[令和6年11月8日 6消安第4262号 消費・安全局長通知]
植物防疫法施行規則(昭和25年農林省令第73号。以下「規則」という。)別表2の付表第91の規定に基づき定めるフィリピンから発送され、他の地域を経由しないで輸入されるハス種のアボカドの生果実に係る農林水産大臣が定める基準(令和6年11月8日農林水産省告示第2036号。以下「告示」という。)に規定する生果実(以下「日本向け生果実」という。)の植物検疫の実施については、規則、告示及び輸入植物検疫規程(昭和25年7月8日農林省告示第206号)に規定するもののほか、この細則に定めるところによる。
1 指定生産園地
(1) 告示3の(1)の指定生産園地とは、フィリピン植物防疫機関が次の条件を満たすことができる生産園地として指定したものをいう。
ア 樹上から落下した生果実の除去が適切に行われること。
イ フィリピン植物防疫機関の指針に基づく病害虫防除が適切に講じられること。
ウ 成熟していない、かつ、傷のない生果実が樹上から直接収穫されること。
エ 日本向け生果実を収穫する際は、ハス種のアボカドの生果実以外の生果実と同時に収穫、管理しないこと。
オ フィリピン植物防疫機関は園地の責任者に対し日本向け生果実の収穫に係る講習を実施し、日本向け生果実の収穫は当該責任者による講習を受けた収穫作業員によって行われること。
カ 樹上から落下した生果実の除去及び日本向け生果実の収穫の状況について、定期的にフィリピン植物防疫機関による確認を受けること。
(2) 日本植物防疫機関は、指定生産園地について、毎年の輸出の開始1か月前及び変更が生じた際に、フィリピン植物防疫機関により作成された生産者名、登録番号、指定年月日、所在地及び作付面積を記載した一覧表の提供を受けるものとする。2 トラップ調査
告示3の(1)のトラップ調査は、次により行うものとされている。
(1) 調査対象はミカンコミバエ種群とし、トラップは指定生産園地内のハス種のアボカドが結実後(収穫のおおよそ22~24週前)から収穫が終了するまでの間継続して設置すること。
(2) 調査に用いる誘引剤の種類は、メチルオイゲノール:マラチオン=96:4の割合で混合したものとし、調査は1週間に1回誘殺虫を回収して行い、誘引剤は2週間ごとに交換すること。
(3) トラップは、フィリピン植物防疫機関が指定するModified Steiner Trapを使用すること。
(4) トラップは、指定生産園地が物理的に2か所以上に分離している場合は、1か所当たり1個以上設置すること。
3 ミカンコミバエ種群の発見に伴う措置
2の調査の結果、指定生産園地ごとに、調査により捕獲されたミカンコミバエ種群のトラップ1個当たりの誘殺虫数が平均で1日当たり8.25頭を超えた場合は、日本国植物防疫機関に通報を行うとともに、4週間連続でトラップ1個当たりの誘殺虫数が平均で1日当たり8.25頭以下になるまでの間、該当園地からの輸出を停止することとする。
4 指定選果こん包施設
(1) 告示3の(3)の指定選果こん包施設とは、フィリピン植物防疫機関が次の条件を満たすことができる施設として指定したものをいう。
ア 選果、こん包及び告示4の(1)の検疫有害動植物が付着していないことの確認(以下「輸出検査」という。)を行う場所(以下「こん包場所」という。)の窓等の開口部には全て網が張られている等、ミカンコミバエ種群の侵入を防止するための設備があること。
イ 使用開始前に消毒及び清掃が行われること。
ウ 日本向け生果実は、収穫後24時間以内にこん包場所に搬入されること。
エ 成熟していない、かつ、傷のない生果実のみが選果されること。
オ 日本向け生果実をこん包場所に搬入した際は、日本向け生果実とそれ以外の生果実を隔離して管理すること。
カ 日本向け生果実は、指定生産園地で収穫された日本向け生果実以外の生果実及び異なる指定生産園地で収穫された生果実が混入しないように管理されること。
キ フィリピン植物防疫機関は施設の管理責任者に対し日本向け生果実の選果に係る講習を実施し、日本向け生果実の選果は当該責任者の講習を受けた選果作業員によって行われること。
ク 日本向け生果実に係る選果こん包作業について、フィリピン植物防疫機関の立会いによる確認を受けること。
(2) 日本国植物防疫機関は、指定選果こん包施設について、毎年の輸出の開始1か月前及び変更が生じた際に、フィリピン植物防疫機関により作成された施設名、登録番号、指定年月日、所在地及び責任者名を記載した一覧表の提供を受けるものとする。5 植物防疫官による確認
告示5の植物防疫官による確認は、次により行うものとする。
(1) 収穫及び選果こん包の確認
告示3の措置が的確に実施されていることの確認は、原則として1年に1回以上、無作為に抽出した指定生産園地及び指定選果こん包施設について、実地で調査することにより行うものとする。トラップ調査が的確に実施されていることの確認は、実地での調査に加え、フィリピン植物防疫機関が作成したトラップ調査の実施記録を確認すること及びフィリピン植物防疫機関職員への聞き取りにより行うものとする。
(2) 検査の実施の確認
告示4の(1)のフィリピン植物防疫機関による確認が的確に実施されていることの確認は、次により行うものとする。
ア 収穫及び選果の検査の確認
成熟していない、かつ、傷のないもののみが収穫され、及び選果されていることがフィリピン植物防疫機関により確認されていることの確認については、次の事項について、原則として1年に1回以上、フィリピン植物防疫機関が作成した検査の実施記録を確認すること及びフィリピン植物防疫機関職員への聞き取りにより行うものとする。
(ア) 指定生産園地において、樹上から落下した生果実の除去が適切に行われ、成熟していない、かつ、傷のない生果実のみが収穫されていること。
(イ) 指定選果こん包施設において、成熟していない、かつ、傷のない生果実のみが選果されていること。
(ウ) (ア)がなされていない指定生産園地又は(イ)がなされていない指定選果こん包施設があったときは、フィリピン植物防疫機関により、当該指定生産園地又は指定選果こん包施設から生果実が日本向けに輸出されないように措置されたこと。
イ 輸出検査の確認
輸出検査については、次の事項について、原則として1年に1回以上、フィリピン植物防疫機関が作成した検査の実施記録を確認すること及びフィリピン植物防疫機関職員への聞き取りにより行うものとする。なお、植物防疫官が必要と認めたときは、これに加えて、随時、フィリピン植物防疫機関による輸出検査に立ち会うことにより行うものとする。
(ア) 日本向け生果実のこん包数の5パーセント以上が検査されたこと。
(イ) (ア)による検査の結果、検疫有害動植物(特にミカンコミバエ種群)並びにハス種のアボカドの生果実以外の生果実及び成熟した又は傷のあるハス種のアボカドの生果実がなかったこと。
(ウ) ミカンコミバエ種群以外の検疫有害動植物が発見されたときは、フィリピン植物防疫機関により、当該荷口に適切な消毒措置がとられたこと。
6 輸出の停止
(1) 告示4の(1)による輸出検査の結果、ミカンコミバエ種群が発見された場合には、フィリピン植物防疫機関は、直ちに日本国植物防疫機関に通報するとともに、その原因に対する再発防止策が日本とフィリピンとの間で合意され、実施されるまでは、以後の日本向け生果実の輸出を停止することとされている。
(2) 告示4の(1)による輸出検査の結果、ハス種のアボカドの生果実以外の生果実又は成熟した若しくは傷のあるハス種のアボカドの生果実が発見された場合には、フィリピン植物防疫機関は、直ちに日本国植物防疫機関に通報するとともに、その原因に対する再発防止策が日本とフィリピンとの間で合意され、実施されるまでは、以後の当該荷口に関連する指定生産園地及び指定選果こん包施設からの日本向け生果実の輸出を停止することとされている。
(3) 5の確認の結果、告示3 の措置並びに告示4の(1)のフィリピン植物防疫機関による確認が的確に実施されていないと植物防疫官が判断した場合には、植物防疫官は、その原因についてフィリピン植物防疫機関と共同して調査するものとする。なお、フィリピン植物防疫機関は、その原因に対する再発防止策が日本とフィリピンとの間で合意され、実施されるまでは、以後の日本向け生果実の輸出を停止することとされている。
7 輸送中及び積込み時の措置
告示6の積込み時の措置は、次のとおりとられているものであることとされている。ただし、こん包が密閉型のもの、こん包の通気孔に網(孔の直径が1.6ミリメートル以下のものに限る。以下同じ。)が張られているもの又はこん包若しくは束ねたこん包全体が網で覆われているものについては、この限りではない。
(1) こん包を指定選果こん包施設のこん包場所から直接密閉型海上コンテナ―に収容すること。
(2) 当該コンテナ―への積込みは、フィリピン植物防疫機関の立会いによる確認を受けること。
(3) 積込み終了後、当該コンテナ―の扉は、直ちにフィリピン植物防疫機関又はフィリピン植物防疫機関が指定した者により封印がなされ、輸入検査のときまで開扉されないこと。
(4) コンテナー番号及び封印番号は、フィリピン植物防疫機関により植物検疫証明書に付記されること。
8 表示
告示8の輸出植物検査が終了している旨及び仕向地が日本である旨の表示は、それぞれ次の(1)及び(2)の字句によるものとし、各こん包、束ねたこん包又はこん包が収容されたコンテナーの側面等の見やすい場所に、容易に確認できる大きさで行われるものとする。
(1) PLANT QUARANTINE Philippines
(2) FOR JAPAN
9 輸入検査
(1) 輸入検査は、輸入港において生果実及び添付されている植物検疫証明書、告示7の封印及び告示8の表示を確認して行うものとする。
(2) 植物防疫官は、荷口について、告示7の封印がなされていない場合若しくは破れている場合、告示4の(2)の植物検疫証明書が添付されていない場合又は告示8の表示がなされていない場合は、当該荷口を所有し、又は管理する者に対し、当該荷口の廃棄又は返送を命ずるものとする。
(3) 植物防疫官は、ミカンコミバエ種群が発見された場合は、次の措置を講ずるものとする。
ア ミカンコミバエ種群が発見された荷口を所有し、又は管理する者に対して当該荷口全量の廃棄又は返送を指示すること。
イ ミカンコミバエ種群が発見されたことをフィリピン植物防疫機関に通報し、その原因についてフィリピン植物防疫機関に調査を求め、又は必要に応じ共同して調査するとともに、その原因に対する再発防止策が日本とフィリピンとの間で合意され、実施されるまでは、以後の輸入検査を中止すること。
(4) 植物防疫官は、ハス種のアボカドの生果実以外の生果実又は成熟した若しくは傷のあるハス種のアボカドの生果実が発見された場合は、次の措置を講ずるものとする。ア 当該生果実が発見された荷口を所有し、又は管理する者に対して当該荷口全量の廃棄又は返送を指示すること。
イ 当該生果実が発見されたことをフィリピン植物防疫機関に通報し、その原因についてフィリピン植物防疫機関に調査を求め、又は必要に応じ共同して調査するとともに、その原因に対する再発防止策が日本とフィリピンとの間で合意され、実施されるまでは、当該荷口に関連する指定生産園地及び指定選果こん包施設からの日本向け生果実の以後の輸入検査を中止すること。