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植物防疫所

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アメリカ合衆国産ネクタリン生果実に関する植物検疫実施細則
 
〔昭和63年6月17日 63農蚕第3712号 農蚕園芸局長通達〕
 

沿革
平成05年06月01日   5農蚕第3724号 [一部改正]
平成09年04月01日   9農産第2322号 [一部改正]
平成10年04月01日 10農産第2747号 [一部改正]
平成12年08月30日 12農産第5841号 [一部改正]
平成13年06月04日 13農産第1422号 [一部改正]
平成16年05月11日 15消安第6804号 [一部改正]
平成29年05月12日 29消安第  737号 [一部改正]
令和03年01月12日   2消安第4283号 [一部改正]
令和05年07月27日   5消安第2430号 [一部改正]
 
 
   植物防疫法施行規則(昭和25年農林省令第73号。以下「規則」という。)別表2の付表第22のアメリカ合衆国から発送され、他の地域を経由しないで輸入されるネクタリン生果実に係る植物検疫の実施については、規則、輸入植物検疫規程(昭和25年7月8日農林省告示第206号)及び令和5年7月27日農林水産省告示第883号(植物防疫法施行規則別表2の付表第22のアメリカ合衆国から発送され、他の地域を経由しないで輸入されるネクタリンの生果実に係る農林水産大臣が定める基準。以下「告示」という。)に規定するもののほか、この細則に定めるところによる。
 
1  くん蒸施設
   告示4のくん蒸施設は、毎年、次の条件を満たしているくん蒸施設としてアメリカ合衆国植物防疫機関による指定がされているものであって、当該指定につき日本国植物防疫機関宛てに通知されているものとする。
(1) くん蒸中一定のガス濃度を保持しうる気密性を有することが、次のいずれかの方法で確認されたものであること。ただし、当該くん蒸施設が日本向けのさくらんぼ、すもも又はりんごの生果実のくん蒸施設としての条件を満たすものとしてアメリカ合衆国植物防疫機関による指定がされているものである場合は、その確認を省略することができるものとする。
  当該くん蒸施設の内容積1立方メートル当たり臭化メチル10グラムを使用して空くん蒸を行い、臭化メチルの投薬完了後から48時間後までにおける施設内空間の上、中及び下の3点のガス濃度を測定したときの平均値が、投薬完了直後のガス濃度の70パーセント以上であることを確認すること。
イ  当該くん蒸施設内の圧力を、ケロシン又はこれと同等の比重を持つ液体の液柱が25ミリメートルになるまで上げた後、当該液柱が2.5ミリメートルに下がるまでに要する時間が60秒以上であることを確認すること。
  当該くん蒸施設内の圧力を、ケロシン又はこれと同等の比重を持つ液体の液柱が50ミリメートルになるまで上げた後、当該液柱が5ミリメートルに下がるまでに要する時間が22秒以上であることを確認すること。
(2) くん蒸施設内のガス濃度を外部から測定できる構造であること。
(3) くん蒸施設内のガス濃度を均一にする装置及び消毒終了後速やかにガスを排出する装置を有するものであること。
(4) 臭化メチルの投薬装置が設備されていること。
(5) くん蒸施設内の温度を外部から随時測定できる装置を有するものであること。
 
2  こん包及びこん包場所
(1) こん包
  告示6の(1)のアのコドリンガの侵入するおそれがないと認められ、かつ、通気性のある材料とは、コドリンガの侵入するおそれがないこと及び殺虫効果を妨げないことがアメリカ合衆国植物防疫機関による検査により確認され、並びに当該検査が的確に実施されたことが植物防疫官により確認された通気性フィルムとする。
  告示6の(2)のアのコドリンガの侵入するおそれがないと認められる材料とは、孔のない包装材料、網若しくは包装材料であって孔の直径が1.6ミリメートル以下のもの又はアの通気性フィルムとする。
(2) こん包場所
   告示6の(1)のイ又は(2)のイのこん包場所は、次の条件を満たしているものとする。
  くん蒸施設に接続して設置されており、窓等の開口部にはすべて網(孔の直径が1.6ミリメートル以下のものに限る。)が張られている等、コドリンガの侵入を防止するための設備があること。
  日本向け消毒済み生果実の専用こん包場所であること。
  毎年使用開始前に内部が殺虫剤で消毒されており、また必要に応じて消毒が行われること。
  毎日使用開始前にこん包施設の清掃が行われること。
 
輸出国における消毒
   告示4の消毒は、次の要件が満たされるように行われ、かつ、このことをアメリカ合衆国植物防疫機関により確認されているものとする。
(1) 告示4の(2)のアの要件を満たすよう消毒を行う場合にあっては、次の要件が満たされるように行うこと。
  ガス濃度の測定に用いられるパイプが収着性の小さい材質であって、当該パイプの一方の開口部がくん蒸施設中央部の上、中及び下の3点に測定点として設置されているものであること。
  1.0mg/L以上の精度を有し、かつ、適切に較正されたガス濃度測定機器が使用されていること。
  生果実の積付けがガス濃度の均一化を阻害しないように行われていること。
  ガスの循環がくん蒸中常に行われること。
  くん蒸施設内の臭化メチルの濃度をグラム毎立方メートル(ミリグラム毎リットル)で表した数値とくん蒸時間数との積(以下「CT値」という。)が、次により計算されたものであること。この場合におけるガス濃度とは、アの測定点における測定値の平均値とする。
   CT値(mg・h/L)=(7.5C15+22.5C30+45C60+30C120)/60
   Cn :n分後のガス濃度(mg/L)
  オにより求めたCT値が所定の値を下回った場合は、くん蒸時間が次の計算式により求めた時間分延長されること。なお、延長する時間は5分単位で切り上げ、最大30分までとする。
   延長時間(分)= 60(48.8-CT値)/C120 
  こん包してくん蒸する場合は、日本国植物防疫機関が認めたこん包材が使用されていること。
(2) 告示4の(2)のイの要件を満たすよう消毒を行う場合にあっては、次の要件が満たされるように行うこと。
  生果実の積付けが、ガス濃度の均一化を阻害しないように行われていること。
  ガスの循環がくん蒸中常に行われること。
  こん包してくん蒸する場合は、日本国植物防疫機関が認めたこん包材が使用されていること。
 
4  アメリカ合衆国植物防疫機関による検査
(1) 告示3の(1)のアメリカ合衆国植物防疫機関による検査は、次を確認することにより行われるものとする。
  告示4の消毒が適切に行われたこと。
  こん包が2の(1)の条件を満たしていること。
  各荷口のこん包の数のうち2パーセント以上のこん包に含まれる生果実に検疫有害動植物(特にコドリンガ)が付着していないこと。
(2) (1)のウの確認の結果、コドリンガが発見された場合は、その原因が調査され、両国の植物防疫機関の間で再発防止策への合意が得られるまでは、消毒の確認及び植物検疫証明書の発行が停止されるものとする。
 
植物防疫官による確認
    告示5の植物防疫官による確認は、原則として1年に1回以上、アメリカ合衆国植物防疫機関の記録及び(1)から(4)の確認により行うほか、植物防疫官が必要と認めたときは、検査若しくは消毒への立会い又は関係者への聞き取りを行うものとする。
(1) くん蒸施設が1の条件を満たしていること。
(2) こん包場所が2の(2)の条件を満たしていること。
(3) 3のアメリカ合衆国植物防疫機関による消毒の確認が適切に行われていること。
(4) 4のアメリカ合衆国植物防疫機関による検査が適切に行われていること。
 
6  表示
   告示7の表示は、それぞれ次の字句によるものとし、各こん包又は束ねたこん包の側面等の見やすい場所に、容易に確認できる大きさで行われるものとする。
(1) 輸出植物検疫終了の表示
       TREATED PPQ-APHIS-USDA
(2) 仕向地の表示
       FOR JAPAN
 
7  輸入検査
(1) 植物防疫官は、植物検疫証明書が添付されていない場合、告示6の(3)の封印がなされていない場合、告示7の表示がなされていない場合又はこん包が破損している場合には、当該生果実の廃棄又は返送を命ずるものとする。
(2) コドリンガが発見された場合、植物防疫官は、当該生果実を所有又は管理する者に対し、当該荷口について、全量の廃棄又は返送を指示するものとする。
(3) コドリンガが発見された場合、植物防疫官は、コドリンガが発見された原因をアメリカ合衆国植物防疫機関と共同して調査し、両国の植物防疫機関の間で再発防止策への合意が得られるまでは、以後の輸入検査を中止するものとする。