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印刷版:ミカンバエの解説(印刷版)(PDF:432KB)

ミカンバエの解説

 本虫は、かんきつ類の果実を食害する在来のミバエ科の一種であり、我が国の他、中国に生息している。
 我が国では、慣行防除が適切に実施されている園地において被害はほとんどないが、未発生国・地域の多くは本虫の侵入を警戒している。例えば、本虫への対策が条件に含まれる米国、EU、タイ、ベトナム及びニュージーランド向けかんきつ類の輸出においては、トラップ調査等により本虫の発生がないことを確認した登録生産園地のみから輸出が可能である(詳しくはこちらを参照)。
 

1. 学名

Bactrocera tsuneonis

2. 英名

Japanese orange fly

3. 発生国・地域

日本及び中国

4. 寄主植物

かんきつ類

5. 形態

 成虫の体長は約11mm、開張は17~20mm。Bactrocera属の中では大型の種であり、一般的に雄は雌よりもやや小さい。頭部は黄色~黄褐色。胸背は赤褐色で、3本の黄色縦帯を有する。小楯板は黄色。翅の前縁帯は黄色で、先端は暗褐色の斑紋状。蛹は長さ8~10mmの俵状で褐色。幼虫は3齢幼虫では長さ約15mmで黄白色。卵は長さ約1.4mm、幅約0.2mmで白色。

図1 成虫(雄) 図2 蛹 図3 幼虫 図4 卵

その他の写真はこちらを参照。

6. 生態

 年1化性。本虫は土中で蛹の状態で越冬し、6月上旬~7月中旬に羽化する。羽化した成虫は、交尾後、7月下旬~9月上旬に産卵する。温州みかん、キンカン等の果皮の薄いかんきつ類には通常、1果1個、大果には数個産卵する。成虫の総産卵数は30~40個。成虫の寿命は40~50日で、日差しの弱い朝と夕方に盛んに活動し、交尾・産卵する。
 卵期間は20日以上で、ふ化した幼虫は、果実内のじょうのう(果肉を包んでいる房)を食害する。複数の卵が産み付けられた場合でも1じょうのう内には1頭の幼虫のみが生き残る。3齢に達した老熟幼虫は、10月中旬~11月中旬に果実から脱出して、土中に潜り蛹化する。

7. 移動・分散方法

 本虫は、飛翔により移動するが、飛翔能力は低いと考えられている。また、本虫が寄生した植物の人為的な移動により分散する。

8. 被害の特徴

 成虫は寄主植物の果皮下のじょうのう内に産卵し、幼虫が果肉を加害する。加害された果実の特徴としては、健全果より着色が早い、ヘタの周りが赤く、ヘタが取れやすい、樹や枝を軽く揺すっただけで落果する、健全果よりも軽い、果皮に直径2~3mmの穴(脱出孔)が開いている等がある。

図5 ヘタの周りの赤み・ヘタが取れやすい 図6 落果 図7 果皮の脱出孔

その他の写真はこちらを参照。

9. 防除

 7~9月にかけて、成虫の防除のための薬剤散布が有効である。次年度の発生を抑えるため、被害果実の除去及び廃棄処分を行う。また、放任園や管理不良の園地が発生源となりやすいので、雑木を伐採する他、防風林の刈り込み等により園地内の日当たりを良くすることも有効である。

10. 経済的影響

 本虫は、1894年頃に大分県で初めて発見され、戦前は、捕虫網による捕殺等に頼っていたことから、一部の園地では大きな被害が生じた旨の報告があるが、戦後、薬剤散布が行われるようになってから、防除が適切に実施されている園地において被害はほとんどみられなくなっている。

11. 海外のニュース

 中国では、2016年に広東省の園地においてトラップ調査を実施した結果、同年4~9月に本虫の誘殺が同省内で初めて確認された。これまでに、広西チワン族自治区、貴州省、湖南省、四川省、雲南省及び広東省で発生が確認されている。



図1、4、5、6及び7は所有者から利用許諾取得済
図2及び3は「福岡県病害虫防除所」出典


参考・引用文献


    ミカンバエの写真

    ミカンバエによる被害写真

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    発行所   横浜植物防疫所
    発行人   森田   富幸
    編集責任者 横山 亨

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