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植物防疫所

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アメリカ合衆国産くるみの核子に関する植物検疫実施細則
 
〔昭和61年3月25日 61農蚕第1521号農蚕園芸局長通達〕

沿革
平成09年11月13日 9農産第8481号[一部改正]
平成10年04月01日 10農産第2747号[一部改正]
令和02年09月16日 2消安第2654号[全部改正]
 
 
 
   植物防疫法施行規則(昭和25年農林省令第73号。以下「規則」という。)別表2の付表第26のアメリカ合衆国から発送され、他の地域を経由しないで輸入されるくるみの核子に係る植物検疫の実施については、令和2年9月16日農林水産省告示第1791号(以下「告示」という。)で規定するもののほか、この細則に定めるところによる。
 
 
1   くん蒸施設
   告示4の生産地における消毒のためのくん蒸施設は、毎年、次の条件を満たしているものとしてアメリカ合衆国植物防疫機関により適切に指定され、かつ、このことが日本国植物防疫機関宛てに通知されているものとする。
(1)  臭化メチルの投薬装置を有するものであること。
(2)  くん蒸施設内を減圧する装置を有するものであること。
(3)  減圧に耐える構造であること。
(4)  くん蒸施設内の圧力を外部から随時測定できる自動圧力記録装置を有するものであること。
(5)  当該施設内の圧力を100水銀柱ミリメートルになるまで下げたときに、この圧力が次のいずれかの経過時間において規定の圧力を満たすものであること。 
 
 経過時間   4時間 16時間  24時間
 圧力
(単位:水銀柱ミリメートル)
125以下 164以下 176以下
 
(6)  くん蒸施設内のガス濃度を外部から測定できる構造であること。
(7)  くん蒸施設内のガス濃度を均一にする装置及び消毒終了後速やかにガスを排出する装置を有するものであること。
(8)  くん蒸施設内の温度を外部から随時測定できる装置を有するものであること。
 
2   アメリカ合衆国植物防疫機関による消毒の確認
   告示4の(2)のくん蒸は、それぞれ次の要件が満たされるように行われ、かつ、このことをアメリカ合衆国植物防疫機関が適切に確認するものとされている。
(1)  告示4の(2)のアのくん蒸
  臭化メチルの薬量はくん蒸施設の内容積1立方メートル当たり56グラム、くるみの核子は摂氏15.6度以上、くん蒸中のくん蒸施設内の圧力は100水銀柱ミリメートル以下の条件の下に4時間以上くん蒸が行われたこと。
  1回に処理するくるみの核子の量がくん蒸施設の内容積の55パーセントを超えず、かつ、積付けがガス濃度の均一化を阻害しないように行われたこと。
  くん蒸中は、常時ガスの循環が行われたこと。
(2) 告示4の(2)のイのくん蒸
  臭化メチルの薬量はくん蒸施設の内容積1立方メートル当たり56グラム、くるみの核子は摂氏15.6度以上、くん蒸中のくん蒸施設内の圧力は100水銀柱ミリメートル以下の条件の下に4時間以上くん蒸が行われたこと。
  くるみの核子の積付けが、ガス濃度の均一化を阻害しないように行われたこと。
  くん蒸中は、常時ガスの循環が行われたこと。
  ガス濃度の測定に用いられるパイプは、収着性の小さい材質であるとともに、測定点としてくん蒸施設中央部の上、中及び下の3点の空間部に設置されたものであること。
  ガス濃度の測定にあたっては、0.5mg/ℓ以上の精度を有し、かつ、適切に較正されたガス濃度測定機器が使用されたこと。
  くん蒸施設内の臭化メチルの濃度をグラム毎立方メートル(ミリグラム毎リットル)で表した数値とくん蒸時間数との積(以下「CT値」という。)が、くん蒸中のガス濃度から次により計算されたものであって、かつ、所定の値以上であること。この場合において、当該ガス濃度はエにおいて定める3点の臭化メチル濃度を測定し、その3点の平均測定値を用いたものであること。
 
             CT値(mg・h/ℓ)=(7.5C15+22.5C30+45C60+60C120+60C180+30C240)/60
                Cn:n分後のガス濃度(mg/ℓ)
 
  カにより求めたCT値が65.5を下回った場合は、次の計算式により求めた分以上くん蒸時間が延長されたこと。この場合、延長時間は5分単位で切り上げること。
 
               延長時間(分)=60(65.5-CT値)/C240
 
3   アメリカ合衆国植物防疫機関による検査及び保管 
(1)  告示3の(1)の検査は、アメリカ合衆国植物防疫機関が次のとおり行うものとされている。
  くるみの核子は、告示4の生産地における消毒が適切に行われたものであることを確認すること。
  荷口ごとに、こん包数の1パーセント以上を対象に、検疫有害動植物、特にコドリンガがないことを確認すること。
(2)  (1)のイの確認の結果、コドリンガが発見された場合には、当該くるみの核子を含む荷口に対する植物検疫証明書は発行されないものとされている。また、コドリンガが発見された原因が調査され、再発防止策について日本とアメリカ合衆国の間で合意されるまでは、以後の消毒の確認及び植物検疫証明書の発行は行われないものとされている。
(3)  (1)の検査が終了したこん包の保管は、次の要件が満たされるように行われ、かつこのことをアメリカ合衆国植物防疫機関が適切に確認するものとされている。
  保管場所は、日本向け以外のこん包と分離された区画であること。
  アの区画の管理責任者が定められていること。 
 
4   植物防疫官による確認
   告示5の植物防疫官による確認は、原則として1年に1回以上、次の条件が満たしていることを、アメリカ合衆国植物防疫機関の実施記録の確認等により行うものとする。植物防疫官が必要と認めたときは、さらに、立会いや関係者への聞き取りによりアメリカ合衆国植物防疫機関によるくん蒸施設の指定の状況及び検査、消毒の実施を実地で確認するものとする。
(1)  1の日本国植物防疫機関宛てに通知された施設が1の指定条件を満たしていること。
(2)  2のアメリカ合衆国植物防疫機関による消毒の確認が適切に行われていること。
(3)  3のアメリカ合衆国植物防疫機関による検査及び保管が適切に行われていること。 
 
5   こん包
   告示6の(1)のこん包は、ポリエチレン製の袋(網目の孔の直径が1.6ミリメートル以下のものに限る。)その他のものであって、その初回の使用に当たり、あらかじめ、アメリカ合衆国植物防疫機関及び日本国植物防疫機関による確認を受けたものとする。 
 
6   表示
   告示7の表示は、それぞれ次の字句によるものとし、こん包の側面等の見やすい場所に、容易に確認できる大きさで行われるものとする。
(1)  輸出植物検疫終了の表示
       TREATED  PPQ-APHIS-USDA
(2)  仕向地の表示
       FOR  JAPAN  
 
7   輸入検査
(1)  植物防疫官は、輸入港において、くるみの核子、添付されている植物検疫証明書、告示6の(2)の封印及び告示7の表示を確認することにより輸入検査を行うものとする。
(2)  植物防疫官は、(1)において、植物検疫証明書が添付されていない場合、告示6の(2)の封印がなされていない場合、告示7の表示がなされていない場合又はこん包が破損している場合には、当該くるみの核子の廃棄又は返送を命ずるものとする。
(3)  (1)及び(2)以外の輸入検査の手続及び方法は、規則及び輸入植物検疫規程(昭和25年7月8日農林省告示第206号)によるものとする。
(4)  コドリンガが発見された場合、植物防疫官は、次により措置するものとする。
  当該くるみの核子を所有又は管理する者に対し、当該荷口の全量の廃棄又は返送を指示する。
  コドリンガが発見された原因をアメリカ合衆国植物防疫機関と共同して調査し、再発防止策について日本とアメリカ合衆国の間で合意されるまでは、以後の輸入検査を中止する。