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植物防疫所

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セグロウリミバエの緊急防除の実施について


沿革
令和7年3月21日 6消安第7289号


令和7年3月 21 日付け6消安第 7289 号
農林水産省消費・安全局長通知

第1 目的
この通知は、セグロウリミバエの緊急防除の実施について、植物防疫法(昭和 25 年法律第 151 号。以下「法」という。)第 17 条第1項、セグロウリミバエの緊急防除に関する省令(令和7年農林水産省令第9号。以下「省令」という。)、セグロウリミバエの緊急防除に関する告示(令和7年農林水産省告示第419 号)及び法第 19 条第2項の規定により交付される緊急防除協力指示書(以下「協力指示書」という。)に定めるもののほか、当該緊急防除の実施の詳細を規定することにより、その円滑かつ的確な実施に資することを目的とする。

第2 定義
この通知において「移動制限植物」とは、省令第3条第1項に規定する移動制限果実等のうち、生果実及び花をいう。
第3 植物防疫員の任命
防除区域の所在地を管轄する植物防疫所(那覇植物防疫事務所を含む。以下同じ。)の長(以下「植物防疫所長」という。)は、当該防除区域を管轄する都道府県(以下単に「都道府県」という。)の長(以下「都道府県知事」という。)又は市町村(以下単に「市町村」という。)の長(以下「市町村長」という。)から、協力指示書に基づき当該都道府県知事又は当該市町村長が指定した職員を法第3条第2項に定める植物防疫員に任命することを希望する旨の申出があったときは、「植物防疫員任命の手続きについて」(平成 19 年4月2日付け18 消安第 14330 号農林水産省消費・安全局長通知)の3に規定する者を植物防疫員に任命する。
第4 検査補助員の委嘱
1 植物防疫所長は、第5及び第6の規定により植物防疫官が行う事務を補助させるために必要があると認める場合には、検査補助員を委嘱する。
2 植物防疫所長は、検査補助員の委嘱に当たっては、あらかじめ都道府県知事に対し、セグロウリミバエの寄主植物の病害虫に関する知識を有する者の推薦を求める。ただし、法第3条第2項に規定する植物防疫員、法第 33 条第1項に規定する病害虫防除員及び農業改良助長法(昭和 23 年法律第 165 号)第8条第1項に規定する普及指導員の経験を有する者については、都道府県知事に対して当該推薦を求めることなく、検査補助員として委嘱することができる。
3 検査補助員の委嘱は、別記様式第1号の辞令を交付して行う。
4 植物防疫所長は、検査補助員の氏名、担当地域及び連絡先を都道府県及び市町村の担当者並びに当該検査補助員の担当地域に存するほ場の所有者又は管理者に周知する。
5 検査補助員は、以下の業務に従事する。
(1)植物防疫官又は植物防疫員が行う第6に規定する検査の補助
(2)第6に規定する検査合格証明ラベルの管理
(3)空港や海港(以下「空海港」という。)における検査合格証明ラベル(別記様式第2号。以下同じ。)の添付の確認
第5 移動の制限
1 植物防疫官及び植物防疫員は、空海港における取締り等を通じて、省令第3条の規定による移動の制限が遵守されていることを確認し、適切な指導を行うものとする。なお、植物防疫官、植物防疫員及び検査補助員は、空海港における取締りにおいては、必要に応じ、検査合格証明ラベルの添付を確認するものとする。
2 植物防疫官及び植物防疫員は、移動の制限に違反して、移動制限果実等が防除区域から防除区域以外の地域に移動されたことを確認した場合には、その移動制限果実等の所有者又は管理者に対し、速やかにセグロウリミバエの分散防止措置を講じて防除区域内に返送又は廃棄するよう指示する。ただし、移動制限果実等であって次に掲げるものについては、この限りでない。
(1)防除区域外で生産された移動制限植物及びその容器包装であって、防除区域内で保管されずに通過するもの
(2)防除区域外で生産された移動制限植物及びその容器包装のうち防除区域内で保管されるものであって、防除区域外から防除区域内への移動時、防除区域内での保管時及び防除区域内から防除区域外への移動時にセグロウリミバエの付着を防止できるようこん包されているもの

第6 検査の実施
1 省令第3条第1項の規定により植物防疫官が行う移動制限果実等の検査は、次のとおり行う。
(1)検査の準備
(3)の検査を行うため、以下のとおりトラップを設置する。
(ア) 令和7年1月から3月までの間にセグロウリミバエの誘殺が確認された地域においては、その誘殺地点から半径4km範囲内に、1個/km2程度のトラップを増設する。
(イ) 令和7年1月から3月までの間にセグロウリミバエの誘殺が確認されていない地域においては、新たに誘殺が確認された場合に、その誘殺地点から半径4km範囲内に、1個/km2程度のトラップを増設する。
(2)検査申請書の提出
植物防疫官は、検査を受けようとする者(以下「検査申請者」という。)に対し、当該検査を受けようとする1か月前までに、防除区域の所在地を管轄する植物防疫所の植物防疫官に移動制限果実等移動検査申請書(省令別記様式第1号。以下「申請書」という。)を提出させる。ただし、植物防疫官が正当な理由があると認めるときは、その提出の期限を経過した後であっても、当該申請書を提出させることができる。なお、検査の申請に当たっては、農業協同組合が検査申請者を取りまとめ、移動制限植物が生産されたほ場の所在する市町村を経由して行うことができる。また、検査申請者からの申請方法は、申請書に記載すべき事項(申請者の住所、氏名及び連絡先、生産ほ場の場所並びに生産する移動制限植物の種類等)が記載されたものであれば、申請書に換わる様式や提出方法の変更を認めるものとする。
(3)検査の方法
植物防疫官及び植物防疫員は、検査の申請があった移動制限果実等について、次に掲げる方法により検査を実施する。
ア 移動制限果実等について、申請書により次に掲げる基準を満たすことを確認するものとする。
(ア) 移動制限植物の生産された区域が防除区域内であること。
(イ) 移動制限植物が、申請書に記載されたほ場で生産されたものであること。
(ウ) 移動制限植物の容器包装が、セグロウリミバエの侵入を防ぐことができる構造及び材質であること。
イ 移動制限植物の栽培管理について、以下の方法により確認するものとする。
(ア) 移動制限植物について、農薬の散布によりセグロウリミバエの防除が行われている場合は、検査申請者に、当該移動制限植物の結実開始日から収穫終了日までの間における防除履歴を必要に応じて提出させ、農薬による防除が適切に行われていることの確認を行う。
(イ) 移動制限植物について、農薬の散布以外の方法によりセグロウリミバエの防除が行われる場合は、農薬による防除と同等のリスク管理措置が行われていることを、当該移動制限植物の結実開始日から収穫終了日までの間に目視等により確認する。
ウ 移動制限植物を生産するほ場について、トラップとほ場の位置関係を表に取りまとめ、移動制限植物の結実開始日から収穫終了日までの間、2週間に1回以上、トラップ調査によりセグロウリミバエの発生の有無を調査し、トラップへのセグロウリミバエの誘殺がないことを確認するものとする。
エ ウの調査の結果、トラップへのセグロウリミバエの誘殺が確認された場合、そのトラップを中心に半径500m範囲内を基本としたエリアで生産される移動制限植物について、その後継続して植物防疫官が定める期間(セグロウリミバエの1世代相当期間であり、約1か月間)、当該トラップにおけるセグロウリミバエの誘殺がないことが確認されるまで、当該移動制限植物の収穫後から梱包・出荷前までに、必要と認める栽培管理方法の確認及び目視検査を行い、セグロウリミバエの付着又は付着のおそれがないことを確認するものとする。
なお、植物防疫官は、目視検査を実施するときは、市町村又は農業協同組合を通じて、検査対象の移動制限植物の管理者に対し、検査の期日及び場所を通知する。
(4)検査合格証明書の交付
植物防疫官は、(3)の確認ができた場合、セグロウリミバエが付着しているおそれがないと認められるものとして、当該確認に係る移動制限果実等を(3)の検査に合格させ、検査申請者に対し、市町村や農業協同組合を経由し、省令第3条第3項に定める検査合格証明書(省令別記様式第2号)を交付する。
(5)検査合格証明ラベルの交付及び添付
植物防疫官、植物防疫員及び検査補助員は、検査合格証明書の交付を受けた申請者に対し、検査合格証明ラベルを交付し、当該移動制限植物の各容器包装の外装の見やすい位置に当該ラベルを1枚ずつ添付させる。
(6)再包装及び再こん包への対応
(5)により検査合格証明ラベルを添付した容器包装について、防除区域内で再包装又は再こん包することを希望する場合には、植物防疫官から検査に合格した移動制限果実等であることの確認を受け、植物防疫官の指示する方法で再包装及び再こん包を行うものとする。再包装及び再こん包した移動制限果実等には、植物防疫官が交付する検査合格証明ラベルを添付できる。
(7)合格の取消し
植物防疫官は、(3)の検査に合格した移動制限果実等にセグロウリミバエが付着し、又は付着しているおそれがあると認めるときは、当該移動制限果実等に係る合格の決定を取り消す。この場合、植物防疫官は、(5)の検査合格証明書及び検査合格証明ラベルの返還を命じる。
2 防除区域の所在地を管轄する植物防疫所長は、年度ごとに移動制限果実等 の検査実績を取りまとめ、翌年度の4月末までに別記様式第3号により植物防疫課長に報告するものとする。

第7 試験研究の用に供するものに係る移動の許可
1 植物防疫所長は、試験研究の用に供するために省令第3条第1項ただし書の規定による許可(以下「移動の許可」という。)を受けようとする者に対し、省令第4条第1項に定めるところにより、その者の住所地を管轄する植物防疫所を経由して、移動制限果実等移動許可申請書(省令別記様式第3号。以下「移動許可申請書」という。)及び当該移動許可申請書の内容の詳細が分かる資料(以下「移動許可申請書等」という。)を移動予定日の1カ月前までに農林水産大臣に提出させる。ただし、植物防疫所長が正当な理由があると認めるときは、その提出の期限を経過した後であっても、当該移動許可申請書等を提出させることができる。
2 植物防疫所長は、移動許可申請書等の提出があったときは、その内容について、次に掲げる基準に基づき審査を行い、当該審査において必要がある場合には現地を確認する。
(1)移動許可申請書を提出した者(以下「移動許可申請者」という。)が、(4)の基準を満たしている施設の所有者又はその施設を使用する許可が与えられている者であること。
(2)移動制限植物の数量が、目的とする試験研究の用に供するために必要な最小限の数量であること。
(3)移動制限果実等が、移動中に散逸しないように厳重にこん包されていること。
(4)試験研究の用に供する移動制限植物及び当該移動制限植物から得られたセグロウリミバエを管理する施設が、次に掲げる基準を満たすこと。
ア 移動制限植物のみを試験研究の用に供する場合は、オートクレーブ等の殺虫設備その他試験研究設備が整えられた微生物実験室と同等の設備が設置されていること。
イ セグロウリミバエを試験研究の用に供する場合は、試験研究所等の屋内施設のみで使用し、試験室の出入口が二重扉であること及びエアカーテン又はこれと同等以上の安全設備等が併設されていること。
ウ 試験室には専用の作業服を用意し、試験研究の用に供するセグロウリミバエが当該試験に従事する者の出入りにより散逸しないよう管理できること。
エ アからウまでに掲げるもののほか、試験研究の内容に応じ、セグロウリミバエの分散防止措置が適切に講じられていること。
(5)セグロウリミバエの飼育には専用の飼育器を用い、飼育はその中でのみ行うこと。
(6)移動後の管理責任者は、原則として、移動許可申請書等を提出した者と同一の機関に所属する者(移動許可申請者と管理責任者が同一人物であっても差し支えない。)であって、目的とする試験研究及びセグロウリミバエの分散防止に関し十分な知識と経験を有する者であること。
(7)移動制限植物及びセグロウリミバエの試験研究期間が、原則として、移動予定日から1年を経過した日又は省令が失効する日のいずれか早い日までに終了すること。
3 植物防疫所長は、移動許可申請書等の内容が2に掲げる基準を全て満たす場合には、移動の許可を行うに当たって必要となる当該移動の許可に付する条件であって、次に掲げることに関するものの案を作成し、移動許可申請書等とともに農林水産大臣に進達する。
(1)移動前に、移動しようとする移動制限果実等が移動の許可を受けているものである旨の植物防疫官の確認を受けること。
(2)移動許可申請書の記載どおりに、移動制限果実等を移動すること。
(3)移動許可申請書の記載どおりに、移動後の移動制限果実等を管理すること。
(4)移動後の移動制限果実等及びセグロウリミバエの譲渡その他の処分が制限又は禁止されること。
(5)毎年3月末までに、移動後の移動制限果実等及びセグロウリミバエの管理状況について、管理場所を管轄する植物防疫所を経由して農林水産大臣に報告すること。
(6)許可の条件に違反した場合、当該許可を取り消し、当該移動制限果実等及びセグロウリミバエの廃棄を命ずることがあること。
(7)試験研究終了の際、植物防疫官の立会いの下に移動制限果実等及びセグウリミバエを植物防疫官の指示する方法で廃棄すること。
(8)移動制限果実等及びセグロウリミバエの管理経過並びに試験研究の結果の概要を植物防疫所を経由して農林水産大臣に報告すること。
(9)(1)から(8)までに掲げるもののほか、セグロウリミバエの緊急防除に支障を及ぼさないようにするために植物防疫所長が必要であると認めて指示することに従うこと。
4 農林水産大臣は、3により進達された移動許可申請書等について、セグロウリミバエの緊急防除に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、3により進達された条件の案を踏まえ、必要な条件を付して移動の許可を行い、移動制限果実等移動許可証明書(省令別記様式第4号。以下「移動許可証明書」という。)を当該植物防疫所長を経由して、移動許可申請者に交付する。
5 植物防疫所長は、4により移動の許可を受けた者から当該移動の許可の内容又は条件を変更したい旨の申請を受け付けた場合には、1から3までの規定に準じ、書類を提出させ、審査を行うとともに、変更後の条件の案を作成して農林水産大臣に進達を行うものとする。
6 農林水産大臣は、5により進達された申請書について、セグロウリミバエの緊急防除に支障を及ぼすおそれがないと認めるときは、5により進達された条件の案を踏まえ、当該申請に係る移動の許可の条件を変更し、4の規定に準じ、その旨を当該申請を行った者に通知する。
7 植物防疫所長は、必要に応じて移動の許可に係る試験研究施設に植物防疫官を立ち入らせ、当該移動制限植物及びセグロウリミバエの管理状況を確認させる。
8 植物防疫所長は、移動の許可を受けた者から、試験研究を終了する旨の申出があったときは、植物防疫官に移動制限果実等及びセグロウリミバエの廃棄の方法を指示させるとともに、植物防疫官を廃棄に立ち会わせる。
9 植物防疫所長は、年度ごとに、移動の許可に係る移動制限果実等及びセグロウリミバエの管理状況を取りまとめ、翌年度の4月末までに別記様式第4号により植物防疫課長に報告する。
第8 寄主植物の除去及び薬剤散布
都道府県は、植物防疫所、市町村、農業者団体等と連携し、以下の対策を実施する。
(1)防除区域内に存在する寄主植物の栽培残さ及び野生の寄主植物を除去し、植物防疫官が指示する適切な方法で廃棄する。
(2)(1)の野生の寄主植物の除去に当たっては、必要に応じて除草剤の散布を行う。
(3)防除区域の次の場所に、必要に応じて殺虫剤の散布を行う。
ア 寄主植物のほ場及び野生の寄主植物の群落
イ (1)により寄主植物の残さ等を除去した場所

第9 防除区域及びその周辺における防除指導
都道府県、市町村及び農業者団体は、植物防疫所と連携し、防除区域内に所在するほ場の所有者又は管理者並びに防除区域内の住民に対し、以下の指導を行う。
(1)防除区域内における移動制限果実等の移動は、必要最小限に止めること。
(2)防除区域内に存在する野生の寄主植物の除去を行うとともに、寄主植物を栽培したほ場を放置せず、可能な限り速やかに残さを処理すること。
(3)防除区域内においてセグロウリミバエの疑いのある幼虫又は成虫の付着した寄主植物を確認した場合は、速やかに、植物防疫所、都道府県又は防除区域内の市町村に通報すること。

第10 周知
植物防疫官、植物防疫員並びに都道府県及び市町村の担当者は、移動制限植物の生産者、加工業者、物流業者、卸売・小売業者等の関係者並びに観光客、住民等に対し、セグロウリミバエの緊急防除の実施内容について積極的に周知する。

別記様式第1~4号

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