、賞味期間が比較的長めのキューちゃんは愛知県内の工場で製造しています。賞味期間が短く冷蔵輸送が必要な商品は、消費地に近い全国各地の工場や原料の産地近くの工場で製造というように、生産拠点は商品の特徴に合わせて配置しています。
また、HACCPのシステムを取り入れた商品づくりを行い、第三者認証制度にも積極的に取り組んでいます。現在、一番レベルの高いと言われるFSSC22000を平成26年(2014年)に豊橋マザー工場が取得しました。その他(一財)食品安全マネジメント協会の認証を取得した工場もあります。このような取組みは工場のラインの見直しなどさまざまな機会をとらえて、今後も計画的に認証取得を進めていきます。

  • FSSC22000とは
    オランダに本部を置く食品安全認証財団(FSSC22000財団)が運営する食品安全管理システム
    食品安全マネジメントシステム(ISO22000)に、フードディフェンスを含む衛生管理の要求事項を盛り込んだもの。
  • HACCPとは
    食品の衛生管理の一つ。「危害要因分析重要管理点」ともいう。
    HACCPは、原材料の受入れから最終製品までの食品の製造・加工の各工程ごとに、微生物による汚染、金属の混入等の危害要因をあらかじめ分析してリストアップし、危害につながる特に重要な工程を継続的に監視・記録するシステム。

信頼関係を構築する品質保証部

(東海農政局)
食の安全・安心への取り組みについて、教えてください。

(東海漬物)
東海漬物の品質保証活動は、全ての社員が共有する「食品安全方針」を具現化するための総合的な活動として展開しています。さらにその根底には当社の経営理念とともに掲げております「消費者主義・品質主義・共存共栄主義」の三大主義があります。
商品を含む企業活動全体の「質」を維持・向上させ、それをお客様と社会に広く約束することで安心安全を構築する。この目的を達成するために当社ではこのTQMSを策定しています。
このTQMSの推進に当たるのが「品質保証部」です。商品品質の分析と情報管理から、工場の監査と指導、品質管理に関わる人材育成、お客さま相談まで、品質に関わる業務を幅広く行っています。
また品質保証部とは別に、部門横断的な組織として「食品安全委員会」を設置しています。開発・生産・物流・営業・購買などの各部門からメンバーが集結し、企業活動の質の向上を図っています。

品質保証

  • TQMSとは
    東海漬物独自の品質マネジメントシステム「東海漬物品質マネジメントシステム(Tokai Pickling Quality Management System)」の略称。

全日本漬物協同組合連合会でHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書を作成

(東海農政局)
大羽会長は全日本漬物協同組合連合会副会長をされていますが、漬物業界として取り組まれていることはありますか。

(東海漬物)
平成30年6月13日に公布された食品衛生法等の一部を改正する法律では、原則としてすべての食品等事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組むことが盛り込まれました 。これを受けて、全日本漬物協同組合連合会では、平成30年3月にHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書「漬物製造におけるHACCPの考え方を取り入れた安全・安心なものづくり(小規模事業者向け衛生管理の手引書)」を作成しました。
漬物業界には大企業だけではなく、地域に密着した小規模の企業が数多くあります。それぞれの企業が衛生管理に取り組みやすいようにと手引書を作成しました。できないことを手引書にするのではなく、できることを手引書にしようという考えで作成し、配布しました。衛生管理の取り組みには追加投資が必要であったり、意識の改革が必要なこともありますので、連合会では勉強会の開催などを行っています。
漬物を原因とした食中毒による死亡事故は、私が知る限り、組合加盟の企業から起きたことはありません。食品事故が起きると、「漬物=悪」のようにされてしまいます。このような食品事故が起きないよう組合加盟企業に対し、各地で衛生管理講習会を実施するなど、食の安全に向けて積極的に取り組んでいますが、課題は組合に加盟していない企業への情報発信が難しいことです。

農業従事者の高齢化に憂慮

(東海農政局)
行政への要望などがあれば、お聞かせください。

(東海漬物)
農業従事者の平均年齢が約67歳と言われており、高齢化の問題があります。高齢農家では重いものを持ったり、腰を曲げての作業がつらくなり、農業に対する取組姿勢が変わってきています。
昨年、南九州で大根の買取価格を上げました。農家には喜んでいただいたのですが、ついでに選別もお願いされました。選別は当社で行いましたが、良い大根ばかりでなくさまざまな品質の大根が納入され、非常にコストがかかりました。このため、今年は良い大根だけを買わせてくださいとお願いしたところ、豊作であるにもかかわらず原料が思ったほど集まりませんでした。これは農家がパートを雇い選別作業を任せたいと思っても人が集まらず、自分で作業をするのは高齢のため体がつらいということが理由ではないかと思います。
農家は人手不足で困っていますが、実は地方にある当社グループ会社のたくあん工場も人が不足しています。高齢化が進み若い人が少ない地域社会では、全産業が衰え、加工食品メーカーがなくなり、農産物の供給先がなくなることで離農が進み、耕作放棄地が増えてしまうという悪循環が進みます。
私どもは食品加工メーカーですから、やはり日本の農業・農村が成り立つようにご支援をいただきたいと思います。日本の農業を守ることは、漬物加工食品メーカーの経営者としてだけではなく、国民の一人としての思いでもあります。
 

対談の様子
対談の様子

東海漬物本社

取材場所  東海漬物株式会社(愛知県豊橋市)

東海漬物株式会社のWebサイトはこちら
http://www.kyuchan.co.jp/(外部リンク)

PDF版

第11回 東海漬物株式会社(PDF : 1,609KB)

お問合せ先

消費・安全部消費生活課

担当者:消費者対応班
代表:052-201-7271(内線2807)
ダイヤルイン:052-223-4651
FAX番号:052-220-1362

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