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植物防疫所

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ニュージーランド産りんご生果実に関する植物検疫実施細則
 
〔平成5年6月1日 5農蚕第3724号農蚕園芸局長通達〕
 

沿革
平成09年04月01日   9農産第2322号 [一部改正]
平成10年04月01日 10農産第2747号 [一部改正]
平成12年04月26日 12農産第3088号 [一部改正]
平成19年07月13日 19消安第3965号 [一部改正]
平成24年04月24日 24消安第  223号 [一部改正]
平成25年03月07日 24消安第5664号 [一部改正]
 
 

   植物防疫法施行規則(昭和25年農林省令第73号。以下「規則」という。)別表2の付表第24のニュージーランド産のりんごの生果実(以下「生果実」という。)に係る植物検疫の実施については、平成9年3月10日農林水産省告示第353号(以下「告示」という。)で規定するもののほか、この細則に定めるところによる。
 
 
1  消毒施設
   告示4のくん蒸施設及び低温処理施設は、次の条件を満たすものとされている。
(1) くん蒸施設
  くん蒸中一定のガス濃度を保持しうる気密性を有するものであること。
  くん蒸施設内のガス濃度を外部から測定できる構造であること。
  くん蒸施設内のガス濃度を均一にする装置及び消毒終了後速やかにガスを排出する装置を有するものであること。
  臭化メチルの投薬装置が設備されていること。
  くん蒸施設内の果実温度を外部から随時測定できる装置を有するものであること。
     なお、測定されたガス濃度の単位をppmからmg/Lに換算する必要がある場合は、くん蒸施設内の温度を外部から随時測定できる装置を有するものであること。
(2) 低温処理施設
  部屋ごとに±0.6度の精度で所定温度に保持できるものであること。
  部屋内の温度(冷却風の入口及び出口の2か所)及び果実内の温度(部屋中央の積荷の中心部及び最上部の角並びに冷却風の出口付近の積荷の中心部及び最上部の角の4か所)について外部から随時確認できる自動温度記録装置を有すること。

2  こん包及びこん包場所
(1) こん包
   告示6の(1)のこん包に通気孔を設ける場合は、次のいずれかの方法によるものとされている。
  生果実をこん包に収納する前にポリエチレン製の包装材料(通気孔を設ける場合は、孔の直径が 1.6ミリメートル以下のものに限る。)で包み込んでいること。
  通気孔に網(孔の直径が 1.6ミリメートル以下のものに限る。以下同じ。)が張られているこん包を使用すること。
  こん包又は束ねたこん包全体を網で覆うこと。
(2) こん包場所
   告示6の(2)のこん包場所は、消毒終了後にこん包される場合、次の条件を満たすものとされている。
  くん蒸施設に接続して設置されており、窓等の開口部には全て網が張られている等、コドリンガの侵入を防止するための設備があること。
  消毒済みの生果実の専用のこん包場所であること。
  毎年使用開始前に内部が殺虫剤で消毒されており、さらに、必要に応じ消毒が行われること。
 
3  消毒施設及びこん包場所の調査
(1) 植物防疫官は、告示4のくん蒸施設及び低温処理施設並び告示6の(2)のこん包場所について、それぞれ1及び2の(2)の条件を満たすものであることを確認するため、原則として1年に1回以上ニュージーランド植物防疫機関(以下NZ機関という。)が行う日本向け生果実のくん蒸施設及び低温処理施設並びにこん包場所の指定のための調査の記録を確認し、調査が的確に行われたことを確認するものとする。
(2) (1)の調査において、くん蒸施設の気密性の確認は、次のいずれかの方法により行うものとされている。
  当該施設の内容積1立方メートル当たり臭化メチル10グラムを使用して空くん蒸を行い、48時間後における施設内空間の上、中、下3点のガス濃度を測定し、その平均測定値が使用量の70パーセント以上であることをもって行うこと。
  当該施設の内部の圧力をケロシン液柱50ミリメートルに上げ、5ミリメートルに下がるまでの時間が22秒以上であることをもって行うこと。
 
4  検査及び消毒の実施の確認
(1) 消毒の実施の確認
   植物防疫官は、告示5の消毒の実施の確認について、次により、原則として1年に1回以上NZ機関と共同して、NZ機関が記録した告示4の消毒の実施記録を確認し、消毒が的確に実施されたことを確認するものとする。
  くん蒸による消毒
(ア) 告示4の(2)によりくん蒸を実施する場合
a  所定の薬量及び温度条件の下に所定の時間くん蒸が行われたことを確認すること。
b  ガス濃度の測定に用いられるパイプは、収着性の小さい材質であるとともに、測定点としてくん蒸施設中央部の上、中及び下の3点の空間部に設置されていることを確認すること。
c  消毒開始前に、ガス濃度測定機器は0.5mg/L以上の精度を有したものであり、適正に校正されたものであることを確認すること。
d  生果実の積付けがガス濃度の均一化を阻害しないように行われたことを確認すること。
e  くん蒸中は常時ガスの循環が行われたことを確認すること。
f  くん蒸施設内の臭化メチルの濃度をグラム毎立方メートル(ミリグラム毎リットル)で表した数値とくん蒸時間数との積(以下「CT値」という。)は、くん蒸中のガス濃度から次により計算するものとし、CT値が所定の値以上であることを確認すること。なお、ガス濃度はbにおいて定める3点の臭化メチル濃度を測定し、その3点の平均測定値を用いるものとする。
CT値(mg・h/L)=(7.5C15+22.5C30+45C60+30C120)/60
Cn:n分後のガス濃度(mg/L)
g  fにより求めたCT値が所定の値を下回った場合は、くん蒸時間が次の計算式により求めた時間分延長されたことを確認すること。
なお、延長時間は5分単位で切り上げること。
延長時間(分)=60(34.2-CT値)/C120
h  こん包してくん蒸する場合には、こん包の通気性を確認すること。
(イ) 告示4の(3)によりくん蒸を実施する場合
a  所定の薬量及び温度条件の下に所定の時間くん蒸が行われたことを確認すること。
b  1回に処理する生果実の量がくん蒸施設の内容積の40パーセントを超えず、かつ、積付けがガス濃度の均一化を阻害しないように行われたことを確認すること。
c  くん蒸中は常時ガスの循環が行われたことを確認すること。
  低温処理による消毒
(ア) 予備冷蔵により生果実の中心部の温度が摂氏2.0度であることを、部屋ごとに4か所以上の生果実について確認すること。
(イ) (ア)の確認後、引き続き生果実の中心部の温度が25日間、摂氏2.0度以下であることを、原則として1日1回以上確認すること。ただし、(ア)の確認後、温度記録計を封印した場合には、処理中の果実温度を処理終了後に確認することができる。
(ウ) 消毒の開始直前に温度計の示度が正確であるかどうかを確認すること。
(2) 検査の実施の確認
   植物防疫官は、告示5の検査の実施の確認について、次により、原則として1年に1回以上NZ機関が行う検査に立ち会い、行うものとする。
  生果実のこん包数の5パーセント以上について、検疫有害動植物、特に火傷病及びコドリンガがないことを確認すること。
  アの検査において、萎れた果実が発見された場合には、NZ機関により実施されるヨード・デンプン法による当該果実の成熟検査に立ち会うこと。また、検査の結果、当該果実が未成熟であることが判明した場合には、NZ機関により行われる、当該果実を含む荷口の果実であって、当該果実が収穫された栽培ブロックと同一のブロックにおいて栽培されたものが日本に輸出されないための措置に立ち会うこと。
  NZ機関が記録した検査の記録を確認し、検査において検疫有害動植物、特に火傷病及びコドリンガがなかったことを確認すること。
(3) (1)の確認の結果、消毒が的確に実施されていないと判断されたとき又は(2)の確認の結果、火傷病及びコドリンガが発見されたときは、その原因についてNZ機関と共同して調査し、その原因が判明するまでは、以後の輸出を停止するものとされている。

5  保管
   告示4の消毒及び告示3の(1)の検査を終了したこん包は、次の条件の下に保管するものとされている。
(1) 保管場所は、日本向け以外の荷口と分離している区画であこと。
(2) (1)の区画には、日本向けのりんごの生果実の保管場所である旨の表示がなされていること。
(3) (1)の区画の管理責任者が定められていること。
(4) NZ機関により、定期的に保管状況について確認され、かつ、その状況が記録されていること。

6  表示
   告示7の輸出植物検疫終了の表示は次の(1)の字句、仕向地の表示は次の(2)の字句によるものとし、こん包又は束ねたこん包の側面等の見やすい場所に、容易に確認できる大きさで行われるものとされている。
(1) 輸出植物検疫終了の表示
CLEARED BY NZ GOVERNMENT
(2) 仕向地の表示
FOR EXPORT TO JAPAN

7  輸入検査
(1) 植物防疫官は、輸入港又は飛行場において、輸入された生果実及び添付されている植物検疫証明書を確認して輸入検査を行うものとする。
(2) 植物防疫官は、植物検疫証明書が添付されていない場合、告示6の(3)の封印がなされていない場合、告示7の表示がなされていない場合又はこん包が破損している場合若しくは開封されている場合には、当該生果実を所有し、又は管理する者に対し、当該生果実の廃棄又は返送を指示するものとする。
(3) (1)及び(2)以外の輸入検査の手続及び方法は、規則及び輸入植物検疫規程(昭和25年7月8日農林省告示第206号)によるものとする。
(4) 植物防疫官は、火傷病が発見され、又はコドリンガが付着していた場合には、次の措置を講ずるものとする。
  当該生果実を所有し、又は管理する者に対し、火傷病が発見され、又はコドリンガが付着していた荷口全量の廃棄又は返送を指示すること。
  火傷病が発見され、又はコドリンガが付着した原因について、NZ機関と共同して調査し、その原因が判明するまでは以後の輸入検査を中止すること。